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  2. 会計の基礎知識
  3. 収入と収益の違いとは?売上・利益・所得との違いや会計処理を解説
  • 作成日 : 2026年10月28日

収入と収益の違いとは?売上・利益・所得との違いや会計処理を解説

監修:中野 裕哲(税理士,特定社会保険労務士,行政書士,ファイナンシャルプランナー(CFP(R)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士))
Point収入と収益の違いとは?

収入は「お金の流入」、収益は「経営成績に反映される会計上の成果」であり、両者は異なる概念です。

  • 借入金は収入だが収益にはならない
  • 掛売上は入金前に収益を計上する
  • 利益は収益から費用を差し引いた額

Q. 収入と収益はどこが一番違う?
A. 収入は資金の増減、収益は損益計算のための概念。入金がなくても収益を計上する場合があり、入金があっても収益にならない場合があります。

「収入」と「収益」は似た言葉ですが、会計では同じ意味ではありません。一般的に収入はお金が入ってくることを指すのに対し、収益は商品販売やサービス提供などによって企業の利益を増やす原因となる金額を指します。

この記事では、収入・収益の意味から、売上や利益との違い、収益を計上するタイミングや個人事業主の確定申告で使われる「収入金額」などを解説します。

目次

  • 収入と収益の違いとは?
    • 【収入】お金が入ってくることを表す
    • 【収益】企業の利益を増加させる原因となるもの
    • 収入と収益の違いを表で比較
  • 収入・収益と売上・利益・所得の違いは?
    • 収益と売上の違いは範囲にある
    • 収益と利益の違いは費用を差し引くかどうか
    • 収入と所得の違いは必要経費を差し引くかどうか
  • 収入と収益が一致しないのはどのような場合?
    • 掛売上では収益計上と入金のタイミングがずれる
    • 借入金の入金は収益にならない
  • 収益はいつ計上する?
    • 会計では入金のタイミングだけで判断しない
    • 顧客との契約から生じる収益には収益認識基準がある
  • 個人事業主の「収入」は会計上の収入と同じ?
    • 確定申告の収入金額は実際の入金額だけではない
    • 事業所得では売上以外も総収入金額に含まれる場合がある
  • 収入と収益を間違えるとどのような問題が起こる?
    • 入金をすべて売上にすると売上を二重計上する場合がある
    • 黒字でも現金が不足することがある
  • 収入と収益の違いを理解して正しく会計処理しよう

収入と収益の違いとは?

収入と収益の大きな違いは、お金の動きを表すのか、一定期間の経営成績を計算するための金額を表すのかという点です。一般には、収入は現金や預金などが入ってくること、収益は商品販売やサービス提供などの事業活動によって得た経済的な成果を表します。

【収入】お金が入ってくることを表す

会計を理解するうえでは、収入を「現金や預金などの資金が入ってくること」と捉えると、収益との違いがわかりやすくなります。売掛金100万円が普通預金に振り込まれれば100万円の収入が生じます。また、銀行から300万円を借りて普通預金に振り込まれた場合も、資金そのものは300万円増えます。

しかし、借入金300万円は将来返済する義務を伴う負債です。企業の経営成績を示す収益にはなりません。

このように、会社にお金が入ったからといって、その全額が収益になるわけではありません。資金繰りを把握するときの「お金の流入」と、損益を計算するときの「収益」は分けて考えます。

参考:資金繰りとは|中小企業基盤整備機構 J-Net21

【収益】企業の利益を増加させる原因となるもの

収益とは、商品販売やサービス提供などによって、その会計期間の経営成績に反映される金額です。代表的な収益は売上高ですが、受取利息や受取配当金なども収益に含まれます。損益計算書では、一定期間に発生した収益と費用を対応させ、最終的な利益を計算します。

日本の企業会計原則でも、損益計算書では一会計期間に属する収益と、それに対応する費用を記載して利益を表示する考え方が示されています。

会計上は「お金が入ってきたかどうか」だけで収益を判断するわけではありません。商品を販売して代金を後日受け取る掛取引でも、所定の条件を満たせば入金前に売上という収益を計上します。

参考:企業会計原則|企業会計基準委員会

収入と収益の違いを表で比較

収入は主に資金の流れ、収益は主に企業の経営成績を見るための概念という違いがあります。

両者の違いを整理すると、次のようになります。

比較項目 収入 収益
主な意味 現金や預金などが入ってくること 商品販売やサービス提供などによる経済的成果
重視するもの 資金の増加 損益計算上の成果
入金との関係 基本的に入金に着目する 入金前でも計上する場合がある
借入金の受取り 収入と捉えられる 収益ではない
掛売上 入金時に資金が増える 原則として売上を認識する時点で収益となる
利益計算 直接使用する概念ではない 収益-費用によって利益を計算する

収入と収益が一致するケースもあります。たとえば商品を現金10万円で販売し、その時点で売上を計上する場合は、10万円の資金流入と10万円の収益が同時に発生します。

一方、掛売上や借入れのように両者が一致しない取引も少なくありません。

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収入・収益と売上・利益・所得の違いは?

収入・収益と混同しやすい言葉として「売上」「利益」「所得」がありますが、それぞれ指している範囲が異なります。売上は収益の代表的な項目であり、利益は収益から費用を差し引いて計算します。所得は税金を計算する場面で使われる言葉です。

収益と売上の違いは範囲にある

売上は収益の一部であり、一般に本業の商品販売やサービス提供によって得た収益を指します。小売業であれば商品の販売代金、コンサルティング会社であればコンサルティングサービスの対価などが売上高に該当します。

会社には本業の売上以外にも収益が生じる場合があります。預金などから受け取った利息や、有価証券から受け取った配当などです。したがって、「収益=売上」とは限りません。売上は収益の中でも企業の主要な営業活動から生じるものと理解すると区別しやすくなります。

なお、顧客との契約から生じる収益については、企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」による会計処理が定められています。

収益と利益の違いは費用を差し引くかどうか

収益は事業活動などから得た経済的成果であり、利益は収益から費用を差し引いた残額です。商品を100万円で販売し、その売上に対応する商品の原価や人件費などの費用が70万円だったとします。単純化すると、収益は100万円、費用は70万円で、両者の差額30万円が利益です。

「100万円の収益がある」という表現と、「100万円の利益がある」という表現では意味が大きく異なります。

損益計算書では売上高から売上原価を差し引いて売上総利益を求め、さらに販売費及び一般管理費などを控除して営業利益などを計算します。収益そのものが会社に最終的に残る金額ではありません。

収入と所得の違いは必要経費を差し引くかどうか

個人事業主の所得税では、「収入金額」と「所得金額」は別の金額です。事業所得は、原則として総収入金額から必要経費を差し引いて計算します。

たとえば年間の総収入金額が1,000万円、必要経費が700万円であれば、事業所得は300万円です。

計算関係は次のようになります。

項目 金額
総収入金額 1,000万円
必要経費 700万円
事業所得 300万円

事業所得については「総収入金額-必要経費=事業所得の金額」という計算が基本です。

なお、所得はそのまま最終的な課税所得になるとは限りません。所得税の計算では、各種所得を計算した後、基礎控除や社会保険料控除などの所得控除を反映して課税所得を求めます。

収入と収益が一致しないのはどのような場合?

収入と収益は、入金と取引の発生時期が異なる場合や、入金そのものが収益に該当しない場合に一致しません。代表例が掛売上と借入金です。

掛売上では収益計上と入金のタイミングがずれる

掛取引では、商品を販売して売上を計上する時点と、実際に代金を受け取る時点が異なります。たとえば9月20日に商品10万円を販売し、代金を10月31日に受け取る契約だったとします。

9月に売上を認識する場合、9月20日の仕訳は次のようになります。

借方 貸方
売掛金 100,000円 売上高 100,000円

この時点では現金の入金はありませんが、10万円の収益を計上します。

10月31日に入金されたときは次の処理です。

借方 貸方
普通預金 100,000円 売掛金 100,000円

10月の仕訳では売上高を再度計上しません。売掛金という資産が普通預金に変わっただけだからです。

借入金の入金は収益にならない

銀行から借りたお金が口座に入金されても、借入金は収益にはなりません。たとえば金融機関から300万円を借りた場合、仕訳は次のようになります。

借方 貸方
普通預金 3,000,000円 借入金 3,000,000円

普通預金は300万円増えていますが、同時に300万円の返済義務が生じています。そのため、300万円を売上高やその他の収益として計上することはありません。反対に、借入金300万円の元本を返済した場合も、300万円すべてが費用になるわけではありません。借入金という負債を減らす取引だからです。

収入と収益、支出と費用を分けて考える理由は、このような取引にあります。

収益はいつ計上する?

収益は、単純に入金日を基準として計上するわけではありません。企業会計では取引の内容に応じて収益を認識するため、売掛取引では代金を受け取る前に売上高が計上されるケースがあります。

会計では入金のタイミングだけで判断しない

一般的な企業会計では、現金の入出金だけではなく、取引が発生した期間に収益や費用を対応させて損益を計算します。中小企業の会計でも、商品の販売やサービスの提供と現金の受取りが別のタイミングになる取引は珍しくありません。

3月に納品した商品の代金が4月に入金されたからといって、必ず4月の売上になるわけではありません。取引条件や収益認識のルールに基づき、収益を認識する時点を判断します。

これにより、売上を生み出した期間と、それに対応する費用が同じ会計期間に反映され、企業の経営成績を把握しやすくなります。

顧客との契約から生じる収益には収益認識基準がある

企業会計基準第29号では、顧客との契約から生じる収益について一定の考え方に基づいて認識します。収益認識会計基準は、顧客との契約から生じる収益について、会計処理と開示のルールを定めたものです。単純に「請求書を発行した日」や「入金された日」だけで収益を判断する仕組みではありません。

商品販売であれば商品の引渡し、サービスであればサービス提供の状況など、契約上の義務をどの時点で充足したかを踏まえて収益を認識します。

取引形態によって判断方法が異なるため、長期契約や複数の商品・サービスを組み合わせた契約では、契約内容を確認したうえで処理します。

参考:企業会計基準第29号 収益認識に関する会計基準|企業会計基準委員会

個人事業主の「収入」は会計上の収入と同じ?

個人事業主の所得税で使われる「収入金額」は、単純にその年に銀行口座へ入金された金額という意味ではありません。原則として、その年に「収入すべき金額」を基準として判断します。

日常会話や資金繰りで使われる「収入」と、所得税の「総収入金額」は区別して考える必要があります。

確定申告の収入金額は実際の入金額だけではない

所得税の収入金額には、その年にまだ現金を受け取っていなくても、その年の収入として扱われる金額があります。国税庁の案内では、その年の収入すべき金額について、年末までに実際に金銭を受け取っていなくても、原則として「収入すべき権利の確定した金額」として扱う考え方が示されています。

たとえば12月20日に商品を販売し、翌年1月10日に代金を受け取った場合でも、取引の内容などから12月に収入すべき権利が確定していれば、原則として販売した年の収入となります。

したがって、「1月に振り込まれたから翌年の収入」とは一概に判断できません。

事業所得では売上以外も総収入金額に含まれる場合がある

個人事業主の総収入金額には、通常の売上以外の金額が含まれる場合があります。事業所得の総収入金額には、商品やサービスの売上だけではなく、事業に関連して受け取った一定の経済的利益なども含まれます。

商品などの棚卸資産について損失を受けたことによる保険金・損害賠償金、空箱や作業くずなどの売却代金、仕入割引やリベート収入なども総収入金額に含まれる場合があります。

確定申告の「収入」を年間の請求書に記載した売上額だけで判断すると、計上漏れが生じる可能性があります。

収入と収益を間違えるとどのような問題が起こる?

収入と収益を混同すると、売上や利益を誤って計算したり、資金繰りを正しく把握できなくなったりするおそれがあります。帳簿では、入金内容が売上なのか、売掛金の回収なのか、借入金なのかなどを確認して処理します。

入金をすべて売上にすると売上を二重計上する場合がある

売掛金の回収を新たな売上として処理すると、同じ取引の売上を二重に計上することがあります。たとえば9月に100万円の商品を掛けで販売し、その時点で売上100万円を計上したとします。10月に100万円が入金された際、さらに売上100万円を計上してしまえば、実際には100万円しか販売していないにもかかわらず、帳簿上の売上は200万円になります。

入金時には売掛金を減らす処理をするため、新たな収益は発生しません。

銀行口座への入金を記帳する際は、取引内容や請求書、売掛金の残高などと照合して勘定科目を判断します。

黒字でも現金が不足することがある

収益が費用を上回って利益が出ていても、手元の現金が十分にあるとは限りません。掛売上が多い企業では、売上と利益が計上されていても、代金を回収するまで現金は増えません。また、借入金の元本返済など、費用にはならなくても現金が流出する取引もあります。

損益計算書上では黒字であっても、支払いに使える現金が不足するケースがあります。

経営状況を確認するときは、「どれだけ収益や利益が出ているか」という損益の視点と、「いくら資金が入って、いくら出ているか」というキャッシュフローの視点を分けて確認すると状況を把握しやすくなります。

収入と収益の違いを理解して正しく会計処理しよう

収入と収益の違いは、「お金の動き」と「経営成績」を分けて考えると理解しやすくなります。一般に収入は資金が入ってくることを表すのに対し、収益は商品販売やサービス提供などによって生じる会計上の成果を表します。

掛売上では入金前に収益が生じる一方、借入金は入金があっても収益にはなりません。また、収益と売上、利益、所得もそれぞれ意味が異なります。

さらに、個人事業主の確定申告で使われる「収入金額」は、単純な現金収入ではなく、原則として収入すべき権利が確定した金額を基準に判断します。収入・収益・売上・利益・所得の違いを整理しておくと、仕訳や確定申告、資金繰りをより正確に把握できます。

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※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
  • 監修:中野 裕哲(税理士,特定社会保険労務士,行政書士,ファイナンシャルプランナー(CFP(R)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士))

    V-spiritsグループ/税理士法人・社会保険労務士法人・行政書士法人V-spirits、V-Spirits総合研究所株式会社代表。起業準備から起業後の経営まで、窓口ひとつで支援するV-Spiritsグループを主催。年間約300件の起業相談を無料で受け、多くの起業家を世に送り出している。経済産業省後援の起業経営支援ポータルサイト「DREAM GATE」にて11年連続相談件数日本一、最優秀賞受賞他8部門受賞。 専門分野はビジネスプランのブラッシュアップ、事業計画書作成、融資・補助金・助成金の支援、税務会計、人事労務、会社設立、許認可等。その他にも、ブランディング、マーケティング、集客・販促などのアドバイス、人脈の紹介まで行う。

    著者・監修書に『一日も早く起業したい人が「やっておくべきこと・知っておくべきこと」』(明日香出版社)、『オールカラー 個人事業の始め方』『オールカラー 一番わかる会社設立と運営のしかた』(ともに西東社)、『相談件数No.1のプロが教える 失敗しない起業 55の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)などがある。

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