• 作成日 : 2026年10月28日

ROI(投資利益率)とは?計算式や目安、ROAS・ROAとの違いを解説

PointROI(投資利益率)とは何か?

ROIとは投資額に対してどれだけの利益を得られたかを示す指標で、「利益÷投資額×100」で算出します。

  • 計算式は「利益÷投資額×100」
  • ROASは広告による売上、ROIは利益が基準
  • 長期投資はNPV・IRRと併用を推奨

Q. ROIの目安は何%以上が適切?
A. 業種や投資内容で異なり一律の基準はなく、同じ条件の投資案件同士を比較することが基本です。

ROIとは「Return on Investment」の略で、日本語では「投資利益率」や「投資収益率」と呼ばれる指標です。投じた費用に対して、どれだけの利益を得られたかを割合で表します。

設備投資や広告、ITシステムの導入、新規事業など、さまざまな投資の採算性を比較する際に活用できます。

本記事では、ROI(投資利益率)とは何か、基本的な計算式や具体例、ROIが高い・低い場合の考え方などを解説します。

ROI(投資利益率)とは?

ROIとは、投資した金額に対して、どの程度の利益を得られたのかを示す指標です。一般的には百分率(%)で表し、設備投資や広告投資、システム導入などの費用対効果を比較するときに利用されます。

ROIは投資額に対する利益の割合を示す指標

ROIは「投資によって得られた利益÷投資額」を基本として考える指標です。100万円を投資して20万円の利益を得た場合、ROIは20%です。金額だけを見ると投資規模の異なる案件を比較しにくいものの、比率に変換すれば投資効率を比較しやすくなります。

投資利益率法(ROI)は、プロジェクトから得られる年平均利益額と投資額との比率によって投資効果を評価する方法とされています。投資対象そのものの規模ではなく、投入した資金がどの程度利益に結びついたかを見る点がROIの特徴です。

ROIは設備投資や広告、IT投資など幅広く使える

ROIは特定の業種に限定された指標ではなく、利益と投資額を把握できる投資で幅広く利用できます。

製造業なら機械設備、小売業なら店舗改装、営業部門なら営業支援システム、マーケティング部門なら広告やコンテンツ制作などが対象になります。

たとえば、業務システムを導入した結果、人件費が年間200万円削減でき、導入費用が500万円だった場合、そのコスト削減額を投資成果としてROIを算定する方法もあります。必ずしも売上増加だけが「リターン」になるわけではなく、削減できた費用を含めて評価するケースもあります。

2026年度税制改正でも投資計画の評価指標としてROIが利用されており、一定の大型設備投資に関する税制措置では、投資計画における年平均の投資利益率が15%以上と見込まれることなどが要件に含まれています。

参考:令和8年度税制改正の大綱の概要|財務省

ROIの計算式は?

ROIの基本的な計算式は「利益÷投資額×100」です。実務では投資によって増えた利益を分子にするのか、売上総利益や営業利益、税引後利益を使うのかによって数値が変わります。

複数の施策を比較するときは、同じ利益の定義と費用範囲を使って計算することがポイントになります。

ROIの基本的な計算方法

ROIは、一般的に次の式で計算します。

項目 計算式
ROI 利益 ÷ 投資額 × 100
投資による利益を使う場合 (投資による収益-投資に伴う費用)÷投資額×100

たとえば、100万円を投資した施策によって150万円の収益が発生し、その収益を得るための原価などを差し引いた利益が30万円だったとします。この場合は「30万円÷100万円×100」となり、ROIは30%です。100万円の投資に対して30万円の利益を得たことを示します。

Google広告の解説でも、ROIは純利益とコストの比率を基礎として評価する指標とされており、単なる売上ではなく利益を基準に考える点が示されています。

参考:About return on investment (ROI)|Google Ads Help

ROIを計算するときは利益と投資額の範囲をそろえる

ROIを正確に比較するには、分子となる利益と分母となる投資額の定義を統一する必要があります。

たとえば広告施策Aでは広告費だけを投資額とし、広告施策Bでは広告費に人件費や制作費まで含めると、同じ基準で比較できません。

設備投資でも、機械本体の購入価格だけでなく、設置費用や運送費などを含めるケースがあります。税務上も減価償却資産の取得価額には、原則として購入代価だけでなく、その資産を事業に供するために直接要した費用などが含まれます。ROI計算と税務上の取得価額は同一の概念ではありませんが、投資額を設定する際には、どこまでを投資コストとして含めるのかを明確にしておくと比較しやすくなります。

ROIの計算例は?

ROIは、広告・設備・ITシステムなど投資対象によって利益の算定方法が異なります。計算式そのものは単純ですが、どの収益や費用を投資による成果として扱うかを整理してから計算すると、実態に近い数値になります。

ここでは、広告投資と設備投資を例にROIの考え方を確認します。

広告費100万円で利益40万円ならROIは40%

100万円の広告費によって40万円の利益が得られた場合、ROIは40%です。

計算は「40万円÷100万円×100=40%」となります。

ただし、広告経由の売上が140万円だったからといって、ROIが40%になるとは限りません。商品原価や販売手数料などを差し引いて残った利益を基準に計算する必要があります。

たとえば広告費100万円、広告経由売上300万円、商品原価などが160万円だった場合、広告による利益を「300万円-160万円-100万円=40万円」と捉えるなら、ROIは40%です。

設備投資では複数年の利益を考えて計算する

機械や設備など長期間利用する資産では、1年間だけでなく投資期間全体の利益を踏まえてROIを評価する方法があります。

500万円の設備を導入し、年間100万円の増分利益が5年間見込まれるとします。単純化して5年間で500万円の利益を得ると考えれば、累計利益を基準とするROIは「500万円÷500万円×100=100%」です。

一方、年平均利益を使えば「100万円÷500万円×100=20%」となります。このように同じ投資でも、累計ROIなのか年平均ROIなのかによって数字は変わります。

設備は税務上、取得時に全額を費用処理するのではなく、一定の資産について使用可能期間にわたり減価償却するのが基本です。会計上の利益を使ったROIでは、減価償却費の影響も確認しておく必要があります。

ROIは高いほどよい?目安はある?

基本的には、同じ条件であればROIが高いほど投資効率が高いと考えられます。ただし、「ROI○%以上なら良い」という共通の基準はありません。

ROIがプラスなら投資額を上回る利益を生んでいる

一般的な計算方法ではROIがプラスなら利益が発生しており、マイナスなら投資によって損失が生じている状態を示します。たとえば100万円の投資に対して利益が20万円ならROIは20%です。一方、20万円の損失が出た場合は-20%となります。

ただし、ROIが20%なら無条件に採算性が高いとは言えません。1年間で20%を得られる投資と、10年間で20%しか得られない投資では、資金効率が大きく異なるためです。ROIは時間価値を考慮しない投資評価方法とされています。長期間にわたる投資では、NPVやIRRなど別の評価方法と併用する考え方があります。

ROIの適正水準は業種や投資内容によって異なる

ROIの目安は一律に決められず、自社の投資案件同士を同じ条件で比較する方法が基本です。投資案AがROI10%、投資案Bが20%であり、期間やリスクなどの条件がほぼ同じなら、Bのほうが利益に対する投資効率は高いと判断できます。

前述のとおり、2026年度税制改正で創設された一定の大型設備投資向け措置では、投資計画について年平均ROI15%以上が見込まれることなどが基準に含まれています。ただし、これは対象税制の要件であり、一般企業のあらゆる投資について「ROI15%以上が適正」とする基準ではありません。

ROIとROASの違いは?

ROIは利益を基準に投資効率を見るのに対し、ROASは広告費に対してどれだけ売上を得られたかを見る指標です。広告施策では両方が使われますが、測定している対象は異なります。

【ROI】「利益÷投資額」で計算する

ROIは最終的にどれだけ利益を得られたかを確認する指標です。

広告によって500万円の売上が発生しても、商品原価や広告費などが490万円なら、利益は10万円しかありません。売上が大きいだけではROIが高いとは判断できません。

投資対象を利益という共通尺度で評価できるため、広告だけでなく、設備や人材、ITシステムなど異なる投資案を比較する際にも利用できます。

【ROAS】は「広告による売上÷広告費」で計算する

ROAS(Return On Advertising Spend)は、広告費に対してどれだけの売上を獲得したかを示す広告費用対効果の指標です。広告費100万円で500万円の売上が発生した場合、ROASは「500万円÷100万円×100=500%」です。

ROIでは売上ではなく利益を基準に考えます。ROAS500%でも原価率が高ければROIが低いことがあります。Google広告でもROASは広告費に対するコンバージョン価値などを用いて測定されており、利益ベースのROIとは目的が異なります。

ROIとROA・ROE・ROICの違いは?

ROI、ROA、ROE、ROICはいずれも利益と資本・投資の関係を見る指標ですが、分母となる対象が異なります。

ROIとROA・ROEでは評価する対象が異なる

ROIは投資額、ROAは総資産、ROEは自己資本に対する利益を見る指標です。

指標 主な意味 主な計算対象
ROI 投資利益率 個別の投資額に対する利益
ROA 総資産利益率 総資産に対する利益
ROE 自己資本利益率 自己資本に対する当期純利益
ROIC 投下資本利益率 事業に投下した資本に対する利益

ROIとROICの違い

ROIは個々の投資プロジェクトにも使えるのに対し、ROICは企業や事業に投下された資本全体の収益性を分析するときに使われます。ROICは「Return on Invested Capital」の略で、日本語では投下資本利益率と呼ばれます。一般的には、税引後営業利益などを有利子負債と自己資本からなる投下資本で割って算定します。

ROIと名称は似ていますが、ROIには統一された一つの計算定義があるわけではなく、案件ごとに利益と投資額を設定して使われるケースがあります。ROICは企業全体や事業単位の資本効率を分析する財務指標として利用されます。

ROIだけで投資を判断してよい?

ROIだけで投資の可否を判断するのは避けたほうがよいでしょう。ROIには計算が分かりやすいという利点がある一方、投資期間や将来のお金の時間価値、リスクなどを十分に反映できないからです。

ROIでは投資期間の違いを十分に比較できない

同じROIでも、利益を得るまでに必要な期間が違えば投資価値は同じとは限りません。100万円を投資して20万円の利益を得るケースでも、1年後に20万円を得られる場合と10年後に得られる場合では資金効率が異なります。

ROIは計算が容易で複数案を比較しやすい一方、経済産業省の資料でも時間価値を考慮しない投資評価手法として整理されています。長期投資では、将来キャッシュフローを現在価値に割り引いて評価するNPVなどを合わせて確認する方法があります。

NPVやIRR、投資回収期間と組み合わせて判断する

高額・長期の投資では、ROIと異なる特徴を持つ指標を併用すると判断材料を増やせます。代表的なものが、投資額を何年間で回収できるかを見る「投資回収期間」、将来のキャッシュフローを現在価値に換算する「NPV(正味現在価値)」、NPVがゼロになる割引率を求める「IRR(内部収益率)」です。

ROIは理解しやすく比較もしやすい一方、NPVやIRRは将来キャッシュフローや時間価値を考慮できます。投資規模や期間に応じて指標を使い分けることで、ROIだけでは見えにくい投資の特徴を把握できます。

ROIを改善するには?

ROIを高める基本的な考え方は、同じ投資額で利益を増やすか、同じ利益をより少ない投資額で生み出すことです。そのためには売上だけを見るのではなく、利益率や投資コスト、業務効率まで確認する必要があります。

利益を増やしてROIを高める

投資額を変えずに利益を増やせればROIは上昇します。

広告であれば成約率や購入単価の改善、設備投資であれば生産量の増加や不良率低下、IT投資であれば業務時間の削減などが投資成果につながります。

売上だけではなく、原価や人件費などを差し引いた利益まで確認すると、投資の成果を把握しやすくなります。中小企業庁が公表する経営指標でも、営業利益を経営資本で割る経営資本対営業利益率や、売上高に対する利益率など、資本と利益の関係を見る複数の指標が使われています。

投資コストを抑えてROIを高める

同じ利益を維持しながら投資額を抑えることでもROIは改善します。

設備の仕様を見直す、複数サービスを比較する、広告媒体ごとの成果を分析して費用配分を変更するなどの方法が考えられます。

設備投資では、利用できる税制も投資後のキャッシュフローに影響します。2026年度末までの中小企業投資促進税制では、対象となる一定の設備について取得価額の30%の特別償却または7%の税額控除を選択できる仕組みがあります。対象者や設備などには要件があるため、自社が適用対象になるか個別に確認する必要があります。

ROIを活用して投資効果を正しく比較しよう

ROI(投資利益率)とは、投資した金額に対してどれだけの利益を生み出したかを割合で表す指標です。基本的には「利益÷投資額×100」で算定でき、広告、設備、ITシステム、新規事業など幅広い投資の費用対効果を比較できます。

ただし、ROIの数値は利益と投資額の定義によって変化します。また、投資期間や資金の時間価値を十分に反映できないため、長期的な設備投資ではNPVやIRR、投資回収期間なども合わせて確認するとよいでしょう。

ROIとROAS、ROA、ROE、ROICの違いも整理し、同じ条件・同じ計算基準

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