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  • 更新日 : 2026年1月27日

勘定科目「寄付金」とは?仕訳例や法人・個人ごとのポイントを解説

監修:並木 一真(税理士/1級FP技能士/相続診断士/事業承継・M&Aエキスパート)
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寄付金は、組織や団体に寄付した金額、あるいは寄付した資産の評価額のことです。しかし、寄付金といっても、名目上の寄付金であって、実態は寄付金といえないものもあります。法人や個人事業主が寄付をしたとき、どのように仕訳するのが正しいのでしょうか。この記事では、寄付金で使われる勘定科目、法人税や消費税での寄付金の扱いについて解説していきます。

目次

  • 寄付金とは
  • 寄付金の分類
    • 国や地方公共団体への寄付金・指定寄付金
    • 特定公益増進法人などへの特定寄付金
    • その他の寄付金
  • 寄付金の仕訳例
    • 寄付金の基本的な仕訳
    • 広告宣伝費として仕訳する場合
    • 交際費として仕訳する場合
  • 寄付金は課税される?
  • 個人事業主の場合
    • 寄付金を受け取った場合
    • 寄付金を支払った場合
  • 法人なら損益算入、個人は所得控除の適用を確認しよう

寄付金とは

寄付金とは、個人や法人が、組織や団体に無償で譲渡される金銭や資産を指します。拠出金や見舞金、協賛金などの名目が使われることもあります。「寄附金」という表記もありますが、寄附は法令などで使われる言葉であって、意味は寄付金と変わりません。

ほかに、寄付と似たような意味をもつのが、「贈与」です。資産を無償で譲渡するという意味では、寄付金と贈与は似ています。異なるのは、契約の有無、そして資産を譲渡する対象です。

まず、契約の有無ですが、寄付には双方の同意は必要ありません。一方、贈与は双方の同意を必要とし、契約の上に成り立ちます。

また、寄付は、個人から組織や団体(多くは非営利組織)、あるいは法人から組織や団体(多くは非営利組織)を対象にしたものです。贈与は、基本的には、個人から個人、あるいは法人から個人、など寄付に該当しない、資産の無償譲渡を指します。

寄付金の分類

どの組織や団体に寄付したかで、寄付金はいくつかに分類できます。ここでは、法人税法上の損金算入の区分ごとに、寄付金の分類と損金算入、所得税との違いを解説していきます。

国や地方公共団体への寄付金・指定寄付金

国や地方公共団体への寄付とは、国や地方公共団体の運営する、国公立学校、図書館など対象とした寄付のことです。また震災などの義援金のうち、国や地方公共団体への直接の寄付も該当します。

指定寄付金とは、財務大臣が指定した組織や団体への寄付をいいます。指定寄付金に該当するのは、公益性と緊急性が高い一般に広く募集されている寄付金です。学校法人の教育研究、オリンピック開催、国宝修復などが指定寄付金にあたります。

法人税法上は、国や地方公共団体、財務大臣指定の団体に寄付した場合、その全額を損金(法人税法計算上の経費)として算入できます。国や地方公共団体に関する寄付のうち、「認定地方公共団体のまち・ひと・しごと創生寄附活用事業」(企業版ふるさと納税ともいう)に該当するものは、全額を損金算入できるだけでなく、一定額の税額控除が可能です。

個人事業主が、国や地方公共団体、指定の組織や団体に寄付したときは、特定寄付金として所得控除できます。(※個人事業主については「個人事業主の場合」の見出しで解説)

特定公益増進法人などへの特定寄付金

以下に該当する寄付金については、法人税法上「特定寄付金」として、一般の寄付金(その他の寄付金に該当するもの)とは別枠で計算します。

  • 特定公益増進法人への寄付
  • 特定公益信託の信託財産とするための寄付
  • 認定NPO法人などへの寄付

特定公益増進法人とは、公益社団法人、公益財団法人、日本赤十字社、自動車安全運転センターのほか、法律に規定された独立行政法人、学校法人、社会福祉法人などをいいます。

特定公益信託とは、財務大臣などの認定する、公的活動を支援する目的をもった信託のことです。公益信託は、一旦、信託銀行に信託財産として預入が行われたのち、指定の目的に使用されます。

認定NPO法人とは、営利を目的としないNPO法人のうち、所轄庁に認定された公益性の高いNPO法人のことです。

上記のいずれかの組織または団体に対する寄付は、以下の計算において、いずれか少ないほうの損金算入が認められます。


1. 特定公益増進法人、特定公益信託、認定NPO法人への寄付金の合計額
2. (資本金等×当期の月数÷12×0.375%+所得金額×6.25%)×1/2

上記の計算で超過した額については、超過額を別枠の一般の寄付金の額に含めて損金算入できる額を計算します。

個人事業主が、特定公益増進法人などに寄付したときは、特定寄付金として所得控除または税額控除が可能です。(※個人事業主については「個人事業主の場合」の見出しで解説)

その他の寄付金

上記のいずれにも該当しないその他の寄付金は、一般寄付金として処理します。資本金や出資金のある一般法人において、損金算入できる限度額は以下のように定められており、超過する分は損金算入できません。

(資本金等×0.25%+所得金額2.5%)×1/4

 

個人に関しては、その他の寄付金のうち、政治活動に関する寄付金についてのみ特定寄付金として所得控除、あるいは税額控除が受けられます。

寄付金の仕訳例

寄付金は、会計上どのように処理するのが適切なのでしょうか。勘定科目を使った寄付金の仕訳例を交え解説します。

寄付金の基本的な仕訳

一般的に寄付金とされるもののうち、事業に関係のない相手に対して、見返りを求めない資産の譲渡を行ったとき、「寄付金」の勘定科目を使って処理します。国や地方公共団体、公益社団法人など、上記で説明した公益性の高い事業への寄付が「寄付金」の代表例としてはイメージしやすいでしょう。

(例)公益社団法人に現金100万円を寄付した。

借方
貸方
寄付金
1,000,000円
現金
1,000,000円

また、法人や個人事業主は、協賛金や寄贈などの名目で、地域で開催されるお祭りに対して支出することもあります。以下の仕訳例のように、お祭り開催のために支出した場合で、事業の宣伝、取引先との関係強化などにあたらず、地域との関係を築くために行われたものであれば、使用する勘定科目は「寄付金」です。

(例)お祭りに際し神社に現金10万円を寄贈した。

借方
貸方
寄付金
100,000円
現金
100,000円

広告宣伝費として仕訳する場合

寄付金や協賛金などの名目であっても、宣伝性の強いものであれば、「寄付金」ではなく、「広告宣伝費」として処理します。たとえば、以下の仕訳例のように、寄付額に応じて社名や商品をアピールできるなど、支出額に応じた相応の対価(ここでは宣伝)がある場合です。

(例)イベントの協賛金として10万円を現金で支払った。なお、イベントで配布されるパンフレットには、協賛金の額に応じた会社の宣伝枠が設けられている。

借方
貸方
広告宣伝費
100,000円
現金
100,000円

交際費として仕訳する場合

寄付金と同じ無償での資産の譲渡であっても、事業に関係のある取引先などが相手だった場合、「寄付金」では処理しません。接待交際費(交際費)として扱います。譲渡することによって、相手との関係が強化されるなど見返りが期待できるからです。

事業に直接関係がある場合はもちろん、間接的にでも関係がある場合は、相手との関係を維持・強化するためと考えられますので、交際費として扱います。

協賛金であっても、主催者が取引先であり、取引先に対して協賛金として支出するのであれば、交際費です。

(例)取引先主催のイベントの協賛金として10万円を支出した。

借方
貸方
接待交際費
100,000円
現金
100,000円

以上のように、名目が「寄付金」、あるいは寄付金に類似するようなものであっても、あくまでも重視されるのはその内容です。内容が寄付金と判断できないものは、広告宣伝費や接待費交際費など、別の勘定科目で処理することもあります。

寄付金は課税される?

寄付金は対価を求めない資産の譲渡であるため、消費税は不課税(対象外)の扱いとなります。ただし、購入した物品を寄付した場合は、購入したものの代金について課税仕入れとなりますので注意しましょう。

寄付金の法人税上の扱いについては、寄付金の分類でも説明したとおり、寄付の対象によって、損金算入額が変わります。国や地方公共団体、指定寄付金は全額損金算入が認められますが、公益増進法人などへの寄付は一部のみ損金算入が可能です。さらに一般の寄付は、公益増進法人に対する寄付より損金算入が制限されるため、それぞれの上限を把握しておく必要があります。

なお、寄付金の扱いについてよく問題になるのが、低廉譲渡です。低廉譲渡とは、時価などの公正な評価額よりも低い額で資産譲渡を指しており、同じグループ内の会社間で資産譲渡をする際などに行われます。

低廉譲渡と判断された場合は、譲渡の対価(資産の譲渡により受け取った額)で処理するのではなく時価で取引したとみなし、時価と譲渡対価の差額を寄付金で処理しなければなりません。低廉譲渡により、損金算入に制限のある寄付金が増加すると、損金算入限度額の超過により法人税額が増える可能性があります。低廉譲渡にあたる取引は慎重に検討する必要があるでしょう。

個人事業主の場合

個人事業主が、寄付金を受け取った場合、寄付金を支払った場合について、それぞれ解説します。

寄付金を受け取った場合

個人事業主が、個人から金銭や物品を無償で受け取った場合、名目が寄付であっても、税法上は贈与として扱い、贈与を受けた額に応じて贈与税の申告をします。年間を通じて基礎控除額の110万円を超えた財産の寄付を受けたなら、贈与税の申告が必要です。なお、贈与として処理される財産の譲渡は、所得税の計算においては収入に計上しません。

個人事業主が、法人から金銭や物品の寄付を受けたときは、贈与ではなく、所得として扱います。ただし、事業所得ではなく、一時所得の扱いになる点に注意が必要です。寄付を受けた額から特別控除額(最高50万円)を差し引き後に残額があれば、所得税の課税対象となります。

寄付金を支払った場合

個人事業主が支出した特定寄付金は、寄附金控除として所得控除の対象となります。

寄附金控除=年中に支出した特定寄付金の合計-2,000円

特定寄付金には、以下に対する寄付金が該当します。

(1)国や地方公共団体
(2)指定寄付金
(3)特定公益増進法人
(4)認定NPO法人
(5)政党若しくは政治資金団体

また(3)~(5)は税額控除となる寄附金特別控除も選択可能です。税額控除額はそれぞれ以下の通りに定められています。

(3)寄付金額-2,000円×30%
(4)寄付金額-2,000円×40%
(5)寄付金額-2,000円×40%

なお、寄附金控除と寄附金特別控除はどちらか一方しか選べません。所得控除と税額控除のどちらが有利かを計算して選択するとよいでしょう。

法人なら損益算入、個人は所得控除の適用を確認しよう

寄付金は、法人と個人で税に関する制度が異なります。特に、寄付金を支出した場合は寄付先によって計算が変わるため、注意が必要です。法人はほぼすべての寄付を損益算入できますが、参入額には限度があります。また個人では寄付金を経費にできず、特定寄付金に該当する場合のみ所得控除または税額控除が適用されます。寄付をする場合は、年間の合計額、支出先などもよく管理し、税額を意識した寄付を行うとよいでしょう。

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よくある質問

寄付金とは?

個人や法人が、組織や団体に対して無償で譲渡した資産の額、または評価額をいいます。詳しくはこちらをご覧ください。

寄付金の3つの分類は?

寄付金の3つの分類は? 詳しくはこちらをご覧ください。

寄付金は課税される?

消費税は不課税(対象外)です。法人税法上は、寄付金の分類によって損金算入に制限があります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
  • 監修:並木 一真(税理士/1級FP技能士/相続診断士/事業承継・M&Aエキスパート)

    並木一真税理士事務所所長
    会計事務所勤務を経て2018年8月に税理士登録。現在、地元である群馬県伊勢崎市にて開業し、法人税・相続税・節税対策・事業承継・補助金支援・社会福祉法人会計等を中心に幅広く税理士業務に取り組んでいる。

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