- 更新日 : 2024年5月30日
法人カードの現金化は規約違反?利用のリスクを解説
資金調達を検討している事業者は、法人カードのショッピング枠を現金化できないか知りたいという方もいるのではないでしょうか。結論として法人カードの現金化は不可能ではありませんが、カード会社の規約により禁止されている他、現金化にはさまざまなリスクが伴います。本記事では現金化とキャッシングの違いや、法人カードを現金化するリスクについて解説します。
目次
法人カードの現金化は規約違反
事業資金を調達する方法として、法人カードの現金化という手段を聞いたことがある方もいるでしょう。法人カードのショッピング枠を利用し、換金性の高い商品を購入後すぐに売却することにより、法人カードのキャッシング枠を使わずに現金を手元に用意できます。
法人カードの現金化は法令上、明確に禁止されているわけではありません。しかしクレジットカード会社の利用規約で禁止されているため、ショッピング枠の換金目的での利用が判明した場合は規約違反として「カードの利用停止」や「残金の一括請求」などのペナルティーを受ける可能性があります。
現金化とキャッシングの違い
法人カードの現金化と混同しやすい言葉に「キャッシング」があります。実際には特徴が大きく異なる言葉ですので、下記に現金化とキャッシングそれぞれの特徴をまとめました。
現金化 | キャッシング | |
---|---|---|
カード会社の規約 | 違反している | 遵守している |
手数料や金利 | 月10~20%ほど | 年利18%ほど |
安全性 | 低い | 高い |
現金化とキャッシングの大きな違いは、利用時の安全性にあります。キャッシングを利用する場合は貸金業法により金利の上限が定められている他、個人情報も法律に基づいて適切に管理・保護されています。
しかし法人カードのショッピング枠を(規約に反して)現金化する場合、法外な手数料がかかるだけでなく、カードの不正利用や個人情報の流出が懸念されます。法人カードの現金化は便利な裏技のように扱われていますが、利用によるリスクが高いため、手元に資金が必要な場合は別の安全な手段を検討すべきでしょう。
また、法人カードのキャッシングについては、別の記事で詳しく解説しています。
法人カードの現金化による3つのリスク
法人カードを現金化することにより、以下のようなリスクが懸念されます。
- 手数料が高額なため資金繰りが苦しくなる
- 規約違反が発覚した場合は一括返済が求められる
- 詐欺などの犯罪に巻き込まれる恐れがある
手数料が高額なため資金繰りが苦しくなる
法人カードの現金化では、利用時に10~20%の手数料がかかります。一見するとキャッシングの金利よりも低いと感じるかもしれませんが、現金化の場合は利用のたびに手数料がかかるため、年利ではなく月利として10~20%がかかっていることになります。キャッシングにかかる金利は年利18%程度であるため、現金化の手数料が高額であることがわかります。
資金繰りを目的として法人カードの現金化を始めても、利用のたびに手数料が引かれるため、次月までに引かれた手数料分を埋めるための資金を準備しなければいけません。法人カードの現金化は一時しのぎにしかならないため、手数料を考慮するのであれば、他の方法で資金を調達した方が合理的といえます。
規約違反が発覚した場合は一括返済が求められる
多くのクレジットカード会社では、ショッピング枠を換金目的で利用することを規約により禁止しています。ショッピング枠は本来、商品やサービスを後払いで購入するために設けられているからです。
換金目的での利用が発覚した場合は規約違反として、残金を一括で請求される場合があります。すると残金が返済できなくなり、最終的に破産に至ってしまうようなケースもあります。
詐欺などの犯罪に巻き込まれる恐れがある
ショッピング枠の現金化を行っている業者では、現金化に必要だといってカード番号や3桁のセキュリティ番号、免許証などの身分証明書の提出を求めてくる場合が多いようです。
そういった情報を業者に渡してしまうと、いくらでも悪用できてしまうため、身に覚えのない請求が届いたり、個人情報が流出してしまったりする恐れもあります。また提出した身分証明書をもとに、銀行口座やクレジットカードが勝手に作成されるといった被害が出ることもあるようです。
法人カードの現金化では、詐欺などの犯罪やトラブルに巻き込まれる可能性も否めないため、キャッシュが必要な場合は安全に資金調達できる別の方法を利用するようにしましょう。
資金が必要な場合に利用できる他のサービス
安全に資金調達を行うには、以下の方法をおすすめします。
資金調達の方法 | 概要 |
---|---|
キャッシング | 法人カードのキャッシング枠を利用する |
カードローン | キャッシング専用のカードを作成する |
ビジネスローン | 事業資金専用のローン商品 |
ファクタリング | 売掛債権を譲渡して資金を調達する方法 |
事業資金を調達したい場合は、カードローンまたはビジネスローンを利用するといいでしょう。それぞれが事業資金の融資に特化しており、申込先によっては最短即日で融資を受けられる場合があるからです。
法人カードで現金化する以外にも資金調達の手段はあるため、カード会社の規約違反にならない安全な方法を利用するようにしましょう。
カードローンについては、別の記事で詳しく解説しています。
法人カードの現金化は利用時のリスクが高い
法人カードを現金化することは、カード会社の規約に違反します。さらに不正利用や個人情報流出の可能性を考慮すると、あまりにリスクが高いため、決しておすすめできる方法とはいえません。
すぐにでも事業資金が必要な場合は、カードローンやビジネスローンの利用をおすすめします。こういった方法であれば、カード会社の規約を遵守しつつ安全に資金を調達できるからです。
法人カードの現金化は、あくまでその場しのぎにしかなりません。まだ事業資金に余裕があるうちに、万一に備えて安全に資金調達できる手段を知っておくといいのではないでしょうか。
よくある質問
法人カードの現金化によるリスクはありますか?
あります。法人カードの現金化はリスクが高いため、おすすめできません。具体的なリスクとしては「カードの利用停止」や「残金の一括請求」「犯罪に巻き込まれる可能性」などが挙げられます。詳しくはこちらをご覧ください。
資金が必要な際、法人カードの現金化以外に利用できるサービスはありますか?
キャッシングやファクタリング、ビジネスローンを利用する方法があります。審査が必要なためすぐに資金調達できるわけではありませんが、現金化よりも安全に事業資金が調達できます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
法人カードの知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
法人カード利用時の経理処理は?仕訳まで徹底解説
法人カードの経理処理は、確定申告の方法や利用シーンによって内容が異なります。本記事では、経理担当者や個人事業主を対象として、利用シーンによって異なる経理処理の方法や、仕訳に使用する勘定科目について解説します。支払いを法人カードにまとめれば、…
詳しくみる法人カードで貯めたポイントの会計処理はどうする?
法人カードで貯めたポイントは使い方によって会計処理が異なるため、経理担当者は仕訳の勘定科目に悩んでいるのではないでしょうか。本記事では、ポイントが貯まった際の会計処理と、ポイントを使用する際の会計処理について解説します。 法人カードでポイン…
詳しくみるApple Pay対応の法人カードもある!メリットや注意点は?
法人カードを利用している方は、ご自身のカードがApple Pay(アップルペイ)に登録できるかどうか、気になるのではないでしょうか。多くの法人カードはApple Payに登録できませんが、一部のカードはApple Payに登録できます。 本…
詳しくみる法人カードは中小企業にもおすすめ?メリットや選び方を徹底解説
中小企業が法人カードを利用すると、ビジネスに役立つさまざまなサービスを使えます。自分に合った法人カードを選べば、事業運営を円滑にしてくれるでしょう。法人カードは利用枠や年会費、会計ソフトとの連携などを基に選択しましょう。 中小企業の経費支払…
詳しくみるキャッシングできる法人カードは少ない!メリットや注意点は?
ほとんどの法人カードはキャッシング機能がついていませんが、なかには限度額の範囲内でキャッシングを利用できるカードも存在します。キャッシングには急な出費に備えられるなどのメリットがある一方で、支払い方法が限られる点などには注意が必要です。 今…
詳しくみる法人カード付帯のコンシェルジュサービスを徹底紹介
法人カードの導入を検討している方の中には、コンシェルジュサービスについて知りたい方も多いのではないでしょうか。せっかくステータスの高い法人カードを契約するなら、コンシェルジュサービスも活用したいところです。 本記事では、コンシェルジュサービ…
詳しくみる