- 更新日 : 2026年1月27日
倒産防止共済の仕訳と勘定科目は?損金算入に必要な書類は?
中小企業のような規模の小さい事業者は、取引先の倒産などのあおりを受け、急激に経営状況が悪化し、連鎖的に倒産の危機に見舞われることがあります。このような状況を防止するため、中小企業倒産防止共済法に基づく救済制度のひとつ「中小企業倒産防止共済」が設けられています。
この記事では、倒産防止共済の仕訳や勘定科目、共済金の借り入れを行った場合の仕訳、法人税法上の損金に算入するときに必要な書類について解説していきます。
倒産防止共済とは
倒産防止共済の正式名称は「中小企業倒産防止共済制度」です。通称「経営セーフティ共済」と呼ばれており、倒産を防ぐセーフティネットとして広く知られています。
中小企業倒産防止共済制度は中小企業を対象にした共済制度です。卸売業の場合は資本金1億円以下または常時使用の従業員数100人以下など、一定以下の規模にある中小企業者が加入できます。
法的整理や取引停止処分など、取引先が倒産したと判断される場合、無担保・無保証人で掛金の最大10倍(上限8,000万円)までの借り入れが可能です。また取引先の倒産がなかった場合でも、一時貸付として解約手当金95%相当額を上限に事業資金の貸付を受けられます。
連鎖的な倒産や経営難防止を目的としているため、取引先の倒産により売掛金などの債権回収が不能となったときは、取引状況の確認次第、すぐに貸付を受けられます。
倒産防止共済の仕訳
倒産防止共済の掛金は、月額5,000円~200,000円の間で5,000円刻みごとに自由に選択できます。掛金を払い込む際には仕訳を行う必要がありますが、経費に組み込むか否かで仕訳の仕方が異なります。
また、倒産防止共済に関わる仕訳については、掛金支払いのほかに、解約を行った場合、共済を利用して貸付を受けた場合の会計処理のパターンが考えられます。それぞれの取引ごとに、仕訳例や使用する勘定科目を見ていきましょう。
掛金を資産計上する場合
まず、倒産防止共済掛金を資産に計上する方法です。資産計上するときは、「保険積立金」などの勘定科目を使用します。
倒産防止共済掛金は換金性が高い掛金の支払いであるため、資産計上を行うことが認められます。掛金を12カ月以上払い込んでいる場合は総額の8割以上、さらに、40カ月以上払い込んでいる場合は全額が解約手当金として受け取れます。
12カ月未満で解約した場合には返還金はありませんが、長期契約を前提とした制度であり掛金が戻ってくる可能性が高いことから、会計上は資産計上とするのが合理的と考えられます。倒産防止共済掛金を資産計上する場合、以下のような仕訳を行います。
(例)倒産防止共済の掛金として月額掛金の50,000円を普通預金より支払った。
掛金を資産計上しない場合
倒産防止共済掛金を資産計上せず、「保険料」などの費用に分類される勘定科目で処理する方法もあります。倒産防止共済掛金は、法人税法上においては損金算入が、所得税法上においては必要経費への計上が認められているためです。
資産計上を行った場合で損金に算入したいときは税務調整が必要になりますので、会計処理上も税務処理に合わせて、費用に計上することがあります。
(例)倒産防止共済の掛金として月額掛金の50,000円を普通預金より支払った。
倒産防止共済を解約した場合
倒産防止共済を解約した場合の仕訳は、掛金の資産計上の有無によって仕訳の仕方が変わってきます。
倒産防止共済掛金を資産計上しているときは、次のような仕訳が必要です。
(例)倒産防止共済の解約により、解約手当金250万円(月額50,000×50カ月分)について普通預金に振込があった。
解約手当金 (月額掛金50,000×50カ月分) | ||||
掛金を資産計上している場合は、保険積立金として積み立てている額が返還されたと考えますので、資産計上額を減額する会計処理を行います。
一方、倒産防止共済掛金を資産計上していないときは、次のような仕訳を行います。
(例)倒産防止共済の解約により、解約手当金250万円(月額50,000×50カ月分)について普通預金に振込があった。
解約手当金 (月額掛金50,000×50カ月分) | ||||
このケースでは、積立金として計上した資産が存在しないため、解約手当金の全額を雑収入として扱います。
なお、資産計上している企業で、税務調整により掛金分を損金算入している場合は解約手当金分を、法人税法上は益金として調整する必要がある点に注意が必要です。
共済金を借り入れた場合
倒産防止共済を利用して貸付を受けた場合の仕訳は、金融機関などからお金を借り入れた際の仕訳と同様です。次の仕訳例のように「借入金」の勘定科目を使用して貸付利用額を負債科目として処理します。また、返済期間中に利息を支払ったときは「支払利息」勘定を用いて費用を支払った仕訳を行います。
(例)取引先のC社倒産による売上債権回収不能の見込みを受け、倒産防止共済を利用して100万円の貸付を申し込み、普通預金に申し込み分の入金を受けた。
(C社倒産による売掛債権回収不能見込みのため) | ||||
損金算入に必要な書類
倒産防止共済の掛金は、法人の場合は損金算入が、個人事業主の場合は必要経費への算入ができますが、これらの算入を行うには一定の手続きが必要です。
法人が掛金分を損金算入する際には次の書類に必要事項を記入し、確定申告書に添付する必要があります。
【掛金の損金算入に必要な書類(法人)】
- 特定の基金に対する負担金等の損金算入に関する明細書(別表10(7))
- 「適用額明細書」への記入(租税特別措置法の条項、区分番号、適用額)
なお、掛金を資産計上している法人が、掛金の損金算入をするときは、上記の必要書類を添付するとともに、損金算入による税務調整が必要となります。
一方、個人事業主が掛金を必要経費に算入したい場合は、次の書類に必要事項を記入し、確定申告書に添付しなければなりません。
【掛金の必要経費算入に必要な書類(個人)】
- 特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書
個人の場合は法人のような税務調整がないことから、掛金を必要経費としたい場合は、資産計上せず、費用に計上する会計処理を行う必要があります。
倒産防止共済の掛金の取り扱いに注意しよう
倒産防止共済の掛金は、一定の手続きを条件に損金算入や必要経費への算入が認められています。仕訳の時点で費用として計上する方法もありますが、解約時には掛金が返還される可能性が高いことから資産として計上する方法も認められています。
なお、掛金を資産計上した法人が、税務上において損金に算入したい場合には税務調整が必要です。確定申告時には別途手続きが必要ですので、仕訳の仕方や税法上の扱いについてよく確認しておきましょう。
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よくある質問
倒産防止共済の仕訳はどうすればいい?
倒産防止共済の掛金の仕訳については、資産計上する方法と費用計上する方法の二通りがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
損金算入に必要な書類には何がある?
確定申告書に「特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書」の添付に加え、法人の場合は「適用額明細書」の特定箇所への記入が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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