• 更新日 : 2024年8月8日

会計ソフトで領収書を電子保存するメリットとやり方

領収書を整理してファイルに綴じる紙ベースでの保存を行っている法人、あるいは個人事業主も多いかと思います。紙ベースでの保存は原則的な方法ではありますが、必要な領収書を取り出す際、保管する際に少々不便です。

特に個人においては、青色申告特別控除の額が令和2年分の申告以降から変更されることになりました。引き続き65万円控除を受けるには、電子申告(e-Taxを利用した申告)あるいは電子帳簿保存のいずれかを満たす必要があり、領収書等の電子保存に寄せられる関心も高いのではないでしょうか。この記事では、従来の方法と電子帳簿保存の比較、会計ソフトでの領収書の電子保存について紹介します。

領収書は定められた期間保存しなければならない

まず、領収書を含む帳簿書類の保存は、法律により定めがあり、一定の期間保存する義務があります。

法人の場合

税法上の法人の帳簿書類の保存義務は7年、会社法上は10年です。領収書については、税法上も会社法上も7年となります。ただし、欠損金(税務上の赤字)が生じる場合は領収書含め帳簿書類を10年保存しなければなりません(平成30年4月1日以後開始の事業年度については10年、それ以前から平成20年4月1日以後開始の事業年度については9年)。

個人の場合

個人事業主については、税法上の帳簿書類の保存義務は5~7年で、その内容や青色申告の有無によって保存期間が異なります。青色申告の場合、領収書の保存期間は7年(前々年の所得が300万円以下の場合は5年)、白色申告では領収書の保存期間は5年です。

※青色申告:複式簿記で記帳する事業所得者等。青色申告には青色申告特別控除などの特典がありますが、適用を受けるには所轄の税務署への申請が必要です。

領収書を保存する必要性

法人、個人、いずれも法律上、領収書を含めた帳簿書類の保存が義務となっていますが、これは欠損金の繰越、消費税仕入税額控除において必要な証明書類となるためです。税務調査が入ったときの、取引の証明にもなります。

従来の領収書の保存のしかたとデメリット

法人、個人、いずれも法律によって領収書の保存が義務とされていますが、法律上、どのように保存するのが適切とされているのでしょう。原則的な方法と従来の方法でのデメリットを解説します。

原則は紙による保存

領収書を含む帳簿書類の保存は、原則は紙によって行います。そのため、エクセルやネットワーク上で作成した領収書控えなども紙に印刷して保存しなければなりません。

具体的な保存方法に定めはありませんが、必要に応じて取りだせるように、年度ごとにファイルを作って、年月日順に用紙に発行された領収書を張り付けて綴じる方法をとっている企業や個人も多いでしょう。

従来の保存によるデメリット

従来型の紙による保存は原則的なものですが、帳簿書類のデータ化が増えたこともあり、さまざまな問題が生じるようになりました。データを紙に出力して貼り付けるなどの手間がかかるようになったことです(ただし、電子取引の取引データは原則、電子データのまま保存します)。

取引の数が多いほどデータを紙にする手間も増え、本来必要な会計業務に十分に時間が割けないという問題もあるでしょう。さらに、紙での保存には、場所をとってしまうことや、データが膨大であればあるほど、必要なデータを取り出しにくくなってしまうことが問題として挙げられます。

電子帳簿保存法で領収書のデータ保存も可能

紙での保存が今でも原則ではありますが、ペーパーレス化が進む中で、平成10年度の税制改正により、新たに電子帳簿保存法が創設されることになりました。

電子帳簿保存法でデータでの保存もできるようになった

電子帳簿保存法で容認されるようになったのが、帳簿書類のデータ保存です。電子計算機(コンピューターなど)を使って帳簿書類を作成している場合、一定の要件を満たせば電磁的記録(磁気ディスクなどへの保存、スキャナーを使った保存など)ができるようになりました。一定の要件を満たせば、必ずしも紙で保管する必要がないということです。

データで保存するには一定の要件がある

領収書などのデータを電子保存するには、いくつかの要件があります。一貫して国税関係書類の一部またはすべてを電子計算機で作成していることなどです。なお、いずれの要件も電子帳簿保存を行うための要件の一部で、実際に適用を受けるにはさらに細かい要件を満たす必要があります。

例えば、会計ソフトなどを利用している場合、日付や金額など主な記録項目で検索できること、システム概要書や説明書の備え付けがあることなどです。会計ソフトなどコンピューターでの処理が主要になってきていることから条件が緩和されている傾向にはありますが、電子帳簿保存を適用するには要件を満たす環境を構築しておく必要があります。

>>電子的に保存する「電子帳簿保存法」と「e-文書法」とは?

クラウド型会計ソフトに領収書のデータを取り込むメリット

クラウド型の会計ソフトには、領収書やレシートを直接取り込めるタイプのもの、請求書や経費精算などと連動してほかのシステムから取り込んだデータを会計ソフトに反映できるタイプのものがあります。このようなクラウド型の会計ソフトで領収書のデータを取り込むメリットには何があるのでしょう。

クラウド型で領収書をデータ化するメリット

データを会計ソフトに取り込むタイプの多くは、自動仕訳に対応しています。データを取り込むことで仕訳に反映されるため、金額の入力ミスや入力漏れのリスクを抑えることが可能です。もちろん入力の手間も省けますので、効率よく会計処理を行うのにも適しているといえるでしょう。

また、取り込んだデータが電子帳簿保存法に対応している場合、領収書をデータ化したまま保存できます。電子帳簿保存法の要件を満たせば紙で領収書を保存する必要もありませんので、膨大な量の領収書を保管する必要もなくなるでしょう。さらに、データ化の要件のひとつには主要項目などでの検索ができることが含まれていますので、電子帳簿保存法の要件に沿ったデータ化を行うことで、必要なときに必要なデータの取り出しが容易にできるようになります。

>>クラウド型の会計ソフトで利用すべき機能とは?

会計ソフトを使った領収書保存のポイント

会計ソフトなどを使った領収書のデータ化は便利ですが、税務署長から承認を受けてデータ化したからといって必ずしも要件を満たすわけではありません。データ化の方法が効率的でないと、かえって手間がかかってしまうことになります。ここでは、会計ソフトを使った領収書保存のポイントについて紹介します。

領収書保存のための媒体を用意する

領収書を保存するのに手間取ってしまっては、データ化する意味がなくなってしまいます。領収書を一度に大量に保存したい場合は、まとめて保存できるスキャナーを用意しておくと便利です。スマートフォンからのアップロードに対応している会計ソフトもあるので、利用できる端末を事前に確認しておくと良いでしょう。

なお、スキャンなどの利用にあたっては、データの改ざんを防ぐために、タイムスタンプを付与すること、早期に入力すること(入力期間の制限)、200dpi程度以上の解像度を満たすことなどのさまざまな要件があります。データ化して保存したい場合は、電子帳簿保存法の要件を満たすようなシステムも用意しておくなど要件を満たすための準備も必要です。

電子帳簿保存法に対応している会計ソフトを利用する

電子帳簿保存する場合は、利用している会計ソフトが電子帳簿保存法に適用しているかどうかも確認しておく必要があるでしょう。領収書をスキャナーなどでデータとして保存する場合、同時に会計ソフトを利用して作成した帳簿のデータ保存を行うのが現実的です。

訂正や削除をした場合の内容を確認できること、データ化した帳簿との関連性が確認できること、日付や金額、主要な項目などで検索できることなど、領収書以外の帳簿のデータ化にもいくつか要件があります。これらをひとつずつ確認するのでは手間がかかってしまうため、電子帳簿保存法に対応していることが明らかな会計ソフトを利用するのが安心です。

領収書以外のデータも保存できると便利

電子帳簿保存法の適用を申請すれば、領収書以外の帳簿や請求書などもデータで保存できるようになります。領収書をデータ化する場合、ほかの書類もまとめてデータ化する方向で検討すると思いますので、領収書以外の帳簿書類のデータ保存にも対応している会計ソフトを選択すると便利です。

※領収書のクラウド型会計ソフトへの取り込みは、利用する会計ソフトによって異なります。基本的には、上記のスキャナーなどの媒体を用意しておく必要があるでしょう。具体的な取り込み方法と閲覧方法は、それぞれの会計ソフトの使い方で確認してください。

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会計ソフトで領収書を電子保存しよう

会計ソフトの領収書の電子保存は、検索の便利さ、手間の削減を考えると有用性があります。しかし、徐々に要件が緩和されてきたとはいうものの、電子保存にあたってはいくつかの要件を満たす必要があります。会計ソフトを利用して保存する場合は、まずは会計ソフトが電子帳簿保存法の要件を満たしているかどうかの確認が必要です。

 

【参考】

No.5930 帳簿書類等の保存期間|国税庁
電子帳簿保存法の概要|国税庁
電子帳簿保存法Q&A(一問一答)~令和3年12月31日までの保存等に関するもの~|国税庁
電子帳簿保存時の要件|国税庁
パンフレット(過去の主な改正を含む)|国税庁

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よくある質問

領収書の保存はどのくらいの期間できますか?

法人の場合は7~10年、個人の場合は5~7年です。詳しくはこちらをご覧ください。

領収書のデータは保存できるのですか?

平成10年度の法改正により、帳簿書類のデータ保存が可能になりました。詳しくはこちらをご覧ください。

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