- 作成日 : 2025年3月27日
電気工事士の一人親方の日当や年収はいくら?相場や稼げる働き方を解説
電気工事士として一人親方を目指すなら、日当や年収の相場を知り、収入を安定させる方法を理解することが大切です。この記事では、一人親方としての平均日当や年収、働き方の違いによる収入の変動、資格や経費管理の重要性について詳しく解説します。
目次
電気工事士の一人親方の日当はいくら?
2023年の全建総連東京都連合会のデータによると、電気工事士が一人親方として働く場合の日当は平均で21,728円です。この日当で1か月に20日稼働した場合、月収は約43.5万円、年収に換算すると約521万円になります。ただし、この金額は総収入であり、ここから車両維持費、工具代、保険料などの必要経費が引かれます。
日当や年収は、地域や経験年数、資格の有無によっても変動します。都市部では案件が豊富で高単価の仕事も多く、日当が22,000円以上になることもありますが、地方では18,000円程度に抑えられることもあります。
また、第一種電気工事士は高圧電力工事や特殊案件にも対応できるため、単価が高くなる傾向がありますが、第二種電気工事士の場合は住宅や店舗の工事が中心となるため、日当は標準的な範囲に収まることが一般的です。
出典:全建総連東京都連合会 2023年(R5年)賃金調査報告書
電気工事士の仕事内容
電気工事士の仕事内容は、電気配線の設置や点検、修理、機器の取り付け、メンテナンスなど、建物や施設の電気設備に関わる工事全般になります。これには家庭用の電気設備から工場やオフィスの配電盤、高圧設備まで幅広い作業が含まれます。
電気工事士は電気工事士法に基づいて作業を行います。例えば、家庭のリフォームでコンセントや照明を増設する場合や、新築のビルで配線を整備する場合、電気工事士が必要になります。これらの作業は、法律で資格保有者に限定されているため、専門的な知識と技術が必要です。
電気工事士と他の職種の一人親方との日当の違い
一人親方の日当が最も高いのは防水(24,727円)と設備(24,633円)で、専門性の高い仕事が上位にランクインしています。これらの職種は、技術やスキルが求められるため、経験や能力が収入に反映されやすく、高単価になりやすい特徴があります。
また、電気工事士(電工)の一人親方の日当は21,728円で、平均よりやや高めの水準です。電工は高度な技術と安定した需要が背景にあり、案件によってさらに高収入を狙える職種と言えます。
【一人親方の職種別の1日あたり賃金(2023年)】
職種 | 日当(円) |
---|---|
大工 | 21,223 |
電工 | 21,728 |
内装 | 22,321 |
塗装 | 21,845 |
配管 | 22,730 |
設備 | 24,633 |
防水 | 24,727 |
左官 | 19,503 |
土木 | 20,562 |
解体 | 19,967 |
出典:全建総連東京都連合会 2023年(R5年)賃金調査報告書
【キャリア・働き方別】電気工事士の一人親方の日当の相場
電気工事士の一人親方としての収入は、キャリアや働き方によって大きく変わります。ここでは、資格の種類や働き方の違い、さらに他職種との比較も交えて、日当の相場や特徴を詳しく解説します。
第一種電気工事士
第一種電気工事士として働く場合、日当は高めに設定されることが多いです。理由は、高圧設備や大規模施設の工事にも対応できるため、専門性が求められる仕事が増えるからです。公共施設や商業施設の工事では、通常の相場よりも高い日当を得られる可能性がありますが、一般的には16,000円から20,000円程度の範囲内です。
この資格を持つと、個人住宅に限らず、工場やオフィスビルの配線工事、高圧設備の整備など幅広い現場に対応できます。
また、第一種電気工事士は取引先からの信頼も得やすく、単価交渉を有利に進められる点も特徴です。高い技術力を必要とする案件に参加する機会が増えるため、経験を積むほどさらに収入アップが期待できます。
第二種電気工事士
第二種電気工事士の場合、日当の相場は14,000円~16,000円程度が一般的です。この資格では、主に一般住宅や店舗の配線工事、リフォーム時の電気設備の設置が中心となります。専門性が高い第一種の仕事と比べると、対応できる案件の範囲が限られるため、日当も平均的な範囲に収まることが多いです。
ただし、需要の高い住宅設備や店舗工事に特化することで、安定した案件を受注することが可能です。また、短期間で複数の案件をこなすことで、月間の稼働率を上げる方法もあります。さらに、第一種資格を目指すことで、収入アップの可能性を広げるのも一つの道です。
働き方による日当の違い(常用と手間請け)
常用の電気工事士の場合
常用の電気工事士(電工)の平均日当は18,779円です。常用とは、元請け業者などに継続的に雇われる形態の働き方で、安定した仕事を確保しやすいのが特徴です。日当は18,000円~20,000円程度が多く、安定収入を重視したい人に向いている働き方といえます。
日当の水準を他の職種と比較すると、大工(18,375円)や内装(17,832円)よりも高めで、防水(19,034円)や設備(18,923円)とほぼ同程度の水準にあります。
手間請けの電気工事士の場合
手間請けの電気工事士の平均日当は18,762円です。手間請けとは案件ごとに仕事を受けるスタイルで、一般的には、日当が高くなる傾向があります。仕事量を自由に調整できる一方で、案件が途切れると収入が不安定になるリスクもあります。
日当は解体(20,000円)や塗装(20,867円)と同程度の水準です。
出典:全建総連東京都連合会 2023年(R5年)賃金調査報告書
電気工事士の一人親方として働くメリット
電気工事士が一人親方として働くことは、自由な働き方ができ、自分のスキルや経験を活かして収入を調整できるなど、多くの魅力があります。ここでは、具体的なメリットについて解説します。
人間関係のストレスを軽減できる
一人親方として働くことで、職場の人間関係に悩む必要が大幅に減ります。企業に勤めていると、上司や同僚との調整が避けられませんが、一人親方なら自分のペースで仕事を進められます。元請け業者やクライアントとのやり取りが中心になるため、余計なストレスから解放され、必要な仕事に集中できます。例えば、相性の悪い取引先があった場合でも、次の案件から別のクライアントを選べる自由があります。
単価の交渉ができる
一人親方として働くと、自分のスキルや経験に応じた単価交渉が可能です。企業勤めでは、給与体系が固定されているため、どれだけ努力をしても収入が急に増えることはありません。しかし、一人親方なら、自分のスキルをアピールしてより高単価の案件を受注できます。例えば、第一種電気工事士の資格を持つ場合、高圧設備や特殊案件に対応できるため、実績や経験によっては、日当を20,000円以上に設定することも可能です。このように、自分の価値を適切に価格へ反映させることができる点は大きな魅力です。
定年がないため長く働ける
一人親方としての仕事には定年がありません。企業勤めでは60歳や65歳で定年を迎えることが一般的ですが、一人親方は体力と意欲が続く限り働き続けることができます。さらに、長年の経験が信頼を生み、ベテランとして継続的に案件を依頼されることも多いです。例えば、70代になっても技術者として現場で活躍する人や、顧客のアドバイザー的な役割を果たす人もいます。
働く時間や案件を選べる
一人親方は、自分のライフスタイルに合わせて働き方を調整できる自由があります。繁忙期には案件を増やして収入を伸ばしたり、逆に家庭や健康を優先して仕事量を減らすことも可能です。例えば、平日は短時間しか働けない場合でも、週末に集中して案件をこなすことで収入を補うことができます。このように、働く時間や案件を選べる柔軟性は、一人親方ならではのメリットです。
電気工事士が一人親方として直面するデメリット
一人親方として働く電気工事士には多くの自由がありますが、同時に解決すべき課題も少なくありません。ここでは、具体的なデメリットについて解説します。
経費が自己負担になる
一人親方は、収入から必要経費をすべて自己負担する必要があります。例えば、車両の維持費、工具の購入費、作業着など、日々の仕事に必要なものはすべて自分で賄わなければなりません。また、保険料や労災保険なども考慮する必要があります。
例えば、日当が18,000円~20,000円程度であっても、車両維持費や工具代に月5万円かかる場合、実際の手取りは大きく減少します。このため、経費管理を徹底しなければ、思ったほどの収入が残らない可能性があります。
ガソリン代・駐車場代などの必要経費は請求できるケースが一般的ですが、念のため契約時に確認しておく必要があります。
帳簿付けや確定申告が求められる
一人親方として働く場合、経理業務も自分で行う必要があります。例えば、毎月の収支を記録する帳簿付けや、年に一度の確定申告は避けて通れません。青色申告を行う場合は、複式簿記の知識が必要となるため、初めての方にはハードルが高く感じられるかもしれません。
また、必要経費を正確に計上することで税負担を軽減できるため、領収書の保管や整理も欠かせません。この作業を怠ると、経費として認められず、結果として手取りが減少するリスクがあります。
収入が安定しない可能性
一人親方の収入は、案件の受注状況に大きく左右されます。案件が豊富な繁忙期には日当が高く、収入も安定しますが、逆に閑散期には収入が不安定になることもあります。特に、仕事を継続的に提供してくれる元請け業者やクライアントを確保できない場合、収入の波が激しくなる可能性があります。
例えば、月に20日稼働する計画だったとしても、案件不足で10日しか働けなかった場合、年収は予定より大幅に減少します。このため、収入が不安定になるリスクに備え、貯蓄や副業などを検討することが必要となります。
電気工事士が一人親方として失敗しないために
一人親方として働く電気工事士が成功するためには、スキルアップや信頼構築が不可欠です。ここでは失敗を避け、安定した収入を得るための具体的なポイントを解説します。
電気工事のスキル・経験を積む
スキルと経験は一人親方の信用を築く上で欠かせません。例えば、配線の取り回しや高圧設備の設置など、現場で実際に求められる技術を習得することで、クライアントからの評価が高まります。スキルが不足していると、単価交渉が難しくなるほか、仕事の質が原因で次の案件につながらないリスクもあります。初めのうちは元請け業者の下で働き、幅広い経験を積むのがおすすめです。
資格を取得して強みを持つ
第一種電気工事士や特殊電気工事資格の取得は、高単価案件を受けるための大きな武器になります。例えば、第一種の資格があれば、高圧電力工事や大規模施設の配線作業に対応でき、より高い日当を設定できる場合があります。また、資格は顧客に対する信頼性の証明にもなるため、収入の安定につながります。
固定客を獲得する
一人親方として安定収入を得るためには、定期的に仕事を依頼してくれる固定客を確保することが大切です。例えば、元請け業者やハウスメーカーとの信頼関係を築くことで、定期的な案件を得やすくなります。また、個人の施主から直接仕事を依頼されるようになると、中間マージンを削減でき、手取りを増やすことが可能です。
ケガや事故に備える
現場では常に安全を意識し、リスクを最小限に抑えることが求められます。一人親方の場合、労災保険や第三者賠償責任保険に加入することで、万が一の事故に備えることができます。また、安全装備や適切な作業手順を守ることで、ケガや事故を防ぐことが重要です。特に高所作業や電気設備の取り扱いには細心の注意を払いましょう。
人脈作りと営業を欠かさない
仕事を安定して受注するためには、人脈作りが欠かせません。同業者や取引先との関係を大切にし、信頼を積み重ねることで、紹介やリピート案件が増えます。また、SNSや求人サイトを活用して、自分のスキルや実績を発信することも効果的です。営業活動を怠ると仕事が途切れるリスクがあるため、定期的に自分のネットワークを広げていくことが必要です。
電気工事士の一人親方として日当を稼ぐには?
電気工事士が一人親方として安定して高い日当を稼ぐには、効率的な働き方や信頼構築が欠かせません。ここでは、日当を最大化するために役立つ具体的な方法を解説します。
経費を見直す
収入を増やすためには、まず経費をしっかり管理することが大切です。一人親方としての収入は総額から経費を差し引いた金額が手取りとなるため、車両維持費、工具代、保険料などを適切に管理することで、実際の利益を増やせます。
例えば、経費を削減するために、頻繁に使う工具をレンタルに切り替えたり、燃費の良い車両を使用するのも有効です。また、青色申告を活用すれば、特定の経費を控除として計上できるため、税負担を軽減できます。これにより、同じ日当でも実質的な手取りを増やすことが可能です。
単価交渉を行う
日当を上げるためには、案件ごとに単価交渉を行うことが必要です。特に、第一種電気工事士の資格を持っている場合、高圧設備や特殊案件に対応できることをアピールすることで、より高い日当を得ることができます。
例えば、一般的な住宅設備工事では日当が18,000円から20,000円前後になることが多いですが、高圧電力工事や商業施設の配線工事では20,000円以上が期待できます。また、過去の実績や信頼性を示すことで、取引先との交渉を有利に進めることができます。
実績と信頼を積み上げる
長期的に高い日当を得るためには、実績と信頼を積み上げることが欠かせません。元請け業者やクライアントからの信頼があれば、次回以降の案件を優先的に依頼される可能性が高まります。
例えば、過去の案件で迅速かつ高品質な作業を行い、クライアントからの評価を高めることで、リピート案件や紹介を得やすくなります。また、口コミや評判が広がれば、新しい案件を獲得する際の強力なアピール材料になります。
電気工事士の一人親方は実績と信頼が日当アップにつながる
電気工事士の一人親方として働く場合、日当や年収は経験、資格、地域、案件の種類によって大きく変動します。安定した収入を得るためには、経費の適切な管理と継続的な仕事の確保が不可欠です。
日当を高めるには、第一種電気工事士などの資格を取得し、高圧設備など専門性の高い仕事を受注することが有効です。また、経費の徹底管理や固定客の確保は、収入の安定化に大きく寄与します。長期的な視点では、実績を積み重ね、クライアントからの信頼を獲得することで、高単価案件へのチャンスを広げることができるでしょう。
このように、技術力の向上と信頼関係の構築が、一人親方としての成功と収入アップの鍵となるのです。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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