• 更新日 : 2024年9月20日

法人カードの名義は代表者?会社名は記載される?

法人カードの名義は法人の代表者や個人事業主本人であることが一般的ですが、クレジットカードによっては会社名を入れることができます。

今回は法人カードの名義についてや、サインはどうすればよいのか、また社員が使うとき名義はどうなるのかについてまとめました。名義変更するケースや方法、引き落とし口座の設定についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

法人カードの名義は代表者のことが多い

クレジットカードの名義とは、カードの利用者の名前のことです。とはいえ、クレジットカードは元々クレジットカード会社が利用者に貸与しているものなので、厳密にいえば、名義人とは「クレジットカード会社によってカードを貸与されている人」のことだといえます。

名義は必ず個人名

法人カードの名義は、一般的に法人の代表者や個人事業主本人の名前となります。そのため、法人カードであっても個人名義です。会社名や屋号などを名義人として印字・登録したカードは発行できません。

社名が記載されることも

法人カードの中には、社名をカードの表面に印字可能な種類もあります。例えば、法人の場合は法人名、個人事業主の場合は屋号をカード表面に表示できることがあります。

ただし、個人名に付記される形となるため、名義人の場所に社名が印字されることはありません。また、社名だけが表面に印字されたカードも発行できません。

サインは個人のものを使う

法人カードのサインは、個人カードと同じく名義人本人のものを使います。一般的に、法人名や屋号でのサインは使いません。

自分自身名義のカードを受け取ったら、迅速にカードの裏面にペンなどで名義人自身がサインを記載しておきましょう。油性ペンなどを選べば、消えにくく、書き換えなどの不正使用も回避できます。また、万が一紛失したときでも、裏面にサインを書いておけば悪用を防げることもあります。

法人カードは名義人以外使えない

法人カードを使用できる権利を持つのはカードの名義人のみです。名義人以外はたとえ同じ会社に所属する社員でも使えません。例えば代表者名義の法人カードは、代表者以外は使えません。

カードの名義人がクレジットカードを他の社員が使うことを承諾した場合でも、名義人以外の人が利用するとクレジットカード会社との規約違反になります。部下に法人カードを一時的に渡して買い物に行かせる、インターネットショッピングをさせるのは、いずれも違反行為です。カードの不正使用になるため、名義人本人以外は使用しないこと、そして使用させないことが大切です。

従業員にカードを発行した際の名義は?

代表者以外が法人カードを持つときは、使用する人の名義のカードを追加発行する必要があります。役員や社員が使うことが多いと想定されるときは、利用者の名義のカードを発行することで、代表者以外も法人カード利用が可能になります。

この場合も、利用できるのはカードの名義人のみです。代表者以外のカードを1枚発行し、社員で使いまわすことはできません。

ただし、法人カードによっては、発行できるクレジットカードの上限枚数が定められていることがあります。役員・社員名義のカードを発行しようと考えている場合は、申込む前に上限枚数を確認しておきましょう。

また、役員や従業員のカード発行の際には審査は不要です。代表者のカードを発行する際に審査は完了しているので、代表者自身が申込めば既定の上限枚数までカードの追加発行が可能です。

名義変更の際はどうする?

カード名義の変更が必要なときは、まずはクレジットカード会社に問い合わせましょう。個人名が変わったときは本人確認書類、法人名が変わったときは登記簿謄本などの書類提出を求められることもあります。また、名義変更後は、以前のカードは利用できなくなる点に注意しましょう。

名字が変わった場合

例えば、婚姻・離婚などにより名義人の名字が変わったときなどは、名義変更の手続きが必要です。間違った名義でカードを利用することがないように、速やかに手続きをしましょう。

なお、名義人の名字が変わったときは、そのカードの情報だけが更新されます。手続き中も、他の法人カードはそのまま使用できます。

代表者や社名が変わった場合

代表者や社名が変わったときも、速やかに手続きをすることが必要です。代表者の名字が変わったときはそのカードの変更手続きだけをすればよいですが、別の代表者になったときや社名が変わったときは、他の発行したすべての法人カードを替える必要が生じることもあります。

例えば、社名が印字されている法人カードを役員・社員が持っているときは、社名変更にともないすべてのカードを回収し、再発行する必要があります。クレジットカード会社によって手続きの方法や回収の基準が異なることもあるので、まずは問い合わせましょう。

法人カードの引き落とし口座は?

法人カードの引き落とし口座の名義は、カードの名義人や会社名とは限りません。個人事業主と法人に分けて、引き落とし口座の名義について見ていきましょう。

個人事業主の場合

個人事業主が法人カードを所有する場合は、個人事業主本人の口座を引き落とし口座に指定します。ただし、屋号で開設した事業用口座がある場合には、屋号名義の口座も引き落とし口座に指定できることがあります。

法人の場合

法人が法人カードを所有する場合には、法人名義の口座を引き落とし口座に指定することが一般的です。ただし、クレジットカードによっては、法人代表者などの個人名義の口座から引き落とすことが可能です。

なお、役員や社員の名義でクレジットカードを複数枚発行している場合も、すべて同じ口座から引き落とされます。名義人によって異なる口座から引き落せないため、注意しましょう。

法人名義のクレジットカードで決済するメリット

一般社団法人日本クレジット協会の調査によると、2014年から2023年にかけて、法人名義のクレジットカードの発行枚数は約1.88倍に増加しています(※)。法人カードで決済を行う方が増えているのは、以下のようなメリットがあるからです。

  • 小口現金が不要になる
  • 経費精算を効率化できる

※一般社団法人 日本クレジット協会「クレジットカード発行枚数調査結果」p1

小口現金が不要になる

小口現金とは、備品の購入や交通費の支給など、細々とした支払いのために少額の現金を会社に保管しておく仕組みのことです。

小口現金を用意すると、急な支払いがあってもその場で対応できます。しかし、小口現金には「現金の残高を毎日数える必要がある」「小口現金出納帳に記録する手間がかかる」「盗難防止のためのセキュリティが必要になる」といった欠点もあります。

社員に法人名義のクレジットカードを支給すれば、各々が経費をカードで決済するため、手間のかかる小口現金の取り扱いが不要になります。

経費精算を効率化できる

また経費の支払いを法人名義のクレジットカードに一本化することで、経費精算を効率化できます。ほとんどの法人カードは会計ソフトと連動しているため、カードの利用明細を取り込み、会計処理を自動化することも可能です。

経費精算を現金で行う場合、社員から領収書を受け取り、会計ソフトに日付や金額、勘定科目、摘要欄などを手作業で入力する手間がかかります。経費の支払いに法人名義のカードを活用すれば、経理業務の担当者の負担軽減にもつながります。

法人名義のクレジットカードの審査は厳しい?

ただし、法人名義のクレジットカードの審査は、個人用のクレジットカードと比べて厳しい傾向にあると言われています。

法人カードの審査基準は公表されていませんが、一般的に事業年数(経営実績)や財務状況、法人代表者の信用情報などの項目が、カード会社によって確認されます。

設立して間もなく、業歴が短い法人の場合は、審査のハードルが比較的低いカードの中から、限度額や年会費などの条件が合うものを探すとよいでしょう。いきなりステータスが高い法人カード(プラチナカードなど)を選ぶと、審査に落ちてしまう可能性が高くなります。

また法人名義のクレジットカードには、中小企業や個人事業主をターゲットとしたカード(ビジネスカード)もあります。審査に通るかどうか不安な場合は、こうしたスモールビジネス向けの法人カードを選びましょう。

法人カードは名義人以外は使用しないことが鉄則

法人カードであっても、個人カードと同じく名義人以外は使用できません。上司にお使いを頼まれて上司名義の法人カードを部下が使用するケース、名義人以外がインターネットショッピングをするなどのケースは、いずれも法人カードの規約違反になります。

役員や社員名義の法人カードを発行すると、経費計算やお金のやり取りがシンプルになるというメリットがあります。会社の経費で接待や買い物などをする機会が多い役員や従業員にはカードを発行し、社員間で使い回しをすることがないように注意しましょう。

また、名義人は、カードを受け取ったらすぐに印字に間違いがないか確認し、裏面に油性ペンなどでサインをしておくことが大切です。すぐにサインをすることで、社内での使い回しや、万が一紛失したときに悪用を回避できるでしょう。

よくある質問

法人カードの名義は誰になりますか?

法人代表者あるいは個人事業主が名義人です。会社名や屋号を記載できるクレジットカードもありますが、名義はあくまでも個人となります。詳しくはこちらをご覧ください。

従業員にカードを発行した際の名義は誰になりますか?

名義人のみがクレジットカードを使用できるので、従業員の名義になります。ただし、利用料金が引き落とされるのは、契約時に登録した口座からです。詳しくはこちらをご覧ください。


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