- 更新日 : 2025年1月9日
法人用のデビットカードとは?クレカとの違いやメリットを解説
法人用のデビットカードとは、法人口座に紐付き、決済時に利用額がすぐ引き落とされる法人向けカードのことです。法人口座を開設していることが前提になるものの、カードの作成にあたって与信審査が無いため、創業から間もない会社でも作りやすい点が特長です。今回は法人用デビットカードのメリットやデメリットのほか、法人カード(法人用クレジットカード)との違いも解説します。
目次
法人でもデビットカードを作れる
銀行口座に紐付けられ、決済をすると利用額が即時引き落としが行われるデビットカードには、法人用のものもあります。法人用デビットカードを作ることで決済時の手間が省け、経費処理の負担も軽減できるでしょう。
法人用デビットカードは法人口座を開設していないと使えない点や、銀行口座の預金残高の範囲内のみで利用できる点などが特徴です。
デビットカードとクレジットカードの違い
デビットカードに関する理解を深めるため、法人カード(法人用クレジットカード)との違いを確認していきましょう。デビットカードとクレジットカードの違いとして挙げられるのは、主に次の5つです。
- 引き落としタイミング
- ポイント還元率
- 与信審査の有無
- 付帯サービスの充実度
- 分割払いの可否
それぞれの項目におけるデビットカードとクレジットカードの違いについては、下記表をご参照ください。
利用後すぐに引き落とされる | カード会社や支払い方法によって異なるものの、1〜2ヶ月後に引き落としされるケースが多い | |
ポイント付与がされにくい (ポイント付与されるデビットカードであっても、還元率が低い傾向にある) | ほとんどのクレジットカードで付与される | |
基本的に無い | 有り | |
ほとんど付帯されていない | クレジットカードによるものの、付帯サービスがあるものが多い | |
不可 | 可 |
法人用デビットカードを利用するメリット
法人用デビットカードを利用するメリットは、主に次の3つです。
- 利用限度額が高い
- 年会費無料のものが多い
- 与信審査が無いものが多い
それぞれの内容について、解説していきます。
利用限度額が高い
ほとんどの法人用デビットカードは、利用限度額は1日あたり数十万円〜数百万円に設定されています。これに対して、一般的な法人用クレジットカードの1ヶ月の利用限度額は100万円程度、プラチナランクであっても1ヶ月1,000万円程度に設定されていることが多いです。
このように、法人用デビットカードは一般の法人用クレジットカードの1ヶ月の限度額を1日で決済することも可能です。
そのため、法人用クレジットカード1枚で支払いが追いつかないことが想定される場合は、年会費無料の法人用デビットカードを1枚作っておくと良いでしょう。年会費がかかる法人用クレジットカードを複数枚持つよりも、費用面や管理面で効率的な場合があります。
年会費無料のものが多い
法人用デビットカードのほとんどは、年会費が無料です。一方で、法人用クレジットカードは一部を除き年会費がかかることが多いため、維持費を気にせず利用したい場合には法人用デビットカードのほうが適しています。
与信審査が無いものが多い
法人用デビットカードは法人口座に紐付けられているため、通常、法人口座を開設できれば与信審査なしで作ることが可能な点も、メリットです。そのため、創業から間もない、収益がまだ安定していない会社でも問題なく作れることが多いです。
与信審査がないため発行までにそれほど時間がかからず、急ぎでカードが必要な場合にも便利です。
法人用デビットカードを利用するデメリット
法人用デビットカードを利用するデメリットは、大きく以下の3つです。
- 資金繰りが現金の場合と変わらない
- 口座変更の際はカードの作り直しが必要なことが多い
- ポイントがつきにくい
1つずつ確認していきましょう。
資金繰りが現金の場合と変わらない
法人用デビットカードはすぐに決済されるため、クレジットカードのように決済から支払いまでの猶予が生まれるわけではありません。クレジットカードと比較すると、資金繰りが現金の場合と変わらない点がデメリットといえるでしょう。
たとえ利益が出ていても手元に現金がないと支払いが滞り、事業が行き詰まってしまうこともあります。このような事態を防ぐためには、手元の現金を重視するキャッシュフロー経営が求められます。
しかし、法人用デビットカードはキャッシュフローの改善にはつながらないため、注意が必要です。
口座変更の際はカードの作り直しが必要なことが多い
法人口座に紐付けられている性質上、他社口座に変更できない点も法人用デビットカードのデメリットの1つです。
引き落とし口座を変更する場合は、通常、その口座に対応した法人用デビットカードを別途作り直さなければなりません。
ポイントがつきにくい
法人用カードに限らず、デビットカードはポイントがつきづらい点も、クレジットカードと比較した際のデメリットに挙げられるでしょう。デビットカードによってはポイント還元やキャッシュバックが受けられるカードもあるものの、クレジットカードに比べると還元率が低い傾向にあります。
法人用デビットカードを選ぶときの3つのポイント
ここまで説明したメリット・デメリットを踏まえて、自社に合った法人用デビットカードを選びましょう。法人用デビットカードを選ぶときのポイントは3つあります。
- 法人用デビットカードにかかるコスト
- 追加カードの発行可能枚数
- ポイント還元率やキャッシュバック率
法人用デビットカードにかかるコスト
まずは法人用デビットカードにかかるコストを比較しましょう。
ほとんどの法人用デビットカードは年会費が無料ですが、その他以下のようなコストが発生する場合があります。
発行手数料 | 口座開設と同時にカード発行を申し込む場合の手数料(無料であるケースが多い) |
---|---|
追加発行の手数料 | 口座開設後にカードを追加発行する場合の手数料 |
再発行の際の手数料 | 紛失や暗証番号の変更により、カードを再発行する場合の手数料(有料となるケースが多い) |
法人口座の維持手数料 | カードと紐づけられた法人口座の維持に必要な手数料 |
また年会費無料を謳うカードでも、2年目以降は年会費が発生するケースもあります。法人用デビットカードを申し込む前に、カード会社の会員規約や利用規定をしっかりと確認しましょう。
追加カードの発行可能枚数
次に追加カードの発行可能枚数を比較しましょう。
法人用デビットカードの中には、追加のデビットカードや、デビット支払い専用のサブカード(従業員向け)を発行できるものもあります。
「従業員の経費精算を法人用デビットカードで一本化したい」という場合は、追加カードの発行可能枚数をチェックするとよいでしょう。最大発行可能枚数は幅があり、追加カードを数千枚単位で発行できるカード会社もあります。
ポイント還元率やキャッシュバック率
最後にポイント還元率やキャッシュバック率を比較しましょう。
法人用デビットカードは、クレジットカードと比較してポイントがつきにくい傾向にあります。しかし、ポイント還元率が0.5%~1.0%と、法人カードとほぼ同等の高還元率が期待できるカードも存在します。
ただし、法人用デビットカードの場合、貯めたポイントをマイルや景品と交換できず、キャッシュバック(翌月の支払金額への充当)のみに利用できるケースが一般的です。
法人用デビットカードをビジネスに活用しよう
法人用デビットカードは法人口座に紐付き、即時決済される点が特徴です。法人用デビットカードによって決済時の手間が省け、経費処理の負担の軽減にもつながります。また、クレジットカードに比べ利用限度額が高いこと、年会費無料のものが多いこと、与信審査が無いものが多いこともメリットです。
一方でデメリットとして、即時決済されるため資金繰りが現金と変わらない点や、口座変更の際はカードの作り直しが必要になるケースが多いことなどが挙げられます。また、ポイントがつきにくい傾向にある点にも注意が必要です。
法人用デビットカードの特徴を理解して、ビジネスに有効に活用しましょう。
よくある質問
法人用のデビットカードはある?
法人口座に紐付けられた法人向けのデビットカードがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
法人用デビットカードを利用するメリットは?
クレジットカードに比べ利用限度額が高いこと、年会費無料のものが多いこと、与信審査が無いものが多いことなどが挙げられます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
法人カードの知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
作りやすい法人カードは存在する?プリペイドカードも選択肢に
法人カードの中には、与信審査の基準が比較的ゆるく、作りやすいカードも存在します。新設法人や個人事業主でも発行できる可能性が高いため、法人カードの与信審査に不安がある場合は申し込み対象が広いカードを探してみましょう。 この記事では、作りやすい…
詳しくみる法人カードは社員用にも発行できる?運用上の注意点は?
法人カードでは、従業員も利用できるように社員用のクレジットカードを追加発行できることがあります。追加発行時には審査が必要なのか、また追加発行することにどのようなメリットがあるのかまとめました。 法人カードは社員用に追加カードを発行できること…
詳しくみる法人カードを役員に発行したい!代表者以外が持つ場合の注意点は?
法人カードを役員に持たせる際は、追加カードを発行することになります。メインの法人カードは契約者(=代表者)しか使えないため、契約者ではない役員などは使用できないからです。 また、追加カードを発行する際は私的利用などのリスクを考慮し、使用時の…
詳しくみる大企業向けのコーポレートカードとは?ビジネスカードとの違いやおすすめを紹介
コーポレートカードとは法人カード(法人向けクレジットカード)の一つで、大企業を対象としたクレジットカードのことを指すことが多いです。法人カードには、他にビジネスカードと呼ばれるものもあり、両者の違いがよくわからないという方もいるかもしれませ…
詳しくみる追加カードを発行して法人カードを活用しよう!メリットは?
多くの法人カードは社員用の追加カードを複数枚発行できます。追加カードの発行には、「経費精算が楽になる」「ポイントを効率的に貯められる」などのメリットがあります。 追加カードの発行時は審査が基本的に不要ですが、場合によっては従業員の信用情報が…
詳しくみるプラチナランクの法人カードを持つメリットは?新規申し込みでも作れる?
法人カードの契約を検討している経理担当者の中には、プラチナランクの法人カードの契約を検討している方もいるのではないでしょうか。本記事では、他のランクの法人カードと比較してプラチナカードをおすすめする理由について解説します。プラチナカードは最…
詳しくみる