- 更新日 : 2025年2月20日
役員が立て替えた費用は経費精算できる?確認事項や仕訳の解説
業務の流れをスムーズにするために、役員が費用を立て替えることがあります。立て替えた費用は、後で経費精算できることがあります。何を確認すれば正しく経費計上できるのかポイントに分けて解説するので、ぜひ参考にしてください。また、役員が個人で立て替えたときの仕訳例についても紹介します。
目次
役員が立て替えた費用は経費精算できる?
役員が一時的に立て替えた費用のうち、交際関連と海外渡航、健康診断の3つについては経費精算が可能です。しかし、これらの3つに該当すればすべてが経費になるのではありません。
交際関連であれば法人のための活動なのか、また、海外渡航であれば業務上必要な活動で、なおかつ妥当な金額なのかなどをチェックし、該当する場合のみ経費精算が可能です。交際関連、海外渡航、健康診断のそれぞれのチェックポイントについて詳しく解説します。
役員の経費精算で確認すべきもの:交際関連の費用
交際関連の費用のうち、以下の費用に関しては、経費として損金計上できることがあります。
- 渡切交際費(わたしきりこうさいひ)
- 同業者団体等の会費等
- 社交団体の入会金等
- ゴルフクラブ等の入会金等
それぞれどのようなときに損金計上できるのか、わかりやすく解説します。
渡切交際費
後日精算しないことを前提に役員に渡しておく交際費を「渡切交際費(わたしきりこうさいひ)」と呼びます。このうち、法人のために使ったことが明らかなものと、毎月定額支給されているものに関しては損金計上が可能です。
同業者団体等の会費等
同業者団体の会費に関しては、損金扱いにすることができます。一方、同業者団体以外の会費については、使途に応じて交際費や寄付金として処理することが可能です。
同業者団体やその他の団体の入会金については、譲渡するときあるいは脱退するときまで資産として計上することができます。それ以外については繰越資産として計上します。
社交団体の入会金等
社交団体の入会金は、会員の種類によって経費精算できるかどうかが決まります。法人会員として入会した場合は、入会金・会費ともに交際費として損金計上が可能です。一方、個人会員として入会した場合は、入会金・会費ともに給与になります。
ゴルフクラブ等の入会金等
ゴルフクラブなどに加入したときも、会員の種類によって経費精算できるか同課が決まります。法人会員として入会した場合は、入会金は資産計上し、会費は交際費として損金計上が可能です。一方、個人会員として入会した場合は、入会金・会費ともに給与になります。
役員の経費精算で確認すべきもの:海外渡航の費用
海外渡航の費用を役員が立て替えた場合には、業務上必要かつ妥当な金額であれば、損金計上することが可能です。しかし、業務上必要ではないと判断されるときや、妥当な金額を超えているときは、給与として扱われます。
例えば、旅行会社の団体旅行に参加したとしましょう。同業者団体の旅行として参加した場合であっても、観光旅行であることが明白な場合などは経費精算ができず、給与扱いです。しかし、旅行の中で業務上必要な金額が生じた場合については、その費用に限り、損金計上するケースもあります。
役員の経費精算で確認すべきもの:健康診断の費用
健康診断の費用を役員が立て替えた場合には、福利厚生費として経費計上することが可能です。しかし、福利厚生費になるのは、全従業員を対象とした健康診断で、なおかつ医療機関に企業が直接支払い、健康診断費用が常識的な金額であることの3つの条件を満たす場合に限られます。これらの条件を1つでも満たさないときには、給与扱いです。
役員の経費精算の仕訳例
役員が個人の資金でボールペン代を立て替えた場合について、仕訳例を見ていきましょう。ボールペン代を「消耗品費」とし、貸方には「役員借入金」の勘定科目を記載します。
会社から役員が立て替えた金額を現金で返済したときには、次のように仕訳をすることができます。
使途を確認して正確に仕訳をしよう
役員が立て替えたお金を経費精算できるかどうかは、使途によります。また、海外渡航や健康診断の費用に関しては、妥当な金額かどうかもチェックすることが必要です。
正確な仕訳が健全経営の基本となります。適宜、正確に仕訳をしておきましょう。
よくある質問
役員が立て替えた費用は経費精算できる?
交際関連と海外渡航、健康診断の3つについては内容によっては経費精算することができます。詳しくはこちらをご覧ください。
役員の経費精算で確認すべきポイントは?
交際関連と海外渡航に関しては、法人として必要な活動かどうか確認することが必要です。健康診断に関しては、福利厚生費に該当するか確認します。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
経費精算の間違いやミスを減らす方法とは?
経費精算における入力ミスや処理漏れなどの間違いは、どの会社においても発生します。なぜ経費精算における間違いは起きてしまうのでしょうか。経費精算で間違いが起きる原因と間違いやミスを減らすための対策について解説していきます。 経費精算にまつわる…
詳しくみる海外出張時の経費精算の方法や注意点まとめ
海外出張時に発生した経費は、外貨で支払いを行うため、経費精算時には国内出張とは違った点に注意する必要があります。この記事では、海外出張時の経費精算で押さえておきたいポイントと注意点、海外出張時の経費精算の方法について解説します。 海外出張時…
詳しくみる経費精算を楽にする方法は?経費精算システムのメリットや選び方も解説
経費精算を楽にするためには、経費精算システムを導入することが不可欠です。「どんな経費精算システムを導入すればよいかがわからない」「経費精算システム導入のメリットは?」という悩みを持つ方も多いでしょう。本記事では、経費精算システムを導入するメ…
詳しくみる証憑書類とは?経費精算時に証憑になる領収書とは?
証憑書類は、税法上でも請求書や領収書などをはじめとして保存義務が定められている書類です。取引の事実を示す書類であることから、経費精算時においても重要視されています。この記事では、証憑書類の種類、作成目的や保存目的、保存方法や保存期間について…
詳しくみるスーツ代は経費にできる?できない?仕訳まで解説
経費に含めてよいものかどうか迷う費用のひとつが、スーツ代です。スーツ購入費用を経費に入れられるかの基準は、一言でいうと事業に必要かどうかです。業務用に購入したスーツの費用は経費に入れられますが、仕事用だと明確に説明できない場合、経費外と判断…
詳しくみる月またぎでも経費精算できる?年度をまたぐ場合も解説
月末に出張が立て込んでしまったり、ついつい申請を忘れてしまったりして経費精算が月またぎになってしまうケースも少なくありません。この場合、精算はできるのでしょうか? この記事では月またぎや年度またぎの経費精算の可否や、月や決算期をまたいでしま…
詳しくみる