- 更新日 : 2024年8月8日
住宅や業務用建物、リフォーム費用の減価償却費計算
建物を所有していると必ず付き合いが必要なのが減価償却です。正しい減価償却を実施するには、建物の種類や用途によって定められた法定耐用年数を知ることが欠かせません。この記事では、用途や構造別の法定耐用年数、減価償却額の正しい計算方法、リフォームを実施した場合の耐用年数の考え方などを具体的に解説します。
目次
減価償却とは
減価償却とは、時間の経過や使用による老朽化によって価値が減少する資産を、使用期間で按分して費用計上する会計上の手続きのことをいいます。
建物や機械、設備などの資産は取得価額が比較的大きくなりやすく、取得時に一括で費用計上すると取得年度の決算を圧迫してしまい、実態にそぐわないものとなってしまいます。これを避けるために、その耐用年数に応じて少しずつ費用計上を行っていくのです。
減価償却の対象となる資産(減価償却資産)は数年~数十年にわたって使用し、少しずつ役割を果たして資産価値が下がっていきます。そのため、実際の使用と費用計上のタイミングを合わせるという意味でも減価償却は欠かせない手続きなのです。
なお、土地や骨董品、美術品のように、時間の経過や使用することによって価値が下がらないものは減価償却の対象外です。よって、土地と建物をあわせて取得した場合には、減価償却を行うのは建物のみとなります。
減価償却の計算をする際には、「耐用年数」という数字が必要です。耐用年数は資産の種類によって法律で定められており、これを法定耐用年数といいます。減価償却資産ごとの法定耐用年数は国税庁のウェブサイトに掲載されているので、具体的な数値は下記リンクを参照してください。
減価償却では、資産の価値を減少させ、費用を増やす会計処理を行います。よって、減価償却により貸借対照表で資産の減少、損益計算書で費用の増加という形で表れることになります。減価償却の仕組みに関する具体的な説明はここでは省きますが、減価償却の仕組みは非常に重要な内容なので、理解が不十分と感じる人はこちらの記事にも目を通してみてください。
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住宅や建物の減価償却では「法定耐用年数」がポイント
減価償却費の計算には、建物の種類ごとに決められた法定耐用年数が必要です。法定耐用年数の期間と、毎年どのくらいの価値が減っていくのかを表す償却率は、国税庁によって定められています。
法定耐用年数は、建物の材質や構造、業務用かそうでないかによって決定されます。住宅の耐用年数については以下の表をご覧ください。
なお、業務用の住宅と言われるとどんなものがあるのか不思議に思う人もいるかもしれませんが、業務用の住宅とは賃貸収入を得るための物件のことです。これに対し、非業務用の住宅とは事業用に利用しないマイホームや自分で利用するための別荘などのことを指します。
| 建物の構造 | 非業務用耐用年数 | 業務用耐用年数 |
|---|---|---|
| 鉄骨鉄筋コンクリート造または鉄筋コンクリート造 | 70 | 47 |
| れんが造、石造またはブロック造 | 57 | 38 |
| 骨格材の肉厚4mm超の金属造 | 51 | 34 |
| 骨格材の肉厚3mm超4mm以下の金属造 | 40 | 27 |
| 骨格材の肉厚3mm以下の金属造 | 28 | 19 |
| 木造または合成樹脂造 | 33 | 22 |
| 木骨モルタル造 | 30 | 20 |
リフォームを行った場合
リフォームを行うと、まるで新築のように建物がきれいになることもあります。そのため、リフォームすれば耐用年数が伸びるのではないか?と思う人もいるかもしれません。
しかし、リフォームをしても法定耐用年数が伸びたり、リセットされたりすることはありません。原状回復や内装だけの工事は、建物の価値を直接的に高めるわけではなく、維持管理のため必要なものとみなされます。よって、修繕費として処理するのが普通なのです。
それでは、リノベーションで根本的に補強工事を行った場合はどうでしょうか。この場合は資本的支出に該当するため、減価償却の対象となります。例えば耐用年数30年の事務所を20年経過した時点で大規模リノベーションしたとすると、リノベーション費用を残りの10年で償却するのではなく、リノベーション費用部分に応じた耐用年数で償却を行っていくことになります。
ただし、もとにあった建物の耐用年数や残存年数には変化はありません。どんなにリノベーションやリフォームで手を加えても、建物の耐用年数をリセットや延長はできないことに注意してください。
居住用建物の減価償却費の計算と仕訳例
ここからは、居住用の建物を取得した場合の、減価償却費の計算方法や仕訳例を紹介します。
※減価償却費の計算方法には定額法と定率法の2通りがありますが、平成28年4月1日以後に取得した建物附属設備及び構築物の償却方法は原則として定額法です。そのため、ここで紹介する例も定額法による償却としています。
※償却年数別の償却率は以下のサイトを参照しています。
仕訳例)木造戸建て住宅を、期初に社宅として1,000万円で取得した。代金は現金で支払った。
| 建物 | 10,000,000円 | 現金 | 10,000,000円 | 社宅購入 |
社宅の取得後、決算期が到来すると減価償却を行う必要があります。減価償却を実施するためには、まずは減価償却費を計算します。
減価償却費は以下の式から算出されます。
この建物の法定耐用年数は、非業務用で木造であることから33年です。減価償却資産の償却率等表によると償却率は0.031なので、減価償却費は次のように計算できます。
1,000万円×0.031=310,000円
減価償却費の金額が分かったので、期末にはこの金額で減価償却を実施することになります。
仕訳例)期末になったので、期初に取得した社宅の減価償却費を計上した。
| 減価償却費 | 310,000円 | 建物 | 310,000円 | 社宅年次償却 |
ここでは直接法を採用しているので、建物は減価償却費310,000円を直接差引いた残高を記載します。
業務用建物の減価償却費の計算と仕訳例
次は、先ほどの木造住宅が業務用の場合にどう変化するかを見ていきましょう。計算式は先ほどと同じですが、耐用年数が違うため、償却率や年次償却額が変化してきます。
仕訳例)木造戸建て住宅を、賃料収入を得るため、期初に1,000万円で取得した。代金は現金で支払った。
| 建物 | 10,000,000円 | 現金 | 10,000,000円 | 賃貸用物件購入 |
決算期が到来したので、減価償却を行います。賃料収入を得るため、この建物は業務用建物となり、法定耐用年数は22年となります。また、減価償却資産の償却率等表によると償却率は0.046です。
よって、減価償却費の計算式は以下の通りとなります。
1,000万円×0.046=460,000円
仕訳例)期末になったので、期初に取得した賃貸用物件の減価償却費を計上した。
| 減価償却費 | 460,000円 | 建物 | 460,000円 | 賃貸用物件年次償却 |
ここでは直接法を採用しているので、建物は減価償却費460,000円を直接差引いた残高で記載しています。
同じ構造でも、用途により法定耐用年数は変化する
仕訳例では、同じ木造戸建住宅を業務用・非業務用の2パターンで比較しました。用途によって償却額が大きく変わることが理解いただけたのではないでしょうか。このように、建物は用途によって法定耐用年数が大きく変化します。また、リフォームやリノベーションを行っても耐用年数を伸ばすことはできないので、中古物件を購入する際は残存年数をしっかり確認するようにしましょう。新築でも中古でも、物件を購入する際は、用途に合った償却年数でしっかりシミュレーションを行ってから購入することが大切です。
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よくある質問
減価償却とは?
減価償却とは、時間の経過や使用により価値が減少する資産を取得した場合に、その耐用年数に応じて費用を計上し、資産価値を減額させる会計処理のことです。詳しくはこちらをご覧ください。
建物の減価償却の計算方法は?
定額法の場合、「減価償却費 = 取得価額 × 定額法の償却率」で求められます。同じ構造でも、使用目的により法定耐用年数が異なります。正しい法定耐用年数を確認し、定額法・定率法それぞれの方法に基づいて減価償却の計算を行ってください。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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