- 作成日 : 2026年2月19日
ネットバンキングで振込ミス!どう対処する?原因と今後の対策
ネットバンキングの振込ミスは、銀行への組戻し依頼か受取人との直接交渉で解決します。
- 銀行経由の組戻し手数料は660~880円程
- 取引先なら次回の支払いで相殺処理も有効
- API連携や口座事前登録で手入力をなくす
相手が返金を拒否したら、法的な返還義務があるため、内容証明郵便の送付や弁護士を通じた請求により返金を求められます。
ネットバンキングでの振込ミスには、銀行に「組戻し」を頼むか、相手に直接連絡して返してもらうという2つの対処法があります。一度完了した振込は原則として取り消せないため、相手に同意をもらって資金を戻してもらう手続きが必要になります。
目次
ネットバンキングで振込ミスをしたときはどうすればいい?
ネットバンキングで振込ミスが起きたときは、銀行を通じて返金を求める「組戻し」か、受取人と直接話して返してもらう方法で解決を目指します。
ネットバンキングの画面で「送信」ボタンを押すと、すぐに処理が確定するため、自分の操作だけで取り消すことはできません。時間が経つほど解決が難しくなることもあるので、状況に合わせて迅速に動くことが大切です。
銀行へ連絡して組戻しを頼む
誤送金に気づいたとき、まずは銀行へ連絡して「組戻し(くみもどし)」という手続きをお願いすることです。振込元の銀行から振込先の銀行へ連絡してもらい、誤って振り込んだ資金を返却するよう依頼する仕組みです。
- 【振込人】振込元の銀行に連絡し、誤送金の事実を伝えて組戻しを依頼する
- 【振込人】銀行所定の「組戻し依頼書」を提出する(ネットバンキング上で完結する場合もある)
- 【銀行】振込元の銀行から振込先の銀行へ連絡が入る
- 【受取人】振込先の銀行から受取人(誤送金先)へ連絡し、返金の承諾を得る
- 【銀行】受取人が承諾すれば、資金が振込元の口座に返還される
この手続きで知っておきたいのは、組戻しは「銀行が勝手にお金を戻してくれる仕組みではない」という点です。銀行法や預金規定により、一度相手の口座に着金したお金は、たとえ誤送金であっても法的には口座名義人の預金として扱われます。
そのため、銀行は受取人の同意なしに勝手に資金を引き落とすことはできません。あくまで「銀行があいだに入って返金のお願いをしてくれる」手続きだと理解しましょう。
また、組戻しには手数料がかかります。銀行によって異なりますが、一般的には660円から880円程度の手数料が必要です。もし受取人が返金を拒否した場合や連絡がつかない場合でも、この手数料は返還されないケースがほとんどです。
手続きを依頼する際は、手数料が発生することと、必ずしも返金される保証はないことを念頭に置いておく必要があります。
相手に連絡して返金を依頼する
振込先が連絡先のわかる取引先や知人であれば、銀行を通さずに直接連絡を取るほうが早く解決できます。お互いに話がつけば、銀行の手続きを待つ必要がなく、組戻しの手数料もかからないからです。
- 振り直しをお願いする:
相手の口座からこちらの口座へ送金し直してもらう(振込手数料はこちらが持つのがマナーです)。 - 次回の支払いで調整する:
継続して取引がある場合、次の請求額から間違った分を差し引いて支払う「相殺(そうさい)」処理をする。 - 現金で返してもらう:
近くであれば訪問して受け取る。
会社同士の取引では、相殺処理で済ませることがあります。この方法なら、お互いにお金を動かしたり手数料を払ったりしなくて済むのでスムーズです。
ただし、後で経理の計算が合わなくならないよう、「○月○日の誤送金分○○円を次の支払いで差し引きます」といった内容をメールや書面で残しましょう。
一方で、全く知らない相手に送ってしまった場合は連絡先がわからないため、先ほどの組戻し手続きを使うことになります。
もし相手が返金を拒否したら?
もし相手が「返したくない」と断ったり、連絡を無視したりする場合でも、法律的には返してもらう権利があります。
間違って振り込まれたお金を受け取る正当な理由がない以上、相手には「不当利得」として返還する義務があるからです。
相手が返金に応じない場合は、弁護士に相談して、内容証明郵便を送るなどして返還を求める方法があります。また、誤送金だと知りながらそのお金を引き出して使うことは、詐欺罪や窃盗罪にあたるおそれがあるという判例もあります。こうした法律の話をふまえて交渉することで、相手の対応が変わることもあるでしょう。
ただ、少額の誤送金で弁護士にお願いすると、戻ってくるお金より費用のほうが高くなってしまうこともあるので、金額と費用のバランスを考えて判断する必要があります。
なぜネットバンキングで振込ミスが起きる?
ネットバンキングでの振込ミスには、手入力による数字の間違いや画面操作時の確認不足、チェック体制の甘さが主な原因となります。ミスが起きやすい環境や、人がついやってしまう間違いのクセを知ることが、再発防止のヒントになります。
口座番号の手入力で間違えてしまう
請求書を見ながら口座番号や金額を手打ちする作業は、どうしてもミスが起きやすい場面です。
書類と画面を交互に見ているあいだに数字を覚え間違えたり、指が滑って隣のキーを押してしまったりすることがよくあります。
- 読み間違い:手書きの「1」と「7」、「0」と「6」を見間違える。
- 打ち間違い:テンキーの「4」を押すつもりで「1」を押してしまう。
- 思い込み:「たしかこの番号だったはず」と確認せずに入力してしまう。
月末などの忙しい時期には、たくさんの処理を急いでやらなければならず、焦りや疲れから集中力が切れがちです。経理担当者が一人でずっと入力作業をしていると、脳が数字の並びに慣れてしまい、明らかな入力ミスにも気づけなくなることがあります。
画面操作の確認不足で送ってしまう
ネットバンキングの画面にある「登録済みの振込先」から選ぶときの間違いも、誤送金の大きな原因です。
システムに登録されたたくさんの取引先リストから選ぶ際、似たような名前を間違って選んでしまうケースが後を絶ちません。
- 会社名が似ている:「株式会社〇〇」と「〇〇株式会社」を選び間違える。
- 同姓同名の別人:リストの中に同じ名前があり、別の人を選んでしまう。
- 金額の桁違い:「100,000」のつもりが「1,000,000」と入力してしまう。
「確認画面」が出ても、毎日のように操作していると「合っているはず」と思い込んでしまい、中身をよく見ずに「実行」ボタンを押してしまうことがあります。画面を見ているようで実は見ていない状態になりやすいため、画面の表示だけではミスを防ぎきれないのが現実です。
会社のチェック体制が甘くなっている
振込業務を特定の担当者一人に任せきりにしている体制も、ミスを生む原因になります。
いわゆる「ワンオペ経理」の状態では、自分のミスに自分で気づくのが難しく、誰のチェックも入らないまま送金されてしまいます。
また、形だけダブルチェックをしていても、承認する人が忙しくて中身をよく見ずに承認ボタンを押しているだけなら、それはチェックしていないのと同じです。さらに、仕事中に電話や来客の対応が入るような環境も、担当者の集中力を途切れさせ、入力ミスを引き起こすきっかけになります。静かな環境で作業ができているか、チェックの仕組みが形骸化していないかといった業務の流れを見直すことも大切です。
ネットバンキングの振込ミスを防ぐ対策はある?
ネットバンキングの振込ミスを防ぐには、口座情報の事前登録、承認機能による二重チェック、そしてAPI連携などを使って「手入力をしない」仕組みを作るのが効果的です。
人の注意力に頼るのではなく、システムを使ってミスが起こらない流れを作りましょう。
口座を事前登録して手入力をなくす
振込のたびに口座番号を手入力するのをやめて、あらかじめ登録した口座情報(マスタ)だけを使うルールにしましょう。
ネットバンキングの「振込先登録」機能を使い、一度正しく登録してしまえば、それ以降は入力ミスの心配がなくなります。
- 登録のタイミング:支払いのときではなく、契約したときに余裕を持って登録する。
- 登録時の確認:通帳のコピーなど、正しい情報をもとに2人で確認する。
- 日々の運用:手入力を禁止して、登録リストから選ぶことだけを許可する。
選び間違いを防ぐために、登録名にわかりやすい記号をつける、略称ではなく正式名称で登録するといった工夫も合わせると、より安全です。
承認機能でダブルチェックをする
法人向けのネットバンキング(ビジネスバンキング)には、振込データを作る人と承認する人を分ける機能があります。これを使うことで、システム的に必ずダブルチェックが入るようになります。
- 【作成者】経理担当者が振込データを作り、「承認依頼」をする。
- 【承認者】社長や上司が自分のIDでログインし、データの中身を確認する。
- 【承認者】請求書の原本と画面を見比べて、問題なければ「承認(実行)」する。
別の人がログインして操作しない限り送金できないため、社内の不正防止にもつながります。人が少ない小さな会社であっても、IDを2つ作って、時間を空けて自分で承認作業をする(作るときと承認するときで頭を切り替える)だけでも、ミスに気づける確率は上がります。
API連携や振込代行で自動化する
会計ソフトや給与計算ソフトと銀行口座を連携させることで、振込データの作成そのものを自動化できます。
マネーフォワードなどのクラウド会計ソフトには、請求書データから振込情報を作って、銀行へ直接送る「API連携」という機能があります。
- 転記がいらない:請求書や給与のデータがそのまま振込情報になるので、入力ミスがなくなる。
- まとめて送れる:複数の振込をまとめて送信(総合振込)でき、1件ずつの操作ミスが減る。
- 仕事が楽になる:振込後の帳簿付け(消込作業)も自動化され、経理全体の時短になる。
また、Excelなどで管理している支払いデータがある場合、ネットバンキングで使える「全銀フォーマット」のファイルを作ってアップロードする方法もおすすめです。これにより、件数が多くても手入力をせずに正確なデータを銀行へ渡すことができます。
テスト振込で安全を確かめる
初めての取引先や高額な送金をするときは、少額での「テスト振込」を挟むと安心です。
いきなり全額を送るのではなく、まずは1円や1,000円などを送って、相手に届いたか確認してもらいます。
間違いなく届くことがわかってから残りの金額を送れば、口座番号の間違いでお金が消えてしまうリスクを避けられます。振込手数料は2回分かかりますが、数百万、数千万円というお金が誤送金で戻らなくなるリスクを考えれば、必要なコストといえるでしょう。特に不動産の売買など、大きな金額を扱うときは、この手順を必ず入れることをおすすめします。
ネットバンキングの振込ミスは仕組みで対策しよう
ネットバンキングでの振込ミスは、起きてしまった後の素早い対応と、日頃の予防策で結果が変わります。
- ミスに気づいたら、すぐに銀行へ「組戻し」を頼むか、相手に連絡する。
- 手入力をやめて、口座の事前登録や会計ソフトとの連携で自動化する。
- 作る人と承認する人を分けるダブルチェック体制を作って、ミスを防ぐ。
「人はミスをするもの」と考えて、システムや便利な機能をうまく使い、誤送金の心配がない安全な経理体制を整えていきましょう。
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