- 更新日 : 2024年8月8日
倒産防止共済の仕訳と勘定科目は?損金算入に必要な書類は?
中小企業のような規模の小さい事業者は、取引先の倒産などのあおりを受け、急激に経営状況が悪化し、連鎖的に倒産の危機に見舞われることがあります。このような状況を防止するため、中小企業倒産防止共済法に基づく救済制度のひとつ「中小企業倒産防止共済」が設けられています。
この記事では、倒産防止共済の仕訳や勘定科目、共済金の借り入れを行った場合の仕訳、法人税法上の損金に算入するときに必要な書類について解説していきます。
倒産防止共済とは
倒産防止共済の正式名称は「中小企業倒産防止共済制度」です。通称「経営セーフティ共済」と呼ばれており、倒産を防ぐセーフティネットとして広く知られています。
中小企業倒産防止共済制度は中小企業を対象にした共済制度です。卸売業の場合は資本金1億円以下または常時使用の従業員数100人以下など、一定以下の規模にある中小企業者が加入できます。
法的整理や取引停止処分など、取引先が倒産したと判断される場合、無担保・無保証人で掛金の最大10倍(上限8,000万円)までの借り入れが可能です。また取引先の倒産がなかった場合でも、一時貸付として解約手当金95%相当額を上限に事業資金の貸付を受けられます。
連鎖的な倒産や経営難防止を目的としているため、取引先の倒産により売掛金などの債権回収が不能となったときは、取引状況の確認次第、すぐに貸付を受けられます。
倒産防止共済の仕訳
倒産防止共済の掛金は、月額5,000円~200,000円の間で5,000円刻みごとに自由に選択できます。掛金を払い込む際には仕訳を行う必要がありますが、経費に組み込むか否かで仕訳の仕方が異なります。
また、倒産防止共済に関わる仕訳については、掛金支払いのほかに、解約を行った場合、共済を利用して貸付を受けた場合の会計処理のパターンが考えられます。それぞれの取引ごとに、仕訳例や使用する勘定科目を見ていきましょう。
掛金を資産計上する場合
まず、倒産防止共済掛金を資産に計上する方法です。資産計上するときは、「保険積立金」などの勘定科目を使用します。
倒産防止共済掛金は換金性が高い掛金の支払いであるため、資産計上を行うことが認められます。掛金を12カ月以上払い込んでいる場合は総額の8割以上、さらに、40カ月以上払い込んでいる場合は全額が解約手当金として受け取れます。
12カ月未満で解約した場合には返還金はありませんが、長期契約を前提とした制度であり掛金が戻ってくる可能性が高いことから、会計上は資産計上とするのが合理的と考えられます。倒産防止共済掛金を資産計上する場合、以下のような仕訳を行います。
(例)倒産防止共済の掛金として月額掛金の50,000円を普通預金より支払った。
掛金を資産計上しない場合
倒産防止共済掛金を資産計上せず、「保険料」などの費用に分類される勘定科目で処理する方法もあります。倒産防止共済掛金は、法人税法上においては損金算入が、所得税法上においては必要経費への計上が認められているためです。
資産計上を行った場合で損金に算入したいときは税務調整が必要になりますので、会計処理上も税務処理に合わせて、費用に計上することがあります。
(例)倒産防止共済の掛金として月額掛金の50,000円を普通預金より支払った。
倒産防止共済を解約した場合
倒産防止共済を解約した場合の仕訳は、掛金の資産計上の有無によって仕訳の仕方が変わってきます。
倒産防止共済掛金を資産計上しているときは、次のような仕訳が必要です。
(例)倒産防止共済の解約により、解約手当金250万円(月額50,000×50カ月分)について普通預金に振込があった。
解約手当金 (月額掛金50,000×50カ月分) | ||||
掛金を資産計上している場合は、保険積立金として積み立てている額が返還されたと考えますので、資産計上額を減額する会計処理を行います。
一方、倒産防止共済掛金を資産計上していないときは、次のような仕訳を行います。
(例)倒産防止共済の解約により、解約手当金250万円(月額50,000×50カ月分)について普通預金に振込があった。
解約手当金 (月額掛金50,000×50カ月分) | ||||
このケースでは、積立金として計上した資産が存在しないため、解約手当金の全額を雑収入として扱います。
なお、資産計上している企業で、税務調整により掛金分を損金算入している場合は解約手当金分を、法人税法上は益金として調整する必要がある点に注意が必要です。
共済金を借り入れた場合
倒産防止共済を利用して貸付を受けた場合の仕訳は、金融機関などからお金を借り入れた際の仕訳と同様です。次の仕訳例のように「借入金」の勘定科目を使用して貸付利用額を負債科目として処理します。また、返済期間中に利息を支払ったときは「支払利息」勘定を用いて費用を支払った仕訳を行います。
(例)取引先のC社倒産による売上債権回収不能の見込みを受け、倒産防止共済を利用して100万円の貸付を申し込み、普通預金に申し込み分の入金を受けた。
(C社倒産による売掛債権回収不能見込みのため) | ||||
損金算入に必要な書類
倒産防止共済の掛金は、法人の場合は損金算入が、個人事業主の場合は必要経費への算入ができますが、これらの算入を行うには一定の手続きが必要です。
法人が掛金分を損金算入する際には次の書類に必要事項を記入し、確定申告書に添付する必要があります。
【掛金の損金算入に必要な書類(法人)】
- 特定の基金に対する負担金等の損金算入に関する明細書(別表10(7))
- 「適用額明細書」への記入(租税特別措置法の条項、区分番号、適用額)
なお、掛金を資産計上している法人が、掛金の損金算入をするときは、上記の必要書類を添付するとともに、損金算入による税務調整が必要となります。
一方、個人事業主が掛金を必要経費に算入したい場合は、次の書類に必要事項を記入し、確定申告書に添付しなければなりません。
【掛金の必要経費算入に必要な書類(個人)】
- 特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書
個人の場合は法人のような税務調整がないことから、掛金を必要経費としたい場合は、資産計上せず、費用に計上する会計処理を行う必要があります。
倒産防止共済の掛金の取り扱いに注意しよう
倒産防止共済の掛金は、一定の手続きを条件に損金算入や必要経費への算入が認められています。仕訳の時点で費用として計上する方法もありますが、解約時には掛金が返還される可能性が高いことから資産として計上する方法も認められています。
なお、掛金を資産計上した法人が、税務上において損金に算入したい場合には税務調整が必要です。確定申告時には別途手続きが必要ですので、仕訳の仕方や税法上の扱いについてよく確認しておきましょう。
よくある質問
倒産防止共済の仕訳はどうすればいい?
倒産防止共済の掛金の仕訳については、資産計上する方法と費用計上する方法の二通りがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
損金算入に必要な書類には何がある?
確定申告書に「特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書」の添付に加え、法人の場合は「適用額明細書」の特定箇所への記入が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
後入先出法とは?廃止理由やメリット、計算例などわかりやすく解説!
後入先出法とは在庫金額の計算方法の一つで、「新しく仕入れた商品から出庫して売れたことにし、古く仕入れた商品は在庫として残る」という考え方に基づいて在庫を計上する方法のことです。 後入先出法は平成22年4月1日以降開始する事業年度から廃止され…
詳しくみる工具器具備品とは?金額別の減価償却方法も解説!
工具器具備品勘定は、工具や家具、事務機器などを資産として計上する勘定科目です。貸借対照表の資産の部の固定資産の内訳として表示されます。 工具器具備品は資産として計上する 1個または1組の取得価額が10万円以上の工具、器具、備品については、工…
詳しくみる株式移転の仕訳や会計処理とは?親会社・子会社・株主別にわかりやすく解説
会社の組織再編やグループ経営の強化を目的として「株式移転」という方法が使われることがあります。この株式移転には複雑な会計処理がともなうため、経理や財務の現場では正しい仕訳の理解が欠かせません。 この記事では、株式移転の基本的な考え方から、親…
詳しくみる研修費を経費にする場合の勘定科目と仕訳例まとめ
講習やセミナーなど、仕事の研修に関わる費用を研修費といいます。研修に関わる費用を支出した場合、どのような勘定科目で処理するのが適切なのでしょうか。研修費用で使われる勘定科目と仕訳例、研修費用を経費に計上できないケースについて解説します。 研…
詳しくみる督促手数料の仕訳と勘定科目の解説
住民税の納付が遅れた場合、地方自治体から督促手数料を請求される場合があります。督促手数料は経費(損金)として処理してもよいものなのか、判断に迷われる方もいるでしょう。結論をいうと、督促手数料は損金に算入しても問題ありません。今回は督促手数料…
詳しくみる支払利息とはどんな勘定科目?仕訳まで解説
支払利息とは、ローンや借入金の返済で利子を支払う際の勘定科目です。会計上は経費にカウントされるため、所得税や法人税の節税につながります。もとの借入金は負債に該当し、会計上は支払利息と別個に考えるのが重要なポイントです。 借入金の返済期限が1…
詳しくみる会計の注目テーマ
- 勘定科目 消耗品費
- 国際会計基準(IFRS)
- 会計帳簿
- キャッシュフロー計算書
- 予実管理
- 損益計算書
- 減価償却
- 総勘定元帳
- 資金繰り表
- 連結決算
- 支払調書
- 経理
- 会計ソフト
- 貸借対照表
- 外注費
- 法人の節税
- 手形
- 損金
- 決算書
- 勘定科目 福利厚生
- 法人税申告書
- 財務諸表
- 勘定科目 修繕費
- 一括償却資産
- 勘定科目 地代家賃
- 原価計算
- 税理士
- 簡易課税
- 税務調査
- 売掛金
- 電子帳簿保存法
- 勘定科目
- 勘定科目 固定資産
- 勘定科目 交際費
- 勘定科目 税務
- 勘定科目 流動資産
- 勘定科目 業種別
- 勘定科目 収益
- 勘定科目 車両費
- 簿記
- 勘定科目 水道光熱費
- 資産除去債務
- 圧縮記帳
- 利益
- 前受金
- 固定資産
- 勘定科目 営業外収益
- 月次決算
- 勘定科目 広告宣伝費
- 益金
- 資産
- 勘定科目 人件費
- 予算管理
- 小口現金
- 資金繰り
- 会計システム
- 決算
- 未払金
- 労働分配率
- 飲食店
- 売上台帳
- 勘定科目 前払い
- 収支報告書
- 勘定科目 荷造運賃
- 勘定科目 支払手数料
- 消費税
- 借地権
- 中小企業
- 勘定科目 被服費
- 仕訳
- 会計の基本
- 勘定科目 仕入れ
- 経費精算
- 交通費
- 勘定科目 旅費交通費
- 電子取引
- 勘定科目 通信費
- 法人税
- 請求管理
- 勘定科目 諸会費
- 入金
- 消込
- 債権管理
- スキャナ保存
- 電子記録債権
- 入出金管理
- 与信管理
- 請求代行
- 財務会計
- オペレーティングリース
- 新リース会計
- 購買申請
- ファクタリング
- 償却資産
- リース取引