- 更新日 : 2026年2月19日
法人のネットバンキング導入5つのメリット!選び方や注意点とは?
振込手数料の大幅な削減と経理業務の効率化につながる手段です。
ネット銀行とメガバンクは、融資や大口入金は「実店舗型」、日々の決済は手数料の安い「ネット銀行」と役割を分担するのが推奨されます。
インターネットバンキングを法人で導入すると、振込手数料の削減や経理業務の効率化が実現します。理由としては、銀行窓口へ行く移動時間や待ち時間をなくし、クラウド会計ソフトとの連携によって明細入力の手間さえも省けるからです。
本記事では、法人がネットバンキングを導入するメリット・デメリットから、多くの企業が利用している主要なネット銀行とメガバンクの使い分けまでをわかりやすく解説します。
目次
法人がネットバンキングを導入するメリットは?
法人がネットバンキングを導入するメリットは、振込手数料などのコストを抑えられる点と、場所や時間にとらわれない業務環境を作れる点にあります。
具体的には、以下の5つのメリットが挙げられます。
- 振込手数料を大幅に安くできる
- 24時間いつでも振込予約ができる
- 会計ソフト連携で入力作業が減る
- 通帳記帳の手間と紛失リスクがなくなる
- 複数人での承認フローによりガバナンスが強化される
1. 振込手数料を大幅に安くできる
ネットバンキングを利用すると、窓口やATMでの振込に比べて手数料を大幅に安く抑えられます。なぜなら、人件費や店舗運営費がかからない分、手数料を低く設定されているからです。
一般的に、銀行の窓口で他行宛てに振込を行うと、1件あたり600円〜900円程度の手数料がかかります。ATMを利用しても400円〜600円程度かかることが多いでしょう。
一方、法人ネットバンキングを利用すれば、他行宛ての振込手数料は300円〜500円程度に設定されているケースが大半です。ネット専業銀行であれば、さらに安く100円〜200円台で済む場合もあります。
例えば、毎月30件の他行宛て振込を行う企業でシミュレーションしてみましょう。
- 窓口利用(手数料880円と仮定):880円 × 30件 = 26,400円/月
- ネットバンキング(手数料440円と仮定):440円 × 30件 = 13,200円/月
この例でいえば、月間で13,200円、年間では158,400円ものコスト削減になります。振込件数が多い企業ほど、この効果は大きくなるでしょう。
2. 24時間いつでも振込予約ができる
ネットバンキングなら、インターネット環境さえあれば、オフィスや自宅、出張先からでも24時間365日アクセス可能です。銀行の営業時間を気にする必要がなくなり、繁忙期に窓口で長時間待たされるストレスから解放されます。
特に便利なのが「振込予約」機能です。請求書が届いたタイミングで振込データの入力だけ済ませておき、実際の振込指定日を支払期日に設定しておくことができます。支払日当日に慌てて作業をする必要がなくなります。
3. 会計ソフト連携で入力作業が減る
クラウド会計ソフト(マネーフォワードなど)を利用している場合、銀行口座と会計ソフトをAPIなどで連携させることで、入出金明細を自動で取り込めるようになります。
従来の手順では、通帳を見ながら「○月○日 株式会社A社 10,000円」と手入力する必要がありましたが、連携していれば日付や金額、取引先名が自動で反映されます。経理担当者は、自動提案された勘定科目を確認して登録ボタンを押すだけです。
金額の入力ミスや日付の間違いが物理的に起こらなくなります。また、入金確認(消込)作業もリアルタイムで行えるため、月次決算の早期化にもつながります。
参照:API連携のメリットを教えてください|マネーフォワード クラウド会計
通帳記帳の手間と紛失リスクがなくなる
ネットバンキングでは、基本的に「Web通帳」や「入出金明細」としてデータを閲覧・ダウンロードします。そのため、通帳記帳のためにわざわざ銀行やATMに行く必要がなくなります。
紙の通帳を使っていると、記帳がいっぱいになったら繰り越し作業を行わなければならず、紛失した際の再発行手続きも面倒です。また、通帳を誰が持っているか管理する手間も発生します。
ネットバンキングなら、過去の明細もCSVやPDFでダウンロードできるため、税務調査の際や過去の取引を確認したいときにも、検索機能を使って即座に見つけ出せます。
複数人での承認フローによりガバナンスが強化される
法人ネットバンキングには、利用者ごとに権限を設定する機能があり、組織の内部統制(ガバナンス)を強化できます。個人事業主から法人成りしたばかりの段階では社長一人がすべて管理していることも多いですが、組織が大きくなると横領などのリスク対策が必要になります。
例えば、以下のような運用が可能です。
- 経理担当者:振込データの作成のみ可能(承認権限なし)
- 経理部長または社長:作成されたデータの承認・実行が可能
このように「作成」と「承認」を分けることで、不正リスクを抑止できます。また、「いつ・誰が・どのような操作をしたか」という操作ログも記録されるため、セキュリティ面でも安心です。
法人のネットバンキング導入時のデメリットや注意点は?
セキュリティ対策の負担が増える点と、システム障害時やID紛失時に一時的に利用できなくなるリスク、月額基本料などのランニングコストの発生があります。
1. セキュリティ対策とID管理の徹底
不正送金やフィッシング詐欺を防ぐために、ID・パスワードの厳重な管理や電子証明書の導入が求められます。インターネットを介する以上、サイバー攻撃のリスクはなくせないため、銀行側も利用者側も高いセキュリティ意識を持つ必要があるからです。
多くの金融機関では、以下の対策を必須または推奨しています。
- ワンタイムパスワード:使い捨てのパスワードを生成するトークン(専用機器やアプリ)を使用する。
- 電子証明書:特定のパソコンからしかアクセスできないようにする仕組み。
- 権限設定:振込作成者と承認者を分けるなど、内部不正を防ぐ設定を行う。
これらの管理が不十分だと、不正アクセスの被害に遭う恐れがあるため、社内ルールの整備が必要です。
2. 利用料(月額基本料)がかかる場合がある
一部のメガバンクや地方銀行の法人プランでは、月額1,000円〜3,000円程度の基本利用料が発生します。高度なセキュリティシステムや多機能な管理画面を提供するための維持費として設定されているためです。
ネット銀行の多くは月額基本料が無料ですが、法人向けサービスは月額費用がかかることが一般的です。振込頻度が少ない場合、この固定費が負担になることもあります。
3. システム障害やメンテナンスによる停止
銀行側のシステムトラブルや定期メンテナンス中は、一切の取引ができなくなります。実店舗と異なり、代替手段が限られるため、システムがダウンすると復旧まで待つしかありません。
ごく稀ですが、システム障害によって月末の振込ができなくなる事態も想定されます。対策として、複数の銀行口座(メガバンクとネット銀行の併用など)を持っておき、片方が停止しても資金移動ができる体制を整えておくことがリスクヘッジになります。
参照:法人向けインターネット・バンキングにおける不正送金にご注意!|全国銀行協会
ネット銀行とメガバンク・地銀の違いは?
ネット銀行は「安さと速さ」、メガバンク・地銀は「信用と融資」に強みがあり、それぞれの特徴を理解して使い分けるのがよいでしょう。
店舗を持たないネット銀行は低コスト運営が可能ですが、対面での融資相談や複雑な海外送金などのサポート面では実店舗型の方が適しているからです。
| 特徴 | 主要ネット銀行 (楽天・PayPay・住信SBIなど) | メガバンク・地方銀行 |
|---|---|---|
| 月額基本料 | 原則無料が多い | 月額1,000〜3,000円程度(無料プランもあり) |
| 振込手数料 | 安い(他行宛て145〜200円台が多い) | ネット経由でも比較的割高(他行宛て300〜700円台) |
| 口座開設 | 早い(最短即日〜2週間) | 時間がかかる(2週間〜1ヶ月以上)、審査が厳格 |
| 融資・借入 | AI審査による小口融資やカードローンが中心 | 大型融資や創業融資に強い、担当者がつく |
| 対面相談 | 原則なし(チャットやメール) | 窓口や担当者との対面相談が可能 |
| 社会的な信用 | 向上しており、取引上の問題はほぼない | 非常に高い |
創業期や小規模事業者は、まず口座開設がしやすく維持費の安い「ネット銀行」をメインに使い、売上が安定してきたら融資を見据えて「信用金庫」や「地銀・メガバンク」を開設するという流れが多く見られます。
法人がネットバンキングを導入する手順と必要書類は?
申込みから利用開始までは3つのステップがあり、ネット完結型か郵送・来店型かで所要時間が異なります。
法人口座は個人口座よりも厳格な審査(犯罪収益移転防止法に基づく確認)が必要なため、事業実態を示す書類の提出が求められるからです。
STEP 1:必要書類の準備
申込みをスムーズに進めるために、以下の書類を手元に用意します。
- 本人確認書類:代表者の運転免許証やマイナンバーカード(顔写真付き)。
- 法人番号・登記情報:履歴事項全部証明書(発行から6ヶ月以内の原本、ネット銀行では画像アップロードで済む場合あり)。
- 印鑑証明書:法人の印鑑証明書。
- 事業実態確認書類:会社ホームページのURL、事業計画書、設立届、請求書や契約書の写しなど。
※バーチャルオフィスの場合、賃貸借契約書などを追加で求められることがあります。
STEP 2:申込みと審査
各銀行の公式サイトまたは窓口から申し込みます。
- ネット銀行:Webフォームに入力し、書類データをアップロードします。スマホで本人確認(eKYC)を行うと郵送不要でスピーディーです。
- 実店舗型銀行:Web予約をしてから来店するか、法人専用の口座開設アプリから申し込みます。審査には通常2週間程度かかります。
STEP 3:初期設定と利用開始
審査に通過すると、「キャッシュカード」や「トークン(ワンタイムパスワード生成機)」、「ログインID通知書」などが簡易書留で届きます。
- 公式サイトにアクセスし、初期ログインパスワードを変更する。
- 電子証明書をパソコンにインストールする(必要な場合)。
- ワンタイムパスワードの利用登録を行う。
これらが完了すれば、その日から振込や入出金確認が可能です。
自社に最適な銀行の選び方は?
自社に最適な銀行を選ぶ際は、振込頻度による手数料コストの比較、利用中の会計ソフトとの連携可否、そして融資取引の有無を基準に判断するのがポイントです。
振込頻度に合わせて手数料体系で選ぶ
まずは、自社の月間の振込件数を把握しましょう。振込件数が多い企業にとっては、1件あたりの手数料の差が大きなコスト差となります。
- 振込が多い場合:月額基本料がかかっても、振込手数料単価が安い銀行や、定額で振込し放題のプランがある銀行を選ぶとお得になります。
- 振込が少ない場合:振込手数料が多少高くても、月額基本料が無料のネット銀行を選ぶ方が、維持費を抑えられます。
例えば、一部のネット銀行では「条件を満たせば他行宛て振込手数料が月○回まで無料」といった優遇プログラムを提供しています。こうした特典を上手く活用できるかどうかもチェックポイントです。
会計ソフトとの連携可否を確認する
経理効率化を重視するなら、自社で導入している(または導入予定の)会計ソフトとスムーズに連携できる銀行を選ぶべきです。
多くの主要な銀行はクラウド会計ソフトとのAPI連携に対応していますが、地方銀行や信用金庫の一部では、連携ができなかったり、連携に追加料金がかかったりする場合があります。特にAPI連携に対応していると、IDやパスワードを会計ソフト側に保存せずに安全にデータを同期できるため、セキュリティ面でも有利です。
銀行の公式サイトや会計ソフトの対応金融機関一覧ページで、事前に確認しておきましょう。
総合振込機能で一括処理が可能になる
従業員数が増えてくると、給与振込や経費精算の振込作業が負担になります。1件ずつ振込先を指定して金額を入力するのは、時間がかかるうえにミスが起こりやすいでしょう。
そこで役立つのが「総合振込(一括振込)」機能です。これは、会計ソフトや給与計算ソフトから出力した「全銀フォーマット」などの振込データファイルをアップロードするだけで、数十件、数百件の振込を一括で予約できる機能です。この機能が標準で使えるか、オプション料金が必要か、使い勝手がよいかは銀行によって異なります。毎月の振込件数が10件を超えるようであれば、この機能の有無は選定の重要な決め手になるでしょう。
融資や対面相談の必要性で使い分ける
最後に、銀行との付き合い方も考慮する必要があります。将来的に事業融資を受けたいと考えている場合は、ネット銀行だけでなく、店舗を持つ信用金庫や地方銀行、都市銀行にも口座を持っておくことが望ましいでしょう。
そのうえで、以下のような「使い分け」を推奨します。
- メインバンク(リアル店舗):融資の返済、大口の入金、定期的な担当者との面談用
- サブバンク(ネット銀行):日々の振込決済、経費精算、小口の入出金用
このように役割を分担させることで、リアル店舗の信頼性とネット銀行の利便性・低コストという、双方のメリットを享受できます。「資金移動の手間」は多少発生しますが、それ以上にコスト削減と効率化の効果が期待できるはずです。
法人のネットバンキング導入メリットはコスト削減と業務効率化
法人ネットバンキングの導入は、窓口振込に比べて手数料を大幅に削減できるだけでなく、24時間利用可能になることで移動や待ち時間をなくすことができます。
また、クラウド会計ソフトとのAPI連携によって経理処理が自動化されれば、バックオフィス業務の生産性は劇的に向上するでしょう。手数料の安いネット銀行と、信用の高い実店舗型を上手く活用しながら、自社の業務フローに合わせた快適な経理環境を整えましょう。
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