- 更新日 : 2026年7月23日
販売促進費とは?広告宣伝費や交際費との違い、勘定科目の仕訳例を解説
販売促進費は一般に損益計算書の販売費及び一般管理費にあたる勘定科目で、商品やサービスを売り伸ばす目的で支払う費用が対象になります。
国税庁の区分基準と業種ごとの例外条件もあわせて確認したい内容です。
販売促進費は売上アップを狙う支出ですが、広告宣伝費や交際費との線引きが曖昧で、どの勘定科目で計上すべきか迷う場面が少なくありません。販促費とも呼ばれるこの勘定科目について、定義から似た勘定科目との違い、消費税の扱い、後払いや販売奨励金まで含めた仕訳例を解説します。経理担当者が判断に迷わない実務情報をまとめました。
目次
販売促進費とは?勘定科目としての位置づけ
販売促進費は損益計算書の「販売費及び一般管理費(販管費)」に含まれる勘定科目で、商品やサービスの販売を促進する目的で支払う費用を計上します。略称は「販促費」と表記されることもあり、売上を伸ばすための施策に幅広く使われる費用です。
販売促進費の定義と該当する条件
販売促進費として処理するには、一般に消費者や取引先との直接的な関わりがあり、損金算入できる費用であることが必要です。
- 商品やサービスなどの「販売対象の売上増加」に貢献する費用であること
- 消費者や取引先を対象にして支出する費用であること
ただし、会計上販売促進費として処理しても、税務上は交際費等、寄附金、売上げに係る対価の返還等など、別の取扱いになる場合があります。
- 商品サンプルの制作や配布用の費用
- ノベルティグッズの制作や配布用の費用
- 割引券やクーポン券の制作や配布用の費用
- キャンペーン用の費用
- 実演販売にかかった費用
- 展示会や見本市への出品にかかる費用
- 販売手数料
ただし「損金として算入できる」という条件から、固定資産や工具器具備品として資産計上する必要があるものへの支出は、その減価償却費を販売促進活動の費用として配賦する場合があります。
また支出の内容等によって広告宣伝費や交際費に区分されるケースもあり、仕訳の際には注意したいポイントです。
販売促進費と広告宣伝費の違い
販売促進費と広告宣伝費の違いは会社実務による。
広告宣伝費も販売促進費と同じく、販売費及び一般管理費に含まれる費用です。実際のところ広告宣伝費と販売促進費との間に、明確な違いや法的な基準が定められているわけではありません。
おおまかな違いは「消費者や取引先との関わりが間接的かどうか」です。商品やサービスを特定の人へ手渡したり見てもらったりではなく、不特定多数の人に宣伝するための支出が広告宣伝費に区分されます。
| 項目 | 販売促進費 | 広告宣伝費 |
|---|---|---|
| 対象との関わり | 直接的
(特定の人へ手渡す・見てもらう) |
間接的
(不特定多数へ宣伝する) |
| イメージ | 直接売り込む | 宣伝広告でアピールする |
| 代表的な支出 | サンプル・クーポン配布、展示会出展など | パンフレット、テレビ・ネット広告、新聞掲載など |
- 広告宣伝用のパンフレットやポスターの制作費
- テレビやインターネット広告の制作費
- 雑誌や新聞、地域情報誌等への掲載費
- 会社案内の制作費
マーケティング上は、広告活動を販売促進活動の一部と捉えることもあります。
実際に仕訳を行う際は、事業主の判断によるところが大きいため、自社や取引先、税務署が混乱しないように分類しましょう。
販売促進費と交際費の違い
販売促進費と交際費の違いは支出目的が「特定の対象者か否か」等で見分けます。
交際費とは、取引先や仕入先などの「事業の関係者」に対する接待や慰安、贈答などを行うために支出する費用のことです。「直接アプローチして販売を促進する」という販売促進費と似た性質を持つこともあり、交際費と販売促進費との区別に迷う担当者も少なくありません。
| 判断のポイント | 販売促進費(広告宣伝費) | 交際費 |
|---|---|---|
| 対象 | 不特定多数の一般消費者 | 事業の関係者(特定の相手) |
| 目的 | 宣伝・販売促進 | 接待・慰安・贈答 |
| 例 | 社名を入れた高額でない贈答品を贈る | 取引先へ贈り物をする |
交際費として判断するポイントは「事業の関係者といった『特定の相手』が対象であること」「広告宣伝を目的としたものでないこと」の2点になります。たとえば、取引先への贈り物のために支出した費用は交際費ですが、宣伝を目的に社名が入った高額でない贈答品を贈った場合は販売促進費です。
国税庁のホームページに記載がある「不特定多数の者に対する宣伝効果を意図した費用」と見なされ、主に「交際費等に含まれない広告宣伝費」となる例を紹介します。
- 抽選で一般消費者に「金品を交付するため」または「旅行や演劇などに招待するため」に支出した費用
- 一般消費者に金品引換券付販売にともなって金品を贈るための費用
- 一定の商品を購入する一般消費者を旅行や観劇に招待することをあらかじめ宣伝し、実際に招待するための費用
- 商品を購入した一般消費者に贈る景品の費用
- 工場見学者への試飲や飲食のためにかかる費用
- 見本品や試用品を贈るための費用
- 一般消費者に依頼したアンケートやモニター(消費動向調査など)の謝礼にかかる費用
ただし、以下の業種や事業のケースはその限りではない点に注意してください。
- 医薬品の製造業者または販売業者が、医師や病院を対象にするとき
- 化粧品の製造業者または販売業者が、美容業者や理容業者を対象にするとき
- 建築材料の製造業者または販売業者が、大工や左官などの建築業者を対象にするとき
- 飼料・肥料などの農業用資材の製造業者または販売業者が、農家を対象にするとき
- 機械や工具の製造業者または販売業者が、鉄工業者を対象にするとき
注意したいポイントとして、法人の交際費の損金算入額には税法上の上限が設けられている点が挙げられます。法人は支出の実態が販売促進費になるか交際費になるかで、損金の総額(経費計上の総額)に違いが生じます。
販売促進費の消費税はどう扱う?
販売促進費として支出した費用は、支出の名称ではなく、購入した物品・サービスの内容や、支払先との取引関係によって判断します。
販売促進費として支出した費用に関しては、課税対象になるものと課税対象外になるものがあります。
| 対象費用 | 課税の有無 |
|---|---|
| 展示会や抽選会費用 | 通常は課税対象 |
| 情報提供料 | 役務提供の対価であれば通常は課税対象 |
| 販売奨励金 | 通常の課税仕入れではない。 |
| 見本品や試供品の提供 | 購入は課税対象。自社で作成して配る場合は課税なし(材料等は課税対象) |
| 輸出免税取引 | 消費税の課税取引に該当するものの、輸出免税が適用される |
上記のうち販売奨励金を支払った場合に関しては「売上に係る対価の返還等」に当てはまるため、販売奨励金に係る消費税分を課税標準額の消費税から差し引きます。
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勘定科目「販売促進費」の仕訳例
販売促進費の仕訳は、借方を販売促進費(費用)、貸方を支払いに使った資産科目で処理します。後払い時の未払金処理や、販売奨励金のような取り扱いが分かれるケースでは、処理の流れが変わる点を押さえておきましょう。
販売促進費を現金で支払った場合の仕訳
販売促進費を支払ったときは、借方に販売促進費、貸方に現金や普通預金を計上します。
販売促進費の仕訳は、ほかの費用科目と大きく変わりません。支出が発生した際は借方に費用計上し、貸方は普通預金や現金など、支払いに関係する資産の減少として処理します。
<販売促進費を支払った場合>
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 販売促進費 | 200,000 | 普通預金 | 200,000 |
後払い時の仕訳(未払金を使う場合)
後払いで処理する場合は、費用発生時と支払時の2段階で「未払金」を介して仕訳します。
販売促進費を後払いで処理する場合は、未払金の勘定科目を使って2段階の仕訳を行います。サンプル制作費5万円を後日口座振込で支払うケースで見てみましょう。
<制作費用が発生した時点>
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 販売促進費 | 50,000 | 未払金 | 50,000 |
<実際に支払った時点>
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 未払金 | 50,000 | 普通預金 | 50,000 |
商品の仕入れでは「買掛金」を使いますが、販売促進費は仕入れにはあたらないため、後払いでは未払金を使うのが原則です。
販売促進費と他の費用が混在する場合の仕訳
1回の支払いに販売促進費と他の費用が混在する場合は、勘定科目ごとに分けて計上します。
広告宣伝費や交際費が混ざっている場合は、混同しないように注意しましょう。「展示会に25万円で出品した」「展示会場内でパンフレットを20万円分配った」「展示会終了後に取引先との会食で5万円支払った」が同じ日に発生した場合は、それぞれに合った勘定科目で仕訳します。
<展示会に関わる費用の仕訳を行った場合>
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 販売促進費 | 250,000 | 普通預金 | 450,000 |
| 広告宣伝費 | 200,000 | 現金 | 50,000 |
| 交際費 | 50,000 |
すべて販売促進費に一括計上してしまうと、後からコストの内訳がわからなくなる傾向があります。費用の内訳が見えるよう、勘定科目を分けて計上するほうが望ましい処理です。
販売奨励金(リベート)を支払った場合の仕訳
販売奨励金は「売上に係る対価の返還等」として、課税売上から控除する形で処理します。
販売促進の目的で、取引先の販売数量や販売高に応じて金銭で支払う販売奨励金は、消費税法上「売上に係る対価の返還等」として扱われます。会計処理では「売上値引・割戻」または「販売促進費」として計上する方法があり、企業の運用によって分かれます。一方、取引先が自社商品の広告掲載、特設売場の設置、販促イベントの実施など、別個のサービスを提供しており、その時価を合理的に見積もれる場合は、販売促進費や広告宣伝費として処理します。時価を超える支払額は、売上高から控除します。
たとえば、得意先の販売数量に応じて販売奨励金10万円を普通預金から支払った場合の仕訳は次のとおりです。
<販売奨励金を支払った場合(販売促進費で処理)>
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 販売促進費 | 100,000 | 普通預金 | 100,000 |
消費税の処理上は、販売奨励金に係る消費税額分を、課税標準額の消費税から差し引きます。
サンプル品が在庫として残った場合の仕訳
配布用に制作したサンプル品が余って在庫になった場合は、貯蔵品として資産計上します。
宣伝用に制作したサンプルが余って在庫として残った場合は、余った分を資産として計上します。
<40万円分のサンプル品を制作した時点>
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 貯蔵品 | 400,000 | 普通預金 | 400,000 |
<30万円分は配布できたが、諸事情で10万円分が残った時点>
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 販売促進費 | 300,000 | 貯蔵品 | 300,000 |
期末にサンプル等の在庫が残っている場合は、原則として未配布分を貯蔵品として資産計上し、配布した分のみを販売促進費として費用計上することが基本です。
販売促進費の判断に迷ったときの対応
販売促進費と広告宣伝費、交際費の違いや仕訳例について解説してきましたが、実際の経理実務において勘定科目の判定に悩む方は少なくありません。マネーフォワードが経理担当者を対象に実施した調査では、仕訳作業の工程において最も工数がかかっている作業について質問しました。
その結果、最も工数がかかっているのは「適切な勘定科目や消費税区分(課税・非課税等)の判定」で、36.8%でした。次いで「銀行明細やクレジットカード明細と帳簿の突合作業」が34.5%、「インボイス制度への対応」が27.2%、「証憑の回収と内容の確認」が25.2%となっています。
勘定科目の判断作業を効率化するには
この調査結果から、販売促進費や交際費といった勘定科目の判断や税区分の判定が、経理業務における最大のボトルネックになっていることがわかります。日々の仕訳作業で発生する手作業での確認や人的な判断は、業務時間を圧迫するだけでなくミスの原因にもなります。業務効率化や負担軽減のためには、過去のデータから勘定科目を推測し自動仕訳するクラウド会計ソフトの導入など、システムの機能を活用した運用が有効な解決策となります。
販売促進費のポイントをおさえよう!
販売促進費は広告宣伝費や交際費との区別が難しいですが「販売促進費は、サンプル配布、キャンペーン等、商品・サービスの購入や利用を促すための支出」と考えられればイメージしやすくなります。
とくに法人は交際費の計上に上限があるため、正確な会計処理と節税を行う意味でも、正しく仕訳できるようにしましょう。
仕訳自体は複雑ではありません。広告宣伝費や交際費と混合しないように注意してください。
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よくある質問
販売促進費とは?
商品や製品、そのほかのサービスに関する販売業務の効果上昇のために支出する費用の総称です。詳しくはこちらをご覧ください。
広告宣伝費や交際費との違い
明確な違いや法的な基準が定められているわけではありませんが、おおまかに「消費者や取引先との関わりが間接的かどうか」が異なります。詳しくはこちらをご覧ください。
販売促進費の仕訳例
他の支出の仕訳と同様に、借方に費用計上します。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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