- 更新日 : 2026年2月19日
経理業務を効率化!一括振込を自動化する方法やメリットとは?
全銀データやAPIを活用し、大量の振込手続きを一度の操作で完結させる仕組みです。
- ネット銀行の総合振込やAPI連携など規模に応じた4つの手法がある
- 手入力の排除により誤入力防止と業務時間短縮を実現できる
- AI-OCRとの連携で請求書受取からの全工程も自動化が可能
導入失敗を防ぐための最重要ポイントは?
A. 取引先マスタの正確な登録です。カナ表記やスペースの有無はエラー原因となるため、データ整備を行うことが安定運用の鍵となります。
毎月の給与支払いや取引先への請求払いにおいて、一括振込の自動化とは、インターネットバンキングや会計システムを活用し、複数の振込手続きを一度の操作で完了させる仕組みのことです。手入力によるミスを削減し、月末等の繁忙期における業務時間を大幅に短縮できます。多くの企業では、1件ずつ振込先を入力する手間や、二重入力による金額ミスのリスクが課題となっています。
本記事では、一括振込を自動化するための具体的な手法や、導入手順、注意点について詳しく解説します。
目次
一括振込の自動化とはどのような仕組みですか?
一括振込の自動化とは、全銀協規定形式(全銀フォーマット)のデータやAPI連携を用いて、銀行への振込指図をシステム間で直接、または一括で行う仕組みです。
従来の手作業での振込と異なり、会計ソフトや給与計算ソフトで作成した「振込データ」をそのまま銀行システムへ渡すことで、入力作業を省略します。一般社団法人全国銀行協会(全銀協)が定めるデータ形式を利用することで、異なる金融機関やシステム間でもスムーズなデータ連携が可能となります。
手入力と自動化の違いは何ですか?
手入力と自動化の決定的な違いは、「情報の転記作業」が発生するかどうかという点にあります。
手入力の場合、請求書を見ながらインターネットバンキングの画面に「受取人名」「口座番号」「金額」を1件ずつ打ち込みます。これに対し、自動化されたフローでは、会計ソフトに登録された仕訳データや取引先マスタから振込データを生成し、それを銀行へ送信します。担当者の作業は「承認」と「送信」のプロセスのみとなるため、誤入力のリスクがなくなります。
全銀フォーマットとは何ですか?
全銀フォーマットとは、金融機関同士で振込データをやり取りするために統一された、固定長テキスト形式のファイル仕様です。
多くの会計ソフトや給与計算ソフトは、この形式でのデータ書き出しに対応しています。このデータをインターネットバンキングの「総合振込」機能でアップロードすることで、何十件、何百件もの振込を一度の処理で予約できます。XML形式などの新しいフォーマットも普及しつつありますが、依然として固定長の全銀フォーマットは実務の現場で標準的に利用されています。
一括振込を自動化する主な方法には何がある?
一括振込を自動化する主な方法には、インターネットバンキングの総合振込、会計ソフトのAPI連携、振込代行サービス、そしてRPAツールの活用の4つがあります。
企業の規模や取引件数、現在利用している銀行口座の種類によって、最適な手法は異なります。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
ネットバンキングの総合振込機能を利用する
インターネットバンキングの総合振込機能を利用する方法は、会計ソフトから出力した振込データ(CSVや全銀フォーマット)を銀行の管理画面にアップロードする形式です。
もっとも一般的で信頼性が高い方法です。多くの都市銀行や地方銀行の法人用口座には、標準またはオプションでこの機能が備わっています。一度に大量のデータを処理できるため、振込件数が月間数十件を超える企業では必須の機能といえるでしょう。
クラウド会計ソフトのAPI連携を活用する
クラウド会計ソフトのAPI連携を活用する方法は、ファイルを介さず、会計ソフトの画面上から直接銀行へ振込データを送信する形式です。
マネーフォワード クラウドなどの主要なクラウド会計ソフトは、銀行APIを通じて金融機関と接続しています。ファイルをダウンロードしてアップロードし直すという手間が不要になります。
データの改ざんリスクも低く、セキュリティ面でも強固な方法です。ただし、対応している金融機関が限られる場合があるため、事前の確認が必要です。
参照:銀行振込APIの設定方法|マネーフォワード クラウド経費使い方ガイド
振込代行サービスを導入する
振込代行サービスを導入する方法は、銀行よりも安価な手数料で振込業務を請け負う外部サービスを利用する形式です。
振込資金とデータを代行会社に渡すことで、代行会社がまとめて振込を行います。初期費用や月額費用がかかる場合もありますが、振込手数料自体が一律で安く設定されていることが多く、件数が多い場合はコスト削減につながります。また、専用の管理画面が使いやすく設計されていることが多いため、ITに不慣れな担当者でも操作しやすいという利点があります。
RPAツールで操作自体を自動化する
RPA(Robotic Process Automation)ツールで操作自体を自動化する方法は、パソコン上のマウス操作やキーボード入力をロボットに記憶させ、反復作業を代行させる形式です。
銀行や会計ソフトがAPI等に対応していない場合や、独自の社内システムを利用している場合に有効です。「Excelのリストを開き、銀行の画面にログインし、数値をコピー&ペーストする」といった一連の動作を自動化できます。
ただし、画面のレイアウト変更などでロボットが停止するリスクがあるため、保守運用には一定の知識が必要です。
各自動化手法のコストや特徴
各手法には、導入コスト、ランニングコスト、セキュリティレベルにおいて違いがあります。
以下の表に、それぞれの特徴を整理しました。自社の状況に合わせて比較検討する際の参考にしてください。
| 手法 | ランニングコスト | 向いている企業規模 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 総合振込 (データ伝送) | 銀行による (月額数千円〜) | 中小〜大企業 | もっとも標準的。大量処理に安定感がある。 |
| API連携 | 会計ソフト費用に含まれる場合が多い | 個人〜中小企業 | ファイル操作不要でシームレス。最新の手法。 |
| 振込代行サービス | 振込手数料のみの場合が多い | 小〜中企業 | 手数料削減効果が高い。資金移動のリードタイムが必要。 |
| RPA | ツール費用 (月額数万円〜) | 中〜大企業 | レガシーシステムとの連携に強み。メンテナンスが必要。 |
総合振込の手数料体系はどうなっていますか?
総合振込を利用する場合、通常の振込手数料とは別に、インターネットバンキングの月額基本料や「総合振込基本手数料」が発生することが一般的です。
例えば、月額2,000円〜5,000円程度の基本料がかかるケースが多いでしょう。振込件数が少ない場合、この固定費が割高になる可能性があります。しかし、件数が多ければ、1件あたりの振込手数料が通常よりも優遇される契約を結べることもあるため、トータルコストで判断することが大切です。
API連携に必要な環境は何ですか?
API連携を行うには、APIに対応した法人口座の開設と、それに対応するクラウド会計ソフトの契約が必要です。
主要な銀行の多くが残高照会などを参照するだけでなく振り込みなどにもAPIを開放していますが、中には別途「API利用契約」が必要な銀行もあります。また、電子証明書の取得や、ワンタイムパスワードトークンの設定など、セキュリティ認証の準備もあわせて行わなければなりません。
一括振込の自動化を導入する手順
一括振込の自動化を導入するには、現状分析から始まり、システム選定、テスト運用という段階を踏んで進める必要があります。
いきなり本番環境で自動化を行うと、万が一の設定ミスで誤送金が発生する恐れがあります。以下のステップに従って、安全に移行しましょう。
STEP1:現状の振込件数とコストを把握する
まずは、月間の振込件数、現在の振込手数料総額、そして振込業務にかかっている人的時間を正確に数値化します。
「毎月25日に3時間かけて100件振り込んでいる」といった具体的な現状を把握することで、どの程度の投資(ツール導入費など)が許容されるかが見えてきます。コスト削減だけでなく、担当者の精神的負担の軽減も評価軸に入れるとよいでしょう。
STEP2:自社の会計ソフトと銀行の対応状況を確認する
次に、現在利用している会計ソフトが全銀フォーマットの出力やAPI連携に対応しているかを確認します。
あわせて、取引銀行のインターネットバンキングが「総合振込(データ伝送)」に対応しているか、またはAPI連携が可能かを問い合わせます。もし対応していない場合は、対応している銀行の口座を新たに開設するか、振込代行サービスの利用を検討する分岐点となります。
STEP3:テスト送金を行い、フローを確定させる
システムの設定が完了したら、少額でのテスト送金を行い、データが正しく連携されるかを確認します。
特に確認すべきは、「手数料負担区分(当方負担・先方負担)」の設定と、「振込依頼人名」の表示です。これらが誤っていると、取引先とのトラブルになります。テスト送金で問題がないことを確認した後、まずは少数の取引先から本番運用を開始し、徐々に件数を増やしていくのが安全な進め方です。
API連携やAI活用による最新の経理DXとは?
2026年の現在、振り込みを自動化するだけではなく、AI-OCRによる請求書読み取りから支払消込までを一気通貫で自動化するフローが進められています。
振込データを作る前段階である「請求書の処理」からデジタル化することで、経理業務全体の効率が飛躍的に向上します。
請求書受領から振込データ作成までをどう連携しますか?
AI-OCR機能を搭載した請求書受領システムを使えば、アップロードされたPDFの請求書から「金額」「振込先」「支払期日」を自動で抽出できます。
この抽出データを会計ソフトに連携することで、仕訳データと同時に振込データ(全銀データ)が自動生成されます。人間は、AIが読み取った内容が正しいかを確認するだけで済みます。これにより、入力ミスはほぼゼロになり、支払漏れも防ぐことができます。
セキュリティとガバナンスはどう強化されますか?
API連携やクラウドシステムを活用することで、操作ログが詳細に残るため、誰がいつ承認したかという証跡管理(ガバナンス)が強化されます。
従来の紙とハンコによる承認フローでは、実際に誰がチェックしたかが曖昧になりがちでした。デジタルフローでは、承認権限を持ったユーザーしか振込実行ボタンを押せないように制御できるほか、二要素認証による本人確認も必須となるため、不正送金のリスクを大幅に低減できます。
一括振込の自動化に取り組む際の注意点やデメリットは?
一括振込の自動化は初期設定の手間やシステム障害時の対応など、いくつかの注意点もあります。
これらを事前に理解し、対策を講じておくことで、スムーズな運用が可能になります。
初期設定や権限管理の手間がかかる
一括振込の自動化を開始するにあたって、取引先の銀行口座情報(カナ氏名、支店番号など)をシステムに正確にマスタ登録する必要があります。
このマスタ情報に誤りがあると、振込エラー(組み戻し)が発生し、再振込の手数料や手間がかかってしまいます。特に、会社名の「カ)」や「(カ」などの表記、スペースの有無などはエラーの頻出原因です。導入初期は、マスタ整備に十分な時間を割く必要があります。
システム障害時の代替手段を準備する
銀行のシステム障害やクラウドサービスのダウンにより、自動振込が利用できなくなるリスクを想定しておく必要があります。
万が一、期日当日にシステムが使えなくなった場合に備え、最寄りのATMでの振込上限額を確認しておく、予備のビジネス用クレジットカードを用意しておく、あるいは取引先に事情を説明できる連絡体制を整えておくなど、BCP(事業継続計画)の観点からの準備も大切です。
一括振込の自動化はAPIや全銀データ活用で実現
一括振込の自動化は、手入力によるミスをなくし、経理業務の正確性と効率を同時に高めるための有効な手段です。
- 全銀フォーマットやAPIを利用することで、手入力をなくし正確性を高められます。
- コストや規模に応じて、総合振込、API連携、代行サービスから最適な手段を選べます。
- AI-OCRなどの周辺技術と組み合わせることで、請求書受取から支払までの全工程を効率化できます。
- 初期のマスタ整備やセキュリティ設定は慎重に行う必要があります。
これまでの手作業にかけていた時間を、経営分析や事業成長のための業務に充てることができるようになります。まずは自社の振込件数とコストを可視化し、利用中の会計ソフトがどの連携方式に対応しているかを確認することから始めてみてはいかがでしょうか。
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