- 更新日 : 2026年1月27日
礼金の勘定科目とは?支払時の仕訳や消費税の扱いについて解説
不動産物件の賃貸借契約を結ぶ時に発生する礼金。法人では事務所や店舗などのテナント、社用車の駐車場、社宅用の住居などの賃貸借契約を結ぶ時に支払うことがあります。この記事では礼金の勘定科目や支払時の仕訳、敷金や仲介手数料との違い、消費税の扱いについて解説していきます。
目次
礼金とは?敷金や仲介手数料との違い
礼金とは物件の契約時に大家に対して支払う「謝礼金」のようなお金です。物件が不足していた時代に始まった慣習で、元々は「謝礼金を余分に払うので部屋を貸してください」という意味合いがあったようです。あくまでも慣習ということもあり、法律上明確な定めはありません。
敷金との違いは契約時に払いきりで、戻ってこないお金という点です。名目がお礼のお金となるため、戻ってくることはありません。一方、仲介手数料との違いは、仲介手数料はサービスの対価として仲介する不動産業者に支払うお金であることに対し、礼金は大家に支払うお金という点です。一般的に礼金は仲介する不動産業者を通して大家の手元に渡ります。
礼金の勘定科目と経理処理上の扱い
礼金を支払った時の会計処理は、礼金の金額が20万円未満か20万円以上かで異なります。礼金の金額が20万円未満の場合の勘定科目は「地代家賃」もしくは「支払手数料」を使い、全額を費用として処理することができます。
一方、礼金の金額が20万円以上の場合、経理処理上の扱いは繰延資産です。支払い時には勘定科目「長期前払費用」を使い繰越資産に計上し、決算時には勘定科目「地代家賃」もしくは「支払手数料」を使い償却が必要です。
礼金と消費税について
居住用の物件の場合、消費税は非課税です。居住用の土地とその土地の上に生じる権利に関する取引は消費税の性質には馴染まないため非課税とされており、賃貸借契約にともなう礼金の支払いもこの対象とされています。これは法人が社宅や社員寮用に借り上げる物件の契約にも適用されます。社宅や社員寮用の物件の契約時の礼金も消費税は非課税です。
一方、事業用の事務所や店舗などの事業用の物件の契約時に支払う礼金は、消費税の課税対象となるため注意が必要です。また、居住用の物件の家賃に含まれない駐車場の契約も、消費税の課税対象となります。
礼金の金額が20万円未満の場合の仕訳例
礼金の金額が20万円未満の時は、支払った時に全額を費用として計上します。具体的な仕訳例を紹介します。
例)社宅を借りるため契約時に10万円の礼金を現金で支払った
このように支払い時に全額を費用として計上しますので、いたってシンプルな経理処理になります。
礼金の金額が20万円以上の場合の仕訳例
礼金の金額が20万円以上の時は支払時には繰延資産とし、決算時に該当する期間に応じて償却していきます。
契約期間が5年未満で、契約更新に際して再び権利金などの支払いが必要であることが明確な場合は、礼金の金額を契約期間で割って償却し、契約期間が5年以上の場合は礼金を5年で割って償却します。会計年度の途中から契約を開始する場合は、礼金を契約期間もしくは5年の月数で割り、該当する会計年度内の契約期間の月数に応じて償却していきます。
具体的な仕訳例を2例紹介します。
例)法人が社宅を借りるため契約時に30万円の礼金を現金で支払った。契約期間は3年。会計年度は4月始まり。契約は10月1日。
【契約時】
【1年目期末】
(各年度で償却していく額)
1年目・・・礼金30万円÷会計年度内の契約期間6月÷契約期間36月=5万円
2、3年目・・・礼金30万円÷会計年度内の契約期間12月÷契約期間36月=10万円
4年目・・・礼金30万円÷会計年度内の契約期間6月÷契約期間36月=5万円
例)事務所を借りるために60万円の礼金を現金で支払った。契約期間は6年。会計年度は4月始まり。契約は10月1日(事業用として賃貸している事務所は「課税仕入れ」に該当するため消費税の仕訳が必要)。
一方、社宅などの居住用の場合は、仕入税額控除の対象外です。
【契約時】
【1年目期末】
(各年度で償却していく額)
1年目・・・礼金60万円÷会計年度内の契約期間6月÷償却期間60月=6万円
2~5年目・・・礼金60万円÷会計年度内の契約期間12月÷償却期間60月=12万円
6年目・・・礼金60万円÷会計年度内の契約期間6月÷償却期間60月=6万円
このように礼金の金額が20万円以上の場合は、支払った時と決算時に会計処理が必要になります。例では期末に「地代家賃」の勘定科目を使い費用計上していますが「支払手数料」とすることも考えられます。
礼金受取時の仕訳例
大家が礼金を受け取った時は「礼金・更新料」もしくは「売上高」の勘定科目を使い経理処理します。
例)礼金30万円が普通預金に入金された場合。
金額や契約期間によって会計処理が変わることはありません。実務的に大家は礼金から仲介をした不動産業者に仲介手数料やコンサルティング料を支払うことになりますが、経理処理上は分けて取扱います。仲介手数料やコンサルティング料などを差し引いた額を「礼金・更新料」としないよう、注意が必要です。
礼金を理解し適切な勘定科目で仕訳をしましょう
この記事では礼金の性質と仕訳の方法、消費税の取り扱いについて解説しました。物件を契約する時のいわゆる初期費用は、その性質によって経理処理が異なります。礼金も金額が20万円以上の場合と20万円未満の場合で会計処理が異なります。礼金が生じるような取引きは一般的に頻繁にあるものではありませんが、正しい知識を身につけて適切な勘定科目で仕訳を行いましょう。
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よくある質問
礼金とは?
大家への謝礼金のことで、敷金と違い戻ってこないお金。 詳しくはこちらをご覧ください。
礼金を支払った時の勘定科目は?
「地代家賃」もしくは「支払手数料」だが、20万円以上の場合は繰延資産として「長期前払費用」とする。詳しくはこちらをご覧ください。
礼金に消費税はかかる?
居住用の物件は非課税(駐車場を別で契約する場合は課税)で、事業用の物件は課税。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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