- 更新日 : 2025年2月20日
インボイス制度による経費精算の変更点は?処理の流れや注意点を解説
インボイス制度とは、2023年10月から始まった新しい仕入税額控除の方式のことです。インボイス制度導入によって経費精算業務にもいくつかの変更点があるため、注意しましょう。
本記事では、インボイス制度による経費精算の変更点を中心に経費精算の流れなどを解説します。
目次
インボイス制度とは
インボイス制度とは、2023年10月1日からスタートした消費税の新たな仕入税額控除方式のことです。まずは、インボイス制度の概要をおさらいしていきましょう。
2023年10月から開始された新しい仕入税額控除の方式
インボイス制度の正式名称は「適格請求書等保存方式」で、2023年10月1日にスタートした複数税率に対応した消費税の仕入税額控除の方式のことです。
仕入税額控除とは、消費税申告の際に、課税売上で受け取った消費税から課税仕入で支払った消費税を差し引くことをいいます。同一商品から消費税が重複して支払われることがないようにする仕組みです。
インボイス制度導入後、仕入税額控除を受けるには一定要件を満たした適格請求書(インボイス)の発行が求められます。売り手と買い手の双方が適格請求書を保存することで、仕入税額控除が適用されます。
仕入税額控除が適用されるためには、適格請求書が必要です。また、適格請求書を発行するには、適格請求書発行事業者である必要もあります。そのため、仕入税額控除の適用を受けるのであれば、取引先が登録事業者であるかの確認が必要です。
適格請求書に記載が必要な事項は、次のようなものが挙げられます。
- 適格請求書発行事業者の氏名/名称および登録番号
- 取引年月日・取引内容
- 税率ごとに合計した税抜額または税込額、および適用税率
- 税率ごとの消費税額
- 書類の交付を受ける事業者の氏名/名称
取引内容では、軽減税率の対象品目が含まれる旨を明記する必要があります。
目的は消費税の複数税率や税額の把握
インボイス制度が導入された目的としては、複数税率への対応と益税解消が挙げられます。
<複数税率への対応>
2019年10月から軽減税率が導入されたことにともない、消費税率は8%と10%の複数税率になっています。現行制度では、消費税額を税率ごとに記載する義務がないため、課税額を正確に把握することが困難でした。
しかし、複数のほか税率が関係する取引だとしても、課税額を正確に把握することは重要です。そこで、税率ごとに消費税額の記載が義務付けられたインボイス制度を導入することで、正確な消費税額の把握を可能にしようとしました。
<益税の解消>
益税とは、手元に残って利益になった消費税のことです。益税の解消の妨げとなっているのが、事業者免税点制度でした。事業者免税点制度では、免税事業者には消費税を納める義務がないため、受け取った消費税が益税になってしまいます。そこで、益税を解消すべく登場したのがインボイス制度です。
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インボイス制度による経費精算の変更点
インボイス制度が導入されたことで、経費精算業務にも影響がありました。制度導入による変更点を3つ紹介します。
経費精算の都度、インボイス対象の領収書やレシートかの判断が必要になる
インボイス制度の開始にともない、経費精算の都度、インボイス対象の領収書やレシートかの判断が必要になりました。次の4つの分類で仕分けし、それぞれで経費精算を行います。
- 適格請求書/適格簡易請求書の要件を満たしている領収書・レシート
- 消費者・免税事業者/登録を受けていない課税事業者が発行した領収書・レシート
- 帳簿の保存のみで仕入税額控除が認められる経費
- 領収書・レシートがなく、仕入税額控除の対象ではない経費
参考:国税庁 適格請求書等保存方式(インボイス制度)の手引き
3万円未満の取引も領収書が必要になる
インボイス制度導入後は、3万円未満の取引でも領収書が必要になります。制度導入前の2023年9月30日までは、3万円未満の取引は特例扱いとなって、領収書がなくても消費税の仕入税額控除が認められていました。しかし、インボイス制度ではこの特例がなくなったため、3万円未満でも領収書が必要です。
会社で消費する文具類や消耗品、飲食物など、3万円未満の購入費などは特例に該当していました。しかし制度導入後は、仕入額が数百円程度であっても領収書を受領しなければなりません。
ただし、中小事業者については次の期間において経過措置が認められています。
- 2023年10月1日~2029年9月30日:1万円未満の課税仕入れは、適格請求書・適格簡易請求書の保存がなくても、記載条件を満たした帳簿保存のみで仕入税額控除の適用が可能
- 対象となる中小企業:法人の場合は前々事業年度、個人の場合は前々年の課税売上が1億円以下、または1年前の上半期(個人は1~6月)の課税売上が5,000万円以下の事業者
消費税額の算出方法が増える
区分記載請求書等保存方式では、売上税額について割戻し計算のみで行われてきました。インボイス制度導入後は、新たに積上げ計算も選べるようになっており、消費税額の算出方法が増えることになります。
割戻し計算とは、取引総額(1年間)に対して消費税を算出し税額を決める方法です。一方の積上げ計算とは、売上のたびに消費税額を加算していって税額を算出する方法となります。
インボイス制度下の経費精算の流れ
前述したようにインボイス制度によって変更点が生じています。ここでは、インボイス制度下の経費精算の流れについて、解説します。
①領収書やレシートがインボイスの対象か判断する
まずは、前述したように領収書やレシートがインボイスの対象か判断する必要があります。領収書やレシートがインボイスに該当するかどうか、1つひとつしっかりと確認していきましょう。
インボイス発行事業者として登録している事業者だけが、インボイスを発行でき、登録していない事業者が発行した領収書はインボイスに該当しません。
②項目の記載漏れがないか確認する
次は、インボイス対象として振り分けられた領収書・レシートが、インボイスまたは簡易インボイスとしての記載要件を満たしているか確認しましょう。インボイス発行事業者が発行した領収書だとしても、必要項目が記載されていないとインボイスとして取り扱えず、控除対象外になってしまうため注意が必要です。
記載漏れがないかは、次の項目を領収書ごとにチェックしましょう。
インボイスの記載必須項目
インボイスに記載が必須の項目は、次のとおりです。
- インボイス発行事業者の氏名/名称と登録番号
- 取引内容(軽減税率対象品目であるという旨)
- 取引年月日
- 税率ごとの合計対価額、および適用税率
- 税率ごとの消費税額など(端数処理は税率ごとに1回ずつ)
- 書類交付を受ける事業者の氏名/名称
適格簡易請求書で仕入税額控除が認められる経費
インボイス制度には、適格請求書と同じく仕入税額控除が受けられる適格簡易請求書(簡易インボイス)もあります。適格簡易請求書(簡易インボイス)で仕入税額控除が認められる経費について紹介します。
適格簡易請求書とは
適格簡易請求書とは、不特定多数の人を対象に課税資産の譲渡などを実施する事業者が、適格請求書に代えて発行を認められているものです。適格請求書と同じく仕入税額控除が受けられるほか、記載要件を満たしていれば領収書やレシートも適格簡易請求書として認められます。
事業者の氏名・名称の記載が必要ない点が、インボイスとの相違点です。
適格簡易請求書を発行できる事業者
適格簡易請求書を発行できる事業者は、次のとおりです。
- 飲食店業者
- 小売業者
- タクシー業者
- 写真業者
- 旅行業者
- 駐車場業者
- その他不特定多数の人に対して売買する事業者
参考:国税庁 適格請求書等保存方式(インボイス制度)の手引き
帳簿記載のみで仕入税額控除が認められる経費
インボイス制度では、3万円未満の取引でも領収書の受領と保存が必要です。しかし、公共交通機関の運賃や自動販売機で購入したものなどのなかには、請求書や領収書を受け取ることが困難な場合もあります。これらの取引では、一定事項を記載した帳簿を保存すれば、例外的に仕入税額控除の適用を受けられます。
帳簿に記載するだけで仕入税額控除として認められる取引は、次のようなものです。
- 3万円未満の公共交通機関を利用した旅客運賃
- 3万円未満の自動販売機などからの商品の購入費
- 取引年月日以外の適格簡易請求書の要件を満たした入場券等のうち、使用時に回収されるもの
- 適格請求書発行事業者ではない古物営業者からの古物の購入費
- 適格請求書発行事業者ではない質屋からの質物の取得費
- 適格請求書発行事業者ではない宅地建物取引業者からの建物の購入費
- 適格請求書発行事業者ではない事業者からの再生資源や再生部品の購入費
- 郵便ポストに投下した郵便や貨物サービス
- 従業員等に支給する出張旅費、宿泊費、日当および通勤手当
参考:国税庁 No.6496 仕入税額控除をするための帳簿及び請求書等の保存
免税事業者と取引する場合の経費精算はどうする?
免税事業者は、インボイス(もしくは適格簡易請求書)を発行できないため、注意が必要です。免税事業者と取引する場合の経費精算について、解説します。
免税事業者はインボイスを発行できない
免税事業者は、インボイス(もしくは適格簡易請求書)を発行できません。そのため、免税事業者との取引ではインボイスを用いた仕入税額控除を受けられないことを理解しておきましょう。
2029年9月までは経過措置により50~80%の仕入税額控除が可能
免税事業者や適格請求書発行事業者ではない課税事業者との取引において、2029(令和11)年9月まで経過措置が設けられています。次に示すように、インボイス以外でも一定の仕入税額控除を受けられます。
経過措置適用期間と控除割合は、次のとおりです。
- 2023年10月1日〜2026年9月30日:80%控除
- 2026年10月1日〜2029年9月30日:50%控除
- 2029年10月1日〜:控除なし
従業員の経費精算の注意点は?
インボイス制度において従業員が領収書を受け取る際、宛名は法人名にする必要があります。宛名が個人だと、会社の支出でない可能性があると判断されて、仕入税額控除が認められない恐れもあるため注意が必要です。
もし従業員の名前で領収書をもらった場合の対処法について、紹介します。
従業員の名前等で領収書をもらってしまったら立替金精算書の作成・保存が必要
従業員の名前等で領収書をもらってしまった場合、企業のための支出なのか判断できないため、立替金精算書の作成・保存による証明が必要です。
立替金精算書を従業員に作成してもらい、会社の経費の立て替えであることを証明します。この場合も、適格請求書とあわせての保存が必要です。
また、適格簡易請求書では本来宛名が不要ですが、そこに従業員の宛名が書かれていた場合も企業の支出として認められなくなってしまう恐れがあります。この場合も立替金精算書を作成して適格簡易請求書と一緒に保存するか、企業に所属している人間であることを証明できる従業員名簿と一緒に適格簡易請求書を保存しておくことが必要です。
マネーフォワード クラウド経費はインボイス制度に対応した経費精算システム
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インボイス制度下における経費精算の注意点を理解しよう
インボイス制度導入にともない、会社の経費精算業務にも変更点が生じています。インボイス対象の領収書やレシートかの判断が必要になったほか、3万円未満の取引でも領収書が必要です。経理担当者としては、これらの変更点に留意して適切な処理が求められます。
インボイス制度における経費精算業務を効率化したいのであれば、経費精算システムの導入がおすすめです。「マネーフォワード クラウド経費」であれば、電子帳簿保存法・インボイス制度に対応しています。また、申請書作成や領収書の添付もデータ連携するだけで済むため、担当者のミスや手間の削減につながります。
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