- 更新日 : 2024年8月8日
法人税申告書の別表4とは?見方や書き方、注意点まで解説
法人税申告書の別表4は、所得の計算を示す書類です。法人税の基礎となる所得金額を求める書類で、法人税申告を行う法人は作成・申告の必要があります。今回は、別表4の役割や書き方を紹介します。
法人税申告書の別表4とは
別表4「所得の金額の計算に関する明細書」は、法人税の計算の基礎となる所得金額の計算内容を示す申告書です。簡易様式もあり、適用できる法人であれば簡易様式を使って申告できます。別表4は課税所得の計算にかかわる申告書のため、法人税を申告する法人は作成・提出が必要です。
なお、別表4には付表「通算法人の所得の金額の調整に関する明細書」もあります。付表は、グループ通算制度を適用する通算法人に該当する場合に作成が必要な書類です。別表4の様式は、簡易様式も含め国税庁のサイトやe-Taxソフトからダウンロードできます。
法人税申告書の全体的な作成方法は以下の記事で詳しく説明していますので、ご参照ください。
法人税申告書の別表4に記載する主な項目と書き方
法人税申告書別表4のうち、主に作成が必要な「所得の金額の計算に関する明細書」(通常様式)の書き方を説明します。

1.当期純利益又は当期欠損の額
①の総額には損益計算書に記載されている当期純利益の額を転記します。③の社外流出は当期に支払いの効力が生じた配当等の額です。株主資本等変動計算書の剰余金の配当の額を転記します。また、②の留保の欄には①から③を減額した残額を記載します。
2~11.加算
2~11の加算項目は、当期純利益に加算する項目です。加算項目には、益金算入項目(会計上は収益ではないが税法上は益金に算入するもの)、損金不算入項目(会計上は費用であるが税法上は損金に算入しないもの)が含まれます。
記載にあるように、費用に計上している法人税や納税充当金(未払法人税等など)、附帯税などは損金に算入できない項目です。法人税に規定する限度額を超えた減価償却費や交際費等なども損金に算入できないため加算します。
各加算項目はほかの別表で作成した金額を転記するのが基本です。たとえば、損金経理をした法人税等は別表5(2)から転記します。留保欄は会計と税務でズレが生じるため社内に留保される金額のことです。社外流出は、会計と税務のズレが解消されない項目をいいます。
12~22.減算
12~22は、当期純利益から減算する項目です。減算項目には、損金算入項目(会計上は費用ではないが税法上は損金に算入するもの)、益金不算入項目(会計上は収益であるが税法上は益金に算入しないもの)が含まれます。減算項目の記載要領は加算項目と同じです。基本的にほかの別表で計算した金額を転記します。
23.仮計
「1」の当期純利益の金額に「11」の加算項目の小計を加算し、「22」減算項目の小計を減算した金額を記載します。
24.対象純支払利子等の損金不算入額
過大支払利子税制において損金に算入しない金額のことです。別表17(2の2)の「29」または「34」の金額を転記します。
25.超過利子額の損金算入額
過大支払利子税制により、超過利子額のうち損金に算入できる金額のことです。別表17(2の3)の「10」から転記します。
26.仮計
「23」の仮計に「24」と「25」の金額を加えた額を記載します。
27.寄附金の損金不算入額
支出した寄附金のうち損金に算入できない金額です。別表14(2)の「24」または「40」から転記します。
28.沖縄の認定法人又は国家戦略特別区域における指定法人の所得の特別控除額又は要加算調整額の益金算入額
該当する特定の法人が記載する項目です。別表10(1)の「15」または「16」、別表10(2)「10」または「11」から転記します。
29.法人税額から控除される所得税額
法人に支払われた利子など、該当する所得税の対象となる金額があるときに記載する項目です。別表6(1)「6の③」から転記します。
30.税額控除の対象となる外国法人税の額
外国の法人税に相当する税金の支払いを行う法人に関連する項目です。別表6(2の2)「7」より転記します。
31.分配時調整外国税相当額及び外国関係会社等に係る控除対象所得税額等相当額
外国に関連会社等のある会社にかかわる項目です。別表6(5の2)「5の②」と別表17(3の6)の「1」の合計額を記載します。
32.組合等損失額の損金不算入額又は組合等損失超過合計額の損金算入額
組合事業を行う法人にかかわる項目です。別表9(2)「10」より転記します。
33.対外船舶運航事業者の日本船舶による収入金額に係る所得の金額の損金算入額又は益金算入額
船舶運航事業を行う法人にかかわる項目です。別表10(4)「20」、「21」、「23」のいずれかから転記します。
34.合計
「26」の仮計に、27~33までの項目を加算減算した金額を記載します。
35.契約者配当の益金算入額
保険会社の契約者配当にかかわる項目です。別表9(1)の「13」より転記します。
36.特定目的会社等の支払配当又は特定目的信託に係る受託法人の利益の分配等の損金算入額
特定の資金の裏付けられた有価証券を発行する特定目的会社等に関する項目です。別表10(8)の「13」、別表10(9)の「11」、別表10(10)の「16」または「33」から転記します。
37.中間申告における繰戻しによる還付に係る災害損失欠損金額の益金算入額
該当する場合に記載する項目です。
38.非適格合併又は残余財産の全部分配等による移転資産等の譲渡利益額又は譲渡損失額
非適格合併などを行った法人にかかわる項目です。
39.差引計
34の合計に35~38の項目を加算した金額を記載します。
40.更生欠損金又は民事再生等評価換えが行われる場合の再生等欠損金の損金算入額
会社更生による債務免除などにかかわる項目です。別表7(3)の「9」または「21」から転記します。
41.通算対象欠損金額の損金算入額又は通算対象所得金額の益金算入額
グループ通算にかかわる項目です。別表7の2「5」あるいは「11」の金額を転記します。
42.当初配賦欠損金控除額の益金算入額
グループ通算にかかわる項目です。別表7(2)付表一「23の計」から転記します。
43.差引計
「39」の差引計に40~42の項目を加算減算した金額を記載します。
44.欠損金等の当期控除額
欠損金の繰越し控除がある場合の記載項目です。別表7(1)「4」の計と別表7(4)の「10」の合計額を記載します。
45.総計
「43」と「44」の合計額を記載します。
46.新鉱床探鉱費又は海外新鉱床探鉱費の特別控除額
鉱業関連の項目です。別表10(3)の「43」より転記します。
47.農業経営基盤強化準備金積立額の損金算入額
農業経営基盤強化準備金積立金があるときの記載項目です。別表12(14)の「43の計」より転記します。
48.農用地等を取得した場合の圧縮額の損金算入額
農用地の取得に関する項目です。別表12(14)の「43の計」より転記します。
49.関西国際空港用地整備準備金積立額、中部国際空港整備準備金積立額又は再投資等準備金積立額の損金算入額
特定の積立金に係る項目です。別表12(11)の「15」、別表12(12)の「10」、別表12(15)の「12」から転記します。
50.特定事業活動として特別新事業開拓事業者の株式の取得をした場合の特別勘定繰入額の損金算入額又は特別勘定取崩額の益金算入額
該当する場合に記載する特殊な項目です。
51.残余財産の確定する日の属する事業年度に係る事業税及び特別法人事業税の損金算入額
法人の清算にかかわる項目です。対象の事業税と特別法人事業税の額を記載します。
52.所得金額又は欠損金額
最終的な課税所得の金額または欠損金の金額です。「45」の総計に46~51までの金額を合計した金額を記載します。
法人税申告書の別表4を書く際の注意点
別表4には、記載する項目が少ない簡易様式が用意されています。簡易様式が利用できるのは特殊な事項のない法人です。一般的な中小企業であれば、簡易様式で作成・申告できます。
また、農業経営向けの「農業経営基盤強化準備金」を積み立てている場合は作成に注意が必要です。別表4に関連して作成する別表7(1)の「1」控除前所得金額には農業経営基盤強化準備金を損金に算入する前の金額で計算します。別表7(1)は、別表4の欠損金等の当期控除額にも影響します。計算を誤らないように注意しましょう。
なお、別表4の記載項目でわかりづらい項目が、「留保」、「社外流出」です。
「留保」は会計と税法の差異のうち将来的に解消されるものをいいます。
例えば、減価償却で法人税に定める限度額を超えて会計処理した場合、限度額を超過した分は損金算入できません。当期純利益に加算します。しかし、減価償却の対象となる資産の取得価格に変わりありません。最終的に取得価格の範囲内で減価償却が行われるため「留保」に該当します。
「社外流出」は、将来的に会計上と税務上の差異が解消されることのない金額です。交際費の損金不算入額のように、会計上は費用に計上するものの、税務上は損金算入できる限度が定められているものなどが該当します。
別表4は所得の計算にかかわる申告書
法人税申告書の別表4は、所得税の計算にかかわる申告書です。法人税を申告する法人は作成・申告の必要があります。別表4は申告書の中でも重要な書類のひとつのため、書き方をよく押さえておきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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