- 更新日 : 2024年8月8日
道路占用料とは?仕訳に使える勘定科目まとめ
人や自動車が通行するといった本来の利用以外に道路を利用するときは「道路占用料」を支払います。道路占用料を支払ったときは「賃借料」や「地代家賃」などの勘定科目で仕訳をすることが一般的です。金額が少ないときには「雑費」の勘定科目を用いることもあります。仕訳例や道路使用料との違いについてまとめました。
目次
道路占用料とは
道路は本来、人や自動車などが通行するための建造物です。しかし、露店を出したり、看板を立てかけたりといった本来の用途以外で道路を使うこともあるでしょう。
道路占用料とは、人や自動車が通行するといった本来の利用以外に道路を使用するときに支払う料金のことです。本来の用途以外で道路を使う場合、多少なりとも通行の妨げになって道路が本来の用途で使用しにくくなることから、道路占用料を支払うことが必要になります。
道路占用料は、固定資産税評価額や地価に対する賃料の変動などを反映して料金を決めます。占用期間が1カ月以上のときは非課税となりますが、1カ月未満のときは課税対象です。道路占用を申請する費用については、占用期間に関わらず非課税となります。
道路を占用する理由が業務上必要なものであれば、経費として扱うことが可能です。なお、道路占用料は国土交通省のホームページで公開されていますが、不定期に改訂されるので、最新のものを確認するようにしましょう。
道路占用料の該当例
道路占用料は、道路を占用するものや建物などの種類によって1号から7号までの7種類に大別されます。それぞれ簡単に例や料金目安を紹介します。
1号物件
電柱、電線、街灯などは、1号物件に分類されます。その他にも、交番や公衆便所、公衆電話、郵便ポスト、消火栓、ベンチ、くずかごなどの公共性の高いものはいずれも1号物件です。
なお、土地を第一級地から第五級地の5つの種類に分け、それぞれに道路占用料が定められています。物件に関わらず第一級地を占用するときがもっとも高く、第五級地がもっとも安くなります。
例えば、地上に電線を設ける場合、第一級地であれば1mにつき15円/年、第二級地は7円/年、第三級地は5円/年、第四級地は4円/年、第五級地は3円/年です。地下に電線を設ける場合、第一級地は1mにつき9円/年、第二級地は4円/年、第三級地は3円/年、第四級地と第五級地は2円/年となります。
2号物件
下水道管、ガス管、ケーブル管などは2号物件です。管の種類に関係なく、外径によって道路占用料が決まります。例えば、外径が0.2m以上0.3m未満であれば、第一級地では1mにつき280円/年、第二級地では120円/年、第三級地では82円/年、第四級地では68円/年、第五級地では61円/年必要です。
3号物件
3号物件とは、鉄道やモノレールなどの人や物を運搬するための索道、あるいは類する施設を指します。例えば、自動運行補助施設として標示柱を立てる場合、第一級地では1本につき2,400円/年、第二級地では1,000円/年、第三級地では730円/年、第四級地では610円/年、第五級地では540円/年必要です。
4号物件
日よけや雪よけ、アーケードなどは4号物件です。例えば、日よけを設置する場合、第一級地では占用面積1㎡あたり3,100円/年、第二級地では1,300円/年、第三級地では910円/年、第四級地では760円/年、第五級地では680円/年かかります。
5号物件
地下街や地下室、地下タンク、地下駐車場などは5号物件です。例えば、地下に通路を設ける場合であれば、第一級地では占用面積1㎡あたり7,600円、第二級地では1,300円/年、第三級地では560円/年、第四級地では290円/年、第五級地では200円/年かかります。
6号物件
屋台や売店、コインロッカーなどは6号物件です。例えば、縁日などのように一時的に屋台を設置する場合であれば、第一級地では占用面積1㎡あたり250円/日、第二級地では43円/日、第三級地では19円/日、第四級地では10円/日、第五級地では7円/日かかります。
7号物件
看板や工事用の足場など、道路の構造や交通に支障をきたす恐れのあるものは7号物件です。例えば、縁日などのように一時的に旗ざおを設置する場合であれば、第一級地では1本につき250円/日、第二級地では43円/日、第三級地では19円/日、第四級地では10円/日、第五級地では7円/日かかります。
道路占用料の仕訳に使える勘定科目
道路占用料は道路を借りるために支払う料金でもあるため、「地代家賃」や「賃借料」の勘定科目が適当です。しかし、金額が少なく、年に何度も発生しない場合であれば「雑費」で仕訳することもできます。
また、「租税公課」の勘定科目を使うこともあります。いずれにしても一度仕訳をしたら、次回以降の同じ費用に関しては同じ勘定科目で仕訳をするようにしましょう。
道路占用料を地代家賃で仕訳する
道路に店舗の看板を置く場合は、7号物件となります。第一級地に1㎡の看板を1年間設置した場合は以下のように仕訳をします。
道路占用料を賃借料で仕訳する
例えば、縁日の屋台を第一級地に2日間建てたとしましょう。この場合は6号物件となり、1㎡につき1日あたり250円の道路占用料が発生します。
10㎡の屋台であれば、10㎡×250円×2日=5,000円必要です。また、占用期間が1カ月未満なので消費税も発生します。
道路占用料を雑費で仕訳する
旗ざおを第一級地に2週間立てた場合について考えてみましょう。この場合は7号物件となり、250円×14日=3,500円の道路占用料が必要です。
また、1カ月未満なので消費税も発生します。年に何度も道路占用料を支払うことがないのであれば、「雑費」の勘定科目で仕訳をすることが可能です。
道路使用料と道路占用料の違い
道路使用料とは、道路を使用するための料金です。例えば、埋設工事をして地中にガス管を通すときであれば、ガス管の敷設に関しては占用期間に応じた道路占用料が必要です。一方、埋設工事に関しては道路を使用するため、道路を使用する日数に応じた道路使用料も必要になります。
道路を使用するときは申請手数料が必要ですが、非課税です。万が一、申請が受理されなくても返却されないので注意しましょう。
申請手数料は都道府県ごとの警察署に問い合わせます。例えば、露店を出す場合であれば3号許可となり、神奈川県警の管轄地域では2,000円の申請手数料が必要です。
道路使用申請手数料 |
道路占用料を適切な勘定科目で仕訳をしよう
道路占用料は地代家賃や賃借料などの勘定科目で仕訳をします。年に何度も発生しない場合は雑費でも仕訳が可能です。適切な勘定科目で仕訳をし、見やすい帳簿を作成しましょう。
よくある質問
道路占用料とは?
公益に反しず、道路を占用するときに支払う料金です。1日あるいは1月、1年単位で支払います。 詳しくはこちらをご覧ください。
道路占用料は経費にできる?
業務上必要な費用なので経費として計上できます。地代家賃や賃借料、雑費、租税公課などの勘定科目で仕訳をして、適切に会計処理をしましょう。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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