• 作成日 : 2025年9月9日

EMVとは?クレジットカード決済の安全性が高まる仕組みをわかりやすく解説

クレジットカードを使うとき、「情報を盗まれないだろうか」「不正利用されたらどうしよう」と不安に感じる方は少なくありません。実際、従来の磁気ストライプ型カードでは、情報がコピーされる「スキミング被害」が世界中で問題になってきました。

そこで国際的に導入が進んだのがEMV(ICチップ搭載カードの国際規格)です。ICチップにより取引ごとに異なる暗号が生成され、データの複製や改ざんが極めて難しくなるため、クレジットカード決済の安全性が飛躍的に高まります。

本記事ではEMVとは何か、その仕組みやメリットまでわかりやすく解説します。

EMVとは?

EMVは、EMVCoが策定したICチップ決済の国際標準で、磁気ストライプに比べて偽造・複製に強く取引の安全性を高める規格です。店頭のクレジットカード決済では、接触・非接触いずれの方式でも世界的な相互運用性を実現し、各国で標準化が進んでいます。

EMVの仕組みは大きく4つの要素で構成されています。

まず、カードやスマホをかざすだけで支払える非接触規格がEMVコンタクトレスです。EMVを普及させるために、不正利用時の責任を未対応の店舗側が負担する仕組みとしてライアビリティシフトが位置づけられています。

オンライン取引において本人確認を担うのがEMV3-Dセキュアで、リスク判定に応じて追加認証をおこない安全性を確保します。

これらの仕様を国際的に策定・管理し、相互運用性と安全性を支えているのがEMVCoです。こうした枠組みによって、EMVは実店舗・オンライン双方で安全なカード決済の基盤となっています。

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EMV関連の4つの基礎知識

EMVは世界中で安全なカード決済を実現するための規格やルールが整備されています。

①EMVコンタクトレス(タッチ決済)

EMVコンタクトレスは、スマホやICカードに用いられている非接触IC決済端末で、いわゆるタッチ決済です。通信はNFCを使い、仕様はEMVCoが世界共通で標準化されているため、どこでも同じように動きます。

安全面では、ICチップが毎回使い捨ての暗号を生成するため、磁気ストライプ情報を盗んで複製するスキミングに強いのが特長です。

端末やカードはEMVCoの認証試験で互換性が確認されます。レジ待ち短縮や衛生面にもメリットであり、国際的に相互運用性が高く、海外でもスムーズに活用できて小額決済にも適しています。

②ライアビリティシフト

従来、不正利用が​あった​場合、​その損害はカード発行会社が負っていました。ライアビリティシフトは、対面カード決済で不正が起きた際、損害の負担先をEMVに未対応の店舗側へ移すルールです。

磁気ストライプのみの端末で処理した場合は加盟店が損害を負担し、端末がEMV対応・カードの場合は発行会社が損害を負担します。

EMVはICチップ規格で、偽造やスキミングに強い方式です。ライアビリティシフトは、責任を移すことで、加盟店のEMV端末導入や発行会社のIC化を加速させる導入促進策です。

不正コストを抑え、決済の安全性を高めるためのルールであり、適用条件や時期はカードブランドごとに異なります。詳細はブランドごとに異なるため各社の公式ガイドを確認しましょう。

③EMV3-Dセキュア

EMV3-Dセキュアはネット決済の本人確認で、現在はEMVCoが管理する2.0(3DS2)が主流です。流れとしては、購入情報が送られると3DS2が端末・取引データを使ってリスク判定をおこないます。

低リスクなら追加操作なしで決済が進み(フリクションレス)、高リスクのときだけワンタイムコードや生体認証で追加認証します。

認証後に発行会社がオーソリ(カードが正規のものか確認し、申請額分の利用枠を確保)し、売上処理へ進みます。

④EMVCo

EMVCoはAmerican Express・Discover・JCB・Mastercard・UnionPay・Visaが共同で運営する決済技術の標準化団体です。

1999年の設立以来、ICカードや非接触決済、3-Dセキュア、トークン化などの仕様を定め、試験や認定を通じて世界中で同じように安心して使える環境を整えてきました。

国際規格というとISOを思い浮かべる方も多いと思いますが、EMVCoはそうした汎用規格とは異なり、カード決済に特化した仕組みづくりを担っています。各国のルールや要件とも調整しながら、グローバルに安全性と利便性を支えているのです。

国際的なルール作りといえば、ISOのような汎用的な規格を思い浮かべる方も多いでしょう。また、カードのセキュリティ基準としては、PCI SSCが定めるPCI DSS(データ保護基準)を連想する方もいるかもしれません。

EMVCoはそうした一般的な規格とは異なり、クレジットカード決済に特化した技術仕様を国際的に策定・管理する団体です。各国の法律や要件とも調整しながら、世界中で同じ仕組みを安全に使えるよう支えています。

【事業タイプ別】EMVの最適な決済手段の選び方と比較

①実店舗(飲食・小売)

実店舗(飲食・小売)は、EMV対応端末+スマホのタッチ決済の併用が最適です。

かざすだけのため数秒で実施できる決済は、レジ待ちを減らすとともに、回転率とユーザー体験を向上させます。

ICカード(EMV)にもそのまま対応でき、偽造やスキミングに強く安全性の確保が可能です。

スマホ・カード・ウォッチなど支払い手段も幅広く受け付けられる反面、注意点もあります。

端末の導入・保守コストや手数料、レジ周りの設置スペース・配線確保が必要になるため、計画的に導入しましょう。

券売機やセルフレジとも相性がよく、現金比率を下げて会計ミスや現金管理の手間を減らせます。混雑時でもスムーズです。

②EC/サブスク

ECやサブスクではEMV3-Dセキュア(3DS2)の導入が強く求められています。購入時にカード会社が本人確認をおこない、不正利用やチャージバックを抑え、ブランドの信頼を守れます。

導入は3DS2対応の決済代行(PSP)を使うのが手早く、開発・審査の負荷を軽減できます。

追加認証が発生して処理が増えると離脱も増える可能性があり、実装・運用に継続コストがかかる場合があるため、対策が必要です。

利用者に余分な負担をかけないよう、不要時は追加認証を省く(リスクベース認証)や画面設計の工夫が有効です。

サブスク形式でも利用でき、PSPを経由することでブランド要件の更新にも柔軟に対応できます。

EMV導入・運用時に押さえておきたい3つのポイント

EMVを導入・運用する際のポイントを紹介します。3つのポイントを徹底することで、安全でスムーズな決済環境を構築が可能です。

①EMV対応端末を選定し、導入を進める

導入する際は、対応端末の選定から始めましょう。ICチップとタッチ決済への対応、レジとのつなぎ方(有線/無線)、サポート体制などを確認してください。

導入前には回線やレジとの接続確認、スタッフ研修などの準備が必要です。導入後も端末のアップデートをするとともに、案内POPなどで利用者への案内を実施しましょう。

返金・取消の操作を確認しつつ、エラーの発生記録をまとめ、日々の点検を継続することが大切です。

②EMV3-Dセキュアを設定し、APIと連携する

初期設定の内容は利用するプロバイダや方式によって異なるため、まずは提供元のマニュアルを必ず確認しましょう。

API連携では、決済・認証・結果受信の流れを正しく実装し、コールバックやエラー処理も備えることが大切です。

導入後は決済の失敗率や顧客の離脱率を継続的に確認し、必要に応じて免除条件や運用ルールを見直すようにしましょう。

③決済プロセスの契約条件を確認し、社内フローを整備する

契約の際には、手数料率・入金サイクル・対応ブランド・返金方法などの条件を見比べて、自社に適しているかを事前に確認する必要があります。

不正利用やチャージバック発生時の責任分担と連絡窓口を文書で明確にします。最後に、売上処理・返金対応・請求照合の手順をマニュアル化し、「誰が・いつ・どうするか」を定めて関係部署に共有しましょう。

EMVに関するよくある4つの質問

①EMV非対応だと何が起きる?

EMV非対応とは、ICチップを読めない端末を使う、またはチップ付きカードを磁気スワイプや手入力で処理する状態を指します。

EMV非対応のまま決済すると、ライアビリティシフトにより、不正発生時の損失が加盟店側に移ります。

この結果、偽造・盗難カード由来のチャージバックを負担するケースが発生し、調査や書類対応など運用コストも増えてしまうのです。

EMVは偽造防止に有効であり、非対応は不正リスクを高めるため、適切な端末導入と運用が必要です。

②EMV3-Dセキュアは本当に必須?

EMV3-Dセキュアは、ネットでカード決済をするときに本人確認を強化する仕組みです。ワンタイムパスワードや端末情報を使うことで、不正利用を減らす効果が 期待できます。

経済産業省も2025年3月末までに、原則全てのEC加盟店におけるEMV3-Dセキュア導入を呼びかけている背景があります。

2025年8月現在、全取引に義務づけられているわけではありませんが、導入すればセキュリティが高まり利用者からの安心感や信頼につながるでしょう。

導入を検討する際は、取引の金額や顧客層、カードブランドや契約条件などを見ながら、自社に合った仕組みを整えることが大切です。

参考:「クレジットカード・セキュリティガイドライン」が改訂されました(METI/経済産業省)

③NFC・スマホ決済・EMVの違いは?

NFCは、カードやスマホをかざして通信する近距離無線技術のことです。スマホ決済は、このNFCやQRコードを使ってアプリから支払いをおこなう仕組みを指します。

EMVは国際標準のICチップ決済方式で、取引ごとに一度きりの暗号を発行して偽造を防ぐ仕組みです。

よくある誤解として、NFCそのものが決済方法だと思われがちですが、実際はあくまで通信の仕組みにすぎません。

セキュリティではEMVが優れ、スマホ決済は使いやすさが強みです。それぞれの特徴を整理して理解しておくと安心です。

④今のPOS端末はそのままEMVに対応できる?

以下の点によって異なるため、一律に「対応できる」とは言えません。

  • ハードがEMV仕様対応(チップ読み取りなど)かどうか
  • 端末にEMV認定カーネルが組み込まれているか
  • POSや決済システムとの連携方式に違いがあるか

そのため「EMVCoのApproved Productsリスト」や端末メーカー・決済代行会社に、お使いのモデルがEMV対応かどうか、具体的な確認を必ずおこなってください。

参考:承認済み製品およびソリューションアーカイブ |EMVコー

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