- 更新日 : 2024年10月10日
パーチェシングカードとは?3つの特徴やメリットを詳しく紹介
パーチェシングカードとは、商品の仕入れや公共料金の支払いといった企業の購買活動に特化しているカードです。複数のサプライヤーへの支払いを一本化でき、カードレスタイプで紛失・盗難のリスクがありません。さらに、利用限度額を柔軟に変更できるなどさまざまなメリットがあります。
法人カードの種類の一つに、パーチェシングカードと呼ばれるものがあります。他の法人カードとは異なる特徴を持っているため、メリットとデメリットをよく理解してから作成を検討しましょう。
今回はパーチェシングカードの概要や他カードとの違い、主な特徴と利用のメリット・デメリットについて解説します。
目次
パーチェシングカードとは?コーポレートカードとの違いを紹介
パーチェシングカードとは、英語で「購入」を意味する「purchasing」を由来としたクレジットカードです。その名のとおり、主に仕入れやシステム利用料といった企業間取引(BtoB)の購買関連の支払いに利用されます。
パーチェシングカードは、他の法人カード同様に、経理業務の効率化を目的として導入されるのが一般的です。しかし、法人カードをはじめとした他のカードとは異なる点もあるため、作成する際は注意が必要です。
パーチェシングカードとコーポレートカードの違い
パーチェシングカードとコーポレートカードは、2つとも法人や会社が利用するという点は共通しています。しかし、以下のように用途や名義、支払回数などに違いがあります。
パーチェシングカード | コーポレートカード | |
---|---|---|
用途 | 企業の購買や特定の固定費の支払いに限定 | 社員の出張費や交際費などを含む企業の経費全般の支払いに対応 |
名義 | 法人名義あるいは部署名義のいずれかを選択できる | 個人名義のみ |
支払回数 | 1回のみ | 2回払いや分割払い、リボ払いにも対応 |
タイプ | カードレス | プラスチックカードがメイン |
用途や目的が異なるため、必要に応じて適切なほうを選択する必要があります。どちらを選べばよいか迷った場合は、自社の決済の方法や経費の使い道などを洗い出し、2つのカードを使った場合のシミュレーションを行うとよいでしょう。
3つのポイントでパーチェシングカードの特徴を紹介
パーチェシングカードの主な特徴は、大きく分けて3つあります。
利用用途が特化されている
パーチェシングカードは、用途がBtoB間の購買や支払いに特化しているところが大きな特徴です。具体的には、原材料の仕入れや公共料金の支払い、サーバー利用料や通信費の支払い、リスティング広告料やWeb広告料の支払いなどが挙げられます。
また、法人税や消費税、申告所得税といった各種税金の支払いにも利用することが可能です。
法人カードではプラスチックカードが発行されるので、交際費や出張費の支払いでも活用できます。しかし、パーチェシングカードはカードレスのため、そうした費用の支払いには対応できないのが一般的です。
法人名義・部署名義で発行できる
パーチェシングカードは、会社名や企業名といった法人名義の他、営業部や部署単位でカード発行が可能です。部署単位で経費を把握しやすくなるため、経費や予算の見直しといった経営戦略にも役立ちます。
また、パーチェシングカードは部門名義で発行されるため、担当者が変わっても名義変更などの手続きは不要です。
カードレスタイプが多い
パーチェシングカードには「カード」という名前は付いていますが、基本的にプラスチックカードが発行されないカードレスタイプが一般的です。プラスチックカードは物理的に所有・保管しなければならないため、カード忘れや紛失、盗難などのリスクがあります。しかし、カードレスタイプであればそういったリスクがないことから、安全性の高いカードと言えるでしょう。
パーチェシングカードを利用するメリット
パーチェシングカードを利用する際のメリットは、大きく分けて4つあります。
経費処理を効率化できる
パーチェシングカードでは、代金の支払日や支払先が異なる各サプライヤーへの支払いを一本にまとめることが可能です。支払日・支払先が異なる場合でも、まとめてカード会社へ支払えば済むため、請求関連の業務負担を軽減できます。
また、請求書ごとに支払う場合は振り込みの都度手数料が発生します。しかし、パーチェシングカードなら一度の支払いで済むため、振込手数料を節約できる点も魅力の一つです。
紛失や盗難リスクがなくなる
先述のように、パーチェシングカードは一般的に物理的なカードが発行されないカードレスタイプなので、紛失や盗難の心配がありません。
カードを悪用された場合、金銭的な損失を被る上に、紛失・盗難に遭ったカードの利用停止、再発行などの手続きも行わなければなりません。しかし、パーチェシングカードであればそのようなリスクがないため、手間と損失リスクを両方とも負わずに済みます。
利用限度額を柔軟に変更できる
一般的なクレジットカードの場合、利用限度額があらかじめ設定されており、決められた枠内でしか決済や支払いを行うことができません。特に、起業したばかりの事業者は利用限度額が低く設定されているケースが多く、多額の支払いに対応できないケースもあります。
一方、パーチェシングカードは利用限度額の柔軟な変更が可能です。必要に応じて一時的に限度額を引き上げることもできるので、多額の決済を予定しているときでも、事前に利用限度額を引き上げておけば、パーチェシングカードで対応できるでしょう。
逆に、一回あたりの利用額を制限することができるため、経費の使いすぎを未然に防ぐことも可能です。
名義変更の手間を省ける
パーチェシングカードでは、名義変更の手間が発生しません。そもそも法人名や部署名義で発行するため、部署そのものが消滅しない限り名義変更が不要です。
担当者の個人名でカードを発行すると、その担当者が異動もしくは退職した場合、カード名義を新しい担当者に変更しなければなりません。名義変更には日数を要するため、場合によっては引き継ぎ業務が滞ってしまうことも考えられます。
パーチェシングカードは法人や部署名義で発行できるため、一度発行すれば名義変更をはじめとした手間が生じないというメリットがあります。
パーチェシングカードを利用するデメリット
パーチェシングカードを利用すると多くのメリットがある反面、いくつかのデメリットもあります。
場合によっては用途、目的に合わないおそれがあるので、デメリットや注意すべき点もチェックしておきましょう。
特定用途以外の支払いに利用できない
パーチェシングカードは企業間の購買や支払いなどに特化している分、その他の用途の支払いには対応していません。
例えば、出張に行った社員が出先で利用した公共交通機関の利用料や宿泊代などの支払いには利用できません。この場合、他の法人カードで決済するか、立て替え払いを依頼する必要があります。
ただ、用途が限られていることで、一般的なクレジットカードに比べると私的な用途に使われるリスクが低く不正利用を未然に防ぎやすいとも言えます。
一般的な付帯サービスを受けられない
多くのパーチェシングカードには、一般的なクレジットカードに付帯されている旅行保険やショッピング保険、空港ラウンジサービスといった各種サービスは付帯していません。
カード会社独自のポイントプログラムも導入されておらず、ポイントを使った買い物や各種商品・金券との交換といったキャッシュバックも期待できません。付帯サービスやポイントプログラムを活用したい場合は、法人カードの利用を検討しましょう。
パーチェシングカードは経理業務の効率化に役立つ便利なサービス
パーチェシングカードは、BtoB間の購買や支払いなどに特化している特徴があります。パーチェシングカードがあれば、複数のサプライヤーへの支払いを一本化し、経理業務を簡素化できます。
また、基本的にパーチェシングカードはカードレスタイプなので、紛失や盗難のリスクがありません。さらに利用限度額が柔軟に変更できるので多額の決済にも対応可能な他、法人名義で発行することから担当者の引き継ぎもスムーズです。
一方で、用途が限定されており、一般的なクレジットカードのようなポイント還元が行われない点には注意が必要です。
用途や目的によっては、パーチェシングカードよりも法人カードのほうが適している場合もあり得ます。自社のニーズや用途に合致しているかどうかをチェックした上で、発行するべきか検討しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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