- 更新日 : 2024年8月8日
セミナー参加費の仕訳で使える勘定科目まとめ
社外セミナーへの参加や、講師を呼んでセミナーを開催する場合、かかった費用は「研修費」の勘定科目で仕訳をすることが可能です。また、セミナー参加費は研修費以外にも「教育訓練費」や「福利厚生費」といった勘定科目で仕訳をするケースもあります。
セミナー参加費の仕訳について知っておきたいこと、そして、セミナーに参加する際に交通費や教材費が発生したときの勘定科目について見ていきましょう。
目次
セミナー参加費を仕訳する場合の勘定科目
セミナー参加費の勘定科目は、研修費として仕訳することが一般的です。その他にも教育訓練費や採用教育費などの勘定科目を使用することもあります。
一度使った勘定科目は使い続けることが原則です。例えば、最初に「研修費」の勘定科目を採用したのであれば、次回以降のセミナー参加費も研修費の勘定科目で仕訳をしましょう。
途中で勘定科目を変えると帳簿が見づらくなるだけでなく、社外の利害関係者に判断を誤らせることにもなりかねません。経営者側が意図的に利益を操作することがないようにするためにも、同じ勘定科目を使い続けるようにしましょう。
なお、セミナー参加費に別途教材費がかかったときや、交通費や飲食費が発生した場合は、「新聞図書費」や「旅費交通費」「交際費」などの勘定科目を用いて仕訳をします(詳しくは後述)。
セミナー参加費を研修費で仕訳する
業務を進めるうえで関連性の高いセミナー参加費であれば、研修費として仕訳をします。また、同じく業務に関係があるセミナー参加費は、教育訓練費や採用教育費などの勘定科目も使用して仕訳することが可能です。現金でセミナー参加費を支払ったときは、以下のように仕訳ができます。
業務に直接関係はないものの、従業員の福利厚生のためにセミナーを開催することもあるでしょう。例えば、メイクアップセミナーやカラー診断セミナーなど、興味を持つ従業員に対して、会社の福利厚生の一環としてセミナーを提供することがあります。
この場合のセミナーは、勘定科目を福利厚生費として仕訳ができます。なお、福利厚生費として会社の経費に計上する場合は、すべての従業員が利用できること、常識の範囲内の金額であることが条件です。例えば、業務にはあまり関係はないが、英会話のセミナーを福利厚生として実施する場合は以下のように仕訳できるでしょう。
セミナー参加費を新聞図書費で仕訳する
セミナー参加費の中に教材費が別途設けられている場合は、教材費の勘定科目を「新聞図書費」として仕訳ができます。セミナー講習費用と同じく研修費として仕訳をすることも可能です。
例えば、セミナーに参加するときに、別途教材費として1,980円がかかったときは、次のように仕訳ができます。
セミナー参加費を旅費交通費で仕訳する
セミナーに参加するために交通費が必要な場合もあるでしょう。その場合は、交通費を「旅費交通費」として仕訳をすることが可能です。また、宿泊を伴うセミナーに参加する場合も、宿泊費を「旅費交通費」として仕訳ができます。
例えば、セミナーが社外であり、会社から電車で往復700円かかったとしましょう。現金で交通費を支払った場合は、以下のように仕訳ができます。
また、宿泊を伴うセミナーがあり、セミナー費とは別に宿泊費として25,000円かかったときは次のように仕訳をすることができます。
宿泊費をクレジットカードで処理した場合は、クレジットカード決済をしたときと口座から引き落とされたタイミングの2回に分けて帳簿につけます。例えば、宿泊費に25,000円かかり、クレジットカードで支払ったときは、最初は「未払金」として以下のように仕訳をしましょう。
その後、クレジットカードから使用した代金が引き落とされたタイミングで、次のように仕訳をします。
セミナー受講料と宿泊費がセットになっている場合には、無理に内訳をつくらずにまとめて研修費として仕訳ができます。また、その宿泊の目的がセミナー参加であっても、宿泊費として別途仕訳をするのではなく、研修費としてまとめて仕訳をすることが可能です。
セミナー参加費を交際費で仕訳する
セミナーの受講料とは別に、飲食代がかかる場合もあるかもしれません。飲食代に関する勘定科目は「交際費」です。例えば、セミナー講習費に19,800円、アフターパーティーに5,500円がかかった場合に、現金で支払ったときは以下のように2つに分けて仕訳ができます。
取引先への接待の一環として、セミナー受講に招待することもあるでしょう。また、取引先を誘って一緒にセミナーを受講することもあるかもしれません。このような場合は、セミナー受講料を「交際費」として仕訳ができます。
取引先のセミナー参加費19,800円を、現金で支払ったときは以下のように仕訳することが可能です。
個人事業主もセミナー参加費を確定申告で経費にできる?
個人事業主の場合も、セミナー参加費については原則として必要経費として計上することができます。勘定科目や付随費用、またセミナーに招待した場合の考え方も法人と同様です。
ただし、法人と異なるのは、受講するセミナーの内容が事業との関連性を持つものに限られる点です。所得税の計算において、必要経費に計上できるものは「事業収入を得るために直接要した費用」か「販売費、一般管理費その他業務上の費用」に限られるためです。
したがって、支出の内容が幅広い教養を身につけるためのセミナーなどであった場合には、必要経費にはなりません。例えば将来、事業の海外進出を考えている場合において、英語セミナーを受講した際の費用などは必要経費とならない可能性があります。この場合は事業との紐づけが弱いためです。
しかし、来月の国際会議のため、専門的な用語に慣れるための英語セミナーなどであれば、目的が明確であり、必要経費にすることは可能になります。
セミナー参加費は目的に合った勘定科目を選ぼう
セミナーの内容が業務に関係ある場合は、セミナー参加費は「研修費」として仕訳が可能です。また「教育訓練費」や「採用教育費」として仕訳をすることもあります。
一方、セミナーの内容が業務に関係なく、従業員の福利厚生の目的で開催される場合には、セミナー参加費は「福利厚生費」として仕訳をすることが一般的です。ただし、福利厚生費として仕訳をする場合は、従業員の誰もが参加できること、常識の範囲内の金額であることが条件となります。
セミナー受講料とは別に交通費や宿泊費がかかるときは「旅費交通費」として仕訳をすることが可能です。セミナー参加費と宿泊費がセットになっている場合は、まとめて研修費として仕訳ができるでしょう。
また、別途教材費がかかるときは「新聞図書費」として仕訳をするか研修費として仕訳をします。飲食費がかかる場合や取引先をセミナーに招待する場合は「交際費」です。それぞれ正しく仕訳をしていきましょう。
よくある質問
セミナー参加費を研修費で仕訳できるのはどんなとき?
業務に関係があるセミナーの場合は研修費として仕訳できます。業務に関係がなく、福利厚生目的で開催するセミナーに参加する場合は福利厚生費として仕訳できます。 詳しくはこちらをご覧ください。
セミナー参加費を新聞図書費で仕訳できるのはどんなとき?
セミナー受講料とは別に教材費がかかる場合には、教材費を新聞図書費として仕訳できます。ただし受講料と同様、研修費として仕訳しても問題ありません。 詳しくはこちらをご覧ください。
セミナー参加費を旅費交通費で仕訳できるのはどんなとき?
セミナーを受講するために交通費や宿泊費が必要になる場合は、旅費交通費として仕訳できます。セミナー料金と宿泊費が一体となっているときは分類せずに研修費の勘定科目で仕訳ができます。 詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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