- 作成日 : 2025年5月1日
捨てコンクリートとは?捨てコンの役割や打ち方を解説
建築の基礎工事で使われる「捨てコンクリート」は、表には現れないものの、施工の品質や効率に大きな影響を与える重要な工程です。地盤面を平滑にし、正確な墨出しを可能にするこの捨てコンが、どのような役割を果たし、どのように打設されるのかを知ることで、より質の高い建築物の実現に近づきます。
捨てコンクリートとは
捨てコンクリートは、建築物の基礎工事において、地盤を平滑に整えるために最初に打設される薄いコンクリート層です。
その名称から一見不要なものと感じられるかもしれませんが、実際には後続の作業を円滑かつ正確に進めるための重要な役割を担っています。
具体的に捨てコンクリートの特徴や目的について見ていきましょう。
捨てコンクリートの目的と役割
捨てコンクリートの主な目的は、地盤面の凹凸を埋めて平滑な作業面を作り出すことです。これにより、後続の鉄筋や型枠の設置が容易になり、精度の高い施工が可能となります。
また、捨てコンクリートは墨出し(位置出し)作業を正確に行うための安定した基盤を提供します。地盤面が不均一な状態では、正確な寸法や位置を出すことが難しくなりますが、捨てコンクリートにより平滑な面を確保できるため、建物全体の品質向上につながります。
「捨てコンクリート」と呼ばれる理由
捨てコンクリートが「捨て」と名付けられているのは、最終的な構造物の一部とはならず、基礎の下部に留まるからです。しかし、「捨てる」ものではなく、重要な役割を果たす工程です。
この名称はあくまで工事工程上の位置づけを示すものであり、その役割の重要性を軽視しているわけではありません。実際、捨てコンクリートの有無によって、基礎工事全体の品質や耐久性に大きな差が生じることが専門家の間でも認識されています。
捨てコンクリートの厚さと材料
一般的に、捨てコンクリートの厚さは50mm程度とされています。この厚さは、十分な平滑性と強度を確保しつつ、無駄なコストを抑える観点から設定されています。
材料としては、通常のコンクリートよりも低強度のものが使用されることが多いです。これは、捨てコンクリートが構造的な負荷を受けないためであり、コスト効率を高めるための選択です。
捨てコンクリートの重要性
捨てコンクリートは、各種施工基準においても、その必要性が明記されています。適切な施工を行うことで、建物の安全性や耐久性を高めることができます。
特に大型建築物や高層建築物の場合、基礎の微小なズレが全体の構造に大きな影響を及ぼすため、捨てコンクリートの精度が非常に重要となります。
このように、捨てコンクリートは建築工事の基盤を支える重要な工程であり、その正確な理解と適切な施工が求められます。
捨てコンクリートの役割
捨てコンクリートは、建築物の基礎工事において重要な役割を担っています。その主な目的は、基礎の正確な位置決めや品質向上、作業環境の整備など、多岐にわたります。
基礎の正確な位置決めと安定
捨てコンクリートは、地盤の上に薄く敷くことで平坦な作業面を作り出します。これにより、基礎の位置を正確にマーキングすることが可能になり、施工誤差を減少させます。直接地盤に墨出しを行うと、地盤の凹凸や硬さの違いによって誤差が生じやすいため、捨てコンクリートがその問題を解消します。
基礎コンクリートの品質向上
捨てコンクリートは、地盤からの水分や不純物が基礎コンクリートに影響を与えるのを防ぎます。地面からの湿気や有機物が基礎コンクリートに混入すると、強度低下や劣化の原因となることがあります。捨てコンクリートがバリアの役割を果たすことで、基礎コンクリートの品質を高めます。
作業環境の改善と安全性の確保
施工現場では、安全で効率的な作業環境が求められます。捨てコンクリートを打設することで、足場が安定し、重機や人員の移動がスムーズになります。これにより、作業効率が向上し、転倒や事故のリスクを低減させます。
防水対策の下地形成
捨てコンクリートは、防水シートや防湿シートなどの防水対策を施す際の下地としても重要です。平滑な面を提供することで、防水材の施工が容易になり、建物内部への水の侵入を防ぐ効果があります。特に地下構造物では、防水性能が建物の寿命に大きく影響します。
施工コストの最適化
一見すると追加のコストがかかるように思われる捨てコンクリートですが、長期的には施工コストの最適化につながります。基礎工事の精度が向上し、手戻り作業や補修の必要性が減ることで、全体的なコスト削減が期待できます。実際に、国土交通省の統計では、基礎工事の不具合の約30%が初期施工時の問題に起因すると報告されています。
環境への配慮
捨てコンクリートは、建築現場から出る廃棄物の量を減らす効果もあります。安定した作業面を提供することで、材料の無駄遣いや土砂の崩壊を防ぎます。また、近年ではエコセメントを使用した捨てコンクリートも採用されており、環境負荷の低減にも寄与しています。
捨てコンクリートの打ち方
捨てコンクリートを適切に打設することで、後続の建設作業を円滑に進めることができます。ここでは、その具体的な手順について詳しく説明いたします。
1. 地盤の整地と準備
まず最初に、地盤の整地を行います。これは、コンクリートを均一な厚さで打設するために重要な工程です。地面の凸凹や異物を取り除き、平坦な状態に整えます。また、地盤の土質や水はけ状態を確認し、必要に応じて砂利や砕石を敷いて地盤を安定させます。
2. 型枠の設置
次に、捨てコンクリートを打設する範囲を明確にするために型枠を設置します。型枠は木材や金属製のものが一般的で、コンクリートの流出を防ぐ役割を果たします。型枠はしっかりと固定し、打設中に動かないように注意します。
3. コンクリートの準備
捨てコンクリートに使用するコンクリートを準備します。一般的には、セメント、砂、水を混ぜ合わせたシンプルな配合で十分です。水とセメントの比率は重量比でおよそ0.6〜0.7が目安です。過度な水量は強度低下の原因となるため、適切な配合を心がけます。
4. コンクリートの打設
準備したコンクリートを型枠内に流し込みます。この際、均一な厚さになるようにスコップやコテを使って広げます。捨てコンクリートの厚さは一般的に50mm程度とされています。厚さが均一でないと、後の作業でのズレや不陸の原因となるため、丁寧に作業を進めます。
5. 表面の仕上げ
コンクリートを打設したら、トンボやコテを使って表面を平滑に仕上げます。この工程は、後に設計墨を正確に出すために重要です。表面に余分な水分が浮いてきた場合は、軽く取り除きます。
6. 養生
最後に、コンクリートを適切に養生します。養生期間中は直射日光や乾燥、雨からコンクリートを保護します。一般的には1〜2日程度の養生期間を設けますが、気温や湿度によって調整が必要です。適切な養生を行うことで、コンクリートの品質を保ちます。
捨てコンクリートに適したコンクリートの配合
捨てコンクリートには、低強度で流動性の高いコンクリートが適しています。これにより、施工が容易になり、コストも抑えることができます。ここでは、捨てコンクリートにふさわしいコンクリートの配合について詳しく説明します。
捨てコンクリート用コンクリートの特徴
捨てコンクリート用のコンクリートは、強度が求められないため、配合が簡略化されています。その主な目的は、基礎工事のための清潔で平らな面を提供することです。
そのため、使用するセメントの量を減らし、コスト削減が可能です。また、流動性を高めることで、型枠を使用せずに簡単に施工できます。
適切な配合設計のポイント
配合設計では、セメント、水、細骨材(砂)、粗骨材(砂利)の割合が重要です。捨てコンクリートの場合、セメントの使用量を最小限に抑え、水量を調整して適度な流動性を確保します。
一般的には、スランプ値を高めに設定し、作業性を向上させます。これにより、施工時間の短縮や人件費の削減につながります。
一般的な配合例
以下に、捨てコンクリート用の一般的なコンクリート配合例を示します。
材料 | 配合割合(kg/m3) |
---|---|
セメント | 150 |
水 | 180 |
細骨材(砂) | 800 |
粗骨材(砂利) | 1000 |
この配合例では、セメント量を抑えつつ、十分な流動性を確保しています。水セメント比は約60%で、施工しやすいコンクリートとなります。
コスト削減を考慮した配合
捨てコンクリートでは、コスト削減が重要な課題です。そのため、安価な材料を用いて必要な性能を満たす配合が求められます。
例えば、細骨材や粗骨材にリサイクル材を利用することが可能です。また、セメントの一部をフライアッシュなどの混和材で置換することで、材料費を削減できます。
実際、セメントは材料費の約30%を占めるため、その使用量を減らすことはコスト削減に大きく寄与します。
捨てコンクリートを打った際の注意点
捨てコンクリートを打設する際には、いくつかの重要な注意点があります。これらを守ることで、施工の品質を高め、後工程でのトラブルを防ぐことができます。
適切な厚さを確保する
捨てコンクリートの厚さは一般的に50mmから100mm程度が適切です。厚さが不十分だと地盤面の凹凸を十分に平滑化できず、墨出しや型枠の設置に支障をきたす可能性があります。一方で、必要以上に厚くすると材料費や施工時間が増加し、コスト面での負担が大きくなります。
表面の平滑性に注意する
打設後のコンクリート表面はできるだけ平滑に仕上げることが重要です。表面が凸凹していると、後続の作業である墨出しや配筋作業に影響を及ぼし、施工精度が低下する恐れがあります。統計的にも、表面の平滑性を確保した現場では、施工ミスが約30%減少するというデータがあります。
適切な養生を行う
捨てコンクリートは構造物の一部ではありませんが、後工程の基盤となるため適切な養生が必要です。特に、気温が5℃以下になる冬期には凍結防止対策を行い、亀裂や強度低下を防ぐことが求められます。
使用する材料に注意する
捨てコンクリートには、再生骨材や低品位の材料を使用することがありますが、品質を確保するためには適切な材質のものを選ぶことが重要です。不適切な材料を使用すると、表面の強度不足や剥離の原因となります。
環境への配慮
余剰なコンクリートの廃棄や洗浄水の処理など、環境負荷を最小限に抑える取り組みも重要です。環境省のデータによれば、建設業から排出される産業廃棄物は全体の約20%を占めており、適切な処理が社会的責任となっています。
まとめ
捨てコンクリートは、建築物の基礎工事に欠かせない要素であり、地盤と基礎の間に安定した作業面を提供します。その結果、施工の精度が向上し、建物全体の品質にも大きく影響を与えます。また、施工現場の安全性を高める効果もあります。適切なコンクリートの配合や打設方法を遵守し、注意点をしっかり理解することで、信頼性の高い建築物を実現できます。品質の高い基礎工事を目指し、捨てコンクリートの重要性を再認識しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
バックオフィス業務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
一人親方の安い労災保険を選ぶポイント!費用や経費計上などをわかりやすく解説
一人親方の労災保険とは、一人親方(個人事業主)が自身の労働による事故や病気に備えて加入する保険のことを指します。一般的に一人親方が労災保険に加入するには、特別加入団体を通じて加入します。 この記事では、一人親方の労災保険について、労災保険の…
詳しくみる敷居際とはどの部分?意味から段差解消のリフォーム施工まで解説
「敷居際(しきいぎわ)」は、敷居のすぐそばやその周辺部分を指す言葉です。建具の動きや空間の区切りに関わるこのエリアは、施工やリフォームの精度が問われる繊細な場所でもあります。この記事では、敷居際の意味や役割、関連する部材、正しい施工・メンテ…
詳しくみる一人親方は登録電気工事業者になれる?要件や手続き、メリットデメリットを解説
一人親方が登録電気工事業者になるためには、資格や手続きが必要です。この記事では、電気工事業の登録種類や必要資格、申請書類の準備と提出先などが分かります。さらに、登録電気工事業者になることで得られるメリットやデメリットを紹介します。 登録電気…
詳しくみる一人親方も建退共に加入できる?条件や掛金、メリットを解説
建設業退職金共済制度(建退共)は、事業主が労働者のために退職金を積み立てる制度です。そのため、一人親方として直接加入することはできませんが、任意組合を設立するか、建退共対応の組合に加入することで制度を利用できます。 建退共に加入することで、…
詳しくみる一人親方の仕事のもらい方は?受注に向けた対策を解説
一人親方として安定した収入を得るためには、顧客の獲得が不可欠です。一人親方が仕事をもらうために知っておきたい営業活動やマッチングサイトの活用方法など、多岐にわたるアプローチの中から自身に適した方法に注力することが大切です。 この記事では、受…
詳しくみる足場の積算とは?計算方法や種類、費用相場を解説
建築現場において、作業員の安全を確保し、効率的な工事を遂行するために不可欠な足場。その設置には決して無視できない費用が発生し、工事全体のコストに大きな影響を与えます。しかし、「足場積算」と一言でいっても、その方法は多岐にわたり、使用する足場…
詳しくみる