- 更新日 : 2024年11月28日
法人カードのマイルやポイントは個人利用できる?
従業員が経費を立て替えて支払った場合、その際に貯まるポイントやマイルなどは個人が利用してもいいとされています。では、法人カードに貯まっているポイントやマイルも個人が利用してもいいのでしょうか。
本記事では、法人カードのポイントやマイルの所有権について解説するほか、ポイントやマイルのおすすめの利用方法についても解説します。
目次
法人カードで貯まったマイルやポイントは個人利用していい?
法人カードで経費を支払うと経費を精算する手間が減り、会社の業務効率化につながります。
しかし、従業員の中には、今まで経費を立て替えていたことで得ていたマイルやポイントが使えなくなり、残念に感じている人もいるかもしれません。従業員が経費を立て替えて支払った場合、その際に貯まるマイルやポイントは個人が利用しても問題ないとされているからです。
では、法人カードに貯まっているマイルやポイントも個人が利用してもいいのでしょうか。マイルとポイントでは取扱いが異なるため、それぞれについて解説していきます。
マイルとポイントの違いは?
マイルとポイントの違いは、利用先における還元率にあります。マイルは、航空券や旅行に使えるクーポンと交換する場合に「1マイル=1円以上」で利用できるため、航空会社のサービスを目的とした決済に向いています。
それに対してポイントは、提携している店舗で「1ポイント=1円」で利用できるため、日常生活での決済に向いています。
また、マイルとポイントでは所有権の帰属先にも違いがあります。ここからはそれぞれの所有権について解説していきます。
マイルの所有権は個人にある
JALやANAが定めているマイルの利用規約には、マイルは会員(個人)に付与すると明記されています。そのため、法人カードの利用により生じたマイルであっても、所有権は個人にあるといえます。
ポイントの所有権は法人にある
一方で、ポイントの所有権はカードの契約名義人である法人にあります。そのため、ポイントを私的に利用してしまうと、最悪の場合、「業務上横領罪」に問われる可能性があります。
個人事業主が法人カードで貯めたポイントやマイルは?
個人事業主の場合、法人カードを契約していたとしても、法人化しているわけではないため、法人カードの利用により貯まったポイントやマイルを個人で利用しても問題ありません。
ただし、法人カードの利用で得たポイントは税法上の収入とみなすため、会計処理に注意しましょう。ポイントやマイルの会計処理については後述します。
マイル・ポイントについての社内規定を設けておこう
従業員が個人のクレジットカードで経費を立て替えて支払う際に付与されるマイルやポイントについては、特にルールを定めていない会社が多いようです。しかし、法人カードのマイルやポイントについては、「誰のものであるか」を社内規定で明確にしておくことをおすすめします。日々の決済で貯まるマイルやポイントは少額であっても、積み重なれば大きな金額になるからです。
また、法人カードで貯まったマイルやポイントの個人利用を許してしまうと、カードの決済額や利用状況により従業員間で不公平感が生じ、トラブルや不正利用につながってしまう可能性もあります。
マイル・ポイントは何に使うのがおすすめ?
マイルやポイントは、会社の経費として利用しましょう。代表者や従業員などが個人で利用すると、会計処理が複雑になってしまいます。
ポイントは現金と同じ価値を持つものがほとんどで、自由に利用できます。一方、マイルについては、航空券の購入などに利用するのがおすすめです。マイルをポイントや商品券と交換すると、交換時のレートにより価値が下がってしまうケースが多いからです。
マイルやポイントのおすすめの使い方には、以下のようなものがあります。
ポイントは消耗品の購入や福利厚生費に利用する
法人カードのポイントは、提携している店舗やサービスで「1ポイント=1円」として利用できるケースがほとんどです。ポイントを利用して会社の消耗品やイベントの景品などを購入すれば、会社の経費として利用できます。
また、ポイントを「キャッシュバック」として利用すれば、法人カードの請求額からポイント利用分が直接値引きされます。ポイントの有効期限や使い道を気にすることが苦手な人は、キャッシュバックとして利用してもいいでしょう。
マイルは出張交通費として利用する
マイルについては、航空券の購入やホテルの宿泊などに利用しましょう。航空会社提携のサービスでマイルを利用すれば、還元率が1%を超える場合がほとんどです。
マイルをポイントに移行することも可能ですが、Pontaポイントや楽天ポイントなどに移行すると、「3,000マイル=1,500ポイント」といったように、交換率が低くなります。ただし、10,000マイル以上の利用であれば、交換レートが「1マイル=1ポイント以上」となる場合もあります。
マイル・ポイントを利用した際の会計処理
マイルやポイントを利用した場合、「雑収入」とするか、あるいは値引きを受けたものとして「値引き後の金額」で会計処理を行います。
10,000円の消耗品を法人カードで購入し、3,000円分のポイントを利用した際の会計処理は、以下のように行います。
3,000円のポイントを雑収入とする場合
3,000円分の値引きを受けたとする場合
ポイントの会計処理については、こちらの記事で詳しく解説しています。
法人クレジットカードでポイントを効率よく貯める方法
法人クレジットカードで効率よくポイントを貯めるには、以下の点を意識することが大切です。
- 事業用の支払いは法人カードに一本化する
- 従業員に追加カードを発行し、経費の支払いをしてもらう
- 備品や消耗品はポイントモールを通じて購入する
法人カードのポイントは、利用金額が大きくなればなるほど貯まりやすくなります。経費管理を効率化するためにも、事業用の支払いは法人カードに一本化しましょう。また追加カードで支払いを行うと、ポイントは本会員のカードに合算されるため、従業員に追加カードを支給するのもおすすめです。
カード会社によっては、買い物をするとポイントの還元率がアップする「ポイントモール」が利用できます。備品や消耗品は、できるだけポイントモールを通じて購入するようにすると、効率的にポイントを貯めることが可能です。
個人事業主もクレジットカードでポイントを貯めるのがおすすめ
個人事業主の方も、事業用の支払いをクレジットカードに一本化し、ポイントを貯めることをおすすめします。できるだけ効率よくポイントを貯めるため、店舗・事務所の家賃や、水道光熱費、通信費などの固定費の支払いも法人カードで行うとよいでしょう。
また所得税や住民税、消費税、個人事業税、固定資産税などの税金も、クレジットカード払いにすることで、お得にポイントを貯めることが可能です。税金をクレジットカードで納付する場合は、「国税クレジットカードお支払サイト」や「地方税お支払サイト」を利用しましょう。
なお、法人カードは「コーポレートカード」と「ビジネスカード」の2種類に分かれています。法人カードをまだお持ちでない場合は、個人事業主や中小企業向けの「ビジネスカード」を申し込むとよいでしょう。
社内規定を設けてポイント・マイルの個人利用について明文化しよう
従業員が経費を立て替えたことにより貯まったポイントやマイルは、個人利用しても問題になりません。ただし、法人カードの利用で貯まったポイントやマイルは、個人利用できる場合でも利用しないことをおすすめします。特にポイントの所有権は法人カードの契約者である会社にあるため、ポイントを個人利用してしまうと、最悪の場合、「業務上横領罪」に問われる可能性があります。
法人カードで会社の経費を支払えるようにすると経費精算の手間が削減されるため、業務効率化につながります。しかし、ポイントの個人利用によってトラブルが発生してしまっては本末転倒です。そうならないように、社内規定を設けてポイントの個人利用について明文化しておくようにしましょう。
よくある質問
法人カードで貯まったマイルやポイントは個人利用できますか?
社内規定がない前提であれば、マイルは個人利用できますが、ポイントは個人利用してはいけません。航空会社やカード発行会社などの規約によれば、マイルは会員(個人)に対して付与され、ポイントは契約者に対して付与されるからです。詳しくはこちらをご覧ください。
法人カードで貯まったマイルやポイントを利用した際、会計処理はどのように行えばいいですか?
「雑収入」とするか、あるいは値引きがあったものとして「値引き後の金額」で会計処理を行います。マイルとポイントは特に区別されていないため、同じように処理します。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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