- 更新日 : 2026年2月24日
新リース会計基準はいつから?日本での適用時期と中小企業への影響を解説
新リース会計基準の強制適用は、2027年4月1日以後に開始する事業年度からです。
- 上場企業・大会社が対象で中小は原則対象外
- オフィス家賃など全リースの資産計上が必須
- 300万円以下の少額契約等は計上不要の規定あり
準備が整っている企業は、2025年4月1日以後の事業年度から適用可能です。
新たな「リースに関する会計基準(企業会計基準第34号)」は、2027年4月1日以後に開始する事業年度から強制適用となります。これまでのルールと異なり、原則としてすべてのリース契約を貸借対照表に計上(オンバランス)する必要があるため、企業の自己資本比率などに変化が生じます。
2024年9月に公表された本基準は、国際的な会計基準との整合性を図るための改正です。適用対象となる上場企業や大会社が始めるべき準備について解説します。
目次
新リース会計基準は日本でいつから適用される?

強制適用となるのは、2027年4月1日以後に開始する連結会計年度および事業年度からです。 ただし、準備が整っている企業については、2025年4月1日以後の事業年度から早期適用することも認められています。
強制適用と早期適用のスケジュール
2024年9月の公表を受け、適用時期は以下の通り設定されました。多くの3月決算企業においては、2027年4月1日から始まる年度が強制適用の対象となります。
- 早期適用: 2025年4月1日以後に開始する連結会計年度・事業年度から可能
- 強制適用: 2027年4月1日以後に開始する連結会計年度・事業年度から必須
新リース会計基準を適用予定となる多くの企業にとって、2025年度と2026年度は新基準適用のための準備期間となります。
参考:企業会計基準第34号リースに関する会計基準(第58項参照)|企業会計基準委員会
強制適用までの経過措置と基準の名称
早期適用により2027年4月以降の強制適用までは、従来基準と新基準の両方が混在する期間となります。それぞれの基準の正式名称は次のとおりです。
| 現行リース基準 | 新リース基準 | |
|---|---|---|
| 会計基準 | 企業会計基準第13号 「リース取引に関する会計基準」 | 企業会計基準第34号 「リースに関する会計基準」 |
| 適用指針 | 企業会計基準適用指針第16号 「リース取引に関する会計基準の適用指針」 | 企業会計基準適用指針第33号 「リースに関する会計基準の適用指針」 |
以下のサイトでは現行基準及び新基準の両方を参照できます。
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新リース会計基準が適用対象となる企業は?
新リース会計基準の主な対象は、上場企業および会社法上の大会社です。すべての企業に一律に適用されるわけではありません。
上場企業および大会社等の適用範囲
新基準の適用対象企業は、主として金融商品取引法の適用を受ける上場会社、および会社法上の大会社(資本金5億円以上または負債200億円以上)です。
これらの企業は、財務諸表を作成する際に新基準に従う義務があります。
中小企業・個人事業主に関係はあるか
一般的な中小企業や個人事業主、フリーランスには、直接的な適用の義務はありません。
多くの中小企業が依拠している「中小企業の会計に関する指針」等では、現在も賃貸借処理(オフバランス)が認められているため、直ちに会計処理を変更する必要はありません。
ただし、以下のケースでは対応が必要です。
- 上場企業の連結子会社である場合(親会社の連結決算対応)
- 将来的にIPO(株式公開)を目指している場合
そもそも新リース会計基準とは?旧基準との変更点
新リース会計基準の最大の特徴は、国際的な会計基準と同様に、借り手のすべてのリースについてオンバランス(資産・負債計上)で処理する点です。
これまで認められていた「賃貸借処理(オフバランス)」が原則廃止されます。
リース取引には貸し手と借り手があります。新基準では貸し手の処理にも一部変更があるものの、借り手において大きく考え方が変わったため、借り手の処理を中心に解説します。
オペレーティングリース区分の廃止とオンバランス処理
新リース会計基準と現行基準の大きく異なる点は、現行基準にある「ファイナンスリース」「オペレーティングリース」という分類がなくなったことです。リースについては原則としてすべてのリース取引についてオンバランス処理します。
なお、オンバランスとは、財務状況を正しく反映するため、バランスシート(貸借対照表)に資産や負債を計上することを言います。
| 現行リース基準 | 新リース基準 | |
|---|---|---|
売買取引に準じた会計処理 (オンバランス) | ➡ | すべてのリースについて資産と負債を計上する会計処理 (すべてオンバランス) |
賃貸借取引に準じた会計処理 (オフバランス) |
* ファイナンスリースとは、リース契約期間中に解約できず、契約中における資産価格やコストのほぼ全額を借り手が負担するリース取引を言います。
**オペレーティングリースとは、原則としてファイナンスリース以外のリース取引を言います。
これまでオペレーティングリースとして処理していた不動産賃貸借契約なども、今後は貸借対照表(バランスシート)に載ることになります。経済的効果に大きな違いがなくても、契約形態によって財務諸表が違って見える状況が解消されます。
なお、新リース会計基準におけるオンバランスの例外として、次の規定等があります。
- 短期リース:リース期間が12カ月以内のものはオフバランスが認められる。
- 少額リース:300万円以下の少額なリースはオフバランスが認められる。
勘定科目が変更される
また、新リース会計基準の適用により、これまで費用として処理していた勘定科目の考え方も変わります。現行基準では、リース料の支払い時に「支払リース料」「賃借料」「地代家賃」などの勘定科目で一括して費用計上するのが一般的でした。
一方、新リース会計基準では、契約開始時に使用権資産とリース負債を計上します。その後の会計処理では、使用権資産は減価償却費として費用化され、リース負債については元本返済部分が負債の減少として処理されます。また、リース負債に対応する利息相当額は支払利息として計上されます。
この結果、従来は「支払リース料」「賃借料」「地代家賃」として処理していた費用が、新基準では主に「減価償却費」と「支払利息」に分かれて計上される点が、勘定科目上の大きな変更点となります。
財務報告における表示と開示
新リース会計基準では、現オペレーティングリースの取り扱いが変更されることに伴い、営業損益への影響が生じます。同じリース物件を使い続けているにもかかわらず、貸借対照表だけでなく損益計算書にも影響があるわけです。
新たにリースに係る資産や負債が計上されると貸借対照表全体が大きくなり、財務指標(例えば自己資本比率や総資産利益率など)への大きな影響も考えられます。企業のステークホルダーには、これらの影響について、会計方針の開示だけでなく、数字を示して説明することが必要です。
そのために、財務報告における開示と注記の要件も変更され、具体的には次の項目を財務諸表で表示しなければなりません。
- (貸借対照表項目)使用権資産、リース負債
- (損益計算書項目)利息費用
貸借対照表への表示科目は、上記のとおり「リース資産」から「使用権資産」、「リース債務」から「リース負債」となります。なお、表示については「使用権資産」とせず、原資産の表示科目に含めて表示し、注記により「使用権資産」を明示する方法もあります。
リースの定義と識別方法の見直し
新基準では、契約書に「リース」と書かれているかどうかではなく、契約の実態に基づいて判断されます。
新リース会計基準において、リースの定義は次のように定義されます。
原資産を使用する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する契約又は契約の一部分
契約の一部分とは、その契約に「リース」となる要素が含まれていると、その部分については、新リース会計基準が適用されることを意味します。つまり、契約書に記載するような形式的なものではなく、実態から「リース」を判断することになります。
また、その取引がリースかどうかの識別の判断として、次のように定められています。
契約が特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する場合、当該契約はリースを含む
よって、その契約がリースであるかどうかの判断については、次の点についての検討が必要です。
- 契約締結時に資産が特定されているか
- 資産から生じる経済的利益のほとんどすべてを借り手が有しているか
- 借り手が資産の使用を指図する権利を有しているか
契約内容が上記に該当すれば、契約書に「リース」と明示がなくても「リースが含まれる」と判断されることとなります。すなわち、上記の判断基準に該当すれば、契約書に「リース」や「賃貸借」の記載がなくても、リースとしての会計処理が必要です。
店舗、事務所、駐車場をはじめ工場の工作機械や倉庫、トラックなど新たにリース取引に該当する物件は多くあると考えられます。
参考:企業会計基準適用指針第33号 リースに関する会計基準の適用指針(第5項)|企業会計基準委員会
新リース会計基準に対応するためにやるべきこと
新リース会計基準の適用対象企業は、主として上場会社及び会社法上の大会社*です。2027年の強制適用に向けて必要な準備を具体的なステップで解説します。
*資本金5億円以上または負債200億円以上
STEP1:影響の大きいものから計画的に準備
新リース会計基準の適用は、財務諸表(特に貸借対照表)へのインパクトが大きいため、十分な準備期間を設けて対応を進めることが重要です。
オペレーティングリース取引として処理していたものが多いほど、また、新基準でリースの対象とされる不動産賃貸借契約等の契約が多いほど、貸借対照表への影響が大きいと言えます。(総資産や総負債の金額が増大します。)
2027年4月1日以降の強制適用までの期間において、企業が実施すべき作業は多岐にわたります。影響の大きなもの、作業に時間を要するものの重みづけを行い、優先度順に片づけていきましょう。
STEP2:現状の契約洗い出しとリースの識別
まず行うべきは、自社にどのような契約が存在するか把握します。
- 契約の網羅的な収集
経理部門だけでなく、総務、IT、製造現場など、各部門で管理している契約書を集約します。「リース契約書」だけでなく、「賃貸借契約書」「レンタル契約書」「サービス利用契約書」も確認対象です。 - 新基準におけるリースの判定
集めた契約の中から、新基準で「リース」に該当するものを特定します。特に注意すべきは、これまで「費用」として処理していた以下の項目です。
不動産賃貸借: 本社オフィス、支店、店舗、社宅の家賃など
動産レンタル: 車両、PC、サーバー、工作機械のレンタルなど - 免除規定(300万円以下等)の適用判断
事務負担を減らすため、「1件あたり300万円以下の少額リース」や「期間12ヶ月以内の短期リース」を抽出します。これらはオンバランスの対象から外す(引き続き費用処理する)ことが可能です。
STEP3:財務諸表への影響試算と経営層への報告
洗い出したリース契約をもとに、オンバランスした場合の数値をシミュレーションします。
この結果をもとに、経営層や銀行等のステークホルダーへ早期に説明を行い、理解を得ておくことが大切です。
STEP4:システム対応と業務フローの構築
最後に、会計ソフトが対応しているか確認しシステムの回収や導入、開示情報の準備を整えます。
- システム対応:
既存の固定資産管理システムや会計ソフトが、新基準(使用権資産の管理、利息費用の計算など)に対応しているか確認します。対応していない場合、システムの改修やリプレイス、あるいは専用ツールの導入を検討する必要があります。 - 開示情報の準備:
新基準では、注記情報の開示量が大幅に増えます。「会計方針に関する情報」「リース特有の取引に関する情報」など、必要なデータをシステムからスムーズに出力できるよう準備を整えます。
新リース会計基準が改正される背景は?
日本のリース会計基準の変遷と、今回の改正に至った背景を振り返ります。
1. 1993年:初めての制度化
日本のリース会計基準は1993年に初めて制度化され、「リース取引の会計処理及び開示に関する実務指針」が公表されました。ここでファイナンスリースとオペレーティングリースの分類が導入されました。
2. 2007年:企業会計基準第13号の公表
国際的な基準と整合するため、2007年3月に改正が行われました。しかし、オペレーティングリースについては依然としてオフバランス処理が認められていました。
3. 2016年:IFRSや米会計基準の新基準公表
2016年、国際会計基準(IFRS16)および米国会計基準(Topic842)において、「借り手のすべてのリースについて資産及び負債を計上する」という新基準が公表されました。これにより、日本基準との間に「負債の認識」に関する大きな差異が生じることとなりました。
4. 2024年:新基準の公表と2027年の強制適用へ
国際的な比較可能性を損なわないため、日本でも見直しが進められました。2019年から開発が始まり、2024年9月に新基準が公表されました。方針として「借り手の取り扱いはIFRS16と整合性を図る」こととされています。
新リース会計基準の適用時期に向けた対応状況と実務への影響
2027年からの強制適用に向けて、上場企業やその対象となる中小企業は準備を進める必要がありますが、実務への影響や負担も懸念されます。株式会社マネーフォワードは、企業のバックオフィス担当者を対象に新リース会計基準に関する調査を実施しました。
適用に向けた対応の進捗と契約整理の課題
現在対応を進めている企業等に対応完了時期を質問したところ、特に多かったのは「2026年上半期中」で、63.0%でした。強制適用や早期適用を見据え、対象となる多くの企業が前倒しで準備を進めていることがわかります。
一方で、新リース会計基準への対応に負担を感じている割合は合わせて約8割に上ります。その中で負担を感じる業務として多数を占めたのは、リース契約の洗い出し・分類・整理でした。対象企業は原則すべての契約をオンバランス化する必要があるため、現状の契約を特定・識別する作業が実務における大きな課題があります。また、今後のリース負債の計算や残高管理に向けて、新たにシステムを入れ替えすると回答した割合は約4割でした。スムーズな対応には、早期から紙や手作業に頼った管理を脱し、契約状況の把握とシステムの活用を進めることが重要です。
出典:マネーフォワード クラウド、新リース会計基準の対応完了時期や対応負担【新リース会計基準に関する調査】(回答者:現在の勤務先で「経理部門」「情報システム部門」「総務部門」「法務部門」「経営企画部門」のいずれかに所属する方(個人事業主を除く)660名、集計期間:2025年3月11日(火)~3月17日(月))
新リース会計基準は2027年4月1日から適用される
新リース会計基準は、2027年4月1日から強制適用されます。
- 上場企業等は、原則すべてのリース(不動産賃貸含む)をオンバランス計上する。
- 「資産の特定」や「指図権」など、実態に基づいてリースを識別する。
- 300万円以下の少額資産や短期契約には免除規定がある。
- 財務指標(自己資本比率など)への影響を事前にシミュレーションすることが重要。
対象企業の担当者は、まずは自社の契約状況を棚卸しし、どの程度のインパクトがあるかを把握することから始めましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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