- 更新日 : 2024年8月8日
収入印紙を金券ショップで買うことのメリット・デメリット
契約書や領収書に貼る収入印紙は郵便局や印紙売りさばき所で売られていますが、金券ショップで売られていることもあります。金券ショップでは額面より低い金額で売られているため、経費削減に役立てているケースも多いことでしょう。
しかし、収入印紙を金券ショップで買うことには、経費削減以外のメリットや思わぬデメリットもあります。ここでは、収入印紙を金券ショップで買うことのメリットとデメリットをご紹介します。
目次
そもそも収入印紙とは
収入印紙は、印紙税法によって契約書や領収書など所定の文書に貼ることが定められているものです。文書に貼って消印をすることで印紙税を納付したことになります。
収入印紙は、納付する金額にあわせてさまざまな額面のものがあります。
高額の取引の契約書であれば最高で60万円分の収入印紙(10万円の収入印紙6枚)を貼る必要がありますが、一般には200円や400円のものがよく使われます。郵便切手に似た大きさですが、額面によって大きさは異なります。
収入印紙は、郵便局、郵便切手類販売所または印紙売りさばき所で買うことができます。
郵便切手類販売所や印紙売りさばき所とは聞き慣れない名前ですが、たばこ屋など町の商店、コンビニエンスストアや官庁にある販売窓口などがあてはまります。
郵便局、郵便切手類販売所、印紙売りさばき所とは別に、金券ショップでも収入印紙が販売されていることがあります。金券ショップでは、額面より少し低い金額で販売されていることが一般的です。
収入印紙を金券ショップで買うメリット
収入印紙を金券ショップで買うことのメリットをご紹介します。
額面より安い金額で購入できる
もっともわかりやすいメリットは、額面より安い金額で収入印紙を購入できることです。金券ショップでは、収入印紙は額面よりおおむね1~2%安い金額で販売されています。
消費税の節税ができる
郵便局や印紙売りさばき所で収入印紙を購入する場合は、消費税は非課税になります。しかし、金券ショップで購入すると消費税が課税されます。収入印紙の販売を消費税の課税対象から外す規定は、郵便局や印紙売りさばき所での販売については有効ですが、それ以外の場所での販売については効力がないためです。
消費税の免税事業者であれば、収入印紙に消費税がかかってもかからなくても影響はありませんが、課税事業者であれば、収入印紙を消費税込みで購入すると課税仕入となります。消費税の納税額は、簡単に言えば、課税売上と課税仕入の消費税額の差額になります。課税仕入が増えれば、その分、消費税の節税ができるというわけです。
収入印紙を金券ショップで買うデメリット
収入印紙を金券ショップで買うことにはデメリットもあります。
在庫が限られている
まず挙げられるデメリットは、在庫が限られていることです。在庫は200円や400円など額面が少額のものが大半です。高い額面の印紙が金券ショップに持ち込まれても、需要の高い200円や400円の収入印紙に交換して販売するケースもあります。
このように高額の収入印紙が入手しづらい現状では、先ほど述べた消費税の節税メリットも限定的です。少額の印紙を大量に使う場合は節税メリットが大きくなりますが、大量の印紙を貼って消印をする事務の手間を考えると、印紙税納付計器の使用や書式表示に切り替えることを検討したほうが良いでしょう。
印紙税納付計器とは、文書に税務署名と番号、金額を記した納付印を印字する機器です。税務署に届け出て、前もって一定の金額を納付することで、納付金額の範囲内で納付印が印字できます。

書式表示とは、文書に所定の書式を表示して、後日印紙税を納付するものです。毎月継続して領収書などの課税文書を発行する場合や、特定の日に課税文書を大量に作成する場合などに認められる方法です。小売店のレジから発行される領収書などで見ることができます。

偽造品が存在することも
金券ショップでは、一般から買い取った収入印紙を販売に充てています。金券ショップには偽造品が持ち込まれることも少なからずあり、偽造印紙に関するニュースもしばしば報じられています。
ショップによっては、高額の収入印紙や最も流通が多い200円の収入印紙の買い取りを停止して偽造印紙の持ち込みを防いでいます。しかしながら、利用するときは偽造品が出回るリスクにも留意したほうが良さそうです。
まとめ
ここまで、収入印紙を金券ショップで買うことのメリットとデメリットについてご紹介しました。
メリットとしては、額面より少し安く購入できることと、消費税が節税できることを挙げました。デメリットとしては、券種が限られていることと、偽造リスクがあることを挙げました。収入印紙を金券ショップで買うときは、メリットとデメリットの両方があることを考慮しましょう。
なお、国税庁は印紙税に関する各種パンフレットで、収入印紙は郵便局、郵便切手類販売所または印紙売りさばき所で購入するように呼びかけています。
関連記事
・コンビニでも買える収入印紙についての知識
・収入印紙を購入するうえで知っておくと便利な知識3選
・契約書の収入印紙を節約する「第7号文書」に関する節税術
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
中小企業とはどんな企業か?今さら聞けない定義を解説
日本の企業のほとんどが中小企業であることを知っていても、中小企業の定義を明確に答えられない人も多いのではないでしょうか。 しかし中小企業であるかどうかは軽減税率措置を始め、企業を経営していくにあたって重要な知識です。ここではそんな「今さら聞…
詳しくみる法人税減税による4つのメリットまとめ
日本経済の長期的な成長を目指す政策とされるアベノミクスのなかでも、法人税の減税は抜本的な税制改正のひとつとして注目を集めています。 国内における投資の活性化や企業の成長促進を目的として、日本政府は法定実効税率の引き下げの具体的な実施を始めて…
詳しくみる税金を滞納するとどうなる?
日本に住んでいるかぎり、法律の定めるところにより私たちには納税をしなければならないという義務があります。税金を納付期限までに支払わなかった場合、どのようなことが起きるのでしょうか。今回は、国税(所得税や相続税など)を中心に、税金を滞納したと…
詳しくみる簡易課税の計算方法には基本と特例がある!
消費税の納税額は、簡易課税という方式と原則課税という方式のいずれかの方法で計算します。その1つである簡易課税方式は、仕入れや設備投資、経費など仕入れの際に支払った消費税の金額を計算する必要はありません。 売上時にもらった消費税に対して、みな…
詳しくみるみなし配当の課税関係
みなし配当とは、会社法上は剰余金の配当または分配等にあたらないものの、その実態が利益配当であるとみなされるものをいいます。そのため、税務上は配当金と同様に取り扱い、法人の場合は益金不算入の規定が適用されます。 今回はみなし配当について、課税…
詳しくみる軽減税率の対応をしなかった事業者の末路。今からでもやるべき対応
軽減税率が始まって混乱しているのは、消費者だけではありません。お店や事業を行う個人事業者と法人は、さらに面倒な手続きに悩まされています。 レジを軽減税率対応のものに変更し、キャッシュレス還元事業の登録をするだけでなく、新しく導入された「区分…
詳しくみる