- 作成日 : 2025年2月12日
建設リサイクル法の届出を忘れた場合どうなる?罰金や罰則、届出方法まとめ
建設リサイクル法は、建設工事に伴う廃棄物のリサイクルを促進するための法律です。この法律に基づき、一定の規模以上の工事では事前に自治体に届出を行うことが求められます。しかし、万が一届出を忘れてしまった場合、どのような影響があるのでしょうか。罰則の内容や届出の手続き、さらには届出内容の変更についても解説します。法令遵守の重要性を理解し、適切な手続きを行うことが求められています。
目次
建設リサイクル法とは?
建設リサイクル法は、建設工事から発生する廃棄物を再資源化し、環境への負担を軽減することを目的とした法律です。正式名称は「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」で、2000年に施行されました。この法律は、一定規模以上の建設工事を対象に、廃棄物の分別解体や再資源化を義務付けています。
再資源化が義務付けられている建設資材
建設リサイクル法では、コンクリート、コンクリートと鉄、アスファルト・コンクリート、建設発生した木材を特定建設資材廃棄物として指定し、それらを再利用するための届け出を行うことが義務付けられています。
建設リサイクル法の届け出を行う人
建設リサイクル法の届け出が必要になる人は「発注者」または「自主施工主」、つまり、依頼主にあたります。工事に着手する7日前までに都道府県知事への届出が義務付けられています。 届け出の手続きを工事を行う建設業者や解体業者に委任することも可能です。
建設リサイクル法の届出が必要な工事
建設リサイクル法では、以下に該当する工事を「特定建設工事」と呼び、届出の対象としています。この基準に当てはまる場合、工事の発注者または施工業者は届出を行わなければなりません。
- 床面積80㎡以上の建物や構造物の解体工事
- 床面積500㎡以上の新築や増築工事
- 請負代金1億円以上のリフォームや改修工事
- 請負代金500万円以上の建築物以外の解体・新築工事
また、対象となる工事の請負契約を締結する際には、分別や再資源化に必要な費用を契約書に記載することも義務付けられています。
建設リサイクル法の届出を忘れた場合どうなる?
うっかり届出を忘れてしまった場合、工事が始まってから法令違反が発覚すると、是正勧告や罰金が課されるリスクがあります。
届出は工事7日前までに自治体に提出
建設リサイクル法では、特定建設工事を行う際、発注者が工事開始の7日前までに自治体に届出を行う必要があります。工事の内容や規模によっては、資材の再利用計画が適切かどうか確認する必要があるため、遅れて届出を行うと、工事の進行に影響を及ぼすこともあります。確実にスケジュールを守り、スムーズに工事を進められるよう心がけましょう。
20万円以下の罰金が科される
建設リサイクル法の届出を忘れてしまった場合、届出を行わないことによる違反が認められた際には、20万円以下の罰金が科されることがあります。うっかり届出を忘れてしまうことは、思わぬ出費につながりかねません。もしも届出を忘れてしまった場合、すぐに自治体に連絡し事情を説明しましょう。
通達に応じない場合は是正勧告や罰則も
建設リサイクル法の届出を忘れた場合、自治体からの通達を受けて対応を求められることがありますが、それに応じない場合、是正勧告や罰則を受ける可能性があります。通達とは、自治体が法令違反を指摘し、必要な手続きを行うよう通知するものです。これに従わない場合、さらに厳しい措置が取られることがあります。
例えば、届出を行わずに工事を進めている場合、是正勧告を受けて、工事の一時停止や内容の修正を求められることがあります。この時点で適切に対応しないと、罰金が科されるだけでなく、行政処分を受けることもあり得ます。また、こうした対応が遅れることで、工期が延びたり、発注者や関係者との信頼関係が損なわれたりする可能性もあります。
建設リサイクル法の届出の流れ
建設リサイクル法の届出の流れは、工事の発注者または施工業者が適切な書類を準備し、工事の着工7日前までに地方自治体に提出することが基本となります。以下に手続きの流れや方法を解説します。
特定建設工事にあたるか確認する
発注者や施工業者は、該当する工事が特定建設工事にあたるかを確認します。該当する場合は、届出書や工事の内容を説明する資料を準備します。
必要な書類を用意する
建設リサイクル法の届け出に必要な書類をそろえます。以下のような書類が必要です。
- 届出書
- 分別解体等の計画表
- 工事の工程表
- 工事場所への案内図(地図など)
- 建築物全体が分かる写真
- 上記の書類の写し
- 委任状(委任する場合)
- 設計図(新築や増設、修繕の場合)
不明な点については、届出を提出する管轄の各都道府県に確認しましょう。
自治体に建設リサイクル法の届出を提出する
必要な書類がそろったら、工事開始の7日前までに自治体の担当窓口に提出します。担当者が内容を確認し、必要に応じて追加の説明を求める場合もあるため、余裕を持って準備を進めることが大切です。また、届出方法には、郵送や持参など複数の手段がありますので、事前に各自治体の指定する方法を確認しましょう。また、提出の際に受領書などの確認書類をもらうことも大切です。
事前届出の内容から変更があった場合
建設リサイクル法の届出を行った後に、工事の内容や計画に変更が生じた場合は、速やかに変更内容を自治体に届け出る必要があります。この手続きは、工事の適正な進行を保証し、分別解体や再資源化の計画を修正するために欠かせません。
例えば、工事の規模が当初の計画より大きくなった場合や、使用する建設資材に変更が生じた場合などが該当します。届出内容と実際の工事内容が一致していないと、違反と見なされることがあり、罰則の対象となる可能性があります。このようなトラブルを防ぐためにも、計画が変更された場合は、必ず変更届を提出しましょう。
建設リサイクル法の届出を忘れずに行いましょう
建設リサイクル法の届出は、リサイクルの推進や環境保護のために非常に重要です。届出を忘れると、罰金や是正勧告が科されるリスクがあるため、発注者には厳重な注意が求められます。工事のスムーズな進行を確保するためにも、届出の期限を守り、必要な書類を整えることが不可欠です。リサイクル活動を通じて持続可能な社会づくりに貢献するためにも、法律の遵守を徹底しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
バックオフィス業務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
工事写真台帳とは?写真の撮り方や順番、まとめ方の例を解説
工事写真台帳は、工事の進行状況や品質、安全対策を写真で記録し、発注者や関係者とのスムーズな情報共有やトラブル防止に役立ちます。保存期間は工事完成後5年間で、効率的な作成にはエクセルやテンプレート、専用アプリの活用がおすすめです。この記事では…
詳しくみる1級建築施工管理技士の実務経験証明書の書き方は?記入例と注意点を解説
1級建築施工管理技士は、建設プロジェクトにおいて施工計画から品質管理、安全管理まで多岐にわたる業務を統括する、非常に重要な国家資格です。この資格を取得することは、キャリアアップはもちろんのこと、建設業界における自身の市場価値を高める上で非常…
詳しくみる消印とは?収入印紙に正しく押す方法や印鑑選び、失敗時の訂正方法まで解説
消印とは、文書と収入印紙の模様(彩紋)とにかけて押すハンコのことを指します。収入印紙とは、契約書や領収書など一定の文書に貼付することで、国に印紙税などの税金を納付するための証票です。 この記事では、消印の適切な押し方や印鑑の選び方、押し忘れ…
詳しくみるタイムスケジュール表とは?無料テンプレートやアプリの紹介【建設業界向け】
タイムスケジュール表とは、時間と行動を組み合わせて一定の計画を立てることを指します。特に一人親方や建設業に従事する方々にとって、プロジェクトの進捗管理や日々の業務スケジュールを明確に管理することは、業務の効率化と品質の維持に直結します。この…
詳しくみる押印と捺印の違いとは?正しい押印方法や契約書の法的効力を解説
押印とは、契約書や請求書などの書類に印鑑を押すことを意味します。捺印とは細かな意味が異なるので、業務を正確に行うためにも、意味をきちんと理解しておきましょう。 本記事では、押印の意味から正確な押印方法、さらには契約書における押印の法的効力ま…
詳しくみる同意書に押印の必要はある?適切な印鑑の選び方や押し方を解説
同意書とは、特定の事項について相手方に対して同意の意思を示す文書のことです。印鑑の使用は一般的ですが、必須ではありません。同意書には様々な利用シーンがあり、印鑑の必要性も状況によって異なります。 この記事では、同意書の基本的な仕組みから、印…
詳しくみる