- 更新日 : 2024年8月21日
精算と清算の違いは?意味や使い方をわかりやすく解説
ビジネスにおいて、精算は細かく計算して金額を確定したり、過不足なく正確に計算することを意味しており、主に経費精算のシーンで用いられます。一方の清算は、借入金の完済などを意味しており、主に借金の返済や会社の廃業手続きなどのシーンで用いられます。
ビジネスでよく使われる「精算」と「清算」は、読みは同じですが意味に大きな違いがあります。当然、利用シーンも異なるので、両者のそれぞれの意味を正しく理解し、適切に使用しましょう。
今回は精算と清算の意味や、それぞれの違い、ビジネスでの使い分け方や、精算書と清算書の違いについて解説します。また、ビジネス上で使用される清算の種類や、経費精算を効率化する方法についても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
精算と清算の違い
混同されがちな精算と清算のそれぞれの意味について説明します。
精算の意味
精算の「精」には詳しい、細かいという意味があります。
計算を表す「算」と組み合わせると、細かく計算するという意味になり、ビジネスでは主に細かく計算して金額を確定したり、過不足なく正確に計算したりすることを表します。
清算の意味
清算の「清」には、清い、けがれがない、余分なものを残さないといった意味があります。そこから転じて、過去の出来事にけじめを付け、関係を解消することを指すのが「清算」です。ビジネスでは主に、借入金の問題に何らかの形で決着を付けることを意味します。
このように、精算と清算は音が同じでもまったく異なる意味を持つため、書面やメールなどで使用する際は、誤った使い方や漢字変換ミスに注意が必要です。
ビジネスにおける精算と清算の使い分け方
ビジネスでは、精算と清算の両方を使用するので、使い分け方をチェックしておきましょう。
「精算」を使う場面
ビジネスで精算を使用する場面は大きく分けて3つあります。
まず1つ目は、立て替えた経費を精算するときです。
例えば、出張で利用した公共交通機関の料金を社員が立て替えて支払った場合、利用料金の明細書を基に、後日経理へ請求する「経費精算」が生じます。
経費精算では、経理担当者が社員から提出された領収書と経費精算書を照らし合わせ、内容に不備がないことを確認した上で立て替え払い分の支払いを行うのが一般的です。
経理担当者は申請された経費の用途が適切か、金額に誤りはないかなどを細かくチェックするため、経費精算と呼ばれています。
2つ目は、レジ締めの作業を行うときです。
飲食店や小売業などでは、レジに打ち込まれた金額と、レジの中にある実際の金額が一致するかどうか確認するレジ締め作業を行います。これが「レジ精算業務」です。
レジに入力されている金額に対して過不足金が発生している場合、レジの打ち間違えか、あるいはお釣りの渡し間違いが発生している可能性があるため、従業員に対して何らかの指導や対策を講じる必要があります。
3つ目は、会社の懇親会等の費用を割り勘するときです。
会社主催の懇親会を開く際、費用は参加者から徴収しますが、飲食代があらかじめはっきりしていない場合、代表者が一括で支払った後、参加者の頭数で金額を割って個々から徴収するパターンが一般的です。この頭数分の金額を計算することも精算に含まれます。
「清算」を使う場面
ビジネスで清算を使用する場面は大きく分けて2つあります。
まず1つ目は、借り入れていたお金を完済するときです。
ただ返済するのではなく、借りていたお金を全て返した際に「借金を清算する」といった表現を用います。ビジネスでは主に、融資を受けていた金融機関への借入金を完済したときなどに使用します。
2つ目は、会社を廃業したときの手続きです。
廃業する場合、企業は株主総会の特別決議により解散の決議を行い、解散の登記をし、企業を解散の状態とします。その後、自社が保有する財産や負債を整理する「清算」の手続きに入ります。自社ビルなどの不動産や、事業に利用していた設備、機器などを全てお金に換え、負債の返済および従業員への賃金の支払いなどに充てるのが具体的な手続きの流れです。その際の残金は株主に分配されるのが一般的です。
なお、保有する全ての財産を換金しても負債を清算できなかった場合は、特別清算と呼ばれる措置を行います。
特別清算を含む清算の種類について、詳しくは後述します。
精算書と清算書の違い
ビジネスで精算あるいは清算を行う際は、書面で手続きを行うのが一般的です。ここでは精算書と清算書の違いについて解説します。
精算書とは?
精算書とは、経費全般に関する書類の総称です。そのため、経費精算書とも呼ばれています。
具体的には、経費や立て替え払いの精算をする際、用途や支払先、内訳などを細かく計算して記載し、経理に提出する書類のことです。用途や内訳などによる区分はなく、会社の備品を購入した場合はもちろん、出張中に利用した交通費や旅費、接待などに利用した会食費なども全て精算書を使用して精算することになります。
清算書とは?
清算書とは、借金を完済した証として発行される書類のことです。例えば、金融機関から受けていた融資金を完済した際に発行してもらう完済証明書などが清算書に該当します。
また、貸オフィスを退去する際は日割り家賃や原状回復のために使われた修繕費およびハウスクリーニング代などを敷金から差し引いて計算しますが、その用途や金額、内訳などを記した書類は敷金清算書と呼ばれています。
以上が精算書と清算書の違いですが、ビジネスでは圧倒的に精算書を使用するケースが多く、清算書を用いる機会はまれです。そのため、企業によっては精算書と清算書を区別せず、どちらも「精算書」として扱っているケースも多いようです。
ビジネス上でよく使われる「清算」
ビジネスで用いられる「清算」は大きく分けて3つあり、それぞれ意味合いが異なります。
ここではビジネスで多用される清算の種類とそれぞれの意味をまとめました。
通常清算
通常清算とは、会社が保有する資産を換金し、債務を完済することです。
資産の換金方法には、不動産や設備等の売却、売掛債権の回収などが挙げられます。債務超過に陥っていない場合は、資産を換金することで債務を完済することが可能です。
そして、債務の完済および残った財産の分配が終了したら、株主総会で決算報告の承認を受けることで会社の法人格が消滅することになります。
通常清算の場合、裁判所の監督などを受ける必要はないため、比較的スムーズに手続きが完了するところが特徴です。
特別清算
特別清算とは、会社が債務超過に陥っており、資産や財産を全て返済に充てても債務を完済できない場合に適用される清算です。この場合、通常清算は不可能なので、裁判所監督の下、特別清算の手続きを開始することになります。
具体的な流れは以下のとおりです。
- 本社の所在地を管轄する地方裁判所に特別清算の申し立てを行う
- 負債金額を確定する
- 裁判所に協定案を提出する
- 債権者集会および裁判所で協定案を認可する
- 協定案に則って清算を行う
- 裁判所が特別清算の終結を決定する
協定案とは、清算手続きを行う人(清算人)と債権者の間で、何らかの事項について合意する内容を書面にしたものです。会社が債務超過に陥っている場合は、弁済を行う時期や債務の免除などについて記載されるのが一般的です。
任意清算
任意清算とは、会社側が任意で財産の処分方法を決定する清算方法です。
全てのケースに適用されるわけではなく、定款で定められている解散事由の発生や、総社員の同意、または存続期間の満了など、自主的な判断に基づいて会社を解散する場合にのみ任意清算が認められます。
なお、任意清算は社内の人間ではなく、社外の人間が清算人を務めます。また、任意清算は、合資会社と合名会社のみが行える点も特徴です。
経費精算はビジネスカードで効率化できる
ビジネスでは清算よりも精算を行う頻度が多く、経費の立て替え払いを行う社員や、それに対応する経理担当者は、日々経費精算業務に追われています。経費精算業務にかかる手間や時間をなるべく軽減したいのなら、ビジネスカードの導入を検討してみましょう。
ビジネスカードを利用して決済すれば、支払いはカードの口座から直接引き落としされるので、社員が立て替え払いする必要がなくなります。
また、ビジネスカードを使えば私的な利用と区別できるので、面倒な仕訳の必要もなくなり、経理業務の効率化につながります。
【まとめ】
精算と清算の意味をよく理解し、シーンに応じて使い分けよう
精算と清算は音が同じなので混同されがちですが、前者は細かく計算して金額を確定すること、後者は借入金を完済することを意味する言葉です。
それぞれ意味と利用シーンが異なるので、誤用のないように注意しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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