- 更新日 : 2024年11月1日
日繰り表で日次の資金管理をするには?テンプレをもとに作り方を解説
資金繰り表のひとつである日繰り表は、勘定科目などを各取引ごとで残高がわかるようにした書類です。作成することで、将来の資金の流れをある程度予測できるようになります。
ひな形やテンプレートを活用すれば、日繰り表の作成が簡単です。本記事では、日繰り表で日次の資金管理をする方法や、エクセルのテンプレートを紹介します。
目次
日繰り表(日次資金繰り表)とは
日繰り表(ひぐりひょう)とは日時資金繰り表とも言い、勘定科目や現金回収などの項目を日々の取引ごとで把握することを目的に作成する書類を指します。
月次資金繰り表が月単位の書類に対し、日繰り表は日単位でまとめた書類です。日繰り表を「日次資金繰り表」と呼ぶこともあります。
資金繰りが厳しい企業や月中に資金が不足する企業は、月次資金繰り表だけでは資金管理として不十分です。日繰り表の作成を検討した方がよいでしょう。
日繰り表を作成するメリット
日繰り表(日次資金繰り表)を作成するメリットは、主に以下の2つです。
- 将来の資金の流れを予測できる
- 金融機関からの印象が良くなる場合もある
各メリットを解説します。
将来の資金の流れを予測できる
日繰り表を作成すれば、将来の資金の流れを予測できる点がメリットです。会社の収支予定をある程度把握しておけば、資金ショートを未然に防ぎやすくなります。
ただし、日繰り表は短期的な資金繰り予測に役立つもののため、数ヶ月から1年単位の中長期的な戦略を立てる際には月次資金繰り表も活用した方がよいでしょう。
金融機関からの印象が良くなる場合もある
日繰り表を作ることで、金融機関からの印象がよくなる場合があります。月次資金繰り表と比べると作成に手間がかかる分、金融機関から管理が徹底していると判断される可能性があります。
金融機関によい印象を与えることで、今後の資金調達がスムーズにいくことを期待できるでしょう。また、金融機関から資金計画などについて質問された場合にすぐに資料を提供できます。
日繰り表の書き方
日繰り表(日次資金繰り表)の書き方の流れは、以下のとおりです。
- 「全項繰越(前月繰越)」に前月から繰り越した現預金残高を入力する
- 「内容(相手・摘要)」に入出金内容を入力する
- 入金の場合は「入金」に金額を入力し、内訳金額を入れる
- 出金の場合は「出金」に金額を入力し、内訳金額を入れる
- 「合計(残高)」に入出金後の現預金残高を入力する
ここから、記載項目や記入・入力のポイントを確認しましょう。
日繰り表の記載項目
主な記載項目は、以下のとおりです。
- 日付
- 内容
- 入金
- 入金内訳(現金・当座預金・普通預金)
- 出金
- 出金内訳(現金・当座預金・普通預金)
- 合計
取引の都度、該当する箇所に入力していきましょう。たとえば、4月1日に普通預金から現金を引き出す場合、「日付」に「4月1日」、「内容」に「普通預金から引き出し」を入力していきます。
日繰り表に記入・入力する際のポイント
日繰り表は、記入・入力するだけでなく、確認・検証まで実施することがポイントです。
日繰り表から、近日中に資金不足に陥りそうと判断したら、早めに金融機関に相談しましょう。追い込まれてから金融機関に相談しても、融資を受けられない可能性があります。
一方、日繰り表で資金繰りに余裕が出てきたことに気づいたら、設備投資や借入金返済を検討しましょう。
日繰り表のひな形・テンプレート(エクセル)
日繰り表はお金をかけずに、エクセルなどの表計算ソフトを活用して作成できます。自分で最初から作成すると手間や時間を要するため、ひな形やテンプレートの活用を検討しましょう。
マネーフォワードでは、無料で日繰り表を作成できるソフトをエクセル形式で提供しています。以下より、ダウンロードしてください。
日繰り表の記入例
最後に、「マネーフォワード クラウド会計」のエクセルテンプレートを活用した日繰り表の記入例を紹介します。以下の例を確認してください。
記入例では、先月からの繰越として10万円を「入金」に入力しています(内容:前項繰越)。残高は10万円のため、自動的に「合計」に「100,000」と表示されました。
次に、事務用品を買う予定があるため、4月1日に普通預金から1万円引き出します。「月日」に4月1日、「内容」に普通預金からの引出と入力しましょう。普通預金から現金に移るため、「入金」が1万円(内訳:現金1万円)、「出金」も1万円(内訳:普通預金1万円)です。合計は変化しません。
次に、4月5日に事務用品を購入します。1万円の予算でしたが、実際は5,000円でした。
「月日」に4月5日、「内容」に消耗品の購入と入力します。現金で5,000円出金したため、「出金」と「出金内訳」の「現金」に入力します。
会社の資金が5,000円減ったため、「合計」は「95,000」と表示されました。
日繰り表を作成して資金ショートを未然に防ぐ
日繰り表とは、勘定科目や現金回収などの項目を日々の取引ごとで把握することを目的に作成する書類です。日繰り表を作成して短期的な将来の資金の動きを把握すれば、資金ショートを未然に防げます。
作成する際は、テンプレートを活用すると便利です。「マネーフォワード クラウド会計」のテンプレートを活用すれば、無料でかんたんにExcelで計算できます。
よくある質問
日繰り表とは何ですか?
勘定科目などを各取引ごとで残高がわかるようにした書類です。詳しくはこちらをご覧ください。
日繰り表を作成するメリットは何ですか?
日繰り表を作成するメリットは「将来の資金の流れを予測できる」「金融機関からの印象が良くなる場合もある」などが挙げられます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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