- 更新日 : 2024年8月8日
レジ袋を経費にする時の仕訳に使う勘定科目まとめ
2020年7月からレジ袋の有料化がスタートしました。企業の経理担当者にとっては、日々の買い物で数円払う金額が増えただけの影響にとどまりません。レジ袋代を考慮して仕訳しなければ、消費税の会計処理に誤りが生じます。今回はレジ袋代を経費にする際の勘定科目、仕訳例について紹介します。
レジ袋の仕訳に使える勘定科目
結論からいうと、事業に必要な物品を購入した場合のレジ袋代は経費です。一回の購入では微々たる額でも、まさに塵も積もれば山となるように、積み重なると一定の金額に達する恐れもあります。
レジ袋の会計処理を誤ると事業者が納める納税額に差異が生じ、意図せぬ脱税につながりかねません。
ポイントは購入した商品が軽減税率8%の対象であっても、レジ袋自体は消費税10%が適用されることです。飲食物を購入した場合に税率が同じだと考えていると、知らず知らずのうちに仕訳が間違ってしまいます。
購入したのが税率10%の商品であれば、特段問題はありません。レジ袋の代金を上乗せするだけで、仕訳を一本にまとめられます。
一方軽減税率8%対象の商品を購入した場合、税率ごとに仕訳は起こさねばならず、レジ袋と購入商品の2回が必要です。購入頻度が多い店舗だと正直面倒に感じられますし、ミスが発生するリスクも高まります。
上記のようなケースでは間違いを防ぐため、レジ袋代金は購入した商品と分けて記帳するのが好ましい処理です。
一般的に、レジ袋の仕訳では「消耗品費」もしくは「雑費」を勘定科目として使用します。
消耗品費と雑費の使い分けは、金額や重要度に応じてある程度自由に決めて問題ありません。
レジ袋を消耗品費で仕訳する
消耗品費は使用期間が1年未満のものや、取得価格が100,000円未満のものを購入したときに用いる勘定科目です。
仕訳例)2,000円(税抜)の文房具を購入し、合わせて1枚5円のレジ袋を買った
| 借方 | 貸方 | 摘要 | ||
|---|---|---|---|---|
| 消耗品費 | 2,205円 | 現金 | 2,205円 | 文具購入 |
レジ袋5円の消費税0.5円は、計算では通常切り捨てされるため、ゼロ円と考えてください。消費税率10%の商品の場合、レジ袋も10%のため仕訳を一本化できます。軽減税率対象の商品を購入したときは、消費税率ごとに仕訳を計上するとよいでしょう。
仕訳例)軽減税率対象の2,000円(税抜)の飲食物を購入し、合わせて1枚5円のレジ袋を買った
| 借方 | 貸方 | 摘要 | ||
|---|---|---|---|---|
| 消耗品費 消耗品費 | 2,160円 5円 | 現金 現金 | 2,160円 5円 | 飲食物購入 レジ袋購入 |
レジ袋に限らず、消耗品費で仕訳する場合、他の勘定科目と間違えないよう注意が必要です。とくに、ボールペンや万年筆などの記帳に用いる事務用品費との混同が生じやすいです。
明確な区分があるわけではないですが、社内でルールの統一が求められます。消耗品費と
事務用品費にきっちりと線引きを入れるのか、消耗品費の一部に事務用品費を含めるのか会社の処理方針に基づき、正確な仕訳が必要です。
レジ袋を雑費で仕訳する
雑費は雑多なものや一時的な支出、ほかの勘定科目にはまらないものを記帳する勘定科目です。
仕訳例)掃除用のほうき500円(税抜)を購入し、レジ袋代5円を支払った場合
| 借方 | 貸方 | 摘要 | ||
|---|---|---|---|---|
| 雑費 | 555円 | 現金 | 555円 | ほうき購入 |
消耗品費の場合と同様、軽減税率8%対象の商品を購入したときは、別々で仕訳を起こす必要があります。
仕訳例)会議で使うお茶のペットボトル@100円(税抜)を10本購入し、レジ袋代5円と合わせて現金で支払った
| 借方 | 貸方 | 摘要 | ||
|---|---|---|---|---|
| 雑費 雑費 | 1,080円 5円 | 現金 現金 | 1,080円 5円 | 会議用お茶代 レジ袋代 |
なお、消耗品費と雑費の使い分けは、金額や重要度を考慮して会社で決める形を取ります。たとえば、1万円以上のものは消耗品、1万円に満たないケースは雑費といったケースが考えられるでしょう。レジ袋は、世の中に存在するさまざまな商品の中でも安価なものであるため、金額を基準にするとほぼ間違いなく雑費に該当します。
雑費は金額が低い商品の仕訳に使える便利な科目ですが、あまり使い過ぎないよう注意が必要です。裏を返すと、税務署が不正を確認する重要なチェックポイントとなり得ます。
軽減税率対象の商品を購入したときのレジ袋代の仕訳には注意
軽減税率対象の商品を購入したとき一緒にレジ袋を購入した場合、仕訳を別々に起こすのが適切です。レジ袋の税率は10%なので、8%の商品と一緒に仕訳を起こすと正しい会計処理とはいえないためです。
大企業やレジ袋の購入頻度が高い企業の場合、消費税の算定で誤りが生じる恐れはあります。
日常的な仕訳の処理が増えることにほかならず、手間や面倒に感じやすいのが事実です。この機会に企業用のマイバッグやエコバッグを購入するのも1つの選択です。
有料化によって、レジ袋の会計処理が複雑になったことに目を向け、自社に適した方法を検討しましょう。
よくある質問
レジ袋は経費にできる?
事業に必要な物品を購入したときのレジ袋代は経費にできます。詳しくはこちらをご覧ください。
レジ袋を消耗品費で仕訳するポイントは?
軽減税率対象の商品を購入したときは仕訳を別々に起こしましょう。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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