- 更新日 : 2025年2月20日
融資の稟議書の書き方は?テンプレートや例文でポイントが分かる!
稟議書とは、個人の裁量では決定できない事項に対して承認を得るために用意する書類です。質の高い融資の稟議書を用意するためには、会社側から銀行の担当者にしっかりとした情報を提供する必要があります。
本記事では、融資を希望する経営者の方向けに、融資の稟議書の基礎知識や稟議書を通すために経営者が心がけるポイントについて解説します。興味を持った方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
融資の稟議書を作成するケース
融資の稟議書とは、企業が銀行をはじめとする金融機関から融資を受けるにあたって必要な審査項目と情報が記載された書類のことです。企業側は主に情報提供をし、融資の稟議書の作成は金融機関の担当者が行います。
融資の稟議書を提出し、問題ないと判断されなければ、融資は実行されません。
融資の稟議書の書き方
雛形が存在しない場合、どのような形式で融資の稟議書を作成すればよいか迷う方も少なくないでしょう。以下では、融資の稟議書の詳しい書き方について解説するため、ぜひ参考にしてください。
記載項目
融資の稟議書の主な記載項目は、以下のとおりです。
- 企業の情報
- 業績と財務内容
- 融資金額と条件
- 資金使途と返済財源
- 担当者の見解
企業の情報は住所や事業内容、製品などについて記載しましょう。業績と財務内容は、過去3期における決算書と直近の試算表などにもとづいて説明します。
また、必要な資金にしか融資はできないため、融資金額や資金使途は必ずチェックされる項目です。たとえば、運転資金として融資を希望しているにもかかわらず、実際の運転資金を上回る金額は融資できません。
担当者の見解は、融資の金額が業態に対して大きい場合に重要度が増します。
書き方のポイント
稟議書を書くときは、要点を押さえて簡潔にまとめることを意識しましょう。文章そのものが長すぎると、論点がぶれやすくなってしまい、分かりにくい文章になってしまいます。内容が伝わらなければ、本当に融資が必要な案件でも、審査の担当者に理解してもらえません。
基本的には、一文目に結論を記載するとよいでしょう。場合によっては、箇条書きにするのも有効です。
また、専門用語はあまり使用せず、一般的な言葉に置き換えましょう。どうしても使用する場合は、注釈を加えて読み手が理解しやすくなるような工夫をしてください。
稟議書の無料テンプレート
以下より無料のテンプレートをダウンロードしていただけますので、ご活用ください。
融資の稟議書の例文
融資を希望する会社の内部での融資の稟議書を作成するにあたって、書き方が分からない場合は、例文を利用するとよいでしょう。以下では、融資を依頼する場合の稟議書の例文を紹介します。
【融資の稟議書の例文】
件名:◇◇銀行との金銭消費貸借契約締結について
借入先:◇◇銀行
借入金額:x,000万円
返済期間:x年(xxヶ月)
利息:年率x%
担保差し入れ:会社所有の不動産(所在地:◇◇市◇◇町4-5-6)
契約締結の目的
当社は、新たな事業展開に向け、必要な設備投資および運転資金の確保を目的としております。このため、◇◇銀行よりx,000万円の融資を受け、事業の拡大、そして収益性の向上を目指すものです。
契約締結の重要性
本融資により、当社は短期的ではなく中長期的な成長戦略を加速できます。また、設備投資によって業務効率の改善による生産性の向上、そして市場競争力の強化も期待できるでしょう。
予算計画書の範囲内
本融資による資金使用は、予算計画書にもとづき適切に計画されています。そのため、会社の財務健全性に影響をおよぼすことなく実行可能です。
以上、◇◇銀行との金銭消費貸借契約締結につきまして、承認をお願い申し上げます。
稟議書には、以下の内容を簡潔に記載しましょう。
- 借入先
- 借入金額
- 返済期間
- 利息
- 担保差し入れ
- 連帯保証人
借入金額は、運転資金であれば経常運転資金(売上債権+棚卸資産-仕入債務)の範囲内であれば、適正と判断される可能性が高いです。利息は銀行の利益になる部分であり、リスク度に合わせてこの利幅は大きくなります。銀行にとって十分利益になると判断されれば、融資の審査も通過しやすくなるでしょう。
融資の稟議書を通すために経営者が心がけるポイント
銀行の審査を通過するためには経営者自身の努力も求められます。
以下では、銀行の融資の審査を通すために、経営者が心がけるべきポイントについて解説します。
将来性が伝わる事業計画書を作成する
事業計画書とは、読んで字のごとく事業やプロジェクトを起こす際に、その後の活動や成果に関する計画をまとめた書類のことです。質の高い事業計画書を作成すれば、経営理念や事業目的を関係者に共有しやすくなり、融資を受けられる可能性が高まります。
事業計画を立てる際は、事業計画に必要な経営数字をオープンにする、スケジュールや目標数字を現実的なものにするなどのポイントに注意しましょう。
具体的な収益予測や施策を資料で提示する
融資の申し込みを行う際は、具体的な収益予測や施策に関する資料も一緒に提出しましょう。融資を受けるためには、事業の将来性を理解してもらう必要があります。しかし、どれだけ聞こえのよい言葉を並べても、根拠がなければ相手に信用してもらえません。
しかし、具体的なデータと一緒に説明すれば説得力が高まります。ただし、情報が多すぎると、今度は内容が伝わりにくくなるため、事前にどのデータを活用するのか、しっかり取捨選択をしましょう。
担当者とのコミュニケーションを図る
銀行の審査を通過するにあたって、担当者とのコミュニケーションも重要なポイントです。コミュニケーションとは、平たくいってしまえば根回しのことです。稟議前のコミュニケーションを通じて、根拠を示しつつ提案内容の説明責任を果たせば、稟議を有利に進められます。
反論が出そうなところにリソースを集中するのがコツです。長い目で見ると味方になる人物が増えるというメリットもあるため、ルールの範囲内で積極的に行いましょう。
ポイントを押さえることで質の高い融資の稟議書を作成することが可能
融資を受けるにあたって、融資の稟議書は重要な存在です。稟議書の作成経験がない方も、ポイントさえ押さえれば質の高い融資の稟議書の作成はできます。
本記事で取り上げた稟議書の作成のコツや例文を参考に、ぜひ融資を受けられる稟議書の作成を目指してください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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