- 更新日 : 2026年4月22日
金利調整差額とは?認められない場合もわかりやすく解説
会計処理上、企業の所有する有価証券は4つに区分されます。4つの区分のうち、金利調整差額が関係してくるのは、満期までの保有を目的に所有する債券とその他有価証券に区分される債券です。この記事では、金利調整差額とはどのようなものか、金利調整差額と認められる場合と認められない場合、金利調整差額があるときの仕訳まで解説していきます。
金利調整差額とは
企業の保有する有価証券は、会計処理上、売買目的有価証券、満期保有目的の債券、関係会社株式(子会社株式及び関連会社株式)、その他有価証券の4つに区分します。このうち、金利調整差額に関連するのが、満期保有目的の債券とその他有価証券に区分される債券です。
満期保有目的の債券とは、償還日(満期日のようなもので額面が払い戻される期限のこと)の定めがある額面金額の償還が予定されている債券のうち、企業が満期まで保有する目的で所有する社債などの債券をいいます。その他有価証券に区分される債券とは、いずれの区分にも属さない債券のことです。
満期保有目的の債券または、その他有価証券の債券に該当する場合、取得原価、あるいは償却原価法による価額によって毎期末評価することになります。このうち、償却原価法が適用されるのは、金利調整差額が認められる場合です。
金利調整差額とは、債券の額面より低い価額、あるいは額面より高い価額で取得した債券の、額面と実際の取得額との差額で、かつその差額が金利の調整と認められるものを指します。
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金利調整差額が認められるケース
額面と取得価額の差額が金利の調整となるときに、金利調整差額が認められると説明しました。ここでいう金利の調整とは、具体的には以下のようなケースをいいます。
- クーポン利子率を市場利子率よりも低くする代わりに、額面金額より低い価額で売り出す債券
- クーポン利子率を市場利子率よりも高くする代わりに、額面金額より高い金額で売り出す債券
クーポン利子率(表面利子率)とは額面金額に対する利息の割合、市場利子率とは債券発行時の一般的な利子率のことです。
債券を売り出すとき、何かしらのメリットがなければなかなか購入までこぎつけられません。例えば、1つ目のケースでは、売り出し金額を額面金額よりも低くすることで額面との差額分が取得者の利益になるメリットを作り出し、債券を買ってもらいやすいようにしています。しかし、ただ額面金額より低く売り出すだけでは、発行元としては利息分の支払いもあり、負担が重くなってしまいます。額面より低く売り出す代わりに、通常より利息を低く設定することで市場との調整を図ろうとすることが、金利の調整です。
金利調整差額が認められないケース
金利調整差額が認められないケースは、取得額と額面金額の差額が、発行元の信用リスクを反映している場合です。ハイ・イールド債(ジャンク債)がこれに該当します。
ハイ・イールド債とは、専門の格付け会社による国や企業の債券の信用格付けのうち、等級がBB以下に該当する債券です。格付けは、AAAをトップに、AA、A、BBB、BB、B、CCC、CC、C、D、に分類されます。Dは債務不履行の債券で、BB以下は信用リスクの高い債券として、投機的格付けが行われています。
信用リスクの高いハイ・イールド債については、市場利子率よりも高い利子率になるのが一般的です。理由は、信用リスクが高いほど買い手が付かなくなるため。利子率を市場よりも上げることによって、少しでも買い手が付くようにしています。
ハイ・イールド債における差額は、信用リスクを反映したものであるため、金利調整差額と認められないことも多いです。金利調整差額が含まれていると認められるときは、信用リスクと金利調整差額分を区分して計算します。
満期保有目的の債券に区分される有価証券については、額面金額での償還が予定されていること(=信用リスクに特段の問題がないこと)が要件にありますので、取得価額と額面金額の差額のほとんどは、金利調整差額と考えて問題ないでしょう。
金利調整差額を用いた仕訳
保有する債券の額面金額と取得価額の差額が金利調整差額と認められるときは、償却原価法を用いて仕訳を行います。償却原価法とは、調整部分の差額を有価証券利息として処理し、償却分を債券の取得価額に加減する会計処理方法です。満期保有目的の債券では、償還日に向けて、利払い日の都度、少しずつ差額を加減し、額面金額に近づけていきます。
償却原価法には、利息法と定額法がありますが、原則的に適用されるのは利息法です。以下、利息法での満期保有目的の債券の金利調整差額の仕訳を取り上げます。
【金利調整差額のある満期保有目的の債券を取得したとき】
(例1)期首(X1年4月1日)に額面金額100万円の社債を93万円で取得した。なお、取得した債券の償還日は5年後(X6年3月31日)で、利払い日は毎年3月31日、クーポン利子率1%、実行利子率2.5%の満期保有目的の債券である。額面と取得価額との差額は、金利調整差額であった。
取得時には、取得価額を有価証券の価額として仕訳を行います。
【利払い日が到来したとき】
(例2)上記例1の債券について、1回目の利払い日が到来し利息を受け取った。
現金預金:100万円×1%
有価証券利息:93万円×2.5%
投資有価証券:貸借差額
償却原価法のうち、利息法では、期首の債券の価額×実行利子率を「有価証券利息」、利払い日に受け取った利息額(額面金額×クーポン利子率)と有価証券利息との差額を投資有価証券の額面金額に算入します。
利息法による償還までの流れ、利息法によらないときの仕訳についての詳細は、以下の記事をご覧ください。
保有する債券の金利調整差額について理解を深めよう
債券によっては、取得価額が額面より低い代わりに利息分で市場との調整が図られているなど金利調整差額に該当するものがあります。金利調整差額のある債券を取得したときは、取得原価ではなく、償却原価法による会計処理が必要です。まずは、債券の額面と取得価額の差額が金利調整差額として認められるのか、今回説明した認められる場合と、認められない場合のケースをよく確認しておきましょう。
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よくある質問
金利調整差額とは?
満期保有目的の債券において、額面と実際の取得額との差額で、その差額が金利の調整と認められるものを金利調整差額といいます。詳しくはこちらをご覧ください。
金利調整差額が認められないケースとは?
ハイ・イールド債のように、債券の額面金額と取得価額の差額が信用リスクを反映したものである場合は金利調整差額として認められません。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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