- 更新日 : 2025年4月23日
社債利息とはどんな勘定科目?仕訳から解説
社債利息は、会社が発行した社債の利息などに関する勘定科目です。社債利息に関連してどのような会計処理が必要になるのか、社債利息に関連のある仕訳や社債利息の税率、社債利息の納税方法について解説します。
目次
社債利息とは
社債利息とは、会社が発行した社債に対して、会社が社債の保有者に支払う利息のことです。社債は会社の借り入れ(資金調達)の一種です。社債利息には、借入金の利息という意味合いがあります。
会計上、会社が発行した社債について社債利息を支払ったときは、社債利息の勘定科目を用いて仕訳を行います。社債利息は費用の勘定科目のうち、営業外費用に分類される科目です。
社債利息に関する仕訳
会社が社債を発行した場合、どのような会計処理が必要になるのでしょうか。社債利息に関連する仕訳である、社債発行時の仕訳、社債利息支払時の仕訳、決算時の仕訳、社債償還時の仕訳を紹介します。
社債発行時の仕訳
社債発行により、社債の引き受けがあって入金を受けたときは、社債を負債として認識する仕訳が必要です。
(仕訳例)
額面500万円の社債を期首に480万円で発行して、全額の引き受けがあった。社債発行により入金を受けた480万円は当座預金とした。なお、社債発行に伴い5万円の発行コストが発生したため、現金で支払っている。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 当座預金 | 4.800,000円 | 社債 | 4,800,000円 |
| 社債等発行費 | 50,000円 | 現金 | 50,000円 |
仕訳例のように、社債発行時には、額面金額から割り引いた価格で社債を発行することがあります。この場合は社債の額面金額ではなく、割り引いた額を社債として計上することに注意しましょう。社債発行により発行コストがかかったときは、社債等発行費の勘定科目を用いて仕訳をします。社債等発行費は原則的に費用として処理しますが、繰延資産に計上することもできます。
社債利息の支払時の仕訳
発行した社債に対して利息を支払ったときは、「社債利息」の勘定科目を用いて仕訳をします。社債利息は、以下の仕訳のように額面金額を基準に計算します。
(仕訳例)
当社が発行した社債について1回目の利払日が到来したため、当座預金より社債利息を支払った。なお、社債は年率2%、年2回払いで発行している。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 社債利息 | 50,000円 | 当座預金 | 50,000円 |
計算:500万円×(2%×6÷12)=5万円
決算時の仕訳
社債の額面から割り引いた金額で社債を発行したときは、社債の償還期限までに帳簿上の社債の金額を額面金額に合わせなければなりません。割り引いた金額は、償却原価法による期間按分で社債の金額に加算し、借方は社債利息で処理します。定期的に利息を支払うことに代わって、あらかじめ額面よりも低い金額で発行することで、実質的に額面との差額を社債利息とする割引債で見られる仕訳です。
(仕訳例)
決算日が到来したため、当社が額面金額を割り引いて発行した社債について、償却原価法により仕訳を行った。当社が発行した社債の償還期限は5年である。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 社債利息 | 40,000円 | 社債 | 40,000円 |
計算(償却原価法):(500万円-480万円)×12/60
社債償還時の仕訳
社債の償還期限(社債の返済期限)には、社債の額面と帳簿上の社債の金額が一致しているはずです。償還時には、社債の額面金額を支払う仕訳を行います。
(仕訳例)
社債(額面500万円)が償還期限を迎えたため、当座預金を利用して償還を行った。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 社債 | 5,000,000円 | 当座預金 | 5,000,000円 |
社債の利息にかかる税率
社債利息に課される税率は、個人については20.315%(復興特別所得税含む)、法人については15.315%(復興特別所得税含む)です。社債利息の税金は、利息を受け取る個人や法人に課されます。
※個人・法人の所得税は各15%で、個人は住民税5%が加算されます。
社債の利息にかかる税金の納税方法
社債利息の納税方法は、社債が利付債か割引債かによって異なります。利付債は、決められた期日に利息が支払われる社債です。割引債は、社債発行時に額面金額から割り引いて発行することで、額面金額と割引後の金額を実質的な社債利息とする社債です。
個人の場合、割引債の償還差益は譲渡所得として申告分離課税に該当するため、納税者自身が申告する必要があります。利付債の社債利息については、納税者は申告分離課税と申告不要制度の選択が可能です。利付債の社債利息については、社債の発行元である企業が源泉徴収を行うこととなっています。つまり、利付債を発行する企業では、源泉徴収の事務が発生することになります。
一定の社債については課税方法が異なる場合がありますので、社債の種類をよく確認しましょう。心配な方は、税理士や税務署に確認することをおすすめします。
社債利息に関連する発行から償還までの一連の仕訳を確認しよう
会社が社債を発行して利息を支払う場合、割引債を発行して決算日を迎えた時に社債利息の仕訳が必要です。社債の発行や償還にも関連するため、社債利息の仕訳と併せて、社債の発行から償還までの一連の仕訳を確認しておきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
農業簿記とは?一般の簿記との違いや特有の勘定科目などを解説
農業簿記とは農業を営む個人事業主や農業法人向けの会計の手法です。農産物を生産して販売し、売上が生じている場合には農業簿記をつけることができます。一般的な簿記とは何が異なるのか、また、農業簿記に用いる勘定科目には何があるのかまとめました。農業…
詳しくみる勘定科目「貯蔵品」とは?仕訳から解説
勘定科目のひとつに「貯蔵品」があります。貯蔵品とは、未使用の消耗品を資産として計上するための勘定科目です。たとえば、未使用の切手や収入印紙、文房具などは決算期末には貯蔵品として仕訳をすることがあります。具体的な仕訳例や、貯蔵品を使って仕訳を…
詳しくみるキッチンカー運営で使える勘定科目は?購入費用や出店料・経費の仕訳も解説!
事業としてキッチンカーを購入して飲食物を提供するときは、車両の購入や運営、販売などにかかる費用を経費として計上できます。この記事では費用ごとに何の勘定科目が適切かを紹介し、仕訳例を挙げて解説します。 キッチンカーの勘定科目は何? 事業として…
詳しくみる未成工事受入金とは?どんな勘定科目?仕訳や消費税の取り扱いまで徹底解説!
未成工事受入金とは、建設業会計で使用する勘定科目であり、一般会計では「前受金」勘定に相当します。 この記事では、基本的な建設業会計にも触れつつ、未成工事受入金について解説します。また、仕訳の説明では消費税についても解説します。 未成工事受入…
詳しくみる人名勘定とは?仕訳やメリットの解説
本記事では人名勘定のことを知らない人のために、概要やメリット・デメリット、具体的な仕訳例を紹介しています。人名勘定はそれほど使われる機会が多い方法ではありませんが、小規模な企業においては日常的に人名勘定で対応している場合もあります。人名勘定…
詳しくみる立替金とは?仕訳方法や預り金などとの違いを解説
立替金とは会社内外に関わらず、取引先や従業員などが本来負担すべき金銭を一時的に会社が立て替えた際に仕訳処理するための勘定科目です。立て替えは一時的なものとし、相手から返済してもらうことが前提です。 本記事では立替金の意味や、似ている用語との…
詳しくみる