- 更新日 : 2026年7月22日
車の修理代を経費計上する際の勘定科目まとめ
パンクや傷、へこみ、故障など、車の修理代をどの勘定科目で計上するか迷う場面は多くあります。事業用の車の修理代は経費にでき、費用処理と資本的支出の使い分けがポイントです。
本記事では、費目の選び方と判断基準、減価償却が必要になるケース、仕訳例までをまとめて解説します。
目次
車の修理代は経費にできる?
事業に使っている車の修理代は、法人でも個人事業主でも経費にできます。事故による傷やへこみの補修、パンク時のタイヤ交換、エンジン故障に伴う部品交換などが対象です。一方、私用と兼用している車は、事業で使った分だけを経費にする点に注意します。
事業用の車なら修理代は経費にできる
車の修理代を経費にできるかどうかは、その車を事業に使っているかどうかで決まります。
法人か個人事業主かを問わず、事業用に使っている車の修理にかかった費用は経費に算入できます。役員や従業員が私用にしか使っていない車や、家族だけが使う車の修理代は経費になりません。
原状回復の修理であれば、金額にかかわらず減価償却は不要で、代金が確定した年度の費用にできます。
私用と兼用する場合は事業使用分のみ経費にする
事業と私用を兼用している車の修理代は、家事按分で事業使用分だけを経費にします。
個人事業主が同じ車を仕事と私用の両方で使う場合は、使用日数や走行距離などの客観的な基準で事業使用割合を求めます。求めた割合に応じた金額だけを経費とし、残りは私用の支出として扱います。
詳しい計算方法と仕訳は、個人事業主の注意点の項目で解説します。
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車修理代に使える勘定科目は?費目の選び方
車の修理代に使う勘定科目は、状況に応じて修繕費・車両費・雑損失・事業主貸を使い分けます。通常の修理は修繕費か車両費、他人の車や私用分は雑損失や事業主貸で処理します。
| 勘定科目 | 主な用途 |
|---|---|
| 修繕費 | 車の故障や傷の修理など、原状回復・維持管理にかかる費用 |
| 車両費 | 修理代を含む車両関連費用を一つの勘定科目で集計したい場合 |
| 雑損失 | 他人が所有する車を傷つけた際の弁償・修理代の負担 |
| 事業主貸 | 個人事業主が事業用資金から私用部分の支出をした場合 |
修繕費(原状回復・維持管理の費用)
修繕費は、故障や傷の修理、定期的なメンテナンスなど、車を元の状態に保つための支出に使う費目です。
原状回復だけでなく、通常の維持管理に必要な費用も修繕費に含まれます。車両以外にも、オフィスの給排水設備の補修、外壁の塗り替え、ガラスの入れ替えなど、固定資産の修繕全般に幅広く使えます。
事業用車のエンジンを修理し、30万円を現金で支払った場合の仕訳は次のとおりです。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 修繕費 | 300,000円 | 現金 | 300,000円 | エンジン修理代 |
事業用車のパンク修理代5万円をクレジットカードで支払った場合は、支払い時と引き落とし時で次のように仕訳します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 修繕費 | 50,000円 | 未払金 | 50,000円 | パンク修理代(支払い時) |
| 未払金 | 50,000円 | 普通預金 | 50,000円 | カード引き落とし時 |
車両費(車両関連費用の一括管理)
車両費は、修理代に加えてガソリン代や洗車代、車検費用など、車に関する経費をまとめて記帳できる費目です。
車に関する支出を一つの費目で集計できるため、特定の車にかかる年間コストを把握しやすくなります。車に関する支出が少ない場合は、損害保険料は損害保険料、高速道路代は旅費交通費というように個別の費目で処理できるため、車両費を設けないこともあります。
摩耗したタイヤを交換し、15万円を普通預金から支払った場合の仕訳は次のとおりです。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 車両費 | 150,000円 | 普通預金 | 150,000円 | タイヤ交換代 |
営業車3台の部品交換を行い、合計10万円をクレジットカードで支払った場合の仕訳は次のとおりです。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 車両費 | 100,000円 | 未払金 | 100,000円 | 営業車3台部品交換 |
修繕費と車両費はどう使い分ける?
修繕費と車両費のどちらを使うかに明確なルールはなく、自社の管理スタイルに合わせて選びます。
車に関する支出が少なく、修繕全般をまとめて見たい場合は、修繕費に寄せる方法が向いています。複数の営業車を持ち、車ごとのコストを把握したい場合は、車両費を独立して使う運用が合います。
| 比較項目 | 修繕費 | 車両費 |
|---|---|---|
| 対象範囲 | 車・建物・機器など固定資産の修繕全般 | 車に関する経費全般 |
| 管理の特徴 | 修繕にかかった費用を横断的に集計できる | 車ごとの年間コストを集計しやすい |
| 向いている事業者 | 修繕費全体を見たい・車関連の支出が少ない | 車両管理を厳密に行いたい・営業車が多い |
一度選んだ費目は、原則として途中で変えないことが大切です。費目の運用が揺らぐと、過年度との比較や担当者間の引き継ぎで混乱が生じやすくなります。会計方針は継続性が原則のため、特段の理由がない限り、最初に決めた費目を使い続ける運用が望ましいといえます。
雑損失(他人所有の車の修理代を負担した場合)
雑損失は、業務中の事故により相手方へ損害賠償金を支払った場合に使う費目です。
雑損失は、本業から生じない損失のうち、ほかの費目に当てはまらない少額の損失を処理する費目です。従業員が業務中に起こした事故で相手の車を傷つけた場合の修理代などが当てはまります。
従業員が業務中の事故で傷つけた相手の車の修理代10万円を現金で負担した場合の仕訳は次のとおりです。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 雑損失 | 100,000円 | 現金 | 100,000円 | 相手の車の修理代 |
事業主貸(個人事業主の私用分の支出)
事業主貸は、個人事業主が事業用資金から私用目的の支出をしたときに使う費目です。
車を事業と私用で兼用している個人事業主が、修理代を事業用資金から支払ったとき、家事按分により事業使用分は修繕費または車両費、私用分は事業主貸として仕訳します。
私用で使った分の修理代2万円を事業用の普通預金から支払った場合の仕訳は次のとおりです。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 事業主貸 | 20,000円 | 普通預金 | 20,000円 | 私用分の修理代 |
車の修理代で減価償却が必要になるのは?
車の修理代は、原状回復や維持のための支出であれば、法人でも個人事業主でも、支払った年の経費(修繕費または車両費)として処理します。一方、性能や価値を高める改良にあたる支出は、事業形態を問わず資本的支出として固定資産に計上し、減価償却で複数年に分けて費用にします。
経費で一括計上できるか、減価償却で按分するかを分けるのは、修理の中身が原状回復か改良かという点です。
価値や性能を高める改良は資本的支出になる
改良で資産の価値が上がる、または耐久性が増す支出は、原状回復の修理とは分けて資本的支出として扱います。
燃費性能を高めるためのエンジンの載せ替え、走行性能を上げる部品の取付けなど、修理ではなく性能向上を目的とする支出は、固定資産の取得価額に加算します(法人税基本通達7-8-1)。
修繕費として処理できる形式基準(20万円・3年周期・60万円基準)
改良か原状回復かの判断が難しいときは、国税庁の通達が示す形式基準で振り分けます。
一度の修理や改良の金額が小さい場合や、短い周期で繰り返される場合などは、修繕費として処理できます。
| 基準 | 内容 | 根拠通達 |
|---|---|---|
| 少額・周期基準 | 一度の費用が20万円未満、またはおおむね3年以内の周期で行う支出 | 通達7-8-3 |
| 形式基準 | 60万円未満、または前期末の取得価額のおおむね10%以下 | 通達7-8-4 |
| 区分の特例 | 区分が明らかでない費用で、30%相当額と前期末取得価額の10%相当額のいずれか少ない額を修繕費とする経理を継続している場合 | 通達7-8-5 |
資本的支出は使い始めた日から減価償却する
資本的支出にあたる修理代は、その車を使い始めた日から、耐用年数に応じて減価償却します。
減価償却の対象になるのは、固定資産の取得価額に加算した改良部分の金額です。原状回復にあたる通常の修理代はその年の経費になり、減価償却の対象にはなりません。
改良によって車の価値や寿命が大きく延びる場合は、資本的支出として複数年に分けて費用にしていきます。
なお、中小企業者等で青色申告をしている場合は、取得価額が40万円未満の減価償却資産を、その年に一括で経費にできる特例があります。2026年4月1日以後に取得した資産が対象で、それより前は30万円未満が上限でした。
資本的支出にあたる修理代でも、この特例の要件を満たせば、複数年の減価償却ではなく、その年に一括で費用にできる場合があります。年間の合計は300万円までで、適用には青色申告などの要件があるため、自社が対象になるかを確認したうえで使います。
詳しくは、少額減価償却資産の特例をまとめた以下の記事でも解説しています。
パンク・オイル交換・車検の勘定科目は?
パンク修理やオイル交換、車検の整備費用は、いずれも原状回復の修理として修繕費か車両費で処理します。修理の種類ごとに、使う費目と仕訳のポイントを確認します。
パンク修理・タイヤ交換の勘定科目
パンク修理やタイヤ交換は、原状回復の修理にあたるため、修繕費でも車両費でも処理できます。
車に関する費用を一括管理している場合は車両費、修繕全般をまとめている場合は修繕費を使うのが一般的です。自社の運用ルールに沿って、どちらかに揃えます。
オイル交換・定期点検の勘定科目
オイル交換や定期点検も、車を維持するための支出として修繕費か車両費で処理します。
定期的なメンテナンス費用は原状回復・維持管理にあたるため、減価償却は不要で、その年の経費にできます。費目はパンク修理などと揃え、車に関する支出を同じ費目に集約すると管理しやすくなります。
車検費用の勘定科目(整備費用は同じ・重量税や自賠責は別)
車検費用のうち整備・点検にかかる部分は、車修理代と同じ費目で処理できます。
車検費用全体は、整備費用(修繕費または車両費)、自動車重量税(租税公課)、自賠責保険料(保険料)など複数の費目に分かれます。整備費用の部分だけを車修理代と同じ費目で処理する形が一般的です。
修理タイプ別の仕訳例(オイル交換・車検)
修理の種類ごとに費目を分けると、仕訳の流れがつかみやすくなります。
オイル交換代1万円を現金で支払い、車両費で処理した場合の仕訳は次のとおりです。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 車両費 | 10,000円 | 現金 | 10,000円 | オイル交換代 |
車検の整備費用3万円を現金で支払い、修繕費で処理した場合の仕訳は次のとおりです。重量税や自賠責保険料は、それぞれ租税公課・保険料として別に仕訳します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 修繕費 | 30,000円 | 現金 | 30,000円 | 車検の整備費用 |
個人事業主が車の修理代を経費計上するときの注意点
個人事業主が車を事業と私用で兼用している場合は、家事按分で事業使用分だけを経費にします。事業使用割合の求め方と、事業主貸を使った仕訳を確認します。
事業使用割合は客観的な基準で算出する
家事按分の事業使用割合は、使用日数や走行距離など客観的に説明できる基準で求めます。
業務日報や運行記録、走行距離計の数値など、税務調査で根拠を示せる資料に基づいて割合を計算します。「1週間のうち5日を事業で使う」「年間走行距離のうち7割が業務移動」といった整理ができれば、その割合を経費算入の根拠にできます。按分の根拠資料は、後から提示を求められることもあるため、残しておくと安心です。
家事按分を反映した仕訳例(修繕費・事業主貸)
私用と兼用する車の修理代は、事業使用分を修繕費、私用分を事業主貸として仕訳します。
事業使用割合を70%と仮定した車の修理代5万円を現金で支払った場合の仕訳は次のとおりです。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 修繕費 | 35,000円 | 現金 | 50,000円 | 車修理代(事業分70%) |
| 事業主貸 | 15,000円 | 車修理代(私用分30%) |
車の修理代の勘定科目に関するよくある質問
車の修理代の勘定科目について、実務で寄せられることの多い質問と回答をまとめました。
自損事故での車の修理代は経費にできる?
業務中に起きた自損事故での自社の車の修理代は、経費に算入できます。
業務遂行中の事故であれば、修理代は修繕費または車両費で処理します。私用で使っている間に起きた事故の修理代は、車が事業用であっても経費にはできません。
修理代が高額でも一括で経費にできる?
原状回復の修理であれば、金額が高額でも支払った年に一括で経費にできます。
金額の大きさではなく、修理の中身が原状回復か改良かで判断します。性能や価値を高める改良にあたる場合は、金額にかかわらず資本的支出として減価償却します。
車の修理代など経費計上時の勘定科目判定に悩む人は多い
車の修理代を修繕費で計上するか車両費で処理するかなど、日々の業務で費目の判断に迷う場面もあるでしょう。
株式会社マネーフォワードが実施した調査では、仕訳作業の工程で最も工数がかかる作業を尋ねています。その結果、最も工数がかかるのは「適切な勘定科目や消費税区分(課税・非課税等)の判定」で、36.8%でした。
勘定科目判定の負担はシステムの活用で軽くできる
費目の判定にかかる負担は、過去のデータから費目を推測する会計ソフトなどで軽くできます。
車の修繕費と資本的支出の区別など、状況に応じた判断が求められる経費処理は多く、費目の判定に負担を感じる担当者が多いことがデータからもうかがえます。会計処理の迷いを減らして経理業務をスムーズに進めるために、過去のデータから費目を自動で推測する機能を持つ会計ソフトを活用し、判定の工数を減らす方法もあります。
出典:マネーフォワード クラウド、仕訳作業の工程において最も工数がかかっている作業【勘定科目に関する調査データ】(回答者:アンケート回答者707名、集計期間:2026年3月実施)
車の修理代の勘定科目は修繕費と車両費の使い分けがポイント
車の修理代の勘定科目は、修繕費と車両費の使い分けが基本です。修繕費は固定資産の原状回復や維持管理に、車両費は車に関する支出をまとめて管理する場面で使います。他人の車の修理代は雑損失、個人事業主の私用分は事業主貸で処理し、性能を高める改良は資本的支出として減価償却の対象になります。
費目に明確なルールはないため、自社の管理スタイルに合わせて選び、一度決めた運用を続けることが大切です。改良か原状回復かで迷うときは、金額や周期の形式基準を手がかりに判断します。
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よくある質問
車の修理代は経費にできる?
事業用車両の修理に要した費用は経費に算入できます。詳しくはこちらをご覧ください。
車の修理代に使える勘定科目は?
車の修理代に使える勘定科目は「修繕費」と「車両費」の2種類です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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