- 更新日 : 2024年8月8日
セキュリティソフトを経費にする時の仕訳に使う勘定科目
コンピューターウイルスによるサイバーテロが増加している現代では、企業のセキュリティ対策は欠かせないものとなっています。この記事では、企業がセキュリティソフトやウイルス対策ソフトを導入し、経費として処理する場合の勘定科目や仕訳例について解説しました。セキュリティソフトを適切に処理するために目を通してみてください。
目次 [非表示にする]
セキュリティソフトの仕訳に使える勘定科目
会社で使用するパソコンやタブレットで使用するウイルス対策ソフト、セキュリティソフトを購入した場合は経費として計上することが可能です。ただし使用する勘定科目は、金額によって異なります。10万円が基準になるため、間違えないように確認しておきましょう。
購入価格が10万円未満の場合は、一般的には「消耗品費」として、購入時に一括して費用計上します。企業によっては消耗品費以外の勘定科目を使用する場合もありますが(「通信費」など)、費用科目であれば企業内のルールに応じた科目を使用して問題ありません。
購入価格が10万円以上になる場合には、固定資産に計上するのが原則です。購入時に一括して費用計上できないため、取扱いに注意しましょう。固定資産にする場合の処理方法は後ほど詳しく解説します。実務の際の参考にしてください。
セキュリティソフトの仕訳例
セキュリティソフトを10万円未満で購入した場合、購入時に一括して費用計上が可能です。ここでは、消耗品費として処理する事例を紹介します。
(仕訳例)社内で使用するパソコンのウイルス対策用に、セキュリティソフトを購入した。代金は3万円で、購入時に現金で支払った。
購入時に行った上記仕訳で完結しているので、減価償却などの期末処理は必要ありません。後で見た時に概要が分かるように、摘要欄を利用してセキュリティソフトと分かるようにしておくとよいでしょう。
セキュリティソフトの購入費が10万円以上だった場合
セキュリティソフトの購入代金が10万円未満の場合には「消耗品費」や「通信費」などの勘定科目を使って、購入時に一括して費用計上が可能であることは先ほど説明した通りです。
ここからは、10万円以上かかった場合について詳しく解説していきます。
セキュリティソフトの購入費用が10万円以上で、なおかつ使用期間が1年以上を想定している場合には資産として計上する必要があります。この場合、勘定科目は「ソフトウェア」などの資産勘定を使用しましょう。
購入時はいったん資産として処理し、期末処理で減価償却を行うことになります。購入時に費用計上しないかわりに、数年間にわたって費用化処理が必要です。
なおソフトウェアの購入金額が20万円未満の場合は、一括償却資産として簡易的な償却計算を行うことも可能です。経理事務の負担を軽減するために、活用を検討するとよいでしょう。
また、ソフトウェアの購入金額が30万円未満かつ、青色申告をしている中小企業者(資本金1億円以下かつ常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人・個人事業主など)は、「中小企業者等の少額減価償却資産の特例」を活用して、一括費用計上も可能です。この場合、購入時に消耗品費などの費用科目で処理するだけで経理処理が完了となります。
上記のような例外もあるため、購入価格が10万円以上の場合に必ず資産計上が必要というわけではありません。
セキュリティソフトが10万円以上の場合の仕訳例
セキュリティソフトを購入し、10万円以上だった場合には資産計上するのが基本です。ここでは、購入時に資産として計上し、年次決算で減価償却を実施する仕訳例を紹介します。
(仕訳例)社内で使用するパソコンのウイルス対策のため、50万円のセキュリティソフトを購入した。代金は全額購入時に現金で支払った。
購入時には、資産科目である「ソフトウェア」を使って資産計上します。何のためのソフトか分かるように、摘要欄に記録を残しておくと便利です。
(仕訳例)年次決算のため、上記セキュリティソフトの減価償却費を計上した。
ソフトウェアの耐用年数は5年のため、年間の減価償却費は「50万円/5年=10万円」となります(※原則として、無形固定資産の減価償却は残存価額0円とした直接法を用いるため)。
なお年度の途中にソフトウェアの使用を開始した場合は、月割で減価償却費を計上する必要があります。
10万円を基準に処理方法を判断しよう
セキュリティソフトやウイルス対策ソフトは、金額が10万円を超えるかどうかで会計上の取扱いが変わります。10万円を超えると原則として資産計上が必要ですが、購入時に費用処理できる特例も条件を満たせば利用可能です。経理処理を簡便化したい場合は、特例の活用も積極的に検討してみてください。
よくある質問
セキュリティソフトの仕訳のポイントは?
10万円未満なら「消耗品費」などの科目で購入時に一括費用計上が可能。10万円以上の場合は無形固定資産の扱いになるため、「ソフトウェア」を使用し減価償却の対象とする。ただし、10万円以上でも一括費用計上が認められる例外もある。 詳しくはこちらをご覧ください。
購入費が10万円を超えていた場合は?
一定の条件下で例外もあるが、基本的には無形固定資産に計上する(購入時に費用計上せず、数年かけて減価償却を行う)。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
減価償却累計額はどんな勘定科目?考え方と仕訳のルールを解説
減価償却は建物や機械装置、ソフトウェアなどの有形・無形固定資産に特有の費用配分処理です。減価償却累計額とはこの減価償却をする際に使う勘定科目で、これを理解するためには減価償却の基本を理解しておく必要があります。 以下では減価償却の基本的な考…
詳しくみる複式簿記の書き方を正しく理解していますか?複式簿記の基礎知識と書き方まとめ
複式簿記の書き方、ご存知ですか? 個人事業主はもちろん、たとえ小規模にしても経営者であれば、また、社会人であれば、複式簿記の書き方の基本は知っておきたいものです。 ここでは、複式簿記の大原則と書き方について、最小限の基本をわかりやすく説明し…
詳しくみる建設業会計の特徴とは?仕訳や勘定科目の具体例を簡単に解説!
建設業は、商品やサービスを提供する一般的な業種と異なり、特殊な受注形態を持っています。そのため、会計処理にも特殊な処理や判断が求められ、複数の工事を請け負っているとさらに処理が煩雑になってしまいます。 複雑な処理に時間がかかりやすいからこそ…
詳しくみる為替換算調整勘定とは?例から解説
為替換算調整勘定は為替差損益と似ているようで、実は違う勘定科目です。 この記事では、連結会計や外貨建会計基準の基本的な部分を中心に、為替換算調整勘定の基本的な内容や具体例、税効果について説明してきます。 為替換算調整勘定とは 為替換算調整勘…
詳しくみるプリンターに関する経費の勘定科目と仕訳まとめ
プリンターの購入やリース、レンタルした場合の勘定科目はすべて異なります。それぞれの勘定科目と仕訳例を紹介するので、ぜひ参考にしてください。またプリンターを資産として減価償却するケースや、インク代や修理費用の勘定科目と仕訳例についても紹介しま…
詳しくみる売上台帳とは?エクセル無料テンプレート・書き方・手書きの方法
売上台帳は、売上に関連する取引を記録するための帳簿の一種です。売上台帳には、商品やサービスの販売によって生じた収入の詳細(販売された商品やサービスの種類、数量、販売価格、販売日、顧客情報など)を記載します。 売上台帳は手書き・エクセルや会計…
詳しくみる