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  2. 会計の基礎知識
  3. 収入とは?所得・手取りとの違い、計上時期や給与所得控除を解説
  • 作成日 : 2026年10月28日

収入とは?所得・手取りとの違い、計上時期や給与所得控除を解説

監修:中野 裕哲(税理士,特定社会保険労務士,行政書士,ファイナンシャルプランナー(CFP(R)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士))
Point収入・所得・手取りの違いは?

収入は税金等を引く前の総額、所得は経費や控除を差し引いた金額、手取りは実際に受け取る金額で、それぞれ異なります。

  • 売上計上は入金日でなく引渡日が原則
  • 借入金・前受金は売上に含めない
  • 税と社保で扶養の判定基準が異なる

Q. 年収700万円の給与所得控除額はいくら?
A. 700万円×10%+110万円=180万円。給与所得は520万円となり、手取りとは別の金額です。

収入とは、一般にお金などを受け取ることや、その金額を指す言葉です。手取りとの違いや、給与所得との関係を押さえると、記帳や入金確認で迷いにくくなります。

本記事では、収入に含めるもの、計上時期や給与所得控除などについて解説します。

目次

  • 収入(額面)とは?所得・手取りとどう違う?
  • 給与所得控除の速算表・計算例は?
    • 2026年分・2027年分の給与所得控除は年収に応じて計算する
    • 【計算例】年収700万円なら給与所得控除は180万円、給与所得は520万円
  • 事業の収入金額に含まれるもの・含まれないものは?
    • 売上以外の雑収入や一定の補償金も含まれる
    • 借入金・前受金・自己資金の移動は売上と分ける
  • 収入はいつ計上する?請求書の発行日や入金日との関係は?
    • 商品の引渡しやサービスの完了を基準にする
    • 未入金の売上は売掛金にし、入金時に二重計上しない
    • 現金主義の特例を使う場合は要件と届出を確認する
  • 収入か所得かで判断が変わる場面は?
    • 【確定申告】「収入金額」と「所得金額」を別々に記入する
    • 【扶養や年収の壁】税金と社会保険で判定基準が異なる
    • 【住宅ローン】審査と住宅ローン控除で見る金額が異なる
  • 収入・所得・手取りを区別して正しく管理しよう

収入(額面)とは?所得・手取りとどう違う?

収入・所得・手取りは、それぞれ指す金額が異なります。 会社員では給与から給与所得控除を差し引いたものが給与所得となり、個人事業主では事業の総収入金額から必要経費を差し引いたものが事業所得です。手取りは、さらに税金などを支払った後に実際に残る金額を指す日常的な表現です。

区分 会社員 個人事業主
収入(額面) 給料・賞与などの税金や社会保険料が差し引かれる前の金額です。税務上は「給与等の収入金額」に当たり、源泉徴収前の金額で考えます。 商品販売やサービス提供による売上などの必要経費を差し引く前の総収入金額です。ただし、個人事業主について「額面」は正式な税務・会計用語ではなく、一般には売上や総収入金額を指す表現として使われます。
所得 原則として、給与収入-給与所得控除=給与所得です。会社員は通常、実際にかかった仕事上の経費を給与収入から直接差し引くのではなく、給与所得控除によって所得を計算します。 原則として、総収入金額-必要経費=事業所得です。仕入代、事務所家賃、事業用の通信費など、収入を得るために必要な経費を差し引いて計算します。
手取り 額面給与から所得税、住民税、健康保険料、厚生年金保険料などを差し引き、実際に受け取る金額を指すのが一般的です。 税務上の正式な所得区分ではありません。一般には、売上から事業経費や税金、社会保険料などを支払った後に実質的に残る金額という意味で使われます。したがって、事業所得と手取りは一致しません。

たとえば会社員の給与収入が500万円でも、500万円すべてが「所得」になるわけではありません。給与所得控除を差し引いた金額が給与所得となり、さらに所得控除などを反映して所得税が計算されます。実際に銀行口座へ振り込まれる手取り額は、給与収入から税金や社会保険料などを差し引いた金額です。

個人事業主も同様に、年間売上が500万円だからといって所得が500万円になるわけではありません。たとえば総収入金額500万円、必要経費200万円なら、事業所得は原則300万円です。さらに、この300万円からそのまま税金を引いた額が「手取り」になるわけでもなく、所得控除や所得税・住民税、社会保険料、事業上の資金支出などによって実際に残る金額は変わります。

参考:No.1400 給与所得|国税庁

参考:No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得)|国税庁

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給与所得控除の速算表・計算例は?

給与所得控除は、会社員などの給与収入から一定額を差し引いて給与所得を計算する仕組みです。 2026年分・2027年分は税制改正により最低控除額が74万円となり、給与収入に応じて控除額が変わります。2026年12月1日施行ですが、2026年分の所得税から適用されます。

2026年分・2027年分の給与所得控除は年収に応じて計算する

給与所得控除額は、給与等の収入金額を次の速算表に当てはめて求めます。

給与等の収入金額 給与所得控除額
220万円以下 74万円
220万円超~360万円以下 収入金額×30%+8万円
360万円超~660万円以下 収入金額×20%+44万円
660万円超~850万円以下 収入金額×10%+110万円
850万円超 195万円(上限)

たとえば給与収入が増えても、給与所得控除が同額ずつ増えるわけではありません。850万円を超えると控除額は原則195万円で頭打ちになります。なお、給与収入660万円未満では、実際の給与所得は原則として「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」により求めるため、単純な速算結果と若干異なる場合があります。

参考:No.1410 給与所得控除|国税庁

【計算例】年収700万円なら給与所得控除は180万円、給与所得は520万円

給与収入700万円の場合、給与所得控除額は「700万円×10%+110万円=180万円」です。 したがって、給与所得は「700万円-180万円=520万円」となります。

ここでいう520万円は手取り額ではありません。この給与所得から基礎控除や社会保険料控除、扶養控除などの所得控除を差し引いて課税所得を求め、その金額をもとに所得税を計算します。給与収入、給与所得、課税所得、実際の手取りはそれぞれ異なる金額として区別します。

事業の収入金額に含まれるもの・含まれないものは?

事業の収入金額には、本業の売上に加え、事業に付随する雑収入なども含まれます。口座に振り込まれたお金でも、借入金などは売上に計上しません。通帳の入金額をそのまま合計するのではなく、何のために受け取ったお金なのか、返済や商品提供の義務が残っているのかを確認して区分します。

売上以外の雑収入や一定の補償金も含まれる

事業所得の総収入金額には、通常の売上以外に、事業に伴う雑収入なども含まれます。 たとえば、作業くずや空箱の売却代金、仕入先から受けるリベートなどです。

商品が災害や盗難の被害を受けた場合の保険金や、事業の休業を補う補償金なども対象になります。通常の販売代金ではないからといって、記帳から外してよいわけではありません。「雑収入」などの勘定科目で内容を分けて記録すると、集計漏れを防ぎやすくなります

借入金・前受金・自己資金の移動は売上と分ける

借入金や前受金は、入金があっても直ちに売上にはなりません。 借入金は返済義務のある負債です。納品前に代金を受け取る前受金も、原則として商品を引き渡すなどして売上を計上するまで、負債として管理します。

また、個人事業主が生活用の預金から事業口座へ資金を移した場合は、一般に「事業主借」で処理します。お金の置き場所を変えただけなので、事業収入を増やす処理にはしません。

収入はいつ計上する?請求書の発行日や入金日との関係は?

収入は、原則として取引内容に応じて、代金を受け取る権利が確定した時点で計上します。 請求書の発行日や入金日が、そのまま売上計上日になるわけではありません。商品を渡した日、サービスを終えた日、請求した日、入金した日を分けて管理すると、年をまたぐ取引でも計上する年を判断しやすくなります。

商品の引渡しやサービスの完了を基準にする

商品の販売は引渡しの日、請負によるサービスは仕事を完了した日などが、売上計上の基本です。 契約内容や検収の有無などを踏まえて判断し、継続的なサービスや長期契約では別の計上方法が適用される場合があります。

たとえば、2026年12月25日に商品を引き渡し、請求書を2027年1月5日に発行、2月末に入金される取引でも、原則として2026年の収入です。請求を翌年に回しただけで、収入の計上も翌年に変えられるわけではありません。

参考:収入金額の収入すべき時期|国税庁

未入金の売上は売掛金にし、入金時に二重計上しない

未入金の売上は「売掛金」として記録し、入金時にその残高を減らします。 売掛金は、販売代金を後日受け取る権利を表す資産です。

税込経理で66,000円の商品を掛け販売し、手数料などの差引きなく全額を回収する場合の仕訳は、次のようになります。

処理する時点 借方 貸方
商品を引き渡した日 売掛金 66,000円 売上 66,000円
代金が入金された日 普通預金 66,000円 売掛金 66,000円

入金時にも売上を登録すると二重計上になります。銀行明細を会計ソフトへ取り込む際も、すでに計上した売掛金の回収として処理します。

現金主義の特例を使う場合は要件と届出を確認する

一定の小規模な青色申告者は、届出によって入出金時に収入・費用を計上する現金主義の特例を選べます。 対象は、原則として前々年の事業所得と不動産所得の合計が300万円以下の人です。判定には売上ではなく所得を使い、専従者給与などを差し引く前の金額で計算します。

届出期限は原則として適用を受ける年の3月15日です。開業時などには別の期限があるため、通常の計上方法から自己判断で切り替えないようにしましょう。

収入か所得かで判断が変わる場面は?

「年収」や「扶養」といった言葉でも、制度によって収入を見る場合と所得を見る場合があります。 確定申告では両方を記載し、税法上の扶養は原則として所得、社会保険の扶養は収入を基準に判定します。住宅ローンでも、審査と住宅ローン控除では見る金額が異なります。

【確定申告】「収入金額」と「所得金額」を別々に記入する

確定申告書では、収入と所得は別の欄に記入します。 会社員なら、源泉徴収前の給与・賞与などが「給与収入」、そこから給与所得控除などを反映した金額が「給与所得」です。

個人事業主の場合は、売上などが「事業の収入金額」、そこから仕入代や家賃などの必要経費を差し引いた金額が「事業所得」となります。売上500万円、必要経費200万円なら、収入は500万円、事業所得は300万円です。収入欄に300万円を記入するなど、両者を入れ替えないようにします。

参考:確定申告書等の様式・手引き等|国税庁

【扶養や年収の壁】税金と社会保険で判定基準が異なる

税法上の扶養は主に「所得」、社会保険上の扶養は「収入」を基準に判定します。 2026年分の所得税では、扶養控除の対象となる親族は原則として合計所得金額62万円以下が基準で、給与収入だけなら給与所得控除74万円を踏まえて年収136万円以下に相当します。配偶者控除も、2026年分は配偶者の合計所得金額62万円以下が基本要件です。

一方、健康保険の被扶養者認定では、原則として年間収入130万円未満などの収入基準で判定します。また、短時間労働者の社会保険加入で「106万円の壁」と呼ばれていた月額8.8万円以上の賃金要件は、2026年10月に撤廃されました。税金と社会保険では同じ「年収の壁」でも判定方法が異なります。

参考:No.1180 扶養控除|国税庁

【住宅ローン】審査と住宅ローン控除で見る金額が異なる

住宅ローンでは、借入審査の「年収」と住宅ローン控除の所得要件を分けて確認します。 審査基準は金融機関によって異なりますが、【フラット35】では、給与収入のみの人は給与の収入金額、自営業者などは事業所得などを合計した所得金額を年収として扱います。

一方、所得税の住宅ローン控除は、原則としてその年の「合計所得金額が2,000万円以下」であることが要件です。床面積40㎡以上50㎡未満の一定の住宅では1,000万円以下となります。したがって、「年収2,000万円以下」という意味ではなく、給与所得や事業所得などから計算する合計所得金額で判定します。

収入・所得・手取りを区別して正しく管理しよう

収入は税金や経費などを差し引く前の金額、所得は収入から給与所得控除や必要経費を差し引いた金額、手取りは実際に手元へ残る金額を指します。 会社員と個人事業主では所得の計算方法が異なり、確定申告や扶養、住宅ローンでも収入と所得のどちらを基準にするかが変わります。また、事業収入は入金日ではなく、原則として商品を引き渡した日やサービスを完了した日などを基準に計上します。

入金記録だけで判断せず、売上・収入・所得・手取りを区別して管理することが、正確な会計処理や税務申告につながります。

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※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
  • 監修:中野 裕哲(税理士,特定社会保険労務士,行政書士,ファイナンシャルプランナー(CFP(R)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士))

    V-spiritsグループ/税理士法人・社会保険労務士法人・行政書士法人V-spirits、V-Spirits総合研究所株式会社代表。起業準備から起業後の経営まで、窓口ひとつで支援するV-Spiritsグループを主催。年間約300件の起業相談を無料で受け、多くの起業家を世に送り出している。経済産業省後援の起業経営支援ポータルサイト「DREAM GATE」にて11年連続相談件数日本一、最優秀賞受賞他8部門受賞。 専門分野はビジネスプランのブラッシュアップ、事業計画書作成、融資・補助金・助成金の支援、税務会計、人事労務、会社設立、許認可等。その他にも、ブランディング、マーケティング、集客・販促などのアドバイス、人脈の紹介まで行う。

    著者・監修書に『一日も早く起業したい人が「やっておくべきこと・知っておくべきこと」』(明日香出版社)、『オールカラー 個人事業の始め方』『オールカラー 一番わかる会社設立と運営のしかた』(ともに西東社)、『相談件数No.1のプロが教える 失敗しない起業 55の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)などがある。

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