株式会社エスワイフード

飲食店70店舗の経費精算をDX。申請の差し戻し件数を9割削減し、経理体制のスリム化とガバナンス強化を実現!

株式会社エスワイフード (左から)
管理部 主任 篠田様
管理部 部長 門間様 
名古屋営業部 副部長 加藤様
中華酒場やむちゃん 伏見店 店長 佐藤様
「世界の山ちゃん」をはじめとした飲食事業を手掛ける株式会社エスワイフード。美味しさと笑顔を届ける「グローバルフードカンパニー」を目指し、2024年2月時点で国内70店舗、海外12店舗を展開しています。

同社は、経費精算業務の効率化を目指してマネーフォワード クラウド経費マネーフォワード クラウド会計マネーフォワード Pay for Businessなど各サービスを導入。業務効率化のみならず、ガバナンス強化や、現場のコスト意識の醸成を実現しています。

今回は同社に、マネーフォワード クラウドの導入経緯から導入後の効果まで詳しくお話を伺いました。

紙ベースの精算フローが本社・店舗の業務を圧迫。毎月約9割の店舗で経費申請の差し戻しが発生していた

門間様:弊社は国内外あわせて82店舗、従業員数では1,000名以上の規模の飲食店を運営しています。経理業務は本社の管理部5名で担っており、各店舗の経費申請に対応しています。

篠田様:マネーフォワード クラウドを導入する前は、紙ベースの経費精算をおこなっていました。月末に各店舗から1か月分の経費申請書と領収書が送られてくるので、それを管理部で1枚ずつ確認して対処していたのです。

門間様:以前の経費精算フローには大きく3つの課題がありました。1つ目は、勘定科目の誤りが多く、毎月約9割の店舗で差し戻しが発生していたことです。例えば、「福利厚生費」にあたるスタッフの飲み物代が「ドリンクの仕入れ」で申請されるようなことが多くあり、管理部もミスがないよう何度も見直しが必要で業務負荷が高い状況でした。

2つ目は、会計システムへ入力するまでの手順が複雑だったことです。以前に利用していた会計システムは、外部システムとの連携ができなかったため、経費申請の内容を表計算ソフトに書き起こし、ミス防止の検算をしたうえでインポート登録する必要がありました。銀行の入出金も同様の手順で管理していましたから、二度三度と手間がかかっていました。

3つ目は、紙の管理の問題です。毎月各店舗から届けられる申請書や領収書の枚数は膨大で、重ねると約25cmの厚みにもなります。後から申請内容に不備が発覚した際は、その紙の束から該当する領収書を探さねばならず、多くの時間を要していました。加えて、領収書の紛失リスクや、申請内容を訂正する書き込みがあると金額の正誤確認がしづらかったのも懸念でしたね。

こうした課題から、以前は1店舗の経費精算にも30分から1時間ほどかかっており、月初の3日から4日は経費精算業務にかかりきりな状態だったと記憶しています。

佐藤様:店舗にとっても紙の経費申請は負担でした。食材調達などで経費が都度発生するという飲食店特有の事情もあり、1か月分の大量の領収書を月末の営業時間外にまとめて合算のうえ、仕分けして申請書へ貼り付ける作業が必要だったのです。月末になると「経費精算をしないと」と仕事に集中しづらくなってしまうこともありました。

加藤様:領収書の保管についても、1か月分の領収書を紛失しないようにするのはもちろん、識字に支障がでないように気を配る必要がありました。

門間様:このように、本社・店舗ともに課題を抱えていた背景から、経費精算や会計のプロセスを見直す必要性を感じ、新しい経費精算・会計システムの選定を始めたのです。

利便性の改善と併せ、ガバナンス強化も重視してマネーフォワード クラウド経費を選択。本社でのトライアル成果をもとに、スムーズな店舗展開へ

門間様:新しい経費精算・会計システムを選ぶ際に重視した条件は3つあります。1つ目は、勘定の縦計と横計の正誤確認が不要であることです。ガバナンスの観点から見ると、管理部がおこなうべきは表計算ソフトの入力チェックではなく、適切に経費が使われているかの監査です。管理部が本来の仕事に集中するため、いかに単純計算の作業を減らせるかを重視しました。

2つ目は、勘定科目の名称をカスタマイズできることです。経費申請が差し戻しになる原因の多くが勘定科目の誤りでした。そこで、あらかじめ間違いが起こりにくいような勘定科目を設定し、差し戻しの件数を削減したいと考えました。

3つ目は、各店舗の経費の内訳を一目でチェックできることです。以前は、勘定科目の誤りや使途不明の経費が発生した際、店長に詳細を確認をしなければなりませんでした。この確認の手間を簡略化し、経理業務を効率化したかったのです。

これらの視点でサービスを探し、候補として選んだのがマネーフォワード クラウド経費です。マネーフォワード クラウド会計と併せて導入し、連携させることで、経費精算から会計処理までのフローを効率化できるだろうと考えました。

加藤様:システム導入に関しては、現場からも期待を寄せられました。これまで業務を圧迫していた領収書の管理や、月末になるまで申請できない経費フローが解消されることを望む声が多かったです。

門間様:導入に際しては「運営するメンバーが使えなければ全社導入は難しい」という思いもあり、管理部を中心とした本社内のトライアル利用から始めました。その際、経理担当者だけではなく、営業部の管理職にも参加してもらっています。まず店舗とのやり取りが多い営業部に利便性を感じてもらい、それをもとに店舗に導入の話や使い方のレクチャーをしてもらえれば、システムの店舗展開もスムーズにいくだろうという期待があったからです。トライアルを通じて、マネーフォワード クラウドの導入による経理業務の改善効果を実感できました。

加藤様:管理部内でのトライアル後は、店舗備品のタブレット端末にマネーフォワード クラウドをインストールし、各店舗で一斉に運用を開始しました。導入直後はトライアルをおこなった社員が出張して操作方法をフォローすることもありましたが、数か月経つ頃には、トラブルもなく安定した運用を実現しています。電子帳簿保存法で店舗のDXへの意識が高まっていたことも、システム浸透を後押ししてくれました。

店舗・本社双方の利便性を向上させるべく、Pay for Businessも併せて導入

加藤様:マネーフォワード クラウド経費と併せて、マネーフォワード Pay for Business(ビジネスカード)も導入をしています。

当初はほかの経費用プリペイドカードを利用していたのですが、マネーフォワード クラウド経費とのデータ連携ができず、経費精算の内容を手動で登録しなければならなかったのです。

門間様:プリペイドカードの性質上、実際の利用と引き落としのタイミングに差があり、消込が間に合わないという経理側の課題もありましたね。

加藤様:マネーフォワード Pay for Businessは、経費の利用履歴や明細がマネーフォワード クラウド経費と自動連携される点に魅力を感じました。いつ、誰が、何を購入するのにいくら使ったのかを本社でもリアルタイムに把握できるようになれば、ガバナンス強化もできると考えたからです。また、領収書の手動登録が不要になれば、現場の労力がさらに減るだろうという期待もありました。

門間様:万が一、カードを紛失した際も、管理部側で利用停止制限がかけられます。現金を支給するよりも安心だと感じました。

経費申請の差し戻し件数を9割削減!店舗数が増えても経費チームの少人数化に成功

門間様:マネーフォワード クラウド経費マネーフォワード Pay for Businessの導入後、60店舗中50店舗で発生していた経費申請の差し戻し件数が9割減り、管理部の作業時間を大幅に削減できました。

特に効果的だったのが、勘定科目をわかりやすい名称に変更したことです。誤って仕入れとして仕分けされていたスタッフ用のドリンクは「スタッフドリンク代」の勘定科目を作成するなど、店舗側にわかりやすい勘定科目に設定することで、差し戻し件数を減らせました。

勘定科目の設定画面(イメージ)

篠田様:店舗の負担軽減により、管理部への経費申請も期日までに届くようになりました。以前は2か月遅れで締めていたこともありましたので、改善の成果を感じています。

また、編集ログ機能で、申請から承認まで各ステップの担当者において、申請内容の修正履歴が見える化されたため、差し戻すべき申請をそのまま通してしまったのが誰なのかもわかるようになりました。その結果、承認プロセスメンバーの注意喚起につながり、現在のところミスや差し戻しはほとんど起きなくなっています。

門間様:領収書の保管や管理業務が軽減したことも成果の1つです。電子帳簿保存法に対応したことで、現在は経費申請書に領収書を添付してもらう必要がほとんどなくなりました。

マネーフォワード クラウド経費は、電子帳簿保存法におけるスキャナ保存の要件を問題なく満たしているだけでなく、スキャナ保存において最適化されたシステムであると感じています。申請者は領収書撮影時のOCR入力やマネーフォワード Pay for Businessとの利用明細の連携で、入力をできる限り自動化でき、承認者は画像を一括で閲覧できる領収書入力モードで、紙よりもスムーズに確認できています。

また、併せて導入したマネーフォワード クラウド会計との連携により、経費の仕訳データが会計処理用のデータに自動で同期されるため、管理部側で表計算ソフトに入力しなおす手間が不要になりました。

マネーフォワード クラウド経費とマネーフォワード クラウド会計の連携イメージ

結果として管理部では、経理担当者の1名がマネーフォワードに置き換わっており、60店舗分で最大30時間かかっていた経費精算は、70店舗に増えた現在でも約6時間ほどで完遂できるようになりました。

店舗側の経費精算業務も大幅に簡略化。月末時期も本来取り組むべき仕事に集中できるように

加藤様:店舗側でも成果を感じています。以前では、月末に合算するまで月々の経費を把握しにくかったのですが、マネーフォワード クラウド経費の導入により、月のなかばでも利用状況がわかるようになりました。利用状況がこまめにわかるため、現場のコスト意識の醸成にも貢献していると思います。

マネーフォワード クラウド経費はスマートフォンアプリで操作ができるので、移動中のスキマ時間で精算作業を進められるようになった点もメリットですね。

佐藤様:店長としても、マネーフォワード クラウド経費の導入が時間短縮につながっていると感じています。現在は月末時期を迎えても「経費申請を済ませないと」と焦ることなく、本来取り組むべき仕事に集中できるようになりました。

特に、申請したデータにコメントを残せるチャット機能が便利です。飲食業界の特徴として、本社の経理担当者は日中に勤務、店舗社員は夜間に勤務と、勤務時間帯のすれ違いがあります。そのため、以前はコミュニケーションを取るのが難しかったのですが、チャット機能により、現在ではお互いのタイミングでやりとりができるようになりました。

加藤様:マネーフォワード Pay for Businessの成果としては、申請データ作成の簡略化効果が挙げられます。自動的にマネーフォワード クラウド経費に明細データが登録されます。申請者は登録されたデータを勘定科目ごとに仕分け、何を購入したかを入力するだけで申請完了するので、作業が大幅に簡略化されました。

加えて、本社で簡単にカードの上限金額設定を変更できる機能にも価値を感じています。店舗が経費の利用制限金額を超えてしまった場合にも、すぐに設定を見直せるのは、現地調達の多い飲食店にとって非常に有益だと感じます。

佐藤様:新店舗立ち上げの際は、備品購入や新メニュー開発の経費が多く、予想以上の金額になる場合があります。このようなときも、マネーフォワード Pay for Businessならカードごとの上限金額を本社管理部で即座に簡単に変更できるため、立替払いをせずに済んでいます。現地調達が多く、必要金額が予測しづらい飲食店には大変有益なサービスだと感じます。

経費部門での成功を足がかりに、他部署のDX推進にも意欲。さらなる負担軽減を目指す

門間様:申請のムダな作業をなくして本来あるべき経理業務に集中したいという思いで始まった経費精算システムの導入でしたが、マネーフォワード クラウド経費は想像以上の効果を発揮してくれました。個人的には「少しでもラクができたら」との思いもあり、いろいろなクラウドツールを積極的に採用しています。それが結果的にDX推進に繋がったと感じていますし、クラウドサービスの利便性に日々感心しています。

私たち管理部の導入成果を受け、社内では他部署の業務をDX推進する検討も始まりました。まだ残っている紙の申請書も電子化し、さらなる負担軽減を目指すとともに、空いたリソースで販売業務にも注力したいと考えています。

今後もマネーフォワード クラウドを活用し、世の中の変化にも柔軟に対応できる強固なバックオフィス体制を構築していきたいです。

株式会社エスワイフード
1981年創業。「世界の山ちゃん」をはじめとした飲食事業を国内外で展開。近年は店舗だけでなく通販、外販、催事、キッチンカー事業と多様な業態で美味しさを届ける。企業理念「beyond the wings(その先へ羽ばたき続ける)」に従い、飲食事業の新たな可能性に挑戦し続ける。