- 作成日 : 2026年4月15日
マイカー通勤の非課税限度額はどう変わる?令和8年度税制改正のポイントと計算方法を解説
マイカー通勤の非課税限度額は、片道距離で決まる通勤手当の非課税上限額です。
- 片道距離で月額判定
- 超過分は給与課税
- 令和8年度税制改正で65km以上は拡充される
支給額が上限未満の場合は、その支給額のみが非課税になります。
マイカー通勤の非課税限度額は、「通勤手当はどこまで税金がかからないのか」という疑問につながるテーマです。片道距離によって上限が決まり、超えた分は課税対象になります。
令和8年度税制改正では、65km以上の遠距離通勤者に向けた区分拡充や、駐車場代の加算措置が示されました。
本記事では、現行制度の仕組みから改正内容、自分のケースでの計算方法を解説します。
目次
マイカー通勤の非課税限度額とは?
マイカー通勤における非課税限度額の意味や、距離・併用時の考え方は、給与計算や税務処理の前提となる基礎知識です。ここでは、車通勤手当の非課税枠とは何かという疑問に対し、範囲や判定方法、公共交通機関との併用時の扱いを整理します。
マイカー通勤の非課税限度額は「通勤手当のうち所得税がかからない上限額」
マイカー通勤の非課税限度額とは、通勤手当のうち所得税が課されない上限額を指します。
通勤手当は本来給与に該当しますが、通勤に通常必要と認められる範囲については非課税とされています。車通勤の場合は片道の通勤距離に応じて月額の上限が区分され、その枠内であれば課税されません。上限を超えて支給された部分は、給与に加算されて源泉徴収の対象となります。そのため、通勤手当が常に全額非課税になるわけではなく、支給額と距離区分の対応関係を確認する必要があります。
非課税となるのは限度額までで、超過分は給与として課税される
非課税で扱われるのは距離区分に応じた限度額までであり、超えた部分は給与として課税されます。非課税枠を上回る金額は経済的利益とみなされ、支給月の給与に上乗せして所得税および復興特別所得税の源泉徴収が行われます。高額な車通勤手当を設定している場合や、複数の通勤関連手当を合算した結果として上限を超える場合には、その超過分が課税給与に含まれます。
支給設計の段階で非課税枠内に収まっているかを確認することが、税務処理の安定につながります。
通勤距離は「通勤経路に沿った片道距離」で判定する
マイカー通勤の非課税限度額は、通勤経路に沿った片道距離で判定します。判定に用いる距離は地図上の直線距離ではなく、合理的な通勤ルートに基づく実際の経路距離です。距離区分ごとに月額上限が定められているため、経路の設定次第で適用される非課税枠も変わります。社内規程や通勤届で申請された経路と、給与計算で使用する距離区分を一致させておくことで、課税・非課税の判断にズレが生じにくくなります。
公共交通機関と併用する場合は合算し、上限は月15万円
電車やバスとマイカーを併用する場合は、それぞれの金額を合算して判定し、非課税の上限は月15万円です。「自宅から駅まで車、その後電車で通勤」というケースでは、公共交通の定期券相当額と車通勤の距離区分額を合計します。その合計額が月15万円を超えると、超過分が課税対象となります。公共交通のみの場合も、最も経済的かつ合理的な経路で算定した額が原則となり、同じく月15万円が非課税の上限です。
併用であっても基本的な考え方は共通しており、通勤方法ごとの金額を整理したうえで合算して判断します。
現行(令和7年11月改正後)のマイカー通勤手当の非課税限度額は?
現行制度におけるマイカー通勤手当の非課税上限と、その判定方法を整理します。ここでは令和7年11月改正後の取扱いを前提に、距離区分ごとの金額と、改正の経緯や適用時期の考え方までを確認します。
現行の非課税限度額は片道距離に応じて月額4,200円〜38,700円
現行(令和7年11月改正後)のマイカー通勤手当は、片道距離に応じて月額4,200円から38,700円までの範囲で非課税限度額が定められています。判定は「片道の通勤距離」を基準に行い、該当する距離区分の月額上限までが非課税となります。距離は通勤経路に沿った長さで判断され、支給額がその区分の上限を超えた場合は、超過分が給与として課税対象になります。
55km以上は月38,700円が上限で、どれだけ遠距離でも同額という設計が現行の形です。
| 片道の通勤距離 | 1か月当たりの非課税限度額(現行) |
|---|---|
| 2km未満 | 全額課税(一部例外あり) |
| 2km以上10km未満 | 4,200円 |
| 10km以上15km未満 | 7,300円 |
| 15km以上25km未満 | 13,500円 |
| 25km以上35km未満 | 19,700円 |
| 35km以上45km未満 | 25,900円 |
| 45km以上55km未満 | 32,300円 |
| 55km以上 | 38,700円 |
参考:No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当|国税庁
令和7年11月の改正で非課税限度額が引き上げられた
令和7年11月の所得税法施行令改正により、マイカー等の通勤手当の非課税限度額が引き上げられました。
この改正は政令公布を経て実施され、令和7年4月1日以後に「支払われるべき」通勤手当から新しい上限が適用されています。公共交通機関を利用する場合の上限(月15万円)は据え置きとされ、主に交通用具使用者の距離区分、とりわけ10km以上の区分を中心に引き上げが行われました。これにより、従来は課税対象となっていた一部の通勤手当が、改正後は非課税枠内に収まるケースが生じています。
適用判定は「支払われるべき日」で判断する
改正の適用は「いつの通勤分か」ではなく、「いつ支払われるべきか」で判定します。改正後の非課税限度額は、令和7年4月1日以降に支給される通勤手当に適用されます。一方で、3月31日以前に支払済みのものや、3月31日以前に支払われるべきとされていたものについては、実際の支払日が4月以後であっても改正後の上限は適用されません。
そのため、給与規程における締日や支給日の設計が税務上の取扱いに直結します。遡及適用が行われる場合には、源泉徴収税額の再計算や年末調整での精算が必要となる場面もあり、実務では支給基準日を軸に整理することが求められます。
令和8年度税制改正によるマイカー通勤の非課税限度額の変更点は?
令和8年度税制改正の大綱では、マイカー通勤に係る非課税限度額の見直しが示されています。
① 片道65km以上を中心に非課税限度額が段階的に拡充される
令和8年度税制改正の大綱では、「片道65km以上」の遠距離通勤者を中心に非課税限度額が段階的に拡充される案が示されています。現行制度では55km以上が一律38,700円ですが、改正案では65km以上を複数の距離区分に分け、それぞれ上限額を引き上げる設計です。
65km以上の人ほど非課税枠が大きくなり、95km以上では月66,400円までが上限となる設計です。
| 片道の通勤距離(改正案) | 1か月当たりの非課税限度額(改正案) |
|---|---|
| 55km以上65km未満 | 38,700円 |
| 65km以上75km未満 | 45,700円 |
| 75km以上85km未満 | 52,700円 |
| 85km以上95km未満 | 59,600円 |
| 95km以上 | 66,400円 |
② 一定要件を満たす場合は駐車場代を月5,000円まで加算できる
改正案では、一定の要件を満たす駐車場等を利用し、その料金負担が常態化している場合、距離区分の非課税限度額に「駐車場等の料金相当額(上限5,000円)」を加算できる仕組みが示されています。
つまり、距離区分に基づく非課税枠に加え、実際に負担している駐車場代のうち最大5,000円までを上乗せした金額が、新たな非課税限度額となる構造です。
現行の国税庁の距離区分表では、非課税上限は通勤距離ベースでのみ示されており、駐車場料金を別枠で加算する制度は設けられていません。そのため、駐車場代の加算は令和8年度改正案における新たな特徴です。ただし、大綱では「一定の要件」とされているため、具体的な要件や確認方法、必要となる証憑の範囲などは、今後の法令整備や国税庁の追加資料で明確化される見込みです。
正式な適用開始時期は成立法令で確定する
適用開始時期は、成立する改正法令および施行規定、国税庁の案内によって最終的に確定します。大綱の当該項目自体には具体的な適用開始日の注記が付されていないため、改正法令ベースでの確認が前提となります。
一方で背景として、人事院の通勤手当見直しでは、65km以上の区分新設や駐車場等に係る通勤手当の枠組みが示され、施行日を令和8年4月1日とする整理がなされています。また、民間向けの税務解説でも、「令和8年4月1日以後に受けるべき通勤手当」から改正内容を適用するという整理例が見られます。最終的には、法令と行政解釈を確認したうえで適用時期を判断する流れになります。
改正後の非課税限度額を自分のケースで計算するには?
改正後の非課税限度額を自分のケースに当てはめるには、「片道の通勤距離」と「通勤方法(車のみか、公共交通と併用か)」を起点に整理します。そのうえで、改正案の新区分と、該当する場合は駐車場加算を当てはめていきます。
自分の上限額は片道距離と通勤方法を順に当てはめて求める
非課税限度額は、通勤距離を確定し、該当する距離区分を選ぶことで求めます。まず、会社に申請している通勤経路に沿って片道の通勤距離を確定します。車など交通用具のみで通勤している場合は、その距離区分に対応する月額上限を確認します。電車やバスと併用している場合は、公共交通の定期券等の金額と距離区分額を合算し、月15万円を上限として判定します。
さらに、改正案の駐車場加算に該当する場合は、距離区分の上限額に駐車場料金相当額(上限5,000円)を加えた金額が非課税限度額になります。
支給額が限度額より少ない場合は支給額の範囲内だけが非課税となる
非課税限度額は「非課税にできる上限」であり、必ずしもその金額が非課税になるわけではありません。たとえば、55km以上65km未満の区分で非課税限度額が38,700円であっても、実際の支給額が月1万円であれば、非課税となるのはその1万円のみです。支給額が限度額より少ない場合は、支給額の範囲内だけが非課税となります。
逆に、支給額が限度額を超える場合には、限度額までが非課税となり、超過分が給与として課税対象になります。したがって、実際に非課税となる金額は「支給額」と「非課税限度額」を比較して、いずれか少ない方になるという仕組みです。
駐車場代がある場合は距離区分額に最大5,000円を加算する
駐車場代がある場合の非課税限度額は、「距離区分の限度額+駐車場料金相当額(上限5,000円)」で計算します。一定の要件を満たす駐車場等を利用し、その料金を継続的に負担している場合に限り、最大5,000円までを加算できます。ただし、ここでも非課税となるのはあくまで実際の支給額の範囲内です。上限が拡大しても、支給額がそれを下回っていれば、その支給額のみが非課税となります。
自分の通勤距離と支給額を確認し、改正後の非課税限度額をチェックしよう
まずは、会社に申請している通勤経路に沿った片道距離と、実際の通勤手当の支給額を確認しましょう。そのうえで、該当する距離区分の非課税限度額と照らし合わせ、支給額が上限内に収まっているかをチェックします。令和8年度税制改正では、65km以上の新区分や駐車場代の加算が示されていますので、自分が該当するかどうかもあわせて整理してみましょう。最新の法令や会社の給与規程を確認し、課税・非課税の扱いがどのように変わるのかを具体的に把握することが、無駄な税負担や計算ミスを防ぐ第一歩になります。
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