• 作成日 : 2026年10月28日

複利運用とは?単利との違いや計算方法・複利効果を高める方法を解説

Point複利運用とは何がすごいのか?

複利運用とは、利益を元本に組み入れて再投資することで「利益が利益を生む」仕組みです。

  • 長期運用ほど単利との差が大きくなる
  • 税金・手数料で実際の複利効果は変わる
  • NISAを使えば運用益の税負担を抑えられる

Q. 複利と単利はどれくらい差がつく?
A. 100万円を年5%で20年運用すると、単利200万円に対し複利は約265万円になります。

複利運用とは、運用によって得た利息や利益を元本に組み入れ、その増えた金額をさらに運用していく方法です。

ただ、投資信託や株式などでは、毎年一定の利回りが得られるとは限りません。また、税金や手数料によって再投資できる金額が減る場合もあります。

この記事では、複利運用とはどのような仕組みなのか、単利との違い、メリットや注意点などを解説します。

複利運用とは?

複利運用とは、運用で得た利益を元本に加え、その合計額を次の運用に回す方法です。 元本だけでなく、過去に得た利益にも新たな利益が生じるため、長期間続けるほど資産の増加ペースが大きくなる可能性があります。

複利は預金の利息計算だけを指す言葉ではありません。投資信託などで得た収益を再投資する場合にも、同じ考え方を用いて資産形成の効果を説明できます。

複利は「元本+利益」を次の運用に回す仕組み

複利では、運用によって発生した利益を元本に加えて次の期間の運用額とします。

100万円を年利5%で運用すると、1年後には105万円になります。利益の5万円を引き出さず、そのまま運用すれば、2年目は100万円ではなく105万円を基準として利益が計算されます。

同じ5%なら2年目の利益は5万2,500円となり、2年後の資産額は107万5,000円です。このように、過去の利益にも利益が生じることを「複利効果」と呼びます。

金融庁も資産形成の基本として長期投資を紹介しており、長く投資を続けるほど複利の効果が大きくなると説明しています。

参考:資産形成の基本|金融庁

複利運用では運用期間が長いほど効果が現れやすい

複利効果は短期間よりも長期間の運用で現れやすいのが特徴です。

運用を始めた直後は、元本に加わる利益が少ないため、単利との差はそれほど大きくありません。しかし、利益を再投資する期間が長くなるにつれて運用対象となる金額そのものが増え、利益の増加額も大きくなります。

100万円を年5%で20年間運用した場合、税金や手数料を考慮しなければ、複利では約265万円になります。長期運用では「利回りの高さ」だけでなく「利益を再投資できる期間」も資産形成を左右します。

複利と単利は何が違う?

複利と単利の違いは、過去に得た利益にも新たな利益が発生するかどうかです。 単利は当初の元本だけを基準に利益を計算するのに対し、複利では元本とそれまでの利益を合わせた金額を基準に計算します。

運用期間が短ければ差は小さいものの、同じ元本・利率でも長期間運用すると最終的な金額に大きな差が生じます。

単利は最初の元本だけに利息がつく

単利とは、運用期間中を通じて当初の元本だけを基準に利息を計算する方式です。

100万円を年5%の単利で運用する場合、1年間の利息は毎年5万円です。10年間なら利息は合計50万円となり、元本と合わせて150万円になります。

利益を受け取って別の用途に使う商品や、元本に利益を組み入れない運用方法では、複利効果は生じません。

複利と単利では長期間になるほど差が広がる

同じ100万円を年5%で20年間運用すると、単利は200万円、複利は約265万円となり、税金などを考慮しない単純計算では約65万円の差が生じます。

比較すると次のようになります。

運用期間 単利 複利
1年 105万円 105万円
5年 125万円 約127.6万円
10年 150万円 約162.9万円
20年 200万円 約265.3万円
30年 250万円 約432.2万円

上記は100万円を年5%で運用し、税金・手数料を考慮しない場合の例です。実際の投資商品の運用成績が毎年5%になるという意味ではありません。

複利運用の計算方法は?

一括投資の複利計算では「元本×(1+利率)^運用年数」という式を使用できます。 毎月積み立てる場合や運用利回りが変動する場合には計算が複雑になるため、シミュレーターを利用すると把握しやすくなります。

計算結果は将来の運用成果を保証するものではなく、一定の利回りが続いたと仮定した試算として利用します。

一括投資なら「元本×(1+利率)^年数」で計算できる

複利運用後の金額は、一定の年利で運用すると仮定すれば「元本×(1+年利)^運用年数」で計算できます。

たとえば元本100万円、年利3%、運用期間10年なら、計算式は「100万円×1.03^10」です。

計算結果は約134万4,000円となります。元本から増えた約34万4,000円が、10年間の運用によって得られた利益に相当します。

ただし、株式や投資信託のリターンは年ごとに変動します。「年3%」などの数値はシミュレーション上の仮定として捉える必要があります。

72の法則を使えば資産が2倍になる期間を概算できる

「72÷年利」で計算すると、複利運用で資産が約2倍になるまでの年数を簡易的に求められます。

これを「72の法則」といいます。たとえば年利3%なら「72÷3=24」となり、約24年間で2倍になる計算です。年利6%なら約12年間となります。

ただし、72の法則はあくまで概算です。税金や手数料、運用商品の価格変動などは反映されません。

複利運用にはどのようなメリットがある?

複利運用のメリットは、運用で得た利益を新たな元本として活用できるため、長期的な資産形成につなげやすいことです。 元手を追加しなくても、利益の再投資によって運用額を増やせる点が単利との違いです。

運用益を再投資して資産を増やせる

複利運用では、利益を使わず再投資することで、次の利益を生み出す元本を増やせます。

投資信託で運用益が発生しても、それを現金として取り崩さず運用を続ければ、その資産全体がその後の値動きの影響を受けます。

一方、投資には値下がりする可能性もあります。複利は利益だけを増幅する仕組みではなく、投資商品の価格変動リスクそのものをなくすものでもありません。

長期・積立・分散投資と組み合わせられる

複利効果を活用した資産形成では、長期投資だけでなく積立投資や分散投資を組み合わせる考え方があります。

毎月一定額を投資する積立投資では、一度にまとまった資金を用意しなくても資産形成を始められます。また、国内外の株式や債券など複数の資産に分散すれば、一つの資産だけに資金を集中させる場合に比べて値動きの偏りを抑えやすくなります。

複利効果そのものは価格下落を防ぐ仕組みではないため、「複利であれば安全」と考えないこともポイントです。

複利運用をするときの注意点は?

複利運用には、元本割れ、運用利回りの変動、税金や手数料などを考慮する必要があります。 シミュレーションでは一定の利回りが続く例が多く使われますが、実際の株式や投資信託では運用成果が毎年変わります。

投資では一定の利回りが保証されているわけではない

株式や投資信託を使った複利運用では、毎年同じ利回りで資産が増えるとは限りません。

たとえば「年利5%で20年間運用すると約2.65倍」という試算は、毎年5%で運用できると仮定した計算です。実際にはプラスになる年もあれば、マイナスになる年もあります。

複利計算の結果と実際の投資結果は分けて考え、資産形成の計画では価格変動の可能性も織り込む必要があります。

分配金を受け取ると複利効果が小さくなる場合がある

投資信託などから受け取った分配金を生活費などに使えば、その金額は以後の運用に回らないため、複利効果は小さくなります。

分配金再投資コースのある投資信託では、受け取った分配金を自動的に再投資できる場合があります。

課税口座で普通分配金を再投資するときは、税金を差し引いた後の金額が再投資されるのが原則です。また、投資信託の分配金には元本払戻金(特別分配金)となるケースもあるため、分配金の額だけで運用成果を判断するのは適切ではありません。

複利運用の利益には税金がかかる?

課税口座で資産運用する場合、利息や配当、売却益などには原則として税金がかかります。 税金が差し引かれれば再投資できる金額も減るため、税引前と税引後では複利効果に差が生じます。

預金の利息には原則20.315%が課税される

日本国内の預貯金の利子は、原則として20.315%相当が源泉徴収されます。

2026年時点では、所得税・復興特別所得税15.315%と地方税5%を合わせた20.315%です。

たとえば税引前で1万円の利息が発生した場合、一般的な預金では税引後の受取額は約7,969円となります。そのため、預金の複利を計算するときも、税引前金利だけでなく税引後の収益を確認すると実態に近い試算になります。

上場株式等の配当や売却益にも原則として税金がかかる

課税口座で得た上場株式等の配当や譲渡益には、一般に所得税等と住民税を合わせた20.315%の税負担が生じます。

利益をそのまま全額再投資できる場合と比べると、課税後に再投資する資金は少なくなります。

なお、2026年度税制改正では、2027年1月1日以後、防衛特別所得税の導入と復興特別所得税率の引下げが予定されています。ただし、上場株式等の配当などについては両者を合わせた負担が調整されるため、源泉徴収の合計税率20.315%に変更はないとされています。

参考:No.1331 上場株式等の配当等に係る申告分離課税制度|国税庁

NISAなら複利運用の税負担を抑えられる?

NISA口座で対象商品を運用して得た売却益や配当・分配金は、一定の条件のもとで非課税になります。 課税口座では利益から税金が差し引かれる場合がありますが、NISAでは非課税となる利益を運用に活用できるため、長期的な資産形成と相性のよい制度です。

ただし、NISAそのものが利益を生み出す仕組みではありません。投資した商品の価格が下落すれば元本割れする可能性があります。

NISAでは運用益が非課税になる

2026年9月時点のNISAでは、非課税保有期間が無期限となっており、対象商品から得た一定の売却益や配当・分配金が非課税です。

年間投資枠は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円で、併用すると年間360万円までです。非課税で保有できる総額は1,800万円が上限となっています。このうち、成長投資枠で利用できる金額は最大1,200万円です。

課税による資産の減少を抑えられるため、利益を再投資しながら長期間運用する場合には、複利効果を活用しやすい制度といえます。

参考:NISA特設ウェブサイト|金融庁

NISAでも元本や利回りが保証されるわけではない

NISAは税制上の優遇制度であり、投資商品の元本や運用利回りを保証する制度ではありません。

NISAで購入できる投資信託や株式なども市場価格の影響を受けます。複利効果を期待して長期間運用していても、市場環境によって資産額が減少する可能性があります。

また、NISA口座で生じた損失は、課税口座の上場株式等の利益との損益通算などができません。税制上のメリットだけでなく、商品のリスクや資産配分も確認したうえで利用することが大切です。

複利効果を活かすにはどうすればよい?

複利効果を活かす基本的な考え方は、運用期間を長く確保し、得た利益をできるだけ再投資することです。 ただし、生活に必要な資金まで投資に回すのではなく、家計や資金の使用時期を踏まえて運用する範囲を決めます。

できるだけ長い運用期間を確保する

複利は時間の経過とともに効果が積み重なるため、長期間運用できるほどその性質を活かしやすくなります。

同じ年3%でも10年間と30年間では、利益が利益を生む回数が大きく異なります。そのため、老後資金など長い時間をかけて準備できる資金では、早い段階から少額ずつ積み立てる方法も選択肢になります。

ただし、数年以内に住宅購入や教育費などで使う予定の資金まで値動きの大きな商品へ投資すると、必要な時期に価格が下落している可能性があります。資金の使用時期とのバランスを考える必要があります。

利回りだけでなく手数料や税金も確認する

複利運用では、運用利回りだけでなく税金や手数料によって実際に再投資できる利益が変わります。

投資信託では、信託報酬などのコストが運用期間中に継続して発生します。わずかなコスト差でも、運用期間が長くなるほど資産額への影響が積み重なります。

「年利○%なら何年後にいくらになるか」だけを見るのではなく、税引後・コスト控除後のリターンも確認すると、より現実に近い資産形成計画を立てやすくなります。

複利運用の仕組みを理解して長期的な資産形成に活かそう

複利運用とは、運用によって得た利益を元本に加え、さらに運用することで「利益が利益を生む」状態を作る方法です。 単利と比較すると、運用期間が長くなるほど複利効果による資産額の差が広がりやすくなります。

一方、投資信託や株式の利回りは一定ではなく、元本割れする可能性もあります。税金や手数料、途中での取り崩しも実際の複利効果に影響します。

複利運用を資産形成に取り入れる際は、利回りだけを重視するのではなく、長期・積立・分散という考え方や、自分が許容できるリスクも合わせて検討しましょう。NISAなどの非課税制度についても仕組みを理解して活用することで、税負担を抑えながら長期運用を行う選択肢が広がります。

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