• 更新日 : 2024年1月18日

電子帳簿保存法の改正に合わせたクレジットカードの利用法

電子帳簿保存法の改正に合わせたクレジットカードの利用法

経理担当の方は、電子帳簿保存法の改正により、クレジットカードを利用した場合の対応がどのように変化するか気になっているのではないでしょうか。

本記事では、電子帳簿保存法改正の概要や、法改正に合わせてクレジットカードを利用するメリットについて解説します。会計ソフトとクレジットカードを連携させれば、経費精算等の業務負担を軽減できます。

電子帳簿保存法に合わせたクレジットカードの利用法

電子帳簿保存法に合わせてクレジットカードを利用する際には、領収書の扱いに注意が必要です。特にネット通販を利用した場合や、従業員が個人のクレジットカード決済により会社の消耗品を購入した場合には、領収書を印刷して提出するのではなく、PDFをダウンロードして経理担当者へ送付するようにしてください。

電子帳簿保存法では、紙で領収書を受領した場合にはスキャナ保存を行い、ネット通販等で商品を購入した場合には領収書をデータ(一般的にはPDF)で保存します。その際、電子データを検索できるよう、取引年月日や取引金額、取引先を記録しておく必要があります。記録にあたっては、表計算ソフトへの入力、または規則的なファイル名を付けることが推奨されています。

「電子帳簿保存法」の要件や改正内容については、こちらの記事で詳しく解説しています。

そもそも電子帳簿保存法とは?

電子帳簿保存法とは、各税法において原則紙での保存が義務付けられている帳簿書類について、一定の要件を満たせば電子データによる保存を認めるという法律です。また、電子データにより受け取った取引情報の保存義務についても定められています。

電子帳簿保存法では、扱う書類や帳簿に応じて「電子帳簿保存」「スキャナ保存」「電子取引」の3つに区分されます。

これまでは、電子データで保存するにあたり、税務署長に事前承認を求める手続きや、タイムスタンプ(データの存在証明・データの非改ざん証明をするもの)の付与が必要でした。

しかし、2022年(令和4年)1月の法改正により、これらの要件が廃止・緩和され、電子データでの保存が行いやすくなりました。主な改正内容は、以下のとおりです。

  • 事前承認手続きの廃止
  • タイムスタンプ要件の緩和
  • 検索要件の緩和
  • 適正事務処理要件の緩和
  • 電子取引における書面保存の廃止

2023年(令和5年)の法改正では、さらに、スキャナ保存の要件緩和措置や電子取引データの保存に対する猶予措置が新たに加わりました。

上記のような改正により、業務負担が大きく軽減されるでしょう。

法人カードを会計ソフトと連携すれば電帳法に対応しやすい

電子データの保存や検索機能の確保だけが目的であれば、会計ソフトを導入しなくても電子帳簿保存法に対応できます。しかし業務効率化を考えるのであれば、会計ソフトの導入をおすすめします。メールで受け取ったPDFの請求書や領収書を会計ソフトにアップロードすれば、証憑データがクラウドに自動保存され、業務の適正化・効率化につながります。

法人カードと会計ソフトを連携し、カードの利用明細や領収書データの保存をすれば、電子帳簿保存法に適切に対応できます。なお、会計ソフトの導入にあたっては、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)の認証を取得しているものを選択しましょう。

会計処理の際はクレジットカードの利用明細と領収書データの保存も必要

電子帳簿保存法においては、クレジットカード決済の会計処理はカードの利用明細に加え、領収書データの保存も必要になります。

電子帳簿保存法では、店舗で決済し、領収書やレシートを紙で受領した場合にはスキャナ保存を行い、ネット通販等でクレジットカードにより決済した場合には、領収書をダウンロードしてデータで保存することが原則とされているからです。

では、店舗でキャッシュレス決済を行った場合に、領収書を発行してもらえない、またはもらい忘れてしまったようなときはどうすればいいのでしょうか。その場合には、クレジットカードの利用明細でも一定の条件を満たせば代用できます。

国税庁では、請求書や領収書に通常記載される取引情報(発行者、日付、取引の概要、金額、宛名)が含まれていれば、クレジットカードの利用明細でも代用できるとしています。

※クレジットカードの利用明細をインボイスとして扱うためには、記載要件などを満たしたものでなければなりません。インボイスに対応した利用明細を用意しているクレジット会社も多いので、詳しくは利用しているクレジット会社に問い合わせしてみましょう。

なお、クレジットカード決済の会計処理にあたっては、まず勘定科目を「未払金」としておき、引き落としがあったタイミングで会計処理を行います。

電子帳簿保存法の経過措置は2023年末まで

電子帳簿保存法は、2022年1月より法改正が施行される予定でしたが、さまざまな理由により、2023年12月31日まで2年間の猶予期間が設けられていました。

すでに猶予期間は終了しているため、紙の領収書をスキャナ保存するための設備や、キャッシュレス決済の利用明細を電子データとして保存するためのフォーマットなどを用意するなど、各事業者が必要な対応を取らなくてはなりません。

電子帳簿保存法に対応するメリット

ここからは、電子帳簿保存法に対応するメリットについて解説します。電子帳簿保存法の改正により、電子データでの管理が実用的になりました。対応が必須となる取引も多くありますが、対応することで業務効率化につながるなど、様々なメリットが考えられます。

  • 業務効率化につながる
  • ペーパーレス化により事務的なミスが減る
  • テレワーク・リモート環境へ移行する準備ができる

業務効率化につながる

電子帳簿保存法に対応する大きなメリットは、業務効率化が見込める点です。これまでのように請求書や領収書を紙で保存していると、ファイルに綴じる作業や必要な書類を探す手間が発生します。

しかし電子帳簿保存法に対応することで、紙をスキャナ保存して電子データで管理できるようになるため、今までの手間が軽減されます。

また、会計ソフトを導入することにより、さらなる業務効率化が見込めます。会計ソフトと連携させれば、領収書や請求書を電子データで受領した場合に、タイムスタンプを付与する作業が不要になるのです。

ペーパーレス化により事務的なミスが減る

業務効率化と重複する部分もありますが、電子帳簿保存法によりペーパーレス化を進められることもメリットのひとつです。

請求書や領収書を電子データで管理できるようになるため、入力ミスや書類の紛失といった事務的なミスを軽減できます。

テレワーク・リモート環境へ移行する準備ができる

経費精算を法人カードで行う仕組みづくりや会計ソフトの導入が必要になりますが、電子帳簿保存法に対応することで出社の必要がなくなり、テレワーク・リモート環境へ移行する準備が進みます。

ただし、現金で決済し領収書を受け取った場合には、書面を手渡しまたは郵送により提出するケースも残るかもしれません。

電子帳簿保存法の改正にあわせて業務を効率化しよう

電子帳簿保存法の改正によって、課題であった事前承認制度が廃止され、タイムスタンプ付与の要件が緩和されました。これにより書類のスキャナ保存、メールで受領した請求書や領収書の電子保存が行いやすくなり、社内の業務効率化が進むと期待されます。

電子帳簿保存法への対応とあわせて、社内の経費精算を法人カードによる決済にまとめれば、さらなる業務効率化が見込めます。制度対応の機会に、経費精算の仕組みを見直してみてはいかがでしょうか。

よくある質問

電子帳簿保存法の改正に合わせて、法人向けクレジットカードをどのように利用すればよいですか?

会社の経費を支払う際は、法人カードで支払うことを意識しましょう。従業員も法人カードが利用しやすいように、追加カードを発行してもいいかもしれません。詳しくはこちらをご覧ください。

法人向けクレジットカードを利用した際、保存すべき書類はありますか?

電子帳簿保存法においては、法人向けクレジットカードを利用した場合はカードの利用明細に加え、証憑書類としてレシートや領収書を一定期間保存することが義務付けられています。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談していただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事