- 更新日 : 2024年8月8日
車検費用を経費にするときの仕訳に使える勘定科目は?個人事業主はどうする?
事業で使用している車の車検費用は、経費に計上できます。車検費用は国や保険会社に支払う「法定費用」と、車検業者に支払う「点検整備費用」に分けられます。それぞれに合う勘定科目を使って仕訳しましょう。また個人事業主など、車を仕事とプライベートで兼用している場合、家事按分が必要です。
本記事では車検費用で使う勘定科目と仕訳例、家事按分する際の仕訳の仕方などを紹介します。
目次
車検費用の仕訳に使える勘定科目
事業で使用している車の車検にかかった費用は、経費に計上できます。個人事業主がプライベートでも車を使用している場合は、使用している割合を按分して計上します。
車検費用は大きく分けて、国や保険会社に支払う「法定費用」と車検業者に支払う「点検整備費用」に分けられますが、その内訳は以下のとおりです。
【法定費用】
- 自動車重量税
- 自賠責保険
- 印紙・証紙代
【点検・整備費用】
- 車検基本料
- 法定点検料
- 車検代行手数料
- 整備修理費用
法定費用には「保険料」や「租税公課」といった勘定科目を使い、点検・整備費用は、「車両費」や「修繕費」「支払い手数料」の勘定科目を使用します。
車を事業とプライベートで兼用している個人事業主が按分して計上する場合、プライベートにあたる部分の費用の勘定科目は「事業主貸」です。
車検費用の仕訳では複数の勘定科目を使うため、正しく分類して計上しなければなりません。
車検費用を車両費で仕訳する
車検費用でメインとなる車検基本料や整備修理費用、法定点検料は「車両費」の勘定科目に該当します。
車両費とは、車を維持・管理するために必要な費用に使う勘定科目です。ガソリン代やETC料金など日常的なものから、車検費用や車庫証明手続代行費用など車に関するさまざまなものを対象にします。
これらの費用は「修繕費」の勘定科目を使うことも可能です。修繕費は固定資産の維持管理に必要な支出に使う勘定科目であり、車も含めた固定資産という括りで分類したい場合には修繕費を使ってもかまいません。
車検を行い、車検基本料・整備修理費用・法定点検料の合計5万円を支払った際、車両費で処理する場合の仕訳は以下のとおりです。
整備修理費用、法定点検料を支払い |
車検費用を保険料で仕訳する
車検で支出した自賠責保険は、「保険料」の勘定科目で仕訳します。自賠責保険は強制加入の保険であり、未加入で車の運転をすると懲役や罰金の刑が課せられます。加入期間は基本的に次の車検までとなりますが、もしもの備えとして1ヵ月多く契約する方も多いでしょう。自賠責保険のほかに任意保険に加入する場合も、保険料で計上できます。
車検で自賠責保険に加入し、2万円を支払った場合の仕訳は以下のとおりです。
車検費用を支払手数料で仕訳する
車検では車検代行手数料を支払う場合があり、「支払手数料」の勘定科目を使います。車検代行手数料は、ディーラーや整備工場、カー用品店などに車検を依頼した場合に支払う費用です。業者によって金額は異なり、名称も「車検代行料」ではなく「検査手続き代行料」などさまざまです。
必要書類の手続きや自動車の往復、印紙代などにかかる費用として請求されます。所有者自身で車検を行うユーザー車検では、車検代行手数料の支払いはありません。
カーディーラーに車検の代行手数料として2万円を支払った場合、次のように処理します。
車検費用を租税公課で仕訳する
車検の際には、自動車重量税と印紙・証紙代を支払います。自動車重量税とは、自動車の新規登録(軽自動車の場合は新規検査)や車検の際、車検証の有効期間分をまとめて納付する税金のことです。
印紙証紙代は、車検の検査手数料を納めるときに使用する印紙と証紙の代金です。業者に車検を依頼する場合は、業者側で発行の手続きを代行します。
これらの支出で使用する勘定科目は「租税公課」です。租税公課とは国や地方公共団体に納める税金のことで、固定資産税や事業税などを納めたときもこの勘定科目を使用します。
自動車重量税と印紙・証紙代に1万8,000円を支出した場合の仕訳は、以下のとおりです。
印紙・証紙代を支払い |
個人事業主は車検費用を事業主貸で仕訳する
個人事業主が仕事とプライベートで車を兼用している場合、経費計上できるのは事業で使った分だけです。例えば、按分計算して事業では7割、プライベートでは3割の割合で使用している場合、車検費用としては全体の7割しか計上できません。
個人の使用分である3割分は、「事業主貸」の勘定科目を使って仕訳します。事業主貸は個人事業主のみが使用する勘定科目です。事業用の支出と分け、生活用の支出を計上するために使います。
車検費用に10万8,000円を支払い、事業とプライベートの使用割合が「6:4」の場合、以下のように仕訳します。
整備修理費用、 法定点検料 | ||||
印紙・証紙代 | ||||
車検の仕訳は勘定科目に注意しよう
法定費用と点検整備費用に分けられる車検費用は、仕訳の際には主に「車両費」「保険料」「支払手数料」「租税公課」といった勘定科目を使います。個人事業主が車をプライベートでも使用している場合に経費に計上できるのは、按分計算して事業で使用している分だけです。プライベートの割合分は、「事業主貸」で仕訳します。それぞれの費用をチェックし、正しく分類しましょう。
よくある質問
車検費用は経費にできる?
事業で使用している車の車検費用は経費に計上できます。詳しくはこちらをご覧ください。
車検費用を車両費で仕訳するポイントは?
車両費の勘定科目に分類されるのは、車検基本料・整備修理費用・法定点検料です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
請求書関連の仕訳と勘定科目のまとめ
請求書を発行してすぐに仕訳が必要になるわけではりません。しかし、請求書を発行して商品・サービスを受け渡したときや、入金が確認されたときは、仕訳が必要です。また、請求書を受領したときは、商品・サービスを受け取ったときと、代金を入金した際に仕訳…
詳しくみる振替伝票の役割と書き方
業務で発生した金銭のやりとりは、すべて帳簿に記載しなければなりません。一般的に、こうした取引のすべてを日付の順番に従って記載した帳簿を仕訳帳と言います。 仕訳帳に記載されたすべての金銭取引は、仕訳に従って総勘定元帳に転記されます。しかし、仕…
詳しくみる固定資産売却損とは?仕訳方法から消費税の取り扱いまで解説
固定資産を売却した際に発生することがある固定資産売却損。どのようなケースで発生し、会計処理はどのように行えば良いのでしょうか。 ここでは、固定資産売却損の基本的な概要や仕訳方法について解説します。 固定資産売却損の基礎知識 土地や建物、車両…
詳しくみるリース投資資産の仕訳やリース資産との関係を解説
リース取引において、リース期間終了後、貸し手に支配権が戻るリース物件を、「リース投資資産」といいます。リース投資資産の処理は、リース業を行っている会社なら押さえておきたい業務です。本記事では、リース取引の概要からリース投資資産とリース資産の…
詳しくみる架空外注費とは?不適切なケースや税務署の視点、ペナルティ、防止策を解説
外注費は、業務の一部を社外に委託した際に発生する経費です。しかし、存在しない取引を装って外注費を計上する「架空外注費」は、税務上の重大な問題となります。うっかりミスだけでなく、意図的に処理を誤ることで、追徴課税や重加算税などの大きなペナルテ…
詳しくみる引当金の会計処理はどう考えればいいのか?
「引当金」についてご存知でしょうか? 引当金とは、将来に発生するであろう特定の費用又は損失に備えてあらかじめ準備しておく見積金額のことをいいます。 なお、発生する可能性が低い場合は、その金額を引当金として計上できません。会計上は、役員引当金…
詳しくみる