- 更新日 : 2024年8月8日
見積書の保存は電子帳簿保存法の改正でどう変わる?
令和4年(2022年)1月1日に施行された電子帳簿保存法の改正により、電子取引データは一定の要件を満たしたうえで、電子データで保存(2023年12月31日までは電子データを印刷して保存することも可)することが義務付けられました。
さらに、令和5年(2023年)度の税制改正によって新たな改正点が加わり、令和6年1月1日以後に行われる電子取引から適用されます。ここでは、2度の改正に伴って定められた見積書の保存方法について解説します。
目次
改正電子帳簿保存法における見積書の対応・よくあるQ&A
令和3年度の税制改正により、令和4年1月1日より改正電子帳簿保存法が施行されました。電子帳簿保存法の改正により見積書の保存にどのような影響があるのか、見積書の保存方法についてそれぞれ解説していきます。
見積書は改正電子帳簿保存法において保存義務はある?
法人税法によって、帳簿の保存と、取引に関して作成した書類、または受領した書類は、保存義務が定められています。見積書も取引に関する書類に含まれるため、保存が必要です。
電子帳簿保存法では、これまで電子データでの保存義務がなかったものの、改正電子帳簿保存法により電子取引データに限り保存義務が定められることとなりました。電子取引データとは、電子メールやインターネット上のサービスなどを介してやり取りした電子データのことです。
電子データで受け取った見積書、あるいは電子データで送信した見積書の控えは、電子データでの保存が必要です。ただし経過措置として、2023年12月31日までの取引は電子データでやり取りしたものでも印刷して保存することが認められます。
令和5年度の法改正により、上記の経過措置は2023年12月31日を期限に廃止されます。ただし、次の要件をすべて満たす場合は、電子データを保存する際に「改ざん防止の要件(タイムスタンプ等)」「検索機能の確保の要件」「見読可能装置の備付けの要件」などの保存要件が不要となります(※2024年(令和6年)1月1日以後に行う電子取引について適用されます)。
- 相当の理由があると認められる場合(事前の手続は不要)
- 電子データの出力書面の提示や提出が求められたら、それに応じられるようにしておくこと
- 電子データのダウンロードが求められたら、それに応じられるようにしておくこと
見積書をスキャナ保存するときのタイムスタンプの期限は?
紙で受け取った見積書、紙で発行した見積書控えは、電子帳簿保存法によりスキャナ保存が認められています。しかし、スキャナ保存は、これまでやや厳しい条件が定められていました。
改正電子帳簿保存法ではスキャナ保存の条件が緩和され、タイムスタンプの付与は3営業日以内などの複数の条件から、最長2か月+7営業日以内に期限が統一されています。タイムスタンプをすぐに付与できなかった会社でもスキャナ保存をしやすくなりました。
タイムスタンプ付与の代わりに、時刻証明機能のあるシステムまたは訂正・削除の記録を確認できるクラウド等を使用していれば、タイムスタンプ付与要件に代替することもできます。
見積書のスキャナ保存には一定の不正防止の措置が必要?
これまでの電子帳簿保存法では、スキャナ保存の実行には適正事務処理要件を満たす必要がありました。適正事務処理要件とは、相互けん制、定期的な事務処理の検査、再発防止策の社内規定整備などを定めた事務手続きに関する要件です。
適正事務処理要件が廃止された改正電子帳簿保存法上では、これまで厳格に定められていた一定の不正防止措置を行う必要がなくなりました。改正電子帳簿保存法では、改変できないシステムやクラウドサービスを利用すれば、誰でもスキャナ保存を利用しやすいようになっています。
令和5年度の法改正では、スキャナ保存の要件緩和措置が設けられました(※2024年(令和6年)1月1日以後に行う電子取引について適用)。主な要件緩和措置は、次の3つです。
- 入力者情報の登録不要
- 解像度や階調・大きさのスキャナで読み取った際の情報は保存不要
- 相互関係性を求める書類を重要書類のみに限定
見積書を複数社から受領し、検討した結果、1社に発注しました。最終的に発注しなかった会社から電子で受領した見積書は電子で保存が必要でしょうか?
電子帳簿保存法第2条5号では、以下のように記載されており、発注の有無は言及されていません。
また国税庁の電子帳簿保存法の一問一答【電子取引関係】問2において、例外的に以下のケースは保存が免除されるとの記載がありますが、正式に見積書を受領したものの、発注に至らなかった見積書は例外には含まれないと考えられます。
- 連絡ミスによる誤りや単純な書き損じ等があるもの
- 事業の検討段階で作成された、正式な見積書前の粗々なもの
- 取引を希望する会社から一方的に送られてくる見積書などは、保存の必要はないもの
上記からも、発注に至らない見積書も保存しておくべきと言えるでしょう。
見積書の保存期間は?
法人税法によって、帳簿、取引に関して作成または受領した書類は、確定申告書提出期限の翌日から7年の保存が義務付けられています(青色申告書を提出した事業年度で欠損が生じたときなどは10年の保存が必要です)。
個人事業主においても5年間は見積書を保存しておかなくてはなりません。電子データであるかどうかに関係なく、見積書は一定期間の保存が義務付けられています。
見積書がPDFで届き、請求書が紙で郵送されて来た場合はどうする?
改正電子帳簿保存法により、電子取引データは電子データでの保存が義務付けられました。PDFで送られてきた見積書は、次の要件を満たしたうえでの電子データ保存(PDFやスクリーンショットでの保存も可能)が必要です。
- 改ざん防止の措置(タイムスタンプ付与、履歴の残るシステムでの授受や保存、など)
- 日付、金額、取引先の検索可能性(索引簿作成、規則的なファイル名の設定も可能)
- ディスプレイやプリンターなどの備え付け
紙で送られてきた請求書は、紙の原本をそのまま保存する方法とスキャナ保存による電子データ保存のいずれも認められます。一方、電子データで受領した見積書は、2023年12月31日以降はプリントアウトして保存することは認められません。
原則として保存は電子データで行い、紙で受領した書類のみ紙のままでも認められると覚えておきましょう。
電子帳簿保存法とは
電子帳簿保存法は、見積書を含めた国税関係帳簿書類の電子データによる保存を認める法律です。正式名称を「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」といいます。
1998年に創設された法律であり、これまでに度々改正が行われ、令和3年度の税制改正でも改正されました。2022年4月1日から、令和3年度の税制改正を反映させた改正後の電子帳簿保存法が施行されています。さらに、令和5年度も法改正が行われ、2024年1月1日以降に行われる電子取引に適用されます。
電子帳簿保存法については、以下の記事より詳細をご覧ください。
改正電子帳簿保存法に適応させて見積書を保存しよう
改正電子帳簿保存法の施行により、特に電子取引データについて大きな変更がありました。2023年12月31日までは電子データをプリントアウトして保存することも認められますが、以降は電子データでの保存が義務付けられます。PDFなどで受け取った見積書も対象になりますので、電子データで保存する際は、電子帳簿保存法の要件を満たしたうえで保存を行いましょう。
【期間限定】会計ソフト移行で最大70万円ポイント還元!
オンプレミス型・インストール型をご利用の企業様へ。 移行作業をプロに任せる「導入支援サービス(サクセスプラン)」の費用相当額が、最大70万円分ポイント還元されるお得なキャンペーンを実施中です。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
最後に、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料を紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
電子帳簿保存法 徹底解説(2025/10 最新版)
電子帳簿保存法は、1998年の制定以降、これまでに何度も改正を重ねてきました。特に直近数年は大きな改正が続いた上に、現在も国税庁による一問一答の追加・改定が続いており、常に最新情報の把握が必要です。
70P以上にわたるボリュームであることから、ダウンロードいただいた方から大好評をいただいている1冊です。
インボイス制度 徹底解説(2024/10 最新版)
インボイス制度は施行後もさまざまな実務論点が浮上し、国税庁によるQ&Aの追加・改訂が続いています。これを受けて、「結局どうすればいいのか、わからなくなってしまった」という疑問の声も多く聞かれるようになりました。
そこで、インボイス制度を改めて整理し、実務上の落とし穴や対応のヒントまで網羅的に解説した最新資料を作成しました。問題なく制度対応できているかの確認や、新人社員向けの教育用など、様々な用途にご活用いただける充実の資料です。
マネーフォワード クラウド会計Plus サービス資料
マネーフォワード クラウド会計Plusは、データの自動取得、自動仕訳、自動学習の3つの自動化で経理業務が効率化できる会計ソフトです。
仕訳承認フローや業務分担にあわせた詳細な権限設定が可能で、内部統制を強化したい企業におすすめです。
マネーフォワード クラウド経費 サービス資料
マネーフォワード クラウド経費を利用すると、申請者も承認者も経費精算処理の時間が削減でき、ペーパーレスでテレワークも可能に。
経理業務はチェック業務や仕訳連携・振込業務の効率化が実現でき、一連の流れがリモートで運用できます。
よくある質問
見積書は保存する必要がある?
法人税法で原則7年の保存が義務付けられているほか、電子取引データでやり取りした見積書は電子データでの保存が電子帳簿保存法により義務付けられています。詳しくはこちらをご覧ください。
電子帳簿保存法とは?
電子帳簿保存法は、国税関係帳簿書類の電子データによる保存を認める法律です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
電子帳簿保存法の関連記事
新着記事
請求書支払いの効率化はどう進める?手順と自動化のポイントを解説
Point請求書支払いの効率化はどう進める? 請求書支払いの効率化は、業務フローの標準化とシステムによる自動化の組み合わせで実現できます。 受領形式をPDF等の電子データに統一 A…
詳しくみる請求書を一括で振込できる?マナーや手数料の負担、効率化の手順を解説
Point請求書を一括で振込できる? 同一取引先への複数請求書は、事前に合意があれば合算して一括で振り込めます。 内訳を明記した支払通知書の送付がマナー 振込先口座が異なる場合は個…
詳しくみる振込代行サービスとは?比較ポイントや手数料を安く抑える方法を解説
Point振込代行サービスとは? 企業の送金業務を外部へ委託し、手数料削減と経理業務の効率化を同時に実現する仕組みです。 大口契約の活用により手数料を半額以下に CSV連携で入力業…
詳しくみる振込代行サービスのセキュリティは安全?仕組みや管理方法を解説
Point振込代行のセキュリティは安全? 銀行同等の暗号化と法的な保全措置により極めて安全です。 全通信をSSL暗号化し盗聴・改ざんを防止 倒産時も信託保全で預かり金を全額保護 社…
詳しくみる振込手数料を削減するには?法人のコスト対策と見直し術を解説
Point振込手数料を削減するには? 振込手数料の削減には、ネット銀行への移行や振込代行サービスの活用が最も効果的です。 ネット銀行活用で窓口より約30〜50%のコスト削減が可能 …
詳しくみる振込作業を効率化するには?経理の支払い業務をラクにする方法
Point振込作業を効率化するには? 銀行APIや全銀データを活用し、会計ソフトと銀行口座をシステム接続することで実現します。 API連携で手入力とログインの手間を削減 AI-OC…
詳しくみる会計の注目テーマ
- 勘定科目 消耗品費
- 国際会計基準(IFRS)
- 会計帳簿
- キャッシュフロー計算書
- 予実管理
- 損益計算書
- 減価償却
- 総勘定元帳
- 資金繰り表
- 連結決算
- 支払調書
- 経理
- 会計ソフト
- 貸借対照表
- 外注費
- 法人の節税
- 手形
- 損金
- 決算書
- 勘定科目 福利厚生
- 法人税申告書
- 財務諸表
- 勘定科目 修繕費
- 一括償却資産
- 勘定科目 地代家賃
- 原価計算
- 税理士
- 簡易課税
- 税務調査
- 売掛金
- 電子帳簿保存法
- 勘定科目
- 勘定科目 固定資産
- 勘定科目 交際費
- 勘定科目 税務
- 勘定科目 流動資産
- 勘定科目 業種別
- 勘定科目 収益
- 勘定科目 車両費
- 簿記
- 勘定科目 水道光熱費
- 資産除去債務
- 圧縮記帳
- 利益
- 前受金
- 固定資産
- 勘定科目 営業外収益
- 月次決算
- 勘定科目 広告宣伝費
- 益金
- 資産
- 勘定科目 人件費
- 予算管理
- 小口現金
- 資金繰り
- 会計システム
- 決算
- 未払金
- 労働分配率
- 飲食店
- 売上台帳
- 勘定科目 前払い
- 収支報告書
- 勘定科目 荷造運賃
- 勘定科目 支払手数料
- 消費税
- 借地権
- 中小企業
- 勘定科目 被服費
- 仕訳
- 会計の基本
- 勘定科目 仕入れ
- 経費精算
- 交通費
- 勘定科目 旅費交通費
- 電子取引
- 勘定科目 通信費
- 法人税
- 請求管理
- 勘定科目 諸会費
- 入金
- 消込
- 債権管理
- スキャナ保存
- 電子記録債権
- 入出金管理
- 与信管理
- 請求代行
- 財務会計
- オペレーティングリース
- 新リース会計
- 購買申請
- ファクタリング
- 償却資産
- リース取引




