- 更新日 : 2024年9月5日
ガバナンス強化はなぜ重要?必要性や具体的な方法を徹底解説
ガバナンス強化とは、企業内の不正や不祥事を未然に防ぎ、健全な経営を行うための体制を整えることです。強化を怠ると、企業のイメージが低下して売上・業績が落ち込んだり、ステークホルダーからの融資や出資を受けにくくなったりする可能性があるので要注意です。
現代ビジネスでは、企業に対してガバナンス強化が求められています。ガバナンス強化を怠ると、企業のイメージが低下したり、社会の変化に対応できないなど複数のリスクにさらされるため、計画的な取り組みを行うことが大切です。
今回はガバナンスの基礎知識やガバナンス強化が必要とされる理由、強化を怠ることへのリスク、具体的な強化方法を解説します。
目次
ガバナンスとは?
ガバナンス(Governance)とは、英語で統治・支配・管理などを意味する言葉で、ビジネスでは健全な企業経営を行うための管理体制を整えることを指します。
ここでいう健全な企業経営とは、法令を遵守し、不正や不祥事などを起こさない経営のことを指し、企業が自社ブランドのイメージを維持したり、ステークホルダーとの良好な関係性を構築するのに欠かせない要素です。
そのため、多くの企業ではガバナンス強化に向けて独自の取り組みを実施しています。
ガバナンスと内部統制の違い
内部統制とは、企業が事業活動の目的を達成するために設けるさまざまな仕組み(社内体制)のことです。内部統制を設けることにより、ミスや不正を最小限に抑えることができ、業務効率も上がります。
企業の健全な経営に向けた取り組みという点は共通しています。ただ、ガバナンスは株主やステークホルダーを意識した仕組みである一方で、内部統制は社内のルールや仕組みのことです。したがって取り組みの主体者や対象者に違いがあります。
ガバナンスとコンプライアンスの違い
コンプライアンスとは、法令や条令、社会規範といった社会のルールを遵守することです。
一方、ガバナンスはコンプライアンスを遵守するために企業が整える管理体制のことなので、目的とそのための環境という明確な違いがあります。
ガバナンスとリスクマネジメントの違い
リスクマネジメントとは、企業リスクを組織的に管理し、損失等を未然に回避または低減する取り組みのことです。管理体制そのものを指すガバナンスに対し、リスクマネジメントは経営手法の一つであるところが大きな違いです。
ただ、企業の健全な経営にはリスク管理が欠かせないため、リスクマネジメントはガバナンス強化に欠かせない要素の一つとされています。
なぜガバナンス強化に取り組む必要がある?
企業にガバナンス強化が求められる理由は大きく分けて3つあります。
企業価値の向上につながる
企業の不正や不祥事を未然に防ぐことは、事業の透明性確保につながります。
透明性のある健全な経営は企業価値を高め、株主や取引先といったステークホルダーや、金融機関からの信頼を獲得しやすくなります。
もちろん、自社やブランドのイメージアップにもつながるため、消費者から愛着を持たれやすく、シェアの獲得やリピーター率の向上などを期待できるでしょう。
労働環境の改善を図れる
ガバナンス強化のために業務範囲や命令系統などを明確にすると、ワークフローや業務プロセスがスムーズになります。その結果、業務効率がアップし、社員一人当たりに掛かる負担が少なくなり、労働環境の改善を推進できます。
労働環境が改善されると社員のモチベーションがアップし、早期離職の防止や定着率の向上にもつながるため、人手不足の解消にも効果的です。
競争力を強化できる
ステークホルダーや金融機関との関係性が良好になると、融資や出資を受ける確率が高くなり、設備投資や新たな事業展開などを推進しやすくなります。また、企業のイメージが向上すると優秀な人材を確保しやすくなり、組織力の向上につながります。
十分な経営資源(ヒト・モノ・カネ)を確保すれば、同業他社との差別化を図りやすくなり、市場における競争力を強化することが可能です。
ガバナンス強化を実施しないことによるリスク
ガバナンス強化を怠ると、以下のようなリスクが生じるおそれがあります。
企業の信頼性が低下する
不正や不祥事などが横行すると、企業の倫理観が問われ、外部からの信頼性が失墜します。ステークホルダーや金融機関から信頼されないと出資や融資を受けにくくなり、キャッシュフローが急速に悪化する可能性があります。
また、同業他社の多い業界で消費者や顧客にそっぽを向かれることは、売上や業績の低下、そして経営が傾く原因です。一度低下した信頼を取り戻すのは容易なことではないため、企業のイメージや信頼を維持するための管理体制をしっかり整えておくことが何より重要です。
社会の変化に対応できない
昨今はビジネスのグローバル化が進んでいますが、諸外国は日本よりも法令や条令の遵守に厳しい傾向にあります。不正や不祥事を未然に防ぐ体制が十分でないと判断された場合、海外企業との取引や提携を断られる可能性が高く、自社のグローバル化を妨げる要因になるおそれがあります。
その結果、市場での競争力も低下し、売上・業績の落ち込みから経営難に陥るリスクが高まるでしょう。
労働環境の悪化
企業の管理や監視体制が行き届いていないと、不正や不祥事が横行し、社内の秩序が乱れやすくなります。すると、真面目に働いている社員のモチベーション低下や早期離職を招き、労働生産性の低下や人手不足といった問題も起こりやすくなります。
ガバナンスを強化するための具体的な方法
ガバナンスを強化するための具体的な取り組み方法を4つご紹介します。
社内ルールを設定する
法令遵守や不正防止のための社内ルールを設定し、経営者を含む組織全体に周知します。社内ルールを策定するには、まず自社の現状を把握し、課題や問題、将来起こり得るリスクなどを洗い出す工程を設定します。その上で、課題の解消やリスク回避のために必要なルールを策定し、就業規則などにまとめましょう。
併せて、ルールを運用した後の社内の監視・管理体制も整えておく必要がありますが、監視・管理をどの部門の誰が行うのか明確にしておくことも大切です。
監視体制を構築する
前述した社内ルールの監視を行うために、内部に監査機関を設置します。
ただ、社内の人間が担当すると、どうしても監視や評価が甘くなってしまいがちです。そのため、内部監査機関を設けるときは自社と直接的な利害関係のない第三者(監査役)を担当者に据えるのがおすすめです。
関係者へ周知する
社内ルールを制定したら、社員はもちろん、株主や取引先などのステークホルダーにもルールの内容を周知します。自社でどのようなルールを設定しているかを知ってもらえば、ガバナンス強化にどれだけ取り組んでいるか、内部の監視・管理体制がしっかりしているかを測る基準となるため、ステークホルダーからの信頼や信用を獲得しやすくなる効果が期待できます。
なお、ルールを周知する際は、ただ内容を伝えるだけでなく、なぜこのようなルールを制定したのか、ルールを遵守することにどのような意義があるのかを社外に向けて明確に伝達することも大切です。
ルールの意義を積極的に周知することで、ステークホルダーからの信頼を勝ち取ることだけでなく、社員のコンプライアンス意識を高めたり責任感を醸成したりすることにもつながるでしょう。
法人カードの導入により不正を防止する
企業がステークホルダーに向けて健全な経営を行っていることをアピールするためには、不正や不祥事を防ぎ、透明性のある財務情報を提示する必要があります。
法人カードを導入すれば、誰が・いつ・どこで・何を・いくら購入したのかを可視化できるため、不正利用の抑止力になります。
なお、法人カードは経費精算の手間の削減にもつながるため、一石二鳥の効果を期待できるでしょう。
ガバナンス強化は企業にとって必須の取り組み
ガバナンス強化は、不正や不祥事を未然に防ぐことで、企業価値の向上や労働環境の改善、競争力の強化などにつながる重要な取り組みの一つです。ガバナンス強化を怠ると、企業のイメージや信頼の失墜、社会への対応の遅れ、労働環境の悪化といったリスクを生む原因となるので、積極的な施策を講じる必要があります。
具体的には、社内ルールを策定・周知させる、監視体制を構築する、法人カードを導入するなどの方法が有効です。特に法人カードは経理業務の効率化にもつながるため、積極的な導入を検討してみるとよいでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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