• 更新日 : 2026年2月24日

【改正】新リース会計基準とは?ソフトウェアの扱いや使用権資産の仕訳

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Point新リース会計基準とは?

新リース会計基準では、原則すべてのリースを「使用権資産」と「リース負債」として計上(オンバランス化)します。

  • 賃借料は廃止、「減価償却費」と「支払利息」へ
  • 一般的SaaSは対象外、専用サーバー等は対象に
  • 300万円以下などの少額契約は簡便法が可能

2027年4月から強制適用となる「新リース会計基準」は、大企業の経理実務と財務諸表を大きく変える改正です。これまで「賃貸借処理(経費)」として処理していたオフィスの家賃や機器のリースが、原則としてすべて「資産」と「負債」に変わります。なお、会社法上の中小企業については任意適用となっております。

本記事では、改正の全体像から、「リース負債の計算式・仕訳」、判断に迷う「クラウド・ソフトウェアの扱い」、「300万円基準」などの免除規定について解説します。

目次

新リース会計基準の改正で何が変わる?

これまでのリース会計における「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」の区分が廃止され、原則としてすべてのリース取引貸借対照表(B/S)に計上する必要があります。これは、国際的な会計基準であるIFRS第16号と整合させることで、企業の財務諸表の比較可能性を確保し、財務の透明性を高めるためです。

すべてのリースを「使用権の取得」とする新しい会計モデルに

従来のオペレーティング・リースは、賃貸借取引とみなされ、B/Sに計上されない「オフバランス取引」として扱われていました。しかし、新リース会計基準ではこの区分を取り払い、すべてのリースを「使用権の取得」と捉える新しい会計モデルを採用します。具体的には、原資産の使用権を取得した際に、借り手側は「使用権資産」と「リース負債」をそれぞれ貸借対照表へ計上することになります。

不動産賃貸借などもオンバランスに

この変更により、これまでオフバランスであった不動産賃貸借などがオンバランス化されるため、負債総額が増加し、自己資本比率が低下する可能性があります。また、損益計算書(P/L)においては、従来の「賃借料(営業費用)」がなくなり、代わりに「減価償却費(営業費用)」と「支払利息(営業外費用)」が計上されることになります。

これにより、営業利益の段階では費用が減少し利益が増加して見える一方、支払利息の増加により経常利益等の段階で調整されるといった構造変化が生じます。

なお、貸し手側の会計処理については、従来通りファイナンス・リースとオペレーティング・リースの区分を維持することが認められています。

参考:企業会計基準第34号リースに関する会計基準|企業会計基準委員会

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クラウドサービスやサブスクリプションビジネスに新リース会計基準は適用される?

ITツールやAIの発展が目覚ましい近年では、クラウドサービスやサブスクリプション型のサービスを導入する企業も少なくありません。その一方で、新リース会計基準によって、それらのサービスが「リース」に該当する場合には、企業側の経理負担が増加することも予測されるため、慎重な対応が求められます。

契約に「リースが含まれるか」の判断基準

新リース会計基準は、必ずしも「リース契約」と称される取引だけでなく、クラウドサービスやサブスクリプションビジネスにも適用される可能性があります。新基準を適用すべきかどうかを検討する場合には、個々の契約の内容を精査したうえで、契約内に「リースが含まれるか」を見極めることが重要です。

契約がリースに該当するかどうかについては、以下の2つのポイントに基づいて判断します。

  1. 経済的便益
    顧客が、特定された資産の使用から生じる経済的利益のほとんどすべてを享受する権利を有しているか。
  2. 使用の指図
    顧客が、特定された資産の使用を指図する権利を有しているか。

これらの両方を満たす場合、その契約はリースを含むものと判断されます。反対に、クラウドサービスやサブスクリプションビジネスで使用する資産をサプライヤーが支配している場合には、その契約はリースではなく単なる「サービス契約」とみなされます。

なお、新リース会計基準では、契約がリースを含むかどうかについては、契約締結時に判断することとされています。契約期間中に契約条件が変更されない限り、リースの有無の判断を見直す必要はありません。

クラウドサービスやソフトウェアの判断例

SaaS(Software as a Service)などのクラウドサービスでは、サプライヤーから顧客に対してソフトウェアへのアクセス権のみを提供する形態が一般的です。顧客はソフトウェア自体を所有したり、その使用方法を自由に決定したりする権利を持っていないため、リースには該当せず、単なるサービス契約とみなされるケースが多いでしょう。

具体的にはSaaS契約の場合、顧客はサプライヤーが管理・支配するクラウド基盤上のソフトウェアにアクセスする権利のみを有している状態が一般的です。ソフトウェアの更新時期や方法、稼働させるハードウェアの選択はサプライヤー側が行うため、顧客はソフトウェアの使用に関する意思決定権を持っていない状態と判断されます。

また、ソフトウェアのアクセス権限のみを有している場合には、そのソフトウェアによるサービスを支配している状態とも異なるため、無形固定資産にも該当しません。

ただし、クラウドサービスやサブスクリプションビジネスでは、IaaS(Infrastructure as a Service)やPaaS(Platform as a Service)など、取引形態も多様化しています。顧客がソフトウェアのカスタマイズや稼働環境を自由に選択できる場合など、顧客側がソフトウェアを実質的に支配しているとみなされるケースでは、リースに該当する可能性も十分に考えられます。

したがって、実務では、契約の名称で判断するのではなく、契約ごとに内容を精査し、リースや無形固定資産、サービス契約のどれに該当するのかについて慎重に見極めることが重要です。

ソフトウェアやその他の無形固定資産に新リース会計基準は適用される?

新リース会計基準では、リースの定義が見直されたことによって、現行の会計基準よりもリースの範囲が拡大します。それによって、これまではリースに含まれなかった取引が新基準の下ではリースに該当するケースも増加するものと考えられます。以下では、ソフトウェアやその他の無形固定資産に関して、新リース会計基準の適用対象に含めるべきかどうかについて確認しましょう。

新リース会計基準の適用除外とは?

新リース会計基準には、適用が除外される取引や資産が存在します。具体的には、以下の3つが適用除外とされています。

  1. 実務対応報告第35号「公共施設等運営事業における運営権者の会計処理等に関する実務上の取扱い」の範囲に含まれる運営権者による公共施設等運営権の取得
  2. 企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」の範囲に含まれる貸手による知的財産のライセンスの供与。ただし、製造又は販売以外を事業とする貸手は、当該貸手による知的財産のライセンスの供与について本会計基準を適用することができる。
  3. 鉱物、石油、天然ガス及び類似の非再生型資源を探査する又は使用する権利の取得

このうち、ソフトウェアの機能提供に関しては、2の「知的財産のライセンス供与」に含まれるものとされており、収益認識会計基準の範囲に含まれることから、新リース会計基準の対象範囲からは除かれています。

ソフトウェアや無形固定資産への適用は任意

ソフトウェアのライセンス供与に関しては、原則として新リース会計基準の対象範囲からは除外されています。ただし、リース事業を営む企業のように、貸し手が製造業や販売業以外の事業を行う場合には、ソフトウェアの提供が利息相当額の獲得のための金融取引として活用されていることを考慮して、新リース会計基準を適用することも可能です。

また、その他の無形固定資産のリースについても、IFRS16との整合性の観点から、新基準を適用するかどうかはあくまで任意とされています。

新リース会計基準の実務対応で留意すべきポイント

新リース会計基準の導入によって、リースの識別に関する定めが新設されたことで、現行の会計基準ではリース契約に該当しなかった取引がリースに含まれる可能性も十分に考えられます。特にクラウドサービスやサブスクリプションサービスでは、契約内容によって新リース会計基準の対象となる可能性も想定されるため、適用漏れが生じないように注意が必要です。

したがって、以下の手順に沿って、それらの契約がリースに該当するかどうかを慎重に判断し、リースに含まれる場合には新基準に基づいた会計処理を行いましょう。

リースの識別

契約内容を詳細に分析し、「資産が特定されているか」や「その資産の支配権が顧客にあるか」を精査し、リースが含まれるか否かを判断します。これは、先述したクラウドサービス等の判断においても同様に重要なステップとなります。

リースを構成する部分とそれ以外の部分の区分

借り手と貸し手は、原則として、契約内容のうちリースを構成する部分と構成しない部分に分けて適切な会計処理を行う必要があります。このような考え方は、そのリース取引がファイナンス・リースとオペレーティング・リースのいずれに該当する場合でも共通です。

ただし、簡便的な方法として、借り手に関しては、リース部分と非リース部分を区分せずに会計処理することも可能です。これにより、実務上の計算負担を軽減できる場合があります。

新リース会計基準における使用権資産・リース負債の計算と仕訳

新リース会計基準では、リース契約を「資産(使用権)の取得」と「分割払いによる負債」のセットとして捉えます。そのため、リース開始時に将来支払うリース料の総額を現在価値に割り引いた金額で「使用権資産」と「リース負債」を計上します。その後、資産は減価償却によって費用化し、負債は元本返済と利息支払いに分けて処理します。

リース負債の計算式

実務上の計算では、将来の支払額を現在の価値に直す(割り引く)作業が必要です。以下の計算式をWord等のドキュメントに貼り付けてご活用ください。

【リース負債の計算式(リニア形式)】

リース負債 = Σ [ 各期のリース料 ÷ (1 + 割引率)^支払いまでの期間 ]

【計算の具体例】

例えば、毎年100,000円を支払う3年間のリース(割引率1%)の場合の計算は以下の通りです。

  • 1年目分:100,000 ÷ (1.01)^1 ≒ 99,010
  • 2年目分:100,000 ÷ (1.01)^2 ≒ 98,030
  • 3年目分:100,000 ÷ (1.01)^3 ≒ 97,059
  • リース負債計上額: 99,010 + 98,030 + 97,059 = 294,099円

具体的な仕訳パターン

以下に、新リース会計基準に基づく基本的な仕訳の流れを示します(上記の例を使用し、端数は調整しています)。

① リース開始時(資産・負債の計上)

契約開始日に、算出した現在価値で資産と負債を両建て計上します。

借方科目金額貸方科目金額
使用権資産294,099リース負債294,099

② リース料支払時(1年目)

支払額(100,000)を「利息相当額」と「元本返済額」に分けます。利息は「期首リース負債(294,099)× 割引率(1%)≒ 2,941」となります。

借方科目金額貸方科目金額
リース負債97,059現預金100,000
支払利息2,941

※元本返済額(97,059)= 支払額(100,000)- 利息(2,941)

③ 決算時(減価償却)

使用権資産をリース期間(3年)で定額償却します。「294,099 ÷ 3年 ≒ 98,033」となります。

借方科目金額貸方科目金額
減価償却費98,033使用権資産累計額98,033

これにより、P/Lには営業費用として「減価償却費」、営業外費用として「支払利息」が計上されます。

新リース会計基準の300万円基準と免除規定

すべての契約について現在価値計算を行うのは困難ですので、新リース会計基準には中小企業や実務に配慮した免除規定や簡便法が設けられています。

少額資産と短期リースの免除

以下の要件に該当するリースは、オンバランス処理(B/S計上)を行わず、支払時に費用処理することが認められています。

  • 短期リース:
    リース期間が12ヶ月以内の契約。ただし、延長オプションの行使が確実な場合は、延長期間も含めて判定します。
  • 少額資産リース:
    新品時の価値が低額な資産。IFRSでは5,000ドル以下が基準とされていますが、日本では企業の重要性判断に委ねられています。一般的にはPCや備品などが該当します。

重要性が乏しい場合の簡便法(300万円基準)

1契約あたりのリース料総額が300万円以下の場合など、重要性が乏しい取引については、複雑な利息法を行わずに簡便な処理が認められます。

これは、日本の法人税法においてリース料総額が300万円以下の契約について賃貸借処理を認めていることと整合させるための措置です。この基準を活用することで、利息相当額の区分計算を行わず、リース料総額をそのまま資産・負債に計上し、定額で費用配分することが可能になります。

また、借り手に関しては、契約を「リース部分」と「非リース部分(保守料など)」に区分せず、一体としてリース処理することも認められています。

No.5702 リース取引についての取扱いの概要|国税庁

新リース会計基準への対応に向けた4つのステップ

新リース会計基準への移行をスムーズに進めるためには、システム対応の前に綿密な準備が必要です。以下のステップで進めましょう。

STEP 1:契約の棚卸しとリースの識別

経理部だけでなく、総務やIT部門を含む全社的な契約(不動産、車両、機器、サーバー)を収集し、リース定義(資産の特定・支配)に該当するかを判定します。契約名称にかかわらず、実態として資産を借りている契約はすべて精査の対象となります。

STEP 2:影響額の試算

オンバランス化によりB/Sがどれくらい膨らむか、自己資本比率や利益指標への影響をシミュレーションします。特に不動産リースなどの金額が大きい契約については重点的に確認し、影響の大きさを把握しておくことが重要です。

STEP 3:会計方針の策定

「少額資産の基準額」「リース期間(延長オプション)の決定ルール」「割引率の算定方法」などを社内規定として文書化します。また、どの契約に免除規定や簡便法(300万円基準など)を適用するかを選別し、実務対象を絞り込みます。

STEP 4:会計システムの対応

使用権資産の管理、リース負債の利息計算、減価償却費の自動計算に対応したシステムを導入・改修します。既存システムのままでは、オペレーティング・リースを含めた複雑な処理や注記情報の作成に対応できない可能性が高いため、早期の検討が必要です。

新リース会計基準の使用権資産計上と仕訳に向けた課題

新リース会計基準では、ソフトウェアを含むリース契約を原則として使用権資産として計上し、複雑な仕訳処理を行う必要があります。株式会社マネーフォワードは、企業のバックオフィス担当者を対象に新リース会計基準に関する調査を実施しました。

契約の分類とリース負債の計算における実務の実態

現在対応を進めている、またはこれから検討する予定の企業に対応完了時期を質問したところ、「2026年上半期中」が63.0%と多数を占めました。強制適用に向けて準備が進む一方で、新リース会計基準への対応について負担を感じている割合は合わせて約8割に上ります。
その中で負担に感じる業務として特に多かったのは、リース契約の洗い出し・分類・整理でした。使用権資産の計上や仕訳には契約ごとの正確な分類が不可欠ですが、実務の大きなハードルとなっています。また、今後のリース負債の計算や残高管理に向けて、新たにシステムを入れ替えすると回答した割合は約4割でした。複雑な仕訳や計算をスムーズに行うためには、早期の契約整理とシステムの活用が重要です。

出典:マネーフォワード クラウド、新リース会計基準の対応完了時期や課題【新リース会計基準に関する調査】(回答者:現在の勤務先で「経理部門」「情報システム部門」「総務部門」「法務部門」「経営企画部門」のいずれかに所属する方(個人事業主を除く)660名、集計期間:2025年3月11日(火)~3月17日(月))

新リース会計基準への対応は棚卸しと300万円基準の活用から

2027年4月の強制適用により、原則すべてのリースがオンバランス化されます。特に影響が大きい不動産や、判断に迷うクラウドサービスやソフトウェア契約については、早急な現状把握が必要です。

一方で、「300万円基準」や「少額資産免除」といった規定を賢く活用すれば、実務負担は大幅に軽減可能です。まずは社内の契約書を集め、対象と免除を選別する「棚卸し」から着手しましょう。

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※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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