- 更新日 : 2026年4月22日
繰り越しヘッジ損益とは?デリバティブの定義から解説!
繰延ヘッジ損益勘定は、先物取引やオプション取引といったデリバティブについて、期末時点での時価評価による差額を翌期以降に繰り延べるときに使用する勘定科目です。
財務諸表では、貸借対照表の純資産の部の評価・換算差額等として表示されます。
目次
デリバティブとは
デリバティブは金融派生商品ともいい、先物取引やオプション取引などをさします。これらの取引は、特定の金利や有価証券・商品の価格、外国為替相場などの変動によって価値が変動します。
企業がデリバティブによる取引を行う場合には、次の目的があります。
・少ない額の投資から多額のリターンを得る。
・市場価値に比べて割安・割高である金融商品の売買を通じて利益を得る。
デリバティブは期末で時価評価する
デリバティブは期末で時価評価を行い、原則として評価差額を当期の損益に計上します。
ただし、ヘッジ会計を適用する場合は評価差額を翌期以降に繰り延べることができます。具体的には、特定の金利や有価証券・商品の価格、外国為替相場などの変動による損益を相殺する取引において評価差額を繰り延べることができます。
ヘッジ会計およびデリバティブの評価差額の繰り延べについては、次の章でご紹介します。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
続いてこちらのセクションでは、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを簡単に紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
AI活用の教科書
経理・人事・経営企画といった企業の基幹業務における具体的なユースケースをご紹介。
さらに、誰もが均質な成果を出せる「プロンプトのテンプレート化」や、安全なガバナンス構築など、個人利用から企業としての本格活用へステップアップするためのノウハウを凝縮しました。
新リース会計基準と主要論点が丸わかり!対応ガイドブック
リース会計基準の変更は、会社全体や財務諸表など影響範囲は想像以上に広いことが想定されます。
本ガイドでは、新旧リース会計基準の概要から、新リース会計基準の対象範囲、リース期間などの基本的ではあるものの重要な論点についてご紹介します。
経理担当者向け!Chat GPTの活用アイデア・プロンプトまとめ12選
債権管理担当者や経理担当者がChat GPTをどのように活用できるか、主なアイデアを12選まとめた人気のガイドです。
プロンプトと出力内容も掲載しており、コピペで簡単に試すことも可能です。お手元における保存版としてでだけでなく、従業員への印刷・配布用としてもぜひご活用ください。
経理担当者向け!Excel関数集 まとめブック
経理担当者の方をはじめ、ビジネスパーソンが知っておきたい便利なExcel関数集を初級~上級までギュッと網羅。
新人社員の研修用などにもお使いいただけます。Google スプレッドシートならではの関数もご紹介しています。
繰延ヘッジ損益はデリバティブの評価差額の繰り延べに使用
デリバティブのうちヘッジ会計の要件を満たしているものは、ヘッジ会計を適用することで、デリバティブの評価差額を翌期以降に繰り延べることができます。
ヘッジ会計とは、ヘッジ対象とヘッジ手段の損益の計上のタイミングを合わせるための会計処理のことです。
ここでヘッジ対象とは、特定の金利や有価証券・商品の価格、外国為替相場などをさします。ヘッジ対象の価格変動による影響を抑えるため、ヘッジ対象とは逆方向の価格変動をする金融商品を取引することがあります。
この金融商品をヘッジ手段と呼び、デリバティブはヘッジ手段として広く活用されています。
ヘッジ手段であるデリバティブは毎期時価評価を行いますが、ヘッジ対象である有価証券・商品などについては毎期時価評価が行われるとは限りません。
そこで、ヘッジ対象とヘッジ手段の損益の計上のタイミングを合わせることを目的に、ヘッジ手段であるデリバティブの評価差額を翌期以降に繰り延べる会計処理(ヘッジ会計)が行われます。
繰延ヘッジ損益は、ヘッジ会計の要件を満たすデリバティブの時価評価の評価差額を翌期以降に繰り延べるための勘定科目です。
商品先物取引の例
繰延ヘッジ損益について具体的にイメージしやすいように、商品先物取引を例にあげて説明します。
(例)A社は01年度に商品を購入しました。同時に、商品の価格変動による影響を抑えるため、商品とは逆方向の値動きをする先物取引の契約を締結しました。02年度に商品を販売し、同時に先物取引を決済しました。
01年度の取引開始時、01年度末および02年度の商品販売時における、商品と先物取引の価格は次のとおりとします。
ヘッジ会計を適用しない場合
■01年度末
商品は時価評価を行いません。一方、先物取引は時価評価して評価損30を当期の損失として計上します。
■02年度商品販売時
商品については取引開始から商品販売までの累計の利益60を計上します。一方、先物取引は02年度において発生した損失10を計上します。
| 01 年度取引開始時 | 01 年度末 | 取引開始時からの増減 | 02 年度商品販売時 | 01 年度末からの増減 | |
|---|---|---|---|---|---|
| ヘッジ対象:商品 | 300 | 350 | 50 | 360 | 10 |
| ヘッジ手段:先物取引 | 300 | 270 | △ 30 | 260 | △ 10 |
ヘッジ対象である商品とヘッジ手段である先物取引の損益計上のタイミングは合っていません。
ヘッジ会計を適用する場合
■01年度末
商品は時価評価を行いません。先物取引は時価評価しますが、評価損30は繰延ヘッジ損益として繰り延べ、損益計上はしません。
■02年度商品販売時
商品と先物取引の双方について、取引開始から商品販売までの累計の損益(商品は利益60、先物取引は損失40)を計上します。01年度に計上した繰延ヘッジ損益は戻し入れます。
ヘッジ会計を適用することで、ヘッジ対象とヘッジ手段の損益計上のタイミングが一致します。
上記の計上方法のほか、ヘッジ対象である商品について毎期時価評価を行う方法がありますが、繰延ヘッジ損益勘定とは関係がないため、ここでの説明は省略します。
ヘッジ会計を適用するための要件
ヘッジ会計を適用するためには、事前テストと事後テストを行い、それらの両方をクリアしなければなりません。
事前テストでは、主にヘッジ会計を適用するための業務体制が整っているかをチェックします。事後テストでは、ヘッジ取引の値動きとヘッジ対象の値動きが相殺されて、リスクを低下させているかどうかを継続的にチェックします。
事後テストの結果、ヘッジ会計が有効に機能していないと判断された場合は、ヘッジ会計を中止します。ヘッジ手段の評価差額は毎期の損益として計上し、繰延ヘッジ損益として繰り延べることはできません。
ただし、ヘッジ会計を中止するまでに計上していた繰延ヘッジ損益の残額は、売却などによってヘッジ対象の損益が認識されるまでそのまま繰り延べます。
まとめ
繰延ヘッジ損益は、デリバティブの期末時点での評価差額を翌期以降に繰り延べるときの勘定科目です。
デリバティブは特殊な金融商品であり、取引を行うときには専門家のアドバイスを受けることが欠かせません。また、期末の評価差額を繰り延べて繰延ヘッジ損益を計上する場合も高度な判断が必要となるため、公認会計士や税理士など会計の専門家の助言を得るようにしましょう。
関連記事
・法人税の課税対象と時価会計の関係
・譲渡所得の改正の内容は?
・繰延税金負債
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
最後に、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料を紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
電子帳簿保存法 徹底解説(2025年10月 最新版)
電子帳簿保存法は、1998年の制定以降、これまでに何度も改正を重ねてきました。特に直近数年は大きな改正が続いた上に、現在も国税庁による一問一答の追加・改定が続いており、常に最新情報の把握が必要です。
70P以上にわたるボリュームであることから、ダウンロードいただいた方から大好評をいただいている1冊です。
インボイス制度 徹底解説(2026年2月最新版)
インボイス制度は施行後もさまざまな実務論点が浮上し、国税庁によるQ&Aの追加・改訂が続いています。これを受けて、「結局どうすればいいのか、わからなくなってしまった」という疑問の声も多く聞かれるようになりました。
そこで、インボイス制度を改めて整理し、実務上の落とし穴や対応のヒントまで網羅的に解説した最新資料を作成しました。問題なく制度対応できているかの確認や、新人社員向けの教育用など、様々な用途にご活用いただける充実の資料です。
マネーフォワード クラウド会計Plus サービス資料
マネーフォワード クラウド会計Plusは、データの自動取得、自動仕訳、自動学習の3つの自動化で経理業務が効率化できる会計ソフトです。
仕訳承認フローや業務分担にあわせた詳細な権限設定が可能で、内部統制を強化したい企業におすすめです。
マネーフォワード クラウド経費 サービス資料
マネーフォワード クラウド経費を利用すると、申請者も承認者も経費精算処理の時間が削減でき、ペーパーレスでテレワークも可能に。
経理業務はチェック業務や仕訳連携・振込業務の効率化が実現でき、一連の流れがリモートで運用できます。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
-
# 勘定科目・仕訳
未収金(未収入金)とは?仕訳・勘定科目や決算処理、相殺の方法などを解説
未収金(未収入金)とは、商品やサービスの提供は完了しているものの、代金の支払いを受けていない債権のことです。 企業の経理担当者にとって、未収金の適切な管理は重要な業務です。本記事で…
詳しくみる -
# 勘定科目・仕訳
商標権の会計処理や仕訳方法まとめ
商標権とは商品やサービスに商標となる目印をつけて独占できる権利です。商標権を得ると、自社の商品に使われるデザインや文字などを保護できます。 商標登録をする際に支払った費用は、固定資…
詳しくみる -
# 勘定科目・仕訳
手許商品区分法の仕訳と会計処理をわかりやすく解説
手許商品区分法は手許にある商品とない商品を区分して処理する方法です。受託者に商品の販売を任せる委託販売や、試用期間を設けてから販売につなげる試用販売のときに用いられます。 手許商品…
詳しくみる -
# 勘定科目・仕訳
金利スワップの仕訳とは?勘定科目や会計処理を具体例でわかりやすく解説
企業が銀行から融資を受けるとき、将来の金利変動に備える手段として「金利スワップ」という仕組みが使われることがあります。金利スワップとは、固定金利と変動金利を交換(スワップ)すること…
詳しくみる -
# 勘定科目・仕訳
工事費に関する勘定科目・会計処理まとめ
企業の経理担当者は、工事費の勘定科目について知りたいのではないでしょうか。工事費の内訳を見ると費用の詳細が記載されているため、どのように会計処理を行えばいいのか悩みますよね。 本記…
詳しくみる -
# 勘定科目・仕訳
ノベルティを経費にする場合の仕訳に使う勘定科目まとめ
取引先や顧客に配布するノベルティを作成したときは、経費に計上できます。仕訳に使う勘定科目は、ノベルティの目的によって決めるのが一般的です。 本記事ではノベルティが経費になる場合や仕…
詳しくみる
会計の注目テーマ
- 勘定科目 消耗品費
- 国際会計基準(IFRS)
- 管理会計
- 会計帳簿
- キャッシュフロー計算書
- 予実管理
- 損益計算書
- 減価償却
- 総勘定元帳
- 資金繰り表
- 連結決算
- 支払調書
- 経理
- 会計ソフト
- 貸借対照表
- 外注費
- 法人の節税
- 手形
- 損金
- 決算書
- 勘定科目 福利厚生
- 法人税申告書
- 財務諸表
- 勘定科目 修繕費
- 一括償却資産
- 勘定科目 地代家賃
- 原価計算
- 税理士
- 簡易課税
- 税務調査
- 売掛金
- 電子帳簿保存法
- 勘定科目
- 勘定科目 固定資産
- 勘定科目 交際費
- 勘定科目 税務
- 勘定科目 流動資産
- 勘定科目 業種別
- 勘定科目 収益
- 勘定科目 車両費
- 簿記
- 勘定科目 水道光熱費
- 資産除去債務
- 圧縮記帳
- 利益
- 前受金
- 固定資産
- 勘定科目 営業外収益
- 月次決算
- 勘定科目 広告宣伝費
- 益金
- 資産
- 勘定科目 人件費
- 予算管理
- 小口現金
- 資金繰り
- 会計システム
- 決算
- 未払金
- 労働分配率
- 飲食店
- 売上台帳
- 勘定科目 前払い
- 収支報告書
- 勘定科目 荷造運賃
- 勘定科目 支払手数料
- 消費税
- 借地権
- 中小企業
- 勘定科目 被服費
- 仕訳
- 会計の基本
- 勘定科目 仕入れ
- 経費精算
- 領収書 経費精算
- 交通費
- 勘定科目 旅費交通費
- 電子取引
- 勘定科目 通信費
- 法人税
- 請求管理
- 勘定科目 諸会費
- 入金
- 消込
- 債権管理
- スキャナ保存
- 電子記録債権
- 入出金管理
- 与信管理
- 請求代行
- 財務会計
- オペレーティングリース
- 新リース会計
- 購買申請
- ファクタリング
- 償却資産
- リース取引







