- 更新日 : 2026年2月19日
振込手数料を削減するには?法人のコスト対策と見直し術を解説
振込手数料の削減には、ネット銀行への移行や振込代行サービスの活用が最も効果的です。
- ネット銀行活用で窓口より約30〜50%のコスト削減が可能
- 同行宛口座への統一や法人カード決済なら手数料はゼロになる
- 月50件以上の振込がある企業は一律安価な代行サービスが推奨
手数料を削減することで、売上増と同等の利益改善効果があります。固定費の見直しは、営業努力なしで利益率を高める即効性のある手段です。
振込手数料を削減するには、インターネットバンキングへの移行、同行宛振込の徹底、あるいは振込代行サービスの活用が最も効果的です。
たかが数百円の手数料であっても、年間を通じた累積額は決して無視できず、純利益を圧迫する要因となります。経費削減において、仕入れコストの交渉よりも手軽かつ即効性があるのが「振込コストの見直し」です。本記事では、2026年現在の銀行システム環境をふまえ、企業がとるべき具体的な削減手順と選び方を解説します。
目次
振込手数料の削減はなぜ経営において必要なのか?
振込手数料の削減が必要な理由は、売上を増やすことなく純利益を増加させるためにも確実な手段だからです。
手数料は変動費ではなく、取引数に比例して発生する「固定的なコスト」として企業のキャッシュフローを圧迫し続けます。ここでは、振込手数料の削減が経営に与える具体的に解説します。
売上を上げずに利益率を改善できるから
振込手数料の削減は、営業努力を必要とせずに利益率を改善できるため、経営効率を高めるための優先事項といえます。
例えば、他行宛の振込手数料が1件あたり550円かかる場合、月に50件の振込を行うと年間で33万円のコストが発生します。
利益率が5%のビジネスモデルであれば、この33万円のコストを賄うために660万円分の新規売上が必要になる計算です。
つまり、手数料を見直すことは、実質的に数百万円規模の売上アップと同等の意味を持ちます。多くの企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を進める中で、銀行窓口やATMに頼らないコスト管理は、競争力を維持するための基本条件といえるでしょう。
累積する固定費の削減は長期的な財務強化につながるから
手数料削減は一度仕組みを変えれば効果が永続するため、長期的な財務体質の強化につながります。
振込手数料は、電気代や家賃と同様に毎月必ず発生するコストです。一時的な節約とは異なり、ネット銀行への移行や法人カードの導入といった仕組みの変更を行うことで、翌月以降も自動的にコストダウンが続きます。
特に設立間もない企業や資金繰りを重視する中小企業にとって、毎月数万円のキャッシュアウトを抑えることは、投資余力を生み出すことにつながります。
インターネットバンキングを活用して削減する
インターネットバンキングを活用することで、窓口やATM利用時と比較して振込手数料を30%〜50%程度安く抑えることができます。
なぜなら、人件費や店舗維持費がかからない分、ネット経由の取引手数料は安価に設定されているからです。多くの金融機関では、窓口振込よりもインターネットバンキング(法人向けWebサービス)の手数料を優遇しています。
ネット銀行の法人口座を開設・利用する
ネット銀行(インターネット銀行)は、メガバンクや地方銀行に比べて基本手数料が圧倒的に安く設定されており、他行宛振込であっても1件あたり100円〜200円台で済むケースが多くあります。
従来の銀行はシステム維持費や店舗経費がかさむため、どうしても手数料が高止まりしがちです。一方、ネット銀行はこれらの固定費が少ないため、利用者への還元率が高くなります。給与振込や経費精算など、件数が多い取引専用のサブ口座としてネット銀行を開設するのは非常に有効な手段でしょう。
- メリット:手数料が安く、24時間365日手続きが可能。
- デメリット:公共料金の引き落としに対応していない場合がある。
既存銀行のインターネットバンキングへ切り替える
現在利用している銀行を変えずにコストを下げたい場合は、窓口やATMでの手続きをやめ、契約中の銀行が提供する「法人向けインターネットバンキング」へ完全に移行しましょう。
多くの銀行では、窓口料金と比較してWeb振込の手数料を大幅に引き下げています。また、全銀システム(全国銀行データ通信システム)の稼働時間拡大により、Web経由であれば夜間や休日でも即時着金する銀行が増えています。
経理担当者が銀行へ行く移動時間(タイムコスト)も同時に削減できるため、業務効率化の観点からも推奨されます。
銀行口座の使い分けで手数料を無料・安価にする
支払先と同じ銀行・同じ支店の口座から振り込むことで、手数料を無料または最小限に抑えることができます。
銀行間をつなぐ通信コストが発生しない「同行間送金」は、システム上の負担が軽いため、手数料が優遇される仕組みになっているからです。
取引先と同じ銀行から振り込むようにする
主要な取引先や外注先が利用している銀行口座を調査し、自社も同じ銀行に口座を開設して、そこから支払いを行う方法です。
「同行他店宛」であれば他行宛よりも安く、「同行同一支店宛」であれば無料になるケースがほとんどです。特に、従業員の給与振込口座を指定銀行に統一してもらう、あるいは主要な仕入先と同じ銀行口座を持つことは、毎月の固定コスト削減に直結します。
新規取引を開始する際、「御社のメインバンクはどこですか?」と確認し、可能な限り合わせる柔軟さを持つとよいでしょう。
総合振込(一括振込)を利用する
件数が多い場合、一件ずつ処理するのではなく「総合振込」というデータ伝送サービスを利用することで、手数料単価を交渉または低減できる場合があります。
総合振込は、複数の振込データをまとめて銀行に送信する仕組みです。銀行側にとっても処理の手間が省けるため、通常の振込よりも安価なレートが適用されることがあります。特に月間の振込件数が数十件を超える場合は、銀行担当者に「総合振込契約による手数料の優遇」が可能か相談してみる価値はあるでしょう。
振込代行サービスを導入してコストを下げる
振込代行サービスを導入すると、銀行の定価に関係なく、安価な一律の手数料で振込が可能になります。
振込代行会社は、多数の企業の振込をまとめて代行することで銀行と大口契約を結んでおり、そのスケールメリットを利用者に還元しているからです。
振込代行サービスの仕組みを理解する
振込代行サービスとは、企業が代行会社に振込資金とデータを渡し、代行会社が自社名義または依頼主名義で各銀行へ送金を行う仕組みです。
代行会社は複数の銀行口座を持っており、振込先に合わせて最適な銀行口座から送金処理を行います。
利用者側は、振込先がどの銀行であっても「代行会社への手数料」を支払うだけで済むため、銀行ごとの手数料体系を気にする必要がありません。初期費用や月額固定費が無料のサービスも多く登場しており、中小企業でも導入しやすくなっています。
【比較表:銀行振込と代行サービス】
| 項目 | 一般的な銀行振込 | 振込代行サービス |
|---|---|---|
| 他行宛手数料 | 440円〜770円程度 | 260円〜400円程度 |
| 手続き | 銀行ごとにログインが必要 | 専用画面でデータアップロードのみ |
| コスト削減効果 | 限定的 | 件数が多いほど大きい |
導入時のセキュリティと信頼性を確認する
代行サービスを選定する際は、資金を一時的に預けることになるため、運営会社の信頼性やセキュリティ体制(Pマークの取得、信託保全の有無など)を最優先で確認しましょう。
万が一、代行会社が倒産した場合に預けた資金が守られる「信託保全スキーム」を採用しているサービスを選ぶのが無難です。また、振込データという機密情報を扱うため、プライバシーマークの取得や暗号化通信の徹底など、情報漏洩対策が万全であるかもチェックポイントとなります。
キャッシュレス決済や法人カードで振込回数を減らす
法人クレジットカードやビジネスデビットカードによる決済へ切り替えることで、そもそも「振込」という行為自体をなくし、手数料をゼロにできます。
カード決済であれば、決済手数料は受け取り側(加盟店)が負担するケースが一般的であり、支払う側には振込手数料が発生しないからです。
経費精算を法人カードに集約する
備品の購入、サーバー代、広告費、接待交際費などの支払いを、請求書払い(振込)から法人カード払いに変更しましょう。
これにより振込手数料が削減できるだけでなく、カードのポイント還元によるメリットも享受できます。また、利用明細がWeb上で一元管理できるため、領収書の入力作業や経費精算の手間も大幅に削減されます。振込手数料削減の文脈では見落とされがちですが、「振込をしない」という選択肢は最もコストパフォーマンスが高い解決策といえます。
ビジネスデビットカードやPay払いを活用する
クレジットカード審査が通らない場合や、即時決済を好む場合は、ビジネスデビットカードやスマホ決済アプリ(Pay払い)を活用しましょう。
デビットカードは銀行口座に直結しており、使用と同時に引き落とされるため、資金管理が容易です。振込手続きを行うことなく、口座から直接支払う形になるため、振込手数料は発生しません。近年は請求書払いに対応したスマホ決済サービスも増えており、これらを利用することで銀行に行かずに手数料無料で支払えるケースも増えています。
自社に最適な削減方法を選定する基準とは?
月間の振込件数と、経理担当者のリソース(手間)のバランスを見て、最も費用対効果が高い方法を組み合わせます。
すべての振込を一つの方法に統一する必要はありません。コスト削減は大切ですが、そのために管理が煩雑になり、担当者の業務時間が増えてしまっては本末転倒だからです。以下の基準を参考に、自社のフェーズに合った方法を選んでください。
月間の振込件数から手法を選ぶ
振込件数のボリュームによって、導入すべきサービスの優先順位が変わります。
- 月間10件未満(小規模・個人事業主)
- 推奨策:ネット銀行の活用、法人カード払いへの移行
- 理由:新たなサービスを契約する手間よりも、単価の安い銀行を使う方が手軽です。
- 月間10件〜50件(中小企業)
- 推奨策:インターネットバンキングへの完全移行、主要取引先との銀行統一
- 理由:窓口業務をなくすだけで大きな効果が出ます。
- 月間50件以上(中堅企業・振込多)
- 推奨策:振込代行サービスの導入、総合振込の活用
- 理由:件数が多い場合、単価差×件数で削減額が大きくなるため、代行サービスの手間をかけても十分なお釣りがきます。
経理担当者の業務効率とリソースを考慮する
単に手数料が安いという理由だけで複数の銀行を使い分けることは避け、担当者の業務負荷が増えない範囲で導入しましょう。
例えば、「A銀行へはa口座から、B銀行へはb口座から」と細かく使い分ければ手数料は最安になりますが、管理コストやログインの手間、誤送金のリスクが増大します。
「給与はA銀行、それ以外の支払いは振込代行サービス」といったように、ルールをシンプルに保つことが、結果として人件費を含めたトータルコストの削減につながります。
振込手数料の削減はネット銀行や代行サービスの活用が効果的
振込手数料の削減は、インターネットバンキングへの切り替えや代行サービスの活用など、現代の金融システムを賢く利用することで確実に達成できます。
手数料の見直しは、一度仕組みを作ってしまえば、翌月以降も永続的に利益を生み出すコスト対策です。「長年の付き合いだから」と高額な手数料を払い続けるのではなく、ネット銀行の併用や法人カード決済へのシフトなど、自社の取引規模に合った方法へアップデートしていくことが、健全な財務体質をつくる一歩となるでしょう。
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