- 更新日 : 2025年2月20日
会社で経費にできる費用とできない費用とは?
経費とは事業に関連する支出であり、収益を得る目的で使った費用のことです。事業収益から差し引き、課税所得額を減らして節税できるというメリットがあります。
本記事では経費にできる費用とできない費用を紹介するとともに、経費にできない費用を不正に計上した場合のペナルティについて解説します。
目次
経費とは何か?
経費とは、事業において収益を得る目的で使用した費用を指します。打ち合わせに使った飲食代や取材のための交通費など、経費にできる費用はさまざまです。法人税・所得税は収益から経費を差し引いた課税所得について計算されるため、経費にできる費用が多いほど課税対象となる所得が減り、節税しやすくなります。
所得を減らす経費として認められるかの判断基準は、売上に結びつくかどうかです。例えば、税務署から問われた場合、売上との結び付きを明確に説明できることが必要です。経費があまりに多い場合は税務調査で追求される場合もあるため、適切に判断して正しく計上しなければなりません。
経費計上するメリット
経費を計上する最大のメリットは、収益から差し引いて課税所得額を減らし、節税しやすくなることです。税金は所得に対して課せられるため、所得が増えるほど税金も上がります。しかし、経費を計上すればその分だけ収益を減らし、節税につなげることが可能です。
例えば、所得税が23%で所得が800万円の場合、所得税は「800万円×23%−63万6,000円=120万4,000円」となります。しかし、100万円の経費を計上すると課税所得は700万円になり、所得税は「700万円×23%−63万6,000円=97万4,000円」です。23万円の節税ができることになります。
ただし、節税できるからと経費として認められそうもないものまで無理に計上するのはやめましょう。ペナルティを課せられる場合もあります。
参考:国税庁 所得税の税率
会社で経費にできる費用
経費にできる費用は、事業に関連していれば幅広く計上が可能です。ここでは、経費にできる主な費用について紹介します。
人件費
人を雇用する際に発生する人件費は、広く経費として認められます。給与や賞与、福利厚生費などが日常的に発生する経費です。また、退職金も経費に計上できます。
地代家賃
オフィスの賃料や店舗、駐車場などの家賃・利用料金のことです。これらの費用は事業のために必要な支出であり、経費に計上できます。また、賃借している事務所や店舗の管理費・共益費や、賃貸契約時の礼金・更新料なども経費になります。
消耗品費
10万円未満の物品を購入した場合、消耗品費として経費計上できます。特に消耗品の定義はなく、文房具や伝票といった事務用品のほか、デスクや椅子など大型家具、パソコンなどの事務機器も10万円未満であれば消耗品費として計上が可能です。
交際費
取引先との打ち合わせや会議などで使った飲食代、仕事関係者へのお中元やお歳暮、冠婚葬祭にかかる費用などが交際費となり、経費に計上できます。
交際費は不正計上されやすい項目でもあり、事業との関連性が強く問われることもあるでしょう。
水道光熱費
事務所で利用した電気、水道、ガス、灯油などライフラインに関する費用全般を指します。
個人事業主で自宅を事務所と兼ねている場合は、事業に利用した部分のみを按分して計上します。その場合、全体の2〜3割程度を計上するのが一般的です。
旅費交通費
旅費交通費は、出張の宿泊費や出張手当などの旅費に、業務で利用した電車やバス、タクシー代などの交通費を合わせた費用です。
このほか、自宅から会社までの通勤費用や、近距離の移動にかかった費用も経費となります。これらは会計処理上、「交通費」として別の勘定科目を使います。
修繕費
事業で利用する自動車や機械、建物などの修理に支出する費用のことです。通常の維持管理、または原状回復のために支出したものを指します。
これに対し、固定資産の価値を高めるような支出のことを資本的支出といい、経費には計上できません。固定資産の取得と同じく、資産に計上して減価償却をすることになります。
通信費
電話料金やインターネット、携帯電話などの利用料金を指します。切手代やファックス代も通信費として経費になります。自宅兼事務所で事業をしている個人事業主の場合はプライベートの利用と区別が難しく、水道光熱費と同様に按分して計上するのが一般的です。事業で使用している割合を計算して計上します。
租税公課
国や地方公共団体に納付する税金や公的負担金を指し、固定資産税や自動車税、不動産取得税などがあげられます。
租税公課のすべてが経費にできるわけではなく、経費として認められるものと認められないものがあるため注意しましょう。経費にできないものについては、次の項目で説明します。
会社で経費にできない費用
事業に関連する費用は広く経費にできますが、プライベートで利用する費用など、経費にできない支出もあります。間違って計上してしまわないよう、どのような費用が認められないのかよく確認しておきましょう。
事業と関連のない費用
事業に関係なく、プライベートで使った費用は経費にできません。私生活で使う日用品や仕事と関係ない人との飲食代、個人の趣味に関する道具などです。売上に結びつかないものは、経費にできないことを把握しておきましょう。
未使用の事務用品
大量購入して余った事務用品も経費にできません。事務用品は消耗品費として経費になりますが、計上できるのは実際に使用したものだけです。未使用の事務用品は経費として認められないため注意しましょう。
そのため、大量購入してもまとめて経費処理はできません。決算期に未使用のままで残っているものがあれば、差し引いて計上する必要があります。
余剰在庫
仕入れにかかった費用は経費にできますが、全額を計上できるわけではありません。まだ売れていない余剰在庫は経費には計上せず、売り上げた分の原価だけを計上します。
大量仕入れは市場で需要が拡大した場合の機会損失を抑えられ、単価コストを削減できるというメリットはあります。しかし、余剰在庫は投入した資金元本を回収できず、経費にも計上できないことを把握しておきましょう。
法人税や法人住民税などの税金
法人税や法人住民税は会社に課せられた納付義務であり、支出ではあっても損金算入できないため経費にはなりません。
一方で、法人事業税は租税公課として経費に計上できます。
個人事業主の場合も、所得税や住民税は経費になりませんが、個人事業税は必要経費となります。
事業税は、事業を行うことに対して課される税金という性質から、税法上は「租税公課」として損金算入が認められています。これは法人事業税も個人事業税も同様です。
また、相続税や贈与税、延滞税、各種罰金なども個人に課せられる税金・ペナルティであり、経費に計上できません。
なお、国民年金や国民健康保険など、社会保険料に該当するものも経費に計上できないことを確認しておきましょう。社会保険料は所得控除の対象となるため、租税公課として計上はできません。
経費を不正計上した場合
過少申告や無申告など、経費を不正計上するとペナルティが課されるため注意が必要です。経費計上に不自然な点がある場合、税務署の調査が入る可能性もあります。不正計上と判断された場合にどのようなペナルティがあるのか、具体的にみていきましょう。
過少申告加算税
過少申告加算税は、本来の税額より少ない額で申告した場合のペナルティです。自分で間違いに気づいて修正申告を行なった場合は不足分を納税するだけで、加算税は課せられません。
しかし、税務署の調査を受けてから修正申告をしたり、税務署から申告税額の更正を受けたりした場合は、不足分の税額のほかに過少申告加算税がかかります。課される税額は、調査を受けてから修正申告した場合で未納分に5〜10%を加算、更正を受けた場合は10〜15%を加算した金額です。
過少申告加算税が課せられるのは、あくまで計算間違いや見解の相違により過少申告となった場合です。納めるべき税金を故意に少なくしたことが明らかな場合は、さらに重い「重加算税」が課せられます。
無申告加算税
確定申告は毎年1月1日から12月31日までの1年間に得た所得について、翌年の2月16日から3月半ばごろまでに確定申告書を提出し、所得税を納付します。期限内に確定申告ができなかった場合は期限後申告となり、無申告加算税が課せられます。納付すべき税額があるにもかかわらず、納税していなかったことに対するペナルティです。
納付すべき税額の50万円までは15%、50万円を超える部分は20%が加算されます。ただし、税務署の調査を受ける前、自主的に期限後申告をした場合には、5%の加算に軽減されます。
なお、以下の要件に該当する場合は、期限後申告であっても加算税は課せられません。
- 期限後申告が、法定申告期限から1ヵ月以内に自主的に行われている
- 期限内申告をする意思があったと認められる一定の場合に該当する
不納付加算税
不納付加算税とは、源泉徴収額の徴収額について、法定納期限までに納付されない場合のペナルティです。1日でも期限に遅れると課されます。
納期限を過ぎたあと、自主的な納付をしたときには5%、税務署の指摘があってから納付したときには10%の追加納付が必要です。
ただし、正当な理由がある場合、および納付する意思があったと認められる場合で法定納期限から1ヵ月以内に納付した場合は課税されません。
参考:国税庁 源泉所得税の不納付加算税の取扱いについて(事務運営指針)
重加算税
「過少申告加算税」「無申告加算税」「不納付加算税」が課せられる場合で、偽装や隠蔽などを行ったとき、それぞれの加算税に代えて課せられる附帯税です。
例えば、二重帳簿の作成や帳簿書類の破棄、改ざんをした場合などがあげられます。過少申告加算税と不納付加算税に代えて35%、無申告加算税に代えて40%の税率で加算されます。
参考:国税庁 源泉所得税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)
経費は正しく計上しよう
経費は事業に関連し、売上を得るために支出した費用を指します。人件費や交際費、消耗品費など幅広く認められますが、プライベートに使用した費用など、経費に当たらない支出を計上しないよう注意が必要です。
確定申告の過少申告や無申告ではペナルティが課せられ、偽装などが発覚したときは重加算税が課せられることにもなります。経費は正しく計上することを心がけましょう。
よくある質問
経費とは?
事業を行うために使用した費用のことです。詳しくはこちらをご覧ください。
経費にできる費用はどんなもの?
人件費や交際費、消耗品費など事業に関連した支出であれば広く経費に計上できます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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