- 作成日 : 2026年10月28日
NHK受信料の勘定科目は?仕訳例・経費・消費税の処理を解説
NHK受信料の勘定科目は「通信費」で処理するのが一般的です。
- 税金でないため租税公課は不適切
- 個人事業主は家事按分が必要な場合あり
- NHKはインボイス登録済みで課税仕入れ対象
Q. NHK受信料は全額経費にできますか?
A. 法人の事業所分は全額経費にできますが、個人事業主が自宅テレビで支払う受信料は事業利用分のみ家事按分して経費計上します。
NHK受信料を会社や個人事業主が支払ったとき、「どの勘定科目で仕訳すればよいのか」「経費にできるのか」と迷うことがあります。
事業で利用するテレビなどにかかるNHK受信料は、一般的には「通信費」で処理できます。企業の会計方針によっては「雑費」など別の勘定科目を使うことも可能です。
また、自宅兼事務所の個人事業主は、受信料の全額をそのまま経費にできるとは限りません。事業利用と私生活での利用が混在している場合には、家事按分も検討します。
この記事では、NHK受信料の勘定科目、具体的な仕訳例、法人・個人事業主の経費や消費税の処理などを解説します。
NHK受信料の勘定科目は何を使う?
NHK受信料の勘定科目には「通信費」を使うのが一般的です。 会計上、NHK受信料だけに使用すべき専用の勘定科目が決められているわけではありません。
NHK受信料は「通信費」で処理するのが一般的
事業用のテレビや受信設備にかかるNHK受信料は、「通信費」として仕訳する方法があります。
通信費には、電話料金やインターネット回線料金、郵送料など、情報伝達や通信に関連する支出が計上されます。NHK受信料についても、放送・配信を受信するために継続的に発生する支出という性質から、通信費にまとめて管理すると分かりやすいでしょう。
たとえば、会社の事務所や店舗、ホテル、飲食店などに設置したテレビについてNHK受信料を支払った場合は、次のように処理できます。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 通信費 | 2,200円 | 普通預金 | 2,200円 |
実際の支払額は契約種別や支払期間によって異なります。
なお、事業所では、テレビなどの受信機やNHKの配信を利用する通信端末について、原則として設置場所ごとに受信契約が必要です。2025年10月以降は、一定の操作を行ってNHK ONEの対象サービスを事業目的で利用する場合も受信契約の対象になっています。スマートフォンやパソコンを所有しているだけで直ちに契約対象になるわけではありません。
「雑費」で処理することもできる
NHK受信料の金額や取引頻度が小さければ、「雑費」で処理する方法もあります。雑費は、既存の勘定科目のどれにも明確に当てはまらず、金額や発生頻度が小さい経費を処理するときに使われる科目です。
NHK受信料は毎年または定期的に発生する支出です。そのため、継続的に支払っている会社であれば、「通信費」としてまとめたほうが費用の内容を把握しやすくなります。一度通信費として処理した受信料を、理由なく翌期から雑費に変更するような運用は避け、同じ性質の取引には同じ勘定科目を継続的に使用すると帳簿を比較しやすくなります。
「租税公課」として処理するのは基本的に適さない
NHK受信料を「租税公課」で処理するのは、通常は適切ではありません。「受信料」という名称から税金のように感じられる場合がありますが、NHK受信料は税金ではありません。放送法に基づいて締結する受信契約によって支払う料金です。
租税公課は、固定資産税や自動車税、印紙税などの税金や、公的な負担金などを処理する際に使用します。NHK受信料については通信費など、支出の性質に合った科目を使用するほうが分かりやすいでしょう。
放送法第64条では、一定の受信設備を設置した場合などについて、NHKとの受信契約に関するルールが定められています。
参考:放送法|e-GOV
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NHK受信料を支払ったときの仕訳は?
NHK受信料を事業の経費として支払った場合は、通信費などを借方に計上し、支払方法に応じて普通預金や現金、未払金などを貸方に計上します。 クレジットカード払いの場合は、カード利用時と代金引落時を分けて処理する方法もあります。
銀行口座からNHK受信料が引き落とされた場合
銀行口座からNHK受信料が引き落とされた場合は、「通信費/普通預金」で仕訳できます。たとえば、事業用の受信契約について2,200円が普通預金から引き落とされた場合、仕訳は次のようになります。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 通信費 | 2,200円 | 普通預金 | 2,200円 |
法人で事務所に設置したテレビを業務で使用している場合など、事業との関連性が明らかな受信料であれば、通常は事業上の費用として処理します。
個人事業主の場合は、事業との関係がある部分に限って必要経費にできます。必要経費とは、収入を得るために直接要した費用や、その年に生じた販売費・一般管理費などの業務上の費用です。
クレジットカードでNHK受信料を支払った場合
事業用クレジットカードで支払った場合は、カード利用時に未払金を計上し、引落時に未払金を消し込む方法があります。たとえば、NHK受信料2,200円をカードで決済した場合、利用時は次のように仕訳します。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 通信費 | 2,200円 | 未払金 | 2,200円 |
後日、カード利用代金が普通預金から引き落とされたときは次の処理を行います。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 未払金 | 2,200円 | 普通預金 | 2,200円 |
これにより、NHK受信料が発生した時点と、実際にカード代金を支払った時点を分けて記録できます。
NHK受信料は経費にできる?
会社や個人事業主が事業のために負担するNHK受信料は、事業との関連性が認められる範囲で経費にできます。個人事業主が自宅のテレビについて支払っている受信料など、私生活にも関係する支出は全額を経費にできるとは限りません。
会社の事務所や店舗のNHK受信料は経費にできる
会社が事業所のテレビや配信利用のために負担しているNHK受信料は、通常は会社の費用として処理できます。ホテルの客室に設置したテレビ、飲食店で顧客向けに設置したテレビ、会社の休憩室や会議室に設置したテレビなどにかかる受信料が該当します。
NHKでは、会社、官公庁、ホテル、旅館、店舗などについても、対象となる受信設備を設置した場合などには受信契約が必要としています。
事業所の場合は、原則としてテレビなどの受信機や配信の受信に使用する通信端末機器の「設置場所」ごとに契約する仕組みです。ホテルでは客室ごと、社用車では自動車ごとに契約が必要となるケースがあります。
個人事業主は事業に使用する部分だけ経費にする
個人事業主が自宅のテレビを仕事と私生活の両方で使用している場合、事業に対応する部分だけを必要経費として処理します。個人事業では、家事上の支出は必要経費になりません。ただし、事業と私生活の両方に関係する「家事関連費」について、事業遂行上必要な部分を合理的に区分できる場合は、その部分を経費として計上できます。
自宅兼事務所でニュース番組や経済情報を業務上確認するためテレビを使用しているとしても、それだけで受信料全額が事業用になるとは限りません。使用状況などを踏まえ、事業分と家事分を合理的に分ける必要があります。
反対に、店舗や事務所に専用のテレビを設置し、その受信料を事業者が負担している場合は、自宅用テレビより事業との関連性を説明しやすくなります。
自宅兼事務所では家事按分を検討する
自宅兼事務所のNHK受信料については、事業利用と私生活での利用が混在していれば家事按分を検討します。家事按分では、支出の性質に合った合理的な基準で事業分を算定します。家賃なら床面積、電気代なら使用時間といった基準が考えられますが、NHK受信料の場合はテレビの設置場所や利用目的、事業で使用する状況などを踏まえて判断します。
単純に「自宅で仕事をしているから50%」と決めるのではなく、なぜその割合になるのか説明できるようにしておくと帳簿処理の根拠が明確になります。
所得税の取扱いでは、業務遂行上必要な部分が50%以下であっても、その必要な部分を明確に区分できる場合には、その部分を必要経費に算入できるとされています。
NHK受信料の消費税はどう処理する?
事業として支払うNHK受信料は、原則として消費税の課税仕入れとして処理します。 NHKの受信料額は消費税込みで案内されており、NHKは適格請求書発行事業者として登録されています。
NHK受信料には消費税が含まれている
NHK受信料は、消費税の課税対象となる取引として扱われます。NHKが公表している受信料額にも、消費税を含む旨が明記されています。事業者が事業として役務の提供を受ける場合、原則として消費税上の「課税仕入れ」に該当します。
税抜経理を採用している場合は、受信料に含まれる消費税相当額を仮払消費税等として区分します。税込経理であれば、消費税込みの金額を通信費などに計上します。
なお、個人事業主が自宅用として利用している部分は、所得税上の必要経費にならないだけでなく、消費税上も事業として行う課税仕入れには当たりません。
NHKはインボイスを発行している
NHKは適格請求書発行事業者として登録しており、事業者向けにインボイス制度に対応した書面を発行しています。NHKの適格請求書発行事業者の登録番号は「T8011005000968」です。事業者が原則課税で仕入税額控除を受ける場合には、帳簿に加えて適格請求書などの保存が原則として必要です。
住居に接続した店舗を営む個人事業主などでは、NHKへ申し込まないとインボイス対応書面が発行されない場合があります。受信料を支払った後も書面が届かない場合は、NHKへの確認が必要になるケースがあります。
NHK受信料を年払いした場合の勘定科目は?
NHK受信料を6か月分や12か月分まとめて支払った場合、原則的な会計処理では翌期分を「前払費用」として処理します。 一方、税務上の「短期前払費用」に該当する場合は、一定の条件のもとで支払った年度の費用・損金として処理できることがあります。
決算をまたぐ受信料は前払費用になる場合がある
翌事業年度の期間に対応するNHK受信料が含まれている場合、原則として翌期分は前払費用に振り替えます。たとえば、12月決算法人が10月に12か月分のNHK受信料を支払った場合、翌年1月以降の期間に対応する部分は、決算時点ではまだ役務の提供を受けていません。
原則的な処理では、当期に対応する部分だけ通信費とし、翌期以降に対応する部分を「前払費用」として資産計上します。
前払費用は、一定の契約に基づいて継続的に役務の提供を受けるために支払った費用のうち、決算日時点でまだ役務提供を受けていない部分を指します。
1年以内の前払いなら短期前払費用の取扱いもある
支払日から1年以内にサービスの提供を受ける前払費用は、一定の条件を満たせば支払った年度に全額を経費として処理できる場合があります。法人税では、支払日から1年以内に役務の提供を受ける前払費用について、継続して支払った事業年度の損金に算入している場合には「短期前払費用」として支払時の損金算入が認められています。所得税にも同様の取扱いがあります。
12か月分のNHK受信料を前払いしているケースでは、契約期間や支払時期、継続的な処理状況を確認したうえで、この取扱いを利用できる可能性があります。
消費税についても、所得税・法人税上の短期前払費用として支出時の必要経費または損金に算入している場合、その支出した課税期間の課税仕入れとして取り扱われます。
NHK受信料の会計処理で注意する点は?
NHK受信料を処理するときは、勘定科目だけでなく、事業利用か私的利用か、インボイスの保存が必要か、複数契約があるかも確認します。 とりわけ個人事業主と複数のテレビを設置する法人では、単純に受信料全額を通信費へ計上するだけでは処理が合わないケースがあります。
勘定科目は毎期できるだけ統一する
同じNHK受信料については、毎期同じ勘定科目で処理すると帳簿を管理しやすくなります。通信費でも雑費でも、取引内容が分かるよう適切に処理されていれば、勘定科目の名称だけで税務上の経費性が決まるわけではありません。
「今年は通信費、翌年は雑費」と頻繁に変更すると、年度ごとの費用比較がしにくくなります。NHK受信料は継続的に発生する支出であるため、社内の会計ルールを決めて同じ方法で処理すると分かりやすいでしょう。
複数のテレビがある事業所では契約単位を確認する
会社や店舗では、家庭の受信契約と異なり、原則として設置場所ごとに契約が必要です。事業所では、社長室、事務室、ホテルの客室など、テレビ等を設置した場所ごとに契約する仕組みです。社用車にテレビを受信できる設備がある場合も、自動車ごとに契約が必要となることがあります。
同一敷地内で複数の事業所契約を締結し、一定の条件を満たして一括で支払う場合には「事業所割引」があり、2契約目以降の受信料が半額になる制度もあります。
会計上は、複数契約を一括して支払った場合でも、事業に対応する受信料であれば通信費などとして処理できます。
NHK ONEの事業利用も受信契約の対象になり得る
2026年9月時点では、テレビがなくても、事業目的で一定のNHKインターネット配信を利用すると受信契約が必要になる場合があります。
2025年10月1日施行の受信規約では、NHKの放送に加えて一定のインターネット配信も受信契約の対象となりました。事業者がNHK ONEの対象サービスについて一定の利用開始操作を行い、事業目的で利用する場合も対象となります。
会社がパソコンやスマートフォンを所有しているだけでNHK受信契約が必要になるわけではありません。また、「らじる★らじる」などのラジオ関連サービスは受信契約の対象外です。
インターネット配信のみを利用する場合の契約は地上契約となります。すでに同じ設置場所で必要な受信契約を締結している場合は、NHK ONEの利用だけを理由に追加契約が必要になるとは限りません。
NHK受信料は「通信費」を基本に事業利用分を正しく処理しよう
NHK受信料の勘定科目は、事業用であれば「通信費」で処理するのが分かりやすい方法です。 金額や発生頻度が小さければ雑費を使用することもありますが、NHK受信料は税金ではないため、通常は租税公課として処理しません。
法人が事業所のテレビなどについて負担する受信料は事業上の費用として処理できます。個人事業主が自宅のテレビについて支払うNHK受信料は、私生活での利用が含まれる場合、事業利用分だけを家事按分して必要経費に計上します。
また、NHKは適格請求書発行事業者であるため、原則課税で仕入税額控除を受ける事業者はインボイス対応書面の保存も確認しておきましょう。12か月分などをまとめて支払った場合には、前払費用や短期前払費用の取扱いも踏まえて仕訳する必要があります。
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