• 作成日 : 2026年1月19日

法人税の税率は何パーセント?最高税率や中小企業の特例、実効税率、具体的な計算まで解説

法人税の税率は原則として23.2%で、資本金1億円以下の中小企業には15%の軽減税率が適用されます。しかし、経営において重要なのは、法人税だけでなく地方税などをすべて含めた実効税率を知ることです。

本記事では、会社の規模による法人税率の違いから、利益別の具体的な納税額シミュレーションまで、経営者が知っておくべき税金の知識を徹底解説します。

法人税率は原則23.2%、中小企業は15%の軽減税率が適用

法人税(国税単体)の税率は、会社の規模と所得金額によって「23.2%」または「15.0%」のいずれかが適用されます。

特に日本企業の多くを占める中小企業(資本金1億円以下)は、年800万円までの課税所得(利益)に対して税率が低くなる優遇措置が設けられています。

まずは自社がどちらの税率に当てはまるか、以下の表で確認してください。

法人の区分所得金額(利益)税率
中小法人
(資本金1億円以下など)
年800万円以下の部分15.0%
年800万円超の部分23.2%
普通法人
(資本金1億円超など)
全所得23.2%

参考:No.5759 法人税の税率|国税庁

軽減税率(15%)はいつまで適用される?

現在適用されている中小企業の軽減税率は、令和9年(2027年)3月31日までに開始する事業年度まで適用可能です。これは恒久的な措置ではなく時限措置ですが、当面の間は15%の恩恵を受けられることになります。期限が近づいた際は最新の税制改正情報を確認しましょう。

資本金1億円以下でも軽減税率が使えない法人とは?

注意点として、自社の資本金が1億円以下であっても、資本金5億円以上の大企業の子会社(100%子会社など)である場合は、中小法人の特例税率(15%)が適用されません。

この場合、年800万円以下の部分も含めて全額が高い税率で計算されるため、親会社の資本規模が大きい場合は必ず税理士への確認が必要です。

法人の実効税率は約30〜34%が目安

会社が利益を出した際に支払うすべての税金を合算した「法定実効税率」は、約30〜34%です。「法人税」とひとくくりにされがちですが、実務上は以下の4種類の税金を合計して納付する必要があります。

  1. 法人税(国税):会社の利益に対して課される税金
  2. 地方法人税(国税):法人税額に対して課される税金
  3. 法人住民税(地方税):事業所がある自治体に支払う税金
  4. 法人事業税(地方税):事業を行うことに対して支払う税金

企業規模による実効税率の違いは?

これら4つの税金を合算し、法人事業税が経費(損金)として算入できる効果を調整した最終的な負担率(法定実効税率)は以下の通りです。

法人規模法定実効税率(目安)特徴
中小法人約33.58%所得800万円超の部分にかかる税率です。
800万円以下の部分はさらに低くなります。
大企業約30.62%外形標準課税適用法人の場合の税率です。
事業税の所得割税率が低いため、率自体は低く見えます。

数値上は大企業の方が税率が低く見えますが、中小法人には「年800万円以下の軽減税率(15%)」があるため、実際の納税額負担は中小企業の方が軽くなるように設計されています。

過去の実効税率からの推移は?

日本の実効税率は、かつて40%を超えていた時代に比べれば大きく低下しました。

バブル期や1990年代と比較すると、現在の最高税率(23.2%)および実効税率は大幅に引き下げられています。これは、企業が海外へ流出するのを防ぎ、国内での投資を促すための政策的な流れです。

主要先進国との実効税率の違いは?

アメリカやドイツとは同水準ですが、イギリスやフランスなどと比較すると高止まりしています。諸外国の法定実効税率の目安は以下の通りです。

  • アメリカ(カリフォルニア州):約28%
  • イギリス:25%
  • フランス:25%
  • ドイツ:約30%
  • 日本:約30%

国際競争力を高めるため、政府は「賃上げ促進税制」など、一定の条件を満たした企業の税額を控除する施策を行っており、これらを活用することで実質的な負担率を下げることが可能です。

参考:中小企業向け「賃上げ促進税制」|中小企業庁

法人税と所得税、税率が低いのはどっち?

所得が一定(目安として800万円〜900万円)を超えると、法人税の方が税率が低くなる傾向にあります。

  • 法人税:所得が増えても税率は一定(最大約23.2%+地方税等)です。
  • 所得税:所得が増えるほど税率が上がる「累進課税」です。所得税だけで最大45%、住民税を合わせると最大55%になります。

利益が大きくなればなるほど、税率の上限が決まっている法人の方が、手元に資金を残しやすくなります。この税率の差が、多くの事業主が法人化(法人成り)を検討する理由です。

法人税額のシミュレーション【早見表】

「計算式は複雑だから、ざっくりいくら払えばいいか知りたい」という方のために、利益ごとの概算納税額をまとめました。資金繰りの計画を立てる際、手元にいくら残るかの目安としてご活用ください。

税引前利益法人税等 納税額目安手元に残るお金
300万円約 70万円230万円
500万円約 115万円385万円
800万円約 185万円615万円
1,000万円約 250万円750万円
3,000万円約 930万円2,070万円
5,000万円約 1,600万円3,400万円

※中小法人(東京23区)を想定し、実効税率を加味した目安です。
※均等割(赤字でもかかる7万円〜など)は含まず、利益連動分を大まかに計算しています。あくまで資金繰りの目安としてご活用ください。

法人税額の具体的な計算方法は?

正確な金額を知りたい場合は、以下の手順で計算します。

1. 課税所得を算出する

会計上の「利益」から、交際費の一部否認(加算)や納税済みの事業税などの調整(減算)を行い、課税所得を確定させます。

2. 所得金額に税率を掛ける

算出した課税所得に対し、税率を掛けます。

例:中小法人で課税所得が1,000万円の場合
  • 800万円 × 15% = 120万円
  • 200万円 × 23.2% = 46.4万円
  • 法人税額計 166.4万円

3. 地方税等を加算する

上記の法人税額をベースに、地方法人税や住民税(法人税割)、事業税を計算して合算します。最終的に、所得1,000万円であれば、総額で約250万円〜300万円程度の納税が必要となるイメージです。

赤字の場合の法人税額はいくら?

赤字(利益がゼロまたはマイナス)の場合、利益に対してかかる法人税は0円です。しかし、最低でも年間約7万円の均等割の支払いは必要になります。

  • 利益課税:0円
  • 均等割:約7万円(資本金1,000万円以下かつ従業員50人以下の場合)

なお、青色申告を行っていれば、赤字を翌年以降10年間の黒字と相殺できる「欠損金の繰越控除」が利用できます。赤字を出した年度でも確定申告をしっかり行うことで、将来黒字になった際の実質負担率を下げることが可能です。

参考:No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除|国税庁

法人税の納付期限はいつまで?

法人税の支払いは、決算日の翌日から2ヶ月以内に一括納付が原則です。

  • 3月決算法人:5月31日が納付期限
  • 12月決算法人:2月28日(または29日)が納付期限

中間申告が必要なケース

前事業年度の法人税額が20万円を超える場合、事業年度の途中で「中間申告」と納税が必要になります。時期は事業年度開始から6ヶ月経過した日から2ヶ月以内(例:3月決算なら11月末まで)です。

前期の実績に基づいて納税する「予定申告」と、半期の仮決算を行って納税する「仮決算による中間申告」のいずれかを選択できます。

参考:C1-1 法人税及び地方法人税の申告(法人税申告書別表等)|国税庁

法人税の正しい理解がキャッシュフロー経営への第一歩

この記事では、法人税の基本税率と実効税率の違いを中心に解説しました。

  • 法人税率(単体):原則 23.2%。ただし中小企業の年800万円以下の部分は 15%。
  • 実効税率(総負担):地方税などを含めると 約30%〜34% が目安。
  • 赤字の場合:利益への課税は0%だが、均等割(約7万円〜) の支払いは必要。

中小企業の経営者にとって、800万円以下の軽減税率(15%)は非常に大きなメリットです。また、少額減価償却資産の特例などを利用し、課税所得を適切に圧縮することも、実効税率をコントロールする上での重要な戦略となります。

自社の利益予測をもとに、上記の早見表を活用して、計画的な納税資金の準備を進めましょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事

会計の注目テーマ